DIVA 

December 12 [Wed], 2007, 20:45

僕は煙草に火を点けると、そのまま深々と吸い込んだ。
口内、鼻腔に待ち望んでいた薫りが広がる。そのまま其れは肺へと流れ込んだ。
僕は其の儘、久方振りの快楽に浸って居た。
医者から煙草は止められて居るのだが、如何せん此ればかりは止められない。
其れでも近頃はせめてもの気遣いと、週に一度にまで減らしては居るが。
隣では君が美味そうに葉巻を咥えている。
僕は煙草を吸う時は何時も、図らずもある種のセンチメンタルを覚えるのだった。
またそれは、僕の心の空虚な穴からずるり、と音を立てながら這い出て来るようであった。

不図、君が僕の口から煙草を引き抜く。
僕の抗議をする間を与えないまま、君が唇に貪りついて来た、僕達はそのまま長く深いキスをする。
思い切り舌を吸ってやる。君はすると可愛い声で鳴くのだった。
唇を離すと二人は銀色の糸で繋がった。
君はやや頬を上気させながら、涙の滲んだ眼で僕の顔を捉えた。

「煙草、医者から止められてるだろ、だめだよ、吸っちゃ。」
P R
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:s69g
読者になる
2007年12月
« 前の月  |  次の月 »
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新記事
最新コメント
Yapme!一覧
読者になる