私ばい菌みたいね 

December 29 [Sat], 2007, 4:02
苦しいくらいの思いを抱えて、何かが消化されて、初めて言葉になる。
先の見えない恐怖とか不安とか、言葉にしなければならないことはいつも言葉にならなくて、何かひとつの山を越えた所でいつも言葉は降りてくる。
目の前の壁を越えるとき・・・正確には立ちはだかる壁や目前の暗闇やそういったものを前にしている時は、どうやって越えようか、どうやって耐えようか、それで頭がいっぱいだ。だから、どのように越えるかとか耐えたその先に何があるのかとか、そんなものはわからないからわからないままなんだね。

大きな山を越えた。
何かが産まれた。
そしていま私は、幸せで、ちょっと不安。



私の大切な人は、どうして私の心が読めてしまうのだろう。




彼は言ってた。
私は正直だからなんでも顔に出る。と。
それにね。ちょっとした表情の歪みや目の輝きでわかる、って。
私の気持ちが手に取るようにわかるのだと。


彼はもともと感情をあまり表に出さない人だった。
そしてまた私の悲しみや喜びや感動に共感してくれることも一切なかった。

「頑張ったね」って一番にほめて欲しかった。
「よかったね」って誰よりも喜んで欲しかった。
「残念だったね」って一緒に泣いて欲しかった。
誰よりも気持ちをわかって欲しい相手に、わかってくれていると思っている相手にそう思ってもらえない事は何より辛かったし、それは私をひどく傷つけ、知らないうちに心を閉ざしていた最大の要因でもあった。

「共感できない人だ」と、そう思うようになっていた。
これから歩んでいく人生のなかで、色々な事を共感し合っていけないことはどんなに辛いことなのだろうと、このまま一緒にいていいのかとぼんやり考えるようになっていた。自分も気づかないうちにその気持ちは大きく膨らんでいたのかもしれない。









「私、ばい菌みたいね」
そんな思いで押しつぶされそうになりながら必死に耐えるしかなかった数日は、本当に本当に辛かった。



与えられるものをすべて当たり前だと思わないこと。
何事にも感謝すること。
一歩立ち止まって考えること。

そんな、当たり前のようで、私が20年以上知らなかったそんな生き方を、忙しさに追われる日々の中で実践しようとしていた時期だった。
何かをを口に出す前に。言葉にする前に。まずは思考を。まずは感謝を。不必要な言葉は飲み込むことを。



人生のかかった仕事に追われる彼を、本来サポートしなければならない自分。
なのに細菌をばらまきながらベッド横たわるだけの自分がいることがどれだけ迷惑で、どれだけ自分が煙たい存在であって、それを痛感しながらも何も出来ない自分は謝って感謝するしか出来なくて、だけど本当に出来ればこの世から、彼の前から消えてなくなりたくてしょうがなかった。
そうは言っても風邪に完全に歩く気力も体力も奪われ、ただ黙って、耐えるしかなかった。だけど何より辛かったのは、40度の熱でも吐き気でもなく、彼だって好きであんな風に私を避けているわけではないということが痛いほどわかっているのに、ということだった。
自分が逆だとしてどれだけ心を痛めてそのような行為をとっているのだろうと思ったら、自分が情けなくそしてまたやはり、本当に消えてなくなりたかった。
私は食事や薬を摂ることも、やめてしまった。



誰も悪くない。
私が口に出来たことばは、気持ちの百分の一にしか満たない、ごめんね、と、ありがとうの言葉。それから
「おうちにかえりたい」
それだけだった。
それが精一杯の私の苦しみの表現だった。

こんなこと言ったらヒンシュクだろうけど、病人が「死にたい」って言う気持ち、わからなくないよ。私なら言ってしまう。きっと。


私はどれほどのSOSを出してしまっていたのだろう。
どれほど彼を傷つけていたのだろうか。



あの時、自分がこれからどうしようと思っていたのかは正直わからない。
だけど、「おまえの気持ちが離れてるのはわかる」と、そう言われて涙が止まらなかったのは、そんな態度に見えていたんだということ、それがどれだけ彼を傷つけていたんだろうと考えたら本当に辛かったからだ。
「おまえの気持ちに共感してやれなかった」
そう言われて、走馬灯のように今までの自分の言動を思い返したけど口が裂けてもいえないと決して口にせずに来た言葉であって、それを言い当てられて、もう、何をどうしていいのかがわからなくなった。

わかっているけど、どうしようもないことっていうのはきっとあるんだ。
涙が止まらなかった。




彼は、私の気持ちに誰よりも敏感だ。
そうであるならば、信じてもいいのかなと今は思う。
私は目に見えない力で支えられていて歩いていられる。
私が見ようと思えば見えるものなのかもしれない。
大切なのは、言葉や態度ではなくて。

あの日以来優しい。
おもしろいくらいにね。それもちょっとおかしくて、かわいい。
今はそれでじゅうぶん。

流れていかないで 

July 10 [Tue], 2007, 2:36
どうにも眠れない。だけどそれももう慣れた。

私が私の家に帰ってきてからちょうど一週間くらいが立った。七月には帰る、と何度も言ってそれはもうほとんど自分を納得させるように呪文のようにつぶやいていたということもあるし、本心はといえばきっと「もうすぐ最後よ」と言って、少し、大切に愛おしそうにされたかっただけなのだとわかっているけれど。そこは伏せておいてよ。


頭の中に絶えず錯綜する思考が、何のためなのか、何を求めているのか、何処に向かっているのかもわからないし解明する気もない。だけど、止まらない。止まらないその何かがモンスターのように、もしくはどろどろのスライムのように体中から流れ出してきそうでだからこうして言葉にしてみたくてでもしてみた所で中味なんてあんまりなくて。うさんくさい表現だけが並んでゆく。空虚だね。


私は今幸せだ。
数日前まで苦しいくらいそんな思いを抱えてきた。忘れるな自分。流れていかないで記憶さん。
ずっとずっとうんと楽になるはずだったのに、また押しつぶされそうになっている。私の心の闇はどこからくるのか。どこまで無限なのか。闇の私を時々光が包むだけなのか。どうでもいいか。




PMDD。その言葉を初めて知ったのは私ではなく彼だった。だけど私がお風呂に先に入っているほんの数分に彼は知り、すっと飲み込み、湯船の中ではいつもと同じように向かい合い微笑み(今思えばちょっとだけ優しかったような気もするが)、そして彼を残してまた先にお風呂から出てパソコンと向かい合った私は、彼が調べていた言葉に辿り着いた。


私はよくパニックを起こした。ワケも泣く一晩中泣いたり、突然家を飛び出したりもした。
あなたなんか大嫌いと何度言っただろう。
そう、デニーズで泣いて泣き喚いてフォークを投げてノートをペンで真っ黒にして、泣きじゃくって、ひたすらため息をつかれて。
よく泣き、よく怒り狂い、時にはモノにあたり、とにかく全てを終わりにしようとした。


こんなに素敵な人なのにどうして傷つけてしまうのか、どうしてわがままを言ってしまうのか、どうしてこんなにも絶望に押しつぶされそうになってしまうのか、わからなかった。
考えられる原因は、「自分」であった。だからこそ、私が変われない限り一生幸せになんかなれなくてだけど変わりそうにないからきっと何かが間違っているはずなのにその間違いが見つからなくて、もうどうしていいかわからなくて。
こんなにすきなのに。と。もう長い事長い事悩んできたことだった。

私はなんてバカなんだろう。
どうしてうまく愛せないんだろう。
苦しかった。



ほがらかな私(自分で言うのもなんだが)に、戻ってほほえましいくらいに穏やかな会話をしていたある日、彼は言っていた。
「最初はね、なんでこんなに毎回毎回不条理な事言われなきゃいけないんだって悩んだよ。お前は何言っても聞かないし。俺の何が悪い?ってね」
あははと笑いながらとても優しくちょっと疲れを思い出したように。

「でもね、そのうち『あぁキタキタ。』って思ってあまり気にしないことにしたんだよ。いつもの事だからさ。流せるようになったっていうか。なるべく優しくしようって思ってたよ。」


「そうだったんだ・・・ごめんねありがとう」
「まぁ、仕方ないことだからさ」


あぁ、書くことすら面倒くさくなってきたな。
思い出したら幸せになってきた。
今日はもう寝よう。
病気になんか、負けないよ。

どっち 

July 03 [Tue], 2007, 2:58
どちらが正しいとか、間違っているとかそんなものはない。
そうではないのだと、たくさんの売れっ子の作家たちが言ってきたように、たぶんそれは真実であってそれもまた真実だとか真実でないとか、もう。どうでもいいけれど。

何かを考える。
きっと、こうだろうと思う。
だけど必ず最後に自分に言い聞かせる。「どちらが正しいとか、間違ってるとかはないんだよ」と。


*4949呼

この暗証番号を何度押し続けてきたか。
皮肉にも、今も私は押し続ける。

「言うんじゃなかった」そう毎回思いながら、何も思い出さないようにしながら、何事もないという顔をして。だけど一瞬いつもためらって、私はやっぱりその番号を手早く押して、彼もまたやはり、ゆっくりと、決して手馴れる事などない、と言いたげにひとつづつ押していく。
オートロックのドアが、開く。



どうして忘れたい昔の恋人と、夢中になりたい今の恋人が、同じマンションに住んでいるんだろう。
正確には「同じ系列の同じ造りの同じ名前の」だが。
家出同然に飛び出して、ついたはずの彼の家は、飛び出てきたはずの家そのものかと混同するくらいに全てがそっくりだった。あまりに皮肉だ、と思ったけれど、それにしても家具や装飾や全てが似ても似つかない色合いだったので、その錯覚もすぐには収まった。




全てが正反対だ、と思う。
いつだって私はそうだ。


これでは不安定だと思い、これでは刺激がないと思い、
ないものねだりを繰り返す。


私が欲しいのは、何?





P R
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