本を食べましたか?

November 18 [Thu], 2010, 7:54
「ねえ、コノハ。コノハが書いた小説は、確かにあたしを傷つけたわ。コノハがあの小説を書いて、新人賞に応募したりしなかったら、あたしはあそこまでの絶望を味わうことはなかったかもしれない。コノハをだましながら、今もコノハの側にいたかもしれないわ。……コノハの鈍感さと純粋さを憎みながら、愛しながら。――でもね、コノハ」
 美羽がプリンを持ったまま、ぼくを見上げる。
 その目はまっすぐで、今、この言葉を伝えたいという、真摯な想いがこもっていた。
「コノハの小説は、あたしを救いもしたのよ。mbt
 そんな忠利の様子を見て、猜疑の念を完全に消し去ることはできないまでも、さつきはとりあえず気持ちを落ち着かせることにした。
 静成は何も言わずに縁側に立っていた。だが少しして、さつきに抱きかかえられている悠太に一瞥をくれると、「早めに休むように」とだけ口にして立ち去ってしまった。MBT靴
「忠利! 男の嫉妬は見苦しいですよ!」
「うるさい! お前こそ、子供のくせに生意気なんだよ!」
 文陽さんの親しい同僚だったという佐々木さんに、ぼくは思いきって尋ねた。
「佐々木さん、文陽さんは、本を食べましたか?」
 佐々木さんが、ぽかんと目を見開く。
 そうして、まじまじとぼくを見たあと、笑い出した。MBTの靴
「あはは、まさか。いくら天野でも、本を食べたりはしないよ。食べても不思議ではないくらい本を愛してはいたがね。そういえばよく、この本はじっくり煮込んだビーフシチューの味がするとか、旬の若鮎の味だとか言ってたな。そう、遠子ちゃんみたいにね」

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