BLoody fool?(米英)

December 28 [Tue], 2010, 22:54
――この感情を、俺は、あいつに対して抱いている。


私には、解らなかった。
夜桜を観に行きませんか、
と、誘ったのは私である。
しかし、彼は私が意図したのとは全く違った世界にいるようだ。


大桜の放つ幽艶な闇夜に、私もまた独りであった。







ベルの音が店内に響く。
ベルの鳴った方を、そしてそこに立つ青年を、視界に入れた店主はにやりと笑う。

「二ヶ月ぶりじゃないか。浮気してたのか?アルフレッド。」
「ここ以上に魅力的なバーがある筈ないよ。」
彼はにやり、を返してやった。

抱き合うよりもある意味親密な愛情表現である。

「用を足してくるから、いつもの用意しといて。」

ここで何故か、店主の表情が僅かに変化した。
が、彼は気付かず通り過ぎる。

「お前を待ってる奴がいるんだが。」
「待ってて、って言っといて」
彼は既に店内を横切り、目的のドアに手をかけていた。





中では、情事の真っ最中。

艶めいた音、声、いずれも鬱陶しい。



しかし、まあ、仕方ないよな、と思いつつ彼は用を足した。
隣の個室から漏れてくる声を掻き消すべく、勢いよく。

自分も経験があるのだから、文句は言えない。

このバーは、自分の様な同性愛者が、その場しのぎの相手を得る為に来る事が多い。

しかし、同性同士だと、どうしても目立つ。
ホテルなり、路地裏なりで済ませる事も出来なくは無いが、
この歓楽街全体が同性愛者専用、という訳ではないのだ。

さらにその上、知り合いに見られる様な事があれば、とても、
とても━━






彼の思考がそこで止まったのは、決して、適切な表現が思いつかなかったからではない。


その声には、聞き覚えがあった。


振り返る。


……。


、間違えようも無かった。



━体中の関節が軋んでいる。


━指が堅い。


━呼吸ですら。


そうであっても、動かさずにはおれないこの心を、


“嫉妬”と呼ぶのだろうか、と男は思った。


情動そのままに、ノックをする。

「すみませんお楽しみの所悪いのですが、大きい方の用を足したいので、空けて下さい。」

静まり返る。

舌打が聴こえた気もするが、それは僕の気のせいだろう。


暫くして出てきたのは、良く見掛ける客だった。
そう言えば以前に抱かれた気もする。

「失礼。」
故意にぶつかり、出ていくのを、全て無視した。

お前に興味は無い。




「━どうして、此処にいるんだよ。」

目の前に蹲る、この、男が、


「アーサー…」


最も、不可解。





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