キライ 

March 15 [Wed], 2006, 23:34
私の嫌いなもの、教えてあげようか?


そう言った彼女の顔は、何だか、そう、とっても・・・

こわかった。



「で、咲の嫌いなものって結局何なんだ?」

ベッドの横に凭れるようにして顔を上げた臣が続きを促す。

「・・・忘れた」
「なんだそりゃ」

自分でも心底思う。
こわかったという記憶だけがそこには残り、残りの情報はほとんど失われていたのだ。

「確か・・・なんとかな人間は大嫌いだって・・言ってた気がするけど・・・」

思い出せない。

「おまえ相変わらずだな〜」

ため息と共にそんな事を言われる。

でも、絶対臣もあの状況で咲の顔以外を覚えていられるはずがない。


あのときから俺の一番恐いものは群を抜いて咲になった位なのだから。

色褪せるは… 

March 15 [Wed], 2006, 23:23
何してるの?


最初の出会いはその一言から始まった。

何をするでもなく、ただ息をしていただけの人形だった日々は、その時、初めて、意味を持った。


「何ぼーっとしてるのよーぅ」

似たような台詞を耳元で聞く。

「うっわっ…!!」

あ、なにそれー傷付くーぅ、と、腰に手を当てながら口を尖らす。
眉をひそめてじろりと見てくるその少女は、まさしく今思い出していた彼女と同一人物である。
で、あるが…

(なんだかな〜…)

思い出ってのはー、色褪せるもんだ。

いつだったか近所のおっさんがそうつぶやいていた気がする。
まだ小さかったからおっさんが誰かは分からないが。

その意味が、初めて、解った。

(ちょっとー…切ない…カモー?)


さぁ、今日という一日が始まる。

例えば… 

March 15 [Wed], 2006, 7:07
私の言ったその一言が、あなたの人生を左右することになったとしても。
それは決して私のせいではなくて。
あなたの受け取り方ひとつでその言葉はいくつもの意味を持つのだから。

当然責任なんて取れるわけ無いじゃない。


長い髪を邪魔そうに払いながら。
夏の熱気を背中に受けてそう告げる彼女の言葉の潔癖さと鋭敏さは耳に心地よく響いた。


(そう、言葉は受け取る側の想いひとつ…)


今までにも誰かに似たようなことを言われた覚えはあった。
それでも今日ほど、この人が言った言葉ほど心に刺した事はなく。
きっとそれが彼女の魂(すがた)なのだと感じた。

心の重荷が解けていく、気がした。
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