第2章・第9話 ディティールス闘技場

November 18 [Fri], 2011, 23:19
テラ達一行はマーテタウン中央にある闘技場、ディティールス闘技場へと向かった。

一行は闘技場の中へと入ると、エントランスは多くの人で溢れていた。
その中の多くが、剣士や拳法家、アーチャー、魔術師などといった戦士達だ。
闘技場で開催される大会への参加者なのかもしれない。

ペレは大勢人が溢れているのを見て
「どうしたのかしら。いっぱい人が集まってるけど……」
と、不思議そうに言った。
するとテラは脇に置いてあるパンフレットを手に取って見る。
「どうやら大会が開催されるみたいだね。
マーテタウン杯。この街を代表する大会の一つみたいだ」
そこへジャイロが大声を出す。
「なんだと!」
そう叫ぶとジャイロは、まじまじとパンフレットを覗き込んだ。
テラはジャイロをじろりと睨んだ。
「ビックリするなぁ。いきなり大きな声を出すなよ」
「それほど大きな大会なら出なきゃならんな!」
ジャイロは鼻息荒く、言う。
テラはその様子を見ると呆れた様子を見せ
「はいはい、ならエントリーしてくれば」
と軽くあしらうように言った。
「よし、それじゃ行ってくる!」
そう言いジャイロは一目散に大会受付の方へと駆けて行った。

「これで五月蝿(うるさ)いのが消えた」
テラは言い放つ。
ペレは苦笑い。


テラとペレは売店へ寄って飲み物を買うと売店の隣にある休憩室のベンチに二人並んで座り、
二人揃って大会のパンフレットを眺め始める。
「この大会の優勝者と準優勝者へは、来年のクラムスイヤ共和国杯への
出場権が得られるみたいだね。
共和国杯で準決勝以上へ進出すると世界大会への出場権が得られる」
「へえ〜。唯の大会かと思ったら結構重要な大会なのね」
「そうみたいだね。大会形式はまず七ブロックに別れて予選をして、
各ブロック二人が勝ち抜き。勝ち抜いた十四人とシード者二人の合計十六人で本大会を行う。
予選は全員参加のサバイバル戦だってさ。これだと波乱も起きそうだね」
テラがパンフレットを見ながら大会を解説していると、
そこへ二人の後ろから声がかかった。
「大会に興味がお有りですか?」

二人はすかさず後ろを振り向く。
すると、そこにはセルが飲み物片手にベンチに座ってくつろいでいた。

「いや、興味が有るという程じゃないけど。一人を除いて」
テラがそうサラッと言った。
それを聞いたセルは思いついたように言う。
「……あの、背の高いスキンヘッドの人ですか」
「ああ。一目散に受付へ行ったよ。こういう事には目が無いからね、あの筋肉ダルマ」
セルは「そうですか」と言うと苦笑いをする。


セルはしばらく黙りこむと、話を切り出した。
「……一つ聞いていいですか。
貴方達は、蟲殺の子供を探しているんですよね。
そして私がその子供ではないかと疑っている……」
テラは答える。
「ああ、そうだよ」
テラがそう答えると、ペレはセルを向き、言った。
「……気になる?」

「…いえ……」
セルは首を振る。そして続けて言った。
「ただ、その蟲殺という人物がどの様な人なのか興味がありまして、
それで聞いてみただけです」
「蟲殺を知らないの?」
「名前を聞いた事がある……くらいです。具体的には……」

すると、テラがレイから渡された写真をセルへスッと渡す。
セルは写真を見ると驚きの表情を見せる。
「これは……」
写真にはセルにそっくりな少女が写っている。
セルは驚愕した。一体どの様な根拠で自分が蟲殺の子供なのかと不思議に思っていたが、
これを見れば疑いたくもなる。

テラは写真に写っている人物を説明する。
「一番前に居る少女。彼女が蟲殺だよ。
隣にいるのがその夫となる男、ワグナー・ストリングス」
「……オーラン王国の英雄じゃないですか。
それに後ろに並んでいるのは、オーラン王国国王に王妃……」
そしてセルは写真からテラへと向くと、問いかける。
「一体この写真はなんなのですか?」
するとテラは言った。
「それはオーラン王国内戦時に撮られた写真。
写っているのは君が上げた人物の他に、
左からオーラン王国補佐官イェメス・クラリオ・ピピロリッチ、
王妃の隣がレイ・カンツォ、右にオーラン王国書記官アルフォンヌ・クレナレーデ、
そして死神」
「レイ・カンツォに…死神!?」
セルはとても信じられとばかりに驚きの表情を浮かべ、そして再び手元の写真を見つめる。
「貴方の言っている事が本当なら、とんでもない写真ですね……」
セルは本当に信じられない。
だがペレがレイ・カンツォと非常に酷似した容姿で居る所から、
セルは彼女がレイ・カンツォ本人と相違ないように感じる。
するとテラが言っている事は本当であると信じざるを得なくなる。
死神がどこにでもいそうな女性であるという事が腑に落ちない点でもあるが、
やはり本当なのだろう。

そこへテラはセルへ言う。
「……もう一つ驚くことをお教えしましょう。
蟲殺の子供の捜索を依頼したのは、死神です」
テラはそれを聞き、驚くとともに疑問を感じた。
「……死神が? それはどうして……?」
「さぁ? 詳しくは知りませんが、死神は蟲殺と旧知の仲だそうで」


「……………」
しばしの沈黙が流れる。

そこへテラ達の元へジャイロがやってきた。
「よお! 大会エントリー済ませてきたぞ、全員分!」
うきうきした様子でジャイロは言う。
するとそれを聞いて、テラは驚いてジャイロに聞き返す。
「え? ちょっと待て、ペレはまだいいとして僕も入ってるのか?!」
「そうだが。出るんだろ?」
「そんなこと一言も言ってないよ!」
テラは冗談じゃないとばかりに叫んだ。
だがジャイロは気にする素振りも見せない。
「まあ良いじゃねぇか。この際、出ちまえ」
テラはその様子に呆れて溜息をつく。
「これだから筋肉達磨は……」

そこへジャイロは側にいるセルを見つけると、陽気に話しかけた。
「お、そこにいるのはセルか。
お前も大会に出るんだろ? 対戦が楽しみだな」
するとセルは笑みを浮かべて答える。
「そうですね。ですが、私と戦うにはまず予選を突破しなければなりませんよ」
予選という言葉を聞いてペレは驚く。
「予選があるんですか!?」
「そうですよ。予選は七のブロックに分かれて戦います。
各ブロックごとに全員参加のサバイバル戦を行い、
各ブロック二名ずつ勝ち残った人、全ブロック合計十四名が本戦出場が出来ます。
本戦はシード者二名を加えた十六名によるトーナメントです」

「シード者が居るのか」
ジャイロは言う。
「そうです。シード権は前回大会優勝者および準優勝者、
又は主催者が出場者の中でも特に実力を持っていると判断した者に与えられます」
セルの説明を聞き、ジャイロは腕を組むと言った。
「ふむ、シード者には気を付けなければならないな」
するとテラはあまり関心なさそうな顔をして言う。
「そうだね」


そして、ペレはジャイロへ聞く。
「それで、予選はいつからなの?」
「明日だ。明日の午前9時から」



――翌日、ディティールス競技場には三人の姿があった。
テラたち以外にも参加者が大勢集まっている。

テラ達は受付へ行くと用紙を受け取る。
そこには予選ブロックの振り分けが書かれていた。
テラとペレはBブロック、ジャイロはFブロックに出場と書かれている。
それを見てテラは安心したような表情を見せる。
「これでセルと対戦できる確率が高くなったね。
本当は全員バラバラが良かったんだけど」
するとペレは覚悟を決めたようにテラに向かい
「頑張りましょ」
と言う。
テラは静かに頷くとBブロックの待合室へと歩き出した。
ペレはそれを見ると、ジャイロに「それじゃ」と言い、付いていく。
するとジャイロもFブロックの待合室へと向かった。


■あとがき
久々更新!不定期更新ですねぇ。ブログも全然更新してません。
ダメですね。
プロフィールも書き換えようと思います。実は結構活動してたりします。ただ小説とは関係ないw

今後も不定期更新が続きそうです。

拍手する
↓応援よろしくお願いいたします↓

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ

第2章・第8話 交渉

April 10 [Sun], 2011, 22:19
応接室へ入ってきた男は見下したような姿勢でテラ達を見渡すと、
そのままテラの目の前のソファへドカッと座った。
それに対してテラは堂々とした態度で男を見つめると、話の口火を切る。
「貴方がディティールス地方長官ですね?
初めまして、私はテラと申します」
そうテラが言うと、ディティールスはジロリとテラを睨んで言い放つ。
「ブラックドラゴンの者共が何の用だ?」
テラはディティールスの放つ気迫に気おされる。
かなり警戒している様子に見えた。
いきなりブラックドラゴンのものが訪れてきたのであるからして当然の事であろう。
テラは小細工は聞かないと判断し、本題にすぐさま入る事にする。
「……単刀直入に言いましょう。
実は我々は蟲殺(むしごろし)の子供を探しているんです」
「…ほぅ……」
「それで、確かディティールス殿は一人の少年奴隷を抱えていらっしゃいますよね?」
するとディティールスは頬杖をつくと、テラの良いたい事を悟ったかのように話を遮る。
「……なるほど。言いたい事は分かった。
つまりセルが蟲殺の子供であるのではないかと疑いがかかっているのだな」
「……そういう事です」

「そうか。ならば会って確かめるが良い」
そう言うとディティールスは執事を呼び、セルを応接室へ連れてくるように指示した。
これを見ていたテラたちは呆気にとられる。
まさか素直に応じてくれるとは思わなかった。

ディティールスはそれを見ると、口元に鋭い笑みを浮かべる。
「どうした。不思議そうな顔をしているな」
「…いえ」
テラは一応否定しておく。
「素直に会わせようとするのに驚いたか?」
するとディティールスはセルについて話しだす。
「正直言って私も不思議だったからな。
セル。あのボウヤはまだ12・3程度の歳にも関わらず、闘技大会で凄まじい活躍をみせている。
一昨年・昨年には世界大会で優勝もしている」
ディティールスは強い眼差しで天井を見上げる。
「何故これほど強いのか……。明らかに尋常ではない体力と回復力、そしてパワー。
見た目はただの人間の子供であるのに、無限であるかの如く溢れている……」
そこへ、応接室のドアをノックする音が聞こえる。

ディティールスが「入れ」と言うと、「失礼します」という少年の声の後、ドアが開いた。
ドアが開くと向こうに少年が見える。
少年は140センチ程度の身長に、それなりに長い薄栗色の髪を後ろでくくった
ポニーテールの髪型、そして服装は作業着のような革服とズボンの上に水色の大きなマントで
全身を覆っている。

肝心の顔は、大きめのタレ目に細いながらも意志の感じられる眉、
控えめで低い小さな鼻におちょぼ口に細い顎の輪郭。
まさしく写真で見た蟲殺の顔にそっくりだった。

少年はディティールスの側まで来ると一度テラ達を向いて一礼し、
そしてディティールスに膝まづいた。
「どの様なご用件でしょうかマスター?」
ディティールスは少年に顔を向けると、
「この客人共がお前に用事があるそうだ」
と言い、次にテラに向かって話しかける。
「どうだ、セルは蟲殺の子供か?」
テラは深刻な顔を見せている。ジャイロも驚いたような表情をみせていた。
「……間違いなさそうです」
とテラが言うと、ディティールスは言った。
「見ただけで分かるか」
そう言うと、ギロリとテラを睨みつけた。
「それで、セルが蟲殺の子供と判明してお前たちはどうする?」

セルが蟲殺の子供である事はほぼ間違いないであろう。
だとしたら、起こす行動は一つしかない。
セルを引き渡してもらう。

テラは堂々と言う。
「セルを引き渡してもらいたいと思います。
勿論タダとは言いません」
「断る」
ディティールスは即座に言い放った。
「セルには、まだまだ闘技場で活躍してもらわねばならん。
それにセルは俺のボディーガードでもある。
何処の馬の骨とも知れん奴にセルを渡すわけにはいかん」
「……これはブラックドラゴンのボス、レイ・カンツォの勅命です。
その少年を引き渡さないという事はブラックドラゴンを敵に渡すという事になりますよ?」
強気に出るテラ。だがディティールスは余裕の表情で言い放つ。
「ふん、どうだかな。貴様らがブラックドラゴンの一員という事も疑わしい。
例えそうだとしても、ただの下っ端に過ぎんだろう」
「………」
「貴様らの指示に従うつもりはない。さっさと帰れ。
帰らねば不法侵入で逮捕するぞ」
凄むディティールス。

このままでは埒があかないと感じたテラは、それまで黙っていたペレにそっと視線を送った。
それに気づいたペレは視線を送り返して合図を送ると、
ソファの背もたれにグッともたれかかって足を組んだ。
「まあ待て」
「……何だ貴様は」
「…私か。私はレイ・カンツォ」
ディティールスはレイ・カンツォと聞いて、

「ほぅ……」
ディティールスは怪訝な顔を浮かべた刹那、ペレに向かって左足で蹴りつけた。
ペレは素早くそれを右側へ転がるように避けると、
ソファへ蹴りが命中しソファが壊れて吹き飛び、テラとジャイロがひっくり返った。
素早くペレは立ち上がると、そこへ畳み掛けるようにディティールスは蹴りつけた左足を
地に置いて軸足にし、右に回りながら右足で後ろ廻し蹴りをペレに向かって放つ。
それをペレは素早く身を引いて避けるも、ペレの仮面とマントが蹴りによって切り裂け、
ペレの姿が露(あらわ)になる。
するとディティールスは素早く左手でペレの喉を取って持ち上げた。
「ふざけるのも大概にしろ。
レイ・カンツォが女で、しかもエルフな訳があるまい」
ディティールスは突き刺さるような鋭い目付きでペレを睨みつける。
その時、ペレの全身から炎が吹き出し全身を包み込んだ。
ディティールスはそれに驚いて思わずペレの喉を掴んでいる手を離す。
するとペレを包んでいた炎が消え、両手に炎が纏う。
そしてペレがディティールスを睨み返す。
「レイが女じゃ無いなんて、誰が決めたんだ?」
ペレの睨みに、ディティールスは右足を一歩後ろに下げて構える。
「ほう……ヤル気か? 力づくでセルを奪うか」
「大人しく渡せば、コチラも素直に引き下がる」


「……だそうだが、セル、お前はどうする?」
ディティールスは突如セルに意見を問いた。
するとセルは困ったような様子を見せ、
「…私はマスターのご意向に従います」
と答えると、ディティールスは言った。
「そうではない。お前の本心を聞いているのだ」

「……本心を申しますと、突如来訪してきた得体も知れぬ輩に付いて行くのは、
如何なものかと……」
するとディティールスは鼻で笑う。
「フ……、まあ当然だな」
そしてテラ達に向かって言い放つ。
「という事だ。私はセルを引き渡すつもりは無いし本人も嫌だと言っている。
諦めて今すぐ帰る事だな。さもなくば私が容赦しないぞ」


するとテラが言った。
「仕方ありません、ここは一旦引き下がりましょう」
それを聞いたペレは、少し考えると、
「…そうね。交渉決裂という事でここは帰ることにしよう」
と言うと、「戻るぞ」と言って応接室を出る。
テラとジャイロもそれに付いて部屋を出て行った。

それを見届けたディティールスは、少し眉をひそめる。
「……まさかあ奴ら、セルの力に気づき、狙っているのか?」



テラ達一行は、応接室を出ると廊下を渡って玄関へ向かう。
廊下を渡っている最中、ジャイロがテラに問いかける。
「おい、良いのか?」
ジャイロはあっさり引き下がった事に納得していない様子だった。
そこでテラはジャイロに説明をする。
「このまま食いついても、セルを引き渡してもらう事が困難になるだけで無意味さ。
ここは一旦戻って、策を練ることが必要だよ」
そう言うとテラは、続けて言う。
「どうやらディティールスはペレがレイではないことは見破っていたみたいだけど、
レイ自身の正体は知らないみたいだ。
僕達がブラックドラゴンの一員という事自体を信じていないみたいだし、
一番厄介なパターンだよ。
ここはブラックドラゴンの事務所へ行ってレイに助言を貰った方が良さそうだ」
そこでジャイロが聞く。
「事務所ってのはどこにあるんだ?」
「闇市に行けば良い。マーテタウンにも闇市はあるからね」


――テラ達一行は闇市内にあるブラックドラゴンの事務所へと向かった。
事務所に到着すると、事務員に事情を話しレイと連絡をとる為に電話を繋ぐ事にする。
テラが受話器を取ってレイに電話を繋ぐとこれまでの経緯を話す。
『――……なるほど。アイツらしいな』
「どうすれば良いでしょうか?」
『……セルがウルの子供なのは間違いなさそうなんだな?』
「はい。見た目は非常に酷似しています。
サタンスペルの有無については、まだ確認しておりませんが……」
『それについては少し調べればすぐに分かるだろう。
ウルの子供である疑いが強いのならば連れてこなければならないが……、
ディティールスが素直に引き渡すとは思えないな』
「はい……、どうしたら良いでしょうか?」
『そうだな……。ディティールスが動かないのならば、セルに動いてもらうしか無いだろう。
コチラへ来る気にさせるんだ。その為にコチラへ来るだけの目的を作ってやれ』
「目的を……ですか」
『ああ。本人が嫌々来るのは私も本意ではないしな。
本人に来る気になってもらわねばならない』
「どうすれば良いでしょう?」
『そうだな……、セルに肉親について話を持ち出すと良いかもしれないな』
「肉親について?」
『セルの出世を調べてみたんだが、どうやら幼い頃は奴隷としてあちこちを転々としていたようだ。
五歳頃にディティールスに買われて、
それ以降ディティールスを師として牙無岐拳(がむきけん)を学び、
闘士としての教育を受けて育ったらしい。
そのような出世だから、親兄弟は分からない。そこにつけ込むんだ』
「そそのかす訳ですね」
『なに、別に嘘ではないだろう。実際にもう片方は探している所だしな。
メルについてはペレに調べてもらっても良い。
サタンスペルに侵されていれば、普通とは違う独特の魔力を持っているからな。
すぐに分かる』
「はい」
『私が助言できるのはこんな所だ。後はそちらで頭を使って頑張ってくれ』
「……分かりました」

そう返事をするとテラは電話を切る。
そしてジャイロとペレに会話の内容を話す。



テラの話を聞いて、ペレは怪訝そうな表情を浮かべる。
「私がメルを調べるねぇ。あの子、合ったときはそんなに変な風に感じなかったけどなあ」
するとジャイロがペレに問いかける。
「セルと会った時はどうだったんだ?
サタンスペルに侵されていると独特の魔力を持ってるらしいが……」
「そうねえ…、普通のことは違うような感じもした気がするけど……、
魔力とかじゃなくて……」
「魔力じゃ無い?」
ジャイロは首を傾げる。
魔力と違うとは一体どういう事なのか。
ペレは答える。
「雰囲気よ。なんかふんわりした感じだった……。
そういえばメルも何処かボーッとしているような、ふんわりした感じだったわね……」
「??? つまりどういう事なんだ?」
「私もよく分からないわ。今言える事は似ているという事よ」
そこへテラが割り入る。
「そんなのは今はどうでもいい事さ。
今やるべき事は、セルを連れ帰る事だ。その為にはどうすれば良い?」
ペレとジャイロは考え込む。

「セルに兄弟が居る事を伝えれば良いんだろうけど、
先の事でかなり怪しまれているだろうしね……」
そうペレが難しい顔をして言うと、ジャイロが頷く。
「ここは信用してもらう事が必要だろうな」
「へー、筋肉達磨にしては中々良い事考えるじゃん」
テラがそう茶化すと、ジャイロはジロリとテラを睨みつける。
「何を言う、俺はいつも良い事を考えているぞ」
「そう思ってるのは君だけだ」
「なんだと?」
ジャイロはテラの言った事に立腹すると、顔をテラの顔に押し付ける。
「なんだよ、気持ち悪いなぁ」
「テメェはこの大変な時にふざけてんじゃねぇぞ」
「別にふざけてないよ。本当の事を言っているだけだ」
そこへ、ペレが手を叩きならがら止めに入る。
「はいはい、ストップストップー。
喧嘩はいいから、これからどうするの?」
するとテラはジャイロを無視してペレに歩み寄り、言う。
「そうだな……。ここはまずセルについて調べておく必要があるだろうね。
具体的な人物像は知らないし、闘技場にでも行って色々聴きこみをすると良いかもしれない」
するとジャイロは闘技場というキーワードに興味を示す。
「闘技場か……、大会に参加してみても良いな」
「それも良いかもね。もしかしたらセルと戦う事だって出来るかもしれないし、
そうなればそれなりに仲良くなれるかもしれないからね」
そうテラが言うと、ペレに向かって言う。
「そうなると、ペレにも協力してもらわないとね」
「また私?」
ペレは嫌そうな顔を浮かべる。だがテラはそれを気にする事無く話を続ける。
「そう。セルと話をする機会があれば積極的に話しかけてほしい。
大会にも参加してください」
「なんで私なのよ。テラやジャイロでも良いでしょ?」
ペレは納得できない。
自分ばかりやりにくい役割を押し付けられている気がする。

ペレが不服そうな声を上げると、テラは笑みを浮かべて言った。
「男の子ってのはキレイなお姉さんに弱いもんさ」


あとがき
お待たせいたしました。第2章・第8話公開です。

不定期更新と言いながら、二週ほどで公開しました。
今後もこのペースで更新できると思います。
たぶん。

今後は闘技場でセルとテラ達がセルの肉親について会話を交わし、
テラたちは闘技大会に参加する事になります。
ペレの強さが十二分に発揮されることとなりますので乞うご期待!
久々のバトル展開になりそうです。


拍手する
↓応援よろしくお願いいたします↓

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ

第2章・第7話 マーテタウン

March 26 [Sat], 2011, 23:05
テラにジャイロ、そしてペレを乗せた飛空船はミトラス教国を飛び立つと、
二時間ほどでクラムスイヤ共和国のインデダム地方マーテタウンへ到着、
人気の無い郊外へと着陸した。

着陸すると飛空船のサイドのドアが開き、階段が地面へ降りる。
テラは背伸びをしながら階段を降りていく。
そしてジャイロもその後から続いて降りていくと、突如テラが立ち止まった。
「それで、君はどうするの? このまま戻るつもり?」
テラはそのまま正面を向いたまま腕を頭の後ろで組むと、ペレへ話しかけた。
ジャイロも立ち止まる。

ペレは少し考える様子を見せると、二人の背後へ歩み寄る。
「…そうね……、ソレイユに戻るにもここから距離があるから旅支度をしなきゃいけないし、
とりあえずこの町では貴方達と共に行動することにするわ」
ペレはそう言うと、ジャイロにテラを追い越して船を下りる。
するとテラは微笑を浮かべると、ペレに続いて降りる。
「そうか。じゃ、行こう」

三人が降りると、飛空船は空の彼方へ飛び立っていく。
そして三人はそれを見届けると、マーテタウンの中へ入っていった。



――マーテタウン。
この街には世界でも最大級の闘技場、ディティールス闘技場があり、
様々な大会が開催されている。
この闘技場で開催される物は権威ある物も多く、
その大会で優勝する為に、この街へは世界中から剣士や拳法家、魔術師など、
数々の名だたる戦士たちが集まる。

そしてこの闘技場の主は、マーテタウンの町長にしてインデダム地方を統める
ディティールス家の主、地方長官アンディ・マーチ・ディティールスである。

……という位かな。僕が知ってるマーテタウンについての情報は」
テラはサラッと説明して見せた。
その様子にジャイロは感服する。
「良く知ってるな、テラ」
「これくらい常識だよ。筋肉達磨は聞いていも覚えてないだけさ、筋肉脳だからな」
テラは小馬鹿にした様に言った。
するとジャイロは立腹してテラに詰め寄る。
「誰が筋肉脳だ。人を馬鹿にする事しか頭に無い陰湿野郎が」
ジャイロがそう言うと、テラは溜息をついて嘆かわしげに言う。
「やれやれ、そういう風にしか僕を見られないとは、人を見る目が無さ過ぎだね。
目まで筋肉になったか」
「なんだと!」
ジャイロは怒ってテラの胸ぐらを掴む。
するとペレが止めに入った。
「やめなさい。喧嘩をしている場合?」
ペレが二人に言い放つと、ジャイロは手を話した。
「……すまん」
「そうだよ。暴力はいけない」
テラは勝ち誇った顔でサラッと言うと、ペレはテラに叱り飛ばした。
「テラも、一言多いわよ!」
「へいへい……」
テラは軽く受け流すように言った。
するとペレはテラの背後に回ると両手に拳を作り、
テラの頭の左右のこめかみを拳でグリグリする。
「『へいへい』じゃないでしょう〜?
その人を馬鹿にしたような態度をやめなさいって言ってるのー」
「いだだだだだだだだ!
分かった! 分かったから!」
テラがわかったと言うとペレはグリグリするのを止める。
「よろしい」

「おー痛。なんて女だよ」
テラはこめかみを抑えながら呟く。
するとペレが今度はテラの脳天を拳で押さえつけながら言った。
「何か言った?」
「いえ何も!」



――テラ達一行は町の商店街を歩いていた。

「それでテラ、どこへ向かうの?」
ペレがテラに問いかけるとテラは
「そうだね……、ディティールス家の館へ向かおうと思ってるんだけど、
色々身支度をした方が良いよね」
「身支度を?」
ペレが聞き返すとテラは頷いて言った。
「そう。保険もかけとかないとね。
そこの服屋へ入ろう」
テラはすぐ側の服屋を指さすと、服屋へと入っていった。
それを見たペレとジャイロは顔を見合わせると、止む無く続けて入っていく。

店の中は六畳ほどの古びた小さな店舗だった。
二人が中に入るとテラが店の奥に居た。
そこはマント売り場だ。
テラは二人が入ってきたのに気づくと二人へ手招きをする。
手招きをされて二人は怪訝そうに向かうと、テラがマントを物色している様子が見える。
「ペレ、どれでも好きなのを選んでよ。帽子や仮面もね」
「……何故?」
不思議そうにペレは質問する。
するとテラは笑みを浮かべた。
「保険だよ。ディティールス家に行って仮に中へ入れてもらえたとしても、
セマに会わせてもらえるとは限らない。
だから君に協力してほしいんだ」
ペレはそう言われても何を望まれているのかよく分からない。
「何をすれば良いの?」
とペレが聞くと、テラは答える。
「なに、マントを羽織って仮面と帽子を被って一緒に付いて来てくれれば良いんだ。
それだけで保険になる」
「???」
ペレは首を傾げる。何故それが保険になるのか分からない。
それだけで絶対にセマに会えるとでも言うのだろうか。
ジャイロも全く理解出来ない。
「…それのどこが保険なんだ?」
「えー、分からない? よく考えてご覧よ。
僕達はブラックドラゴンと言っても、ただの下っ端に過ぎないんだよ。
そんな僕達が、会わせて下さいと言ってハイそうですかと会わせてもらえると思う?」
「たしかに無理だな……」
ジャイロは頷く。
「そこでペレの出番というわけさ」
そう言ってテラは笑みを浮かべると、ペレに向かって話しかける。
「やる事は簡単だよ。レイになりきれば良い」
「レイに!?」
ペレは驚く。
「えっ、でも前に一度バレた事あるし……」
「そうなの? けど大丈夫さ、多分見破った人はレイと面識がある人なんだろう。
レイの雰囲気とか容姿は普通の人は知らないし、
たとえ知っていたとしても仮面を被っていたりして本当の姿とかは分からない。
雰囲気さえ真似ていれば誰も偽物と疑わないよ」

「そうかな……」

「そうそう。
それじゃ、好きなのを選んでよ。
お金ならあるから服とかも買って良いし」
「ホント?!」
「ああ」
テラが頷くと、ペレは喜び勇んで服を見だした。
それをテラは微笑ましげに見ると、ジャイロにも話しかける。
「ジャイロもなにか買いなよ。
いつもTシャツにジーパンってのも洒落っ気無さ過ぎだよ」
「いや、いい。俺はこれが気に入ってるんだ」
「……あっそ」
ジャイロが断るとテラは素っ気なく言った。


――30分後、三人は店を出る。
テラは黄色の刺繍が施された純白のマントを羽織り、
ペレは襟元にフリルの付いた白いブラウスの上に茜色のショートコートを羽織り、
ボトムはクリーム色の膝下までの長さのスカートの下にタイツを履いている。
そして、ジャイロは多くの買い物袋を抱えていた
「おい、こんなに買ってどうするんだ。
持って帰れるのか?」
ジャイロは呆れたように言う。
するとペレはハッとした表情を見せる。
「あっ、そうか」
それを見たテラは青魔術用カードを取り出すと、ジャイロの抱えている買い物に付ける。
そして取り込みの呪文を唱えると買い物袋が白く輝き、そしてカードに取り込まれる。
「とりあえずカードに入れておくよ。
これで持って帰れるでしょ?」
「ありがとう」
「これからディティールス家にの館へ行くんだからね。
大荷物を持っていけないよ」
テラは呆れたように言った。
それを見たペレは苦笑い。



――三人はディティールス家の館が有る通りまで来ていた。
「それじゃペレ、仮面とマントを準備してよ」
テラはペレに言った。
するとペレは黄蘗(きはだ)色の花刺繍が入った葡萄色のマントと鏡の仮面を取り出し、
仮面を付けマントを羽織る。
「これで良い?」
「Good」
テラは親指を立てると
「あとはシャキッとしていれば誰も偽物とは思わないだろう。
それじゃ行こう」
と自信有り気に言う。
ジャイロも頷くと、一行は館へ向かう。


5分ほど歩くと館の敷地の前へと出る。
敷地の門の前では門番が二人見張りをしていた。

門番は退屈そうにダラダラとし様子で門番通し、雑談を交わしたりしている。
そこへテラが堂々と話しかける。
「すいません。ディティールス長官はいらっしゃいますか?」
「ん? なんだお前たちは?」
テラの堂々とした態度に門番は動揺する様子もない。
門番の一人がダルそうに聞き返してきた。
そこでテラはいきなり核心をつく。
「セルについて話があると長官に伝えて欲しいんですよ」
「駄目だ駄目だ。何処の馬の骨とも知れん奴を通すわけにはいかない」
「これでもかい?」
そう言うとテラは懐から一枚のカードを取り出し、門番二人に見せた。
そのカードを見た門番二人は驚きの声を上げ狼狽する。
「はっはい! そ、それではお通りください! どうぞ!」
そう言うと衛兵の一人はそのままの位置で固まり、
もう一人は館の方へと飛んで走っていった。
「あわてちゃって、まあ」
テラは微笑を浮かべると、一行は館へと進む。
そこへジャイロがテラへと聞いた。
「何を見せたんだ?」
するとテラは答える。
「身分証だよ。ブラックドラゴンの。ジャイロも貰っていただろう?
いざという時は使えって」
「ああ、そういえば」
「これがあれば大抵の事は出来る。
改めて、ブラックドラゴンの影響力の高さがわかるね」


テラ達一行は、館の応接間へと通される。
応接間は様々な銀装飾や宝石などで装飾品で飾り付けられていた。
一行はソファに座ってディティールすが出てくるのを待っている。
ジャイロは豪勢な作りに落ち着きのない様子をみせる。
テラは堂々とするように言いつけていさめる。
ペレも余り落ち着きがなさそうだ。

そこへ応接室へ一人の男が入ってきた。
男は細く鋭い眼光の目に濃く太い眉、そして通った鼻筋に、
下顎に沿って生えた短いヒゲが生えている
服装は膝下まで有る黄色と赤で草花の刺繍がされた藍色のコートを羽織ったスーツ姿である。
男はテラたちを見つけると、見下したような視線をテラ達に浴びせる。
「貴様らか、俺に用があるという者共は」


あとがき
超久しぶりに更新!

今まで失踪していて申し訳ありませんでした。
今後は不定期ながら更新していきたいと思います。



拍手する
↓応援よろしくお願いいたします↓

にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
みどころ&成分分析
blogram投票ボタン レーシック 投資信託


あわせて読みたいブログパーツ
プロフィール
  • ニックネーム:青山
  • 誕生日:10月20日
  • 現住所:岡山県
読者になる
ゲーム作成・マンガ制作・小説執筆などを広く薄くやってます。

絵を描く時は基本マウス描き。
一部ではマウス使いとも呼ばれる私。

■作画使用ツール
・漫画クリエイター(※漫描きサービス)


漫画SNS『漫描き』でも活動しています。
http://mankaki.jp/
プロフィールページ
http://mankaki.jp/member/1951

RPGエディターSNSというのを管理もしています
http://sns.prtls.jp/rpgeditor/login.html


■ラジオ掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/radio/23183/
ラジオも放送してまーす。ラジオに関することはコチラへ
↓から放送を聞くことができます。
http://std1.ladio.net:8060/aoyamahousoukyoku.m3u
(※生放送なので放送している時しか聞けません。サーバ変更する場合あり)

■スカイプID akane_aoyama

ツイッター
http://twitter.com/akane_aoyama
私個人のアカウントであると同時に当SNS公式アカウントでもあります。
SNSに関することもツイートしますので宜しく!。

当SNSのハッシュタグ #rpgsns

RPGエディターSNSメンバーのTwitterアカウントリスト。
http://bit.ly/iIeUsq
加えて欲しい方は、私のアカウントをフォローしてくださいね。

■YouTube
http://www.youtube.com/user/kazekaorikazusha
アニメを中心に集めてます


所持ブログ:青山倶楽部
http://008877451.cocolog-nifty.com/aoyamaclub/

ユーストリームで、配信もしてます
http://ustre.am/zIqi

ブログ小説自己紹介&感想コミュニティ
自分の書いている小説を紹介&感想をしませんか?
脳内性格診断

ヤプログ!広告
Google
WWW を検索 太陽の暉 内を検索
Wiki内検索


ブログが面白かったらお賽銭を入れよう。逆につまらなかったら賽銭箱にいたずらをしちゃおう! お布施の額に応じて何と賽銭箱がっ!どうなるかはやってみてのお楽しみ。

©PETAPPA

おきてがみバナーをクリックすると足跡を残す事が出来ます。
使い方⇒おきてがみ
おきてがみ
更新お知らせ
このブログが更新されたら、メールでお知らせします!
更新メールを受取る
Created by Webpac
Created by Webpac
最新コメント
nn
アボカドと猫 (2010年11月13日)
青山
人体自然発火現象 (2010年07月27日)
kazuto
人体自然発火現象 (2010年07月27日)
青山
四コマ漫画『破天荒娘』 (2010年05月18日)

四コマ漫画『破天荒娘』 (2010年05月15日)
秋葉原ネット
人体自然発火現象 (2009年12月16日)
青山
一番使いやすいブラウザは…… (2009年11月27日)
ののっく
一番使いやすいブラウザは…… (2009年11月26日)
青山
一番使いやすいブラウザは…… (2009年11月13日)
ののっく
一番使いやすいブラウザは…… (2009年11月11日)
QRコード
読者になる