ボルベール<帰郷>

2007年07月08日(日) 20時57分
Volver

スペインの地に根ざす、三代にわたる母と娘の物語。愛情と確執、誤解を血でまぶして、やがて母は娘のもとに帰郷する。

鮮やかな色に彩られた、ペドロ・アルモドヴァルの最新作。再び全てを包み込む、女性たちの鷹揚な強さを描き出す。
この作品、カンヌ映画祭で出演した女優6人全員に女優賞が与えられたそうで。
ん?6人?
ソレダとライムンダ(ペネロペ・クルス)の姉妹、ライムンダの娘パウラ、故郷の町に住むアグスティナ、そして姉妹の母イレネ。あと一人は?
あー、パウラ伯母さんでしょうか。(←バカ)

そういえば、この映画旅行に行った時KLM機内の映画プログラムの中にあったんですよねー(もちろん公開前)。でも英語表示で見てたから、"Volver"ってタイトルが自分の中で『ヴォルヴァー』って読んでて、なんかその響きでスティーブン・セガール出演のアクション映画っぽいなぁって最初スルーしてましたあはは。まぁ、その後で内容見てたら気づいたんだけど。英語字幕で観ようかな〜とも思ったんだけど、やっぱりちゃんとスクリーンで観たいから止めときました。

そんなことはどうでもよくて。
アルモドヴァル先生の映画は、実はそんなに観てないんですけど(爆)、日常の光景がちょっとグロテスクな、禍々しい光景とクロスして一枚の鮮やかな絵のように織り上げられていくのが印象的。
例えば、パウラが殺した夫をライムンダが処理するくだり。なんか一気にサスペンスっぽくなっていくんだけど、実はサスペンスにはならないんだな。ライムンダには過去にも現在にも、壁がいっぱい。彼女には色んな災難が降りかかるけど、決して卑屈にはならず、どれも同じようなヴァイタリティで乗り切っていく。
まーこのたくましさは、ラテンの国ならではって感じではありますけれども。

そして火事で焼死したはずの姉妹の母、イレネの存在。
おバカな私はずっと幽霊だと思ってたのーーーーー!!!それを素直に受け入れるのね、ソレダってば・・・とか思ってたら、だんだんどうも本人らしいということになってきて・・・。
確執があったライムンダの前には姿を現さず、それがちょっとしたコミカルな味つけにもなっていたりします。
ライムンダが訪ねてきた時にソレダがそれを知らせるために大声で話すところとかね。

女性賛歌映画らしく、登場する男性はほとんどいなくて(話の中で出てくるだけだったり)しかもロクデナシなのはお約束。
それが女性監督でなくて、アルモドヴァルの視線だというのが面白いところで。
女性のたくましさを描き出しつつ、その影にある闇が同時に浮かび上がる。最後に明かされた秘密には、やっぱり辛く目を背けたい事実なのだけれど、結局、母は娘に、娘は母に還るのだ。
赤を基調としたヴィヴィッドな色に目を惹かれ、あちこちに散りばめられた花のモチーフも可愛らしい。

群像ドラマではあっても、やっぱりライムンダが主役かな〜と思うけど、ペネロペ・クルスは生き生きとしてとっても綺麗!文句なし、魅力的です。アイラインきついけど。
見た目は肝っ玉母さんでは全然なくて、若くてキレイなお母さん。だけど娘を守るための愛情に溢れてて、でも死んだ夫にも最後に粋な計らいを見せたりもする、素敵な女性。
ペネロペって、小柄だけど(欧米人にしては)華奢で、でも出るトコ出てるんだよねー。うらやましい・・・。

ライムンダが劇中で唄う曲は「帰郷」。
人生において自分が還ることのできる場所に還ることなのかな。生と死が交錯する中で、人はやがてそれぞれの場所に帰郷する。
  • URL:http://yaplog.jp/sally-c/archive/158
コメント
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク 絵文字 プレビューON/OFF
画像認証  [画像変更]
画像の文字 : 
利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。
sally
>kimion20002000さま☆
コメントありがとうございます♪
こういった女性賛歌的な作品はやっぱり女性監督によるものが
多いと思うんですけど、これがアルモドヴァルの目線だということが
興味深いですよね。ほんと、考えさせられます。
2008年03月03日(月) 0時59分
TBありがとう。
ゲイを公言する監督が、こんなに見事に女性参賛歌の作品をつくりあげるってところが、いろいろ考えさせられます。
2008年03月01日(土) 17時35分
sally
コメントありがとうございまーす♪

>真紅さん☆
唄のシーン、良かったですね。
口パクだとは思いましたけど(笑)、ペネロペの瞳がうるうる
していて素敵でした〜^^
自分の子供ではない子の父親になるって、やっぱり決意の必要な
ことでしょうから、あの夫も悪くない人なのかも。
男性がほとんど登場しない映画でしたが、そんなところもまさに
女性賛歌〜って感じでした。

>ミチさん☆
私は殆ど情報を仕入れないまま観たのですが、
サスペンスのような事件が起こったのはちょっと不意打ち(?)でした。
こんな映画だったの〜?って。
でもそれも仰るとおり、あくまで味つけなんですよね〜。
そんなところが不思議でもあり、魅力でもある映画でしたね。
ミチさん、よくご覧になってますね〜!
私がボーっとしてるだけ・・・?
バイクの匂いのところは覚えてるんですけどね(笑)
2007年07月24日(火) 22時15分
こんにちは〜♪
サスペンスタッチが入っていると私好みなんですよ〜。
で、あの生家に帰った時に姉妹それぞれにご馳走の入ったタッパーが用意されていたのと、エアロバイクのグリップの匂いを嗅いでいたので、もしかしてママは生きてる?って想像したのでした。
もちろん映画的にはサスペンスはほんの味付けでしたけど、女たちが逞しくてステキでしたね〜。
男がダメダメなのはお約束ってことで(笑)
ペネロペちゃんは水を得た魚のように輝いていたと思いました。
2007年07月22日(日) 9時22分
sallyさま、こんにちは。コメントとTBをありがとうございました。
実は私も、途中まで幽霊だと信じ込んでおりましたよ(笑)。
夫のことは、愛はなくなっても恩義は感じていたのかもですね。。
妊娠して途方に暮れていたときに「父親になってくれた」のですから。
とってもいい映画だったと思います。唄のシーンではホロリと・・。
ではでは、またでーす。
2007年07月21日(土) 0時22分
sally
>なななさん☆
そうそう、あの車のトランクに入ってたあたりは身なりからして
亡霊?って思ってましたよー。
生きてて良かったです^^
コミカルな味、出てましたよね。
ソーレとのやり取りが結構好きでした。
辛く悲しい事実をも扱いながらカラッとしていて・・・
不思議な雰囲気が心地よい作品でした♪
2007年07月19日(木) 23時46分
sallyさん♪
女性なら誰かにきっと同じ気持ちを見つけ出せるような映画でしたね。
この映画の雰囲気がとっても好きでした。

実は・・・私もお化けだと思っていてあれれ?いいの?ってなっていました。
だっていきなり車のトランクにもぐりこんでたりしてて、ちょっと怖いーって思っていました。
でもママはとってもお茶目でしたね♪
2007年07月15日(日) 17時35分
sally
>かえるさん☆
スペインは私も是非とも行ってみたいところですー。
風車小屋のラマンチャ地方、いいですね♪
赤が基調になっているからこそ、青空の清々しさがコントラストになって
際立つのでしょうね。
インテリアとかが可愛いのも、やはりゲイ術的センスによるものなのかしら・・・。
冷凍庫は棺おけ代わりですかー。
なんか、不思議なのにごく普通のことのように語られているのが独特ですよね。

>とらねこさん☆
とらねこさんもそう思いました?
でも私は気づくのものすごく遅かったと思います
本物だと分かったら、一気に映画が地上に降りてきた気がしました(爆)
『ヴォルヴァー』かー、ドカーン映画っぽいなー・・・って
説明見てみたら『ボルベール』だったのです・・・
その場で観たかったですけど、我慢しましたよー。
2007年07月15日(日) 0時54分
sally
コメントありがとうございます♪

>由香さん☆
あの不思議なムードはアルモドヴァル独特のものなのかなぁ?なんて思います。
由香さんはイレネ母さんが実体だとすぐに気づかれたのですねー!
私なんて、ライムンダと対面するところでようやく確信・・・遅っ。
逞しい母を演じるようになったペネロペ、素敵でしたね。

>シャーロットさん☆
そうなんですー。
特定の人(家族?)にしか見えないんだと思ってましたー。
登場した時の身なりが、なおさらその思い込みに拍車を・・・。
衣装とかもさりげなく赤基調のお揃い感(?)が出てて、お洒落だな〜って思いました。
ペネロペって、ラテンの方にしては華奢ですよねー。
でも谷間はダイナマイト☆
2007年07月15日(日) 0時43分
こんばんは、sallyさん
本当、私も、幽霊だと思ってたので、すっかり騙されました〜。
だって、途中まで、「アルモドバルまで、黒沢清みたいなことする訳か!」
なんて思ってたんですよ。『LOFT』とか、『叫』みたいなものなのかと・・・
違ってて良かったです(笑)ほっとしました!
本当、『ヴォルヴァー』って言うと、セガール出演作みたいですね・笑
2007年07月14日(土) 2時39分
こんにちはー。
去年のスペイン旅行では、マドリーから足を伸ばして、風車小屋の並ぶ景色でおなじみのラマンチャ地方へちょっとだけ出向いたのですが、小さな町にも行ってみたくなりました。アルモドバル映画の世界は赤なのに、爽やかな青空がホントに清々しいんですよね。
冷凍庫ごと埋めちゃっていいのかしらと思ったんだけど、棺おけ代わりっていう感じなんでしょうかね。全てが不思議でおもしろかったですー。ペネロペちゃんのルックスはうらやましすぎー
2007年07月13日(金) 13時49分
こんにちは。
あはは、ユウレイさんですか。。。でも言われてみれば気がつかない人もいるかもですよ。ずっと隠れていて特定の人としか接触してない描写ですし、その特定の人にしか見えないユウレイ・・・ってな感じ?
そうそう、ヴィヴィットな色調もこうして見ると、嫌味がないですよね。
やはり太陽に負けない色味がないと、萎えちゃいそうだし。笑
それにラテンの方々はボディもキョウレツですー。
出るところはしっかり出て欲しいぞ。爆
2007年07月10日(火) 11時55分
こんばんは!
TB&コメントありがとうございました^^・

不思議な雰囲気の映画でしたね〜
私は、自分でこの映画のどこが気に入ったのかよく分かりませんでしたよ。皆さんのレビューを読ませて頂いて、『そうだ・・・そういう所が好きなんだ、私も』とか改めて思いなおしたりしています(汗)
でも!!母親が実態なのはスグに気が付きましたよん(笑)

暗く重大な秘密とユーモアのバランスが絶妙でしたね。
いつか起こった事のケジメをつける日がくると思いますが、それでも彼女たちは逞しく生きていくんでしょうね。


2007年07月10日(火) 0時01分
☆Message☆
超絶マイペースになってますがこれから取り戻せる・・・かな?とりあえず映画日記追いつきたい汗
♪Profile♪
name:sally
映画とロックを愛する年中モラトリアム人間のつぶやき。
好きなもの:映画のジャンルは青春もの。UK、NY、旅行、海外ドラマ、演劇、ファッションetc
気まぐれに綴る映画日記&えとせとらです。
2007年07月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新コメント
zebra
» リトル・チルドレン (2012年05月03日)
日本インターネット映画大賞
» シャンハイ (2011年12月25日)
ひめママ
» 百夜行 (2011年03月10日)
日本インターネット映画大賞
» スプリング・フィーバー (2010年12月30日)
sally
» 重力ピエロ (2010年09月05日)
ねこばす
» 重力ピエロ (2010年08月27日)
sally
» コララインとボタンの魔女 (2010年04月07日)
kenko
» コララインとボタンの魔女 (2010年03月28日)
sally
» My Favorite Cinemas in 2009 (2010年01月21日)
kenko
» My Favorite Cinemas in 2009 (2010年01月12日)
メールフォーム

TITLE


MESSAGE