【ごく普通の日記】-冬の絵画-

December 14 [Sun], 2008, 22:45
芸術の秋...はもう過ぎて今は冬ですが、北海道からスタートして、現在は東京で話題になっている上野の森美術館にて開催中の『レオナール・フジタ展』に行ってきました。特別サイトはこちら

パリで最初に成功した日本人画家として有名な藤田嗣治(1886-1968)はやはり『乳白色の肌』が有名ですが、今回の目玉は6年かけて修復された大作『構図』と『闘争』の合計4点の80年ぶりに里帰りしたことです。


■ライオンのいる構図 1928年 フランス・エソンヌ県議会蔵


■争闘I 1928年 フランス・エソンヌ県議会蔵

僕は別に絵に詳しいわけではありませんし、このフジタに関しても書展で並んでいたこのインパクトのある容貌に惹かれて『藤田嗣治「異邦人」の生涯』という本を読んでから知った程度です。

もちろん彼の有名な、その発色技法が現在も謎のままである「乳白色の肌色」が表現された作品群も美しいと感じていますが、それよりも彼の生涯に興味がわきました。

西洋画に盲目崇拝的な日本画壇は彼を認めず、パリで成功してからも日本画壇が意図的に流布した悪意に満ちた噂、それは妻を5人もとった事や、海外に行ってから成功を納めた藤田へのひたすらにどす黒い嫉妬であったり。二度の大戦に様々に巻き込まれたりの過酷な運命。

結局晩年はフランスに帰化、そして完全に日本と完全に縁を絶つ決意を示すように、日本国籍を抹消する。


■最晩年を過ごしたエソンヌ県の小村ヴィリエ=ル=バクルの“ラ・メゾン=アトリエ・フジタ”

そして彼は「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」という言葉を残す。

帰化した藤田は同時にキリスト教に改宗し、作品もキリスト教関連のものが増えてゆく。私の視点だとキリスト教に傾倒してからの作品は緻密ではあるけれども、デッサンモデルがない(キリストなどはあくまで想像なので)分画一的にも見えて面白みに欠けて感じました。

やはり自分は1928年-29年辺りの大作に挑んでいた時期が一番感動しました。当時42才の藤田は初めて過去最大の大作に臨みますが、画家はゲルニカを描いたピカソは当時56才であったり、40過ぎの晩年に大作を残す事が多い。ここに自分は感銘を受けて「自分にとっての大作を残すのは今だ」と漠然ながら感じたのです。


■パブロ・ピカソ『ゲルニカ』1937

『絵の見方』なぞいまだにさっぱりわからない私ですが、彼の生涯をしっかり学んでからの今回の閲覧は、激動期の作品に差し掛かるほどに、その絵を通じて彼の心根との対話を試みるように、「ああ、あの時代の作品だ」と、「絵のむこうがわ」を感じようとまるで、絵と会話するような大変に得難い体験でした。

ネコや動物の毛並みの美しい描写と技法、かと思えば好んで登場する子ども(実在ではなく想像だという)はなぜか必ず堅く口を閉ざしている。もちろん図録も買って今改めて眺めているところです。




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