男だもん。 

July 15 [Sat], 2006, 22:46


珍しく、本当に珍しく、気が向いた赤木は南郷の部屋を掃除していた。

(気が向いたというよりも、暇だったというのが真実だが)

いつも押し入れに入りっぱなしの布団をたまには干してやろうと、布団を持ち上げると。

「ん?」

ばたばたばた・・・!!

布団の下から数冊の本が落ちてきた。

「へぇ」

ページを捲らなくても、内容が分かるほどあからさまな表紙に赤木は目を細めた。

どうやら、この本達は南郷の『へそくり』らしい。

中には洋物も混ざっていて、かなり値が張ったであろう。

(どうりで俺にここを開けさせたがらなかったはずだよ)

別に構わないのに。

見たければ見ていいし、抜きたければ抜けばいい。

(まぁ、面白くはないけどね)

「ふふ・・・こういうの好きなんだ」

表紙を捲ると、1P目から既に濡れ場が始まっていた。

SMに近いセックスを取り上げている雑誌らしく、中には流血沙汰のもある。

南郷とは何度かセックスをしているが、ノーマルなものしかしたことがない。

さすがに、流血は勘弁して欲しいが近いものならば別に構わない。

「こういうのが好きなら付き合ってあげるのに・・・・」

赤木の前では大人を装っているが、所詮男なのだから。

「・・・・いいこと思いついた」

赤木は一冊の本を手に取ると、ページを捲り始めた。

「これでいいや」

本を片手に、玄関に向かう。

(同じポーズして待ってたらどんな顔するか)

数分後、帰宅してきた南郷は玄関で鼻血を拭いて、倒れた。




かき氷。 

July 13 [Thu], 2006, 21:04

「食え」

小さな卓袱台の中央に、涼やかなグラスに盛られた氷の山。

頂点には、安っぽい赤い色をした、いちご味のシロップがたっぷりとかかっている。

隣の部屋に住んでいる主婦から怪しい目をされてまで、かき氷機を借りてまで作ったものだ。

「・・・・・いきなり何?」

「何、って食べたがってただろうが」

目の前に置かれたかき氷を、赤木はきょとんとした目で見ている。

珍しい、子供のような表情が可愛い。

まぁ、それはともかく。

赤木のために、このかき氷は作った。

あれは一昨日だったが。

甘味屋の見本物をじっ、と見ている赤木がいたからだ。

その視線の先には、下手くそなビニール細工で作られたかき氷の展示物。

物欲のない赤木が物欲しさを露にしているのはほとんどないことだ。

少しでも、こいつの喜んだ顔を見たくて恥を忍んだというのに。

「は?はないだろう、は?は!」

「だって、・・・俺いつ食べたいっていいました?」

「おま・・・!」

赤木の気の抜けた言葉に、思わず体を卓袱台に乗り出す。

「この間食べたそうにしてただろうがっ!」

「この間・・・?いつですか」

「一昨日!夕食の買い物に行った帰りに!甘味屋の前!」

「甘味屋・・・・。ああ」

やっと赤木は思い出したらしい。

同時に、突然楽しそうに笑い出した。

「な、なんだよ?」

今度は俺が驚く番だ。

「あれは・・・・まぁいいや」

「最後まで言えよ!」

見ていた理由を言おうとしたんだろうけど。

赤木は突然止めて、かき氷を食べ始めた。

「でも、南郷さんが作ってくれたから美味いね」

しゃき、しゃき、という氷の音に消されてしまいそうな軽い言葉。

そんな言葉が嬉しくなって、問いただすことを忘れちまう。

「美味いか?」

「ん・・・南郷さんが作ってくれるんならまた食べるかも」

「そうかそうか」

簡単かもしれないけど、赤木の可愛い言葉に俺の機嫌は一気に上機嫌になる。

「また作ってやるからな」

それから一週間ほど、おやつとしてかき氷を出し続けちまった俺は。

赤木に睨みつけられちまった。

赤木が氷を見ていた理由。

「あのシロップが不健康そうだなと思ったんですよ」

だと。

ぐずる。 

July 11 [Tue], 2006, 21:37

「・・・・・赤木ぃ」

南郷さんの困ったような、声。

「・・・・・や」

「どうしたんだよ・・・一体?」

だけど、離れてやらない。

胡坐をかいている南郷さんの腰をぎゅっ、と抱き締める。

もっと力を込めると、南郷さんの大きな手が俺の頭を撫でた。

撫でるって言うほど優しい仕種じゃないけど。

乱暴にぐしゃぐしゃと髪を掻き回されるのが実は好きだったりするから、別にいい。

「何かあったのか。俺に言えないか?」

「・・・・・別になにもない」

「何もないってなぁ・・・お前・・」

「南郷さんはここでじっとしてればいいんですよ」

本当に何にもない。

何にもないんだ。

ただ。

南郷さんを抱き締めたいだけ。

突発的な感情。

「ったく、訳が分からんが」

「・・・・・・・」

「しばらくこうしてたいんだな?」

「・・・・・・・」

自分でもよく分からない感情を南郷さんだけは分かってくれる。

何でなんだろうな。

っていうか、この人は何なのだろう。

「赤木・・・寝ちまえ」

「・・・・・・眠くない」

「目ぇ閉じれば眠くなる。眠れば嫌なことは忘れるぞ」

寝たくなかったけど。

ゆっくりと目を閉じてみる。

南郷さんの温もりが温かい。

たまには、、こうやって甘えてみるのもいいか。

人間だもの。 

July 10 [Mon], 2006, 23:06

赤木の頬に綺麗な汗が流れる。

「・・・・お前、汗かくんだな」

「興奮する?」

学生服の白いシャツは禁欲的なのに。

着ている人間の表情。

首から流れる汗は垂れ流しの欲望のようだ。

自分に馬乗りになる、細い肢体。

額から、頬へ。

頬から、首へ、そして、白いシャツの中へ。

恐らく、シャツの下のピンク色の乳首を濡らしているのだろう。

下まで流れずに、鎖骨に止まっている汗をぺろりと舐める。

「くすぐったいんだけど」

「我慢しろ」

鎖骨を舐めたまま、首をつたって、薄い唇に自分の厚めの唇を寄せた。

「どこでそんな積極的な技覚えてきたんですか?」

「五月蝿い・・・たまにはいいだろ」

「ふふ・・・まぁね。そんなあんたも嫌いじゃないよ」

南郷の舌が赤木の唇をゆっくりと舐める。

お返しというかのように、赤木の南郷の唇に舌を這わせた。

それを待たずに、南郷は自分の舌で赤木のそれを絡めとった。

(汗の味がする)



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