【特別夏直前企画】-40歳からのカブトムシの真実-

August 18 [Mon], 2008, 22:17
【特別夏直前企画】と銘打っておきながら、世の中はとうの昔に夏本番!、しかも暦の上ではもう秋になってしまいました。筆が遅くて申し訳ありません。

読んで下さっている方々には深くお詫び申し上げます。ですが、カブトムシ達は今が青春真っ盛り!、まだまだ元気に過ごしています。

「40歳からのカブトムシ」と題してお送りしてきたこの企画もこれで最終回、今回はまだ紹介出来ていないカブトムシの生態、そしてカブトムシと自然界の密接な結びつきについての私なりの考察を書かせて頂きます。

これで少しでも昆虫好きになったとか、苦手意識が無くなったという方が増えてくれてたら嬉しいです。




1.カブトムシの真実の姿

前回お話した以外にも、一般には知られていないカブトムシの真実の姿がまだまだあります。今回はその中から意外な一面や「なるほど」と思って頂けるような生態について触れてみたいと思います。


(1)カブトムシの幼虫は木も食べる?!

前回、カブトムシの幼虫は腐葉土(=枯葉が腐って出来た土)を食べると書きましたが、それだけだとあの立派なアゴはいったい何のためについているのか?1回目の記事にも簡単に書きましたが、実はカブトムシの幼虫は木も食べるのです。

といっても生木ではなく、「朽ち木(くちき)」と呼ばれる広葉樹の枯れ枝や倒木が、腐葉土と同じようにやはり微生物に分解されて腐った状態の木を食べます。

この朽ち木は、中の細胞等が壊れて、無数に穴の開いたスポンジ状になっています。が、そのままだとカチカチで、いくらカブトムシの幼虫のアゴをもってしても食べることは出来ません。


ですが、自然界では、森の地面は常に濡れています。それだけ腐葉土は保水力に優れているからです。

そのため、朽ち木も地面に接している側ほど水分を含んでふやけています。幼虫はそのふやけた部分をボリボリとかじるのです。

上の画像でもお分かり頂けるように、元は円柱形をしていた朽ち木も、餌としてケースの中に入れてやるとご覧のとおり!、最後は鉛筆くらいの細さまでしっかり食い尽くします。

一番右の画像は小さくて分かりにくいですが、カブトムシが食べている部分の表面に緑色のカビが繁殖しています。このカビでさえ、幼虫にとっては格好の餌となります。

余談になりますが、皆さんもよくご存知のカナブン、コガネムシの幼虫は、生木の根を食べます。

そのため太い樹木には大した影響は無いのでしょうが、細い草木にとっては枯れる原因となる「害虫」なのだそうです。

同じ甲虫(こうちゅう)でも、その生態によって人間から好かれる存在だったり、忌み嫌われたり、様々あるんですね。


(2)ノロマな幼虫が猛スピードで動くとき

前回は途中になっていました、幼虫から蛹(さなぎ)への生育段階ですが、ここでもカブトムシの生涯の中で特別な生態が見られます。

カブトムシの幼虫は蛹になる時期が近づくに従って、体色がどんどん茶色になっていきます。

そして、いよいよ蛹になるための準備、蛹室(ようしつ)を作り始めるのですが、このとき、幼虫は猛スピードで動き、蛹室の壁を塗り固めていきます。右の画像はまさに塗り固めている最中のものです。

ここで不思議なのは、幼虫がお尻を下にして立ち上がった姿勢になることです。

幼虫の足は頭のすぐ後にあり、普通は足で体を支えて動きます。ですが、蛹になる前の準備期間は、器用にお尻で体を支え、猛スピードで足の部分を土にぶつけるようにして、壁を塗り固めるのです。その動きは、キツツキが木を叩く姿にも似ています。

姿は幼虫でありながら幼虫らしからぬ動きをするため、この時期の幼虫を幼虫とは呼ばずに、蛹になる直前の状態の意味で、「前蛹(ぜんよう)」と呼びます。


(3)蛹の中身って…

前年の夏から、ずっと腐葉土と朽ち木を食べ続け、初夏を迎える頃に幼虫は最後の脱皮をして蛹(さなぎ)になります。ここでまた不思議なことが。蝶にしてもカブトムシにしても、元は芋虫だったのが、美しい羽を持った蝶へ、立派な角を持ったカブトムシへと変身します。

中学の生物の勉強のおさらいになりますが、いわゆる「完全変態」と言われる部類です。この完全変態の真っ最中である蛹の中身って一体どうなっているのでしょう?

実は蛹の中は、一度ドロドロになってから、体の各部に分かれて成虫の体を形作るのだそうです。左の写真を見て頂ければお分かりのように、蛹になった瞬間に、既に成虫の姿をしています。

あの幼虫が一皮むいたら成虫の形をしているのにもビックリなのですが、その中身は一度ドロドロになっているだなんて…

そこから体内の細胞が体の各部を形成するなんて、いったいどういう仕組みになってるんでしょうね?!、今でも本当に不思議です。


(4)蛹はじっとしてるの?

さて、皆さんは蝶の蛹を見たことがありますか?、だいたいは右のように枝に立ち上がるようなポーズをとっています。しかも、カブトムシのように成虫の形もまだ見せず、じっと羽化の瞬間を待っています。

ところがカブトムシは違うんです!、まずはこれを見てください。(動画をご覧になれない方、すみません)

ちょっと手ブレがあって見にくいかもしれませんが、これは向こうを向いていた蛹が体を反転させてこちらを向いた瞬間の映像です。

蛹が動く理由は正確には分かりませんが、体の一方だけを壁に持たれさせていると、液状の体内が偏るので、それを解消するための動きなのかもしれません。

同じ「完全変態」の部類でも、カブトムシの蛹は本当に特殊な存在だと思います。


(5)カブトムシは水が嫌い

カブトムシは幼虫も成虫も水分を必要とするくせに、成虫は特に水をかけられるのを嫌います。


実はカブトムシの体表にはうっすらと産毛(うぶげ)が生えていて、水をはじくようになっています。なので、霧吹きで水をかけると、上の写真のように、体表に水玉があちこち乗っかります。

カブトムシは成虫になっても地中にもぐります。特にメスは産卵のために土の中で過ごす時間も長いです。その時、体がつるつるのままだと、泥のような土が体にまとわりついて、素早く行動することが出来ません。そこで、水をはじくように産毛が生えているのです。

右の写真のオスは、前足を振り上げて怒っていますが、これはもしかしたら「直接水をかけるな!」という意思表示かも知れません。(笑)


(6)カブトムシは飛ぶのがヘタ

カブトムシも固い羽の下に飛ぶために羽ばたく薄い羽を持っています。特に夜行性なので、夜になるとブンブンうるさいくらい飛び回ります。

ですが、自由に飛ばせてやろうと思って部屋でケースの蓋をあけてやっても、なかなか飛びません。やっと飛んだかと思ったら、体が重いのか、フラフラとゆっくりとしたペースで上昇していきます。

カブトムシは電灯などの明かりめがけて飛びますので、電灯の周りを3周くらいすると、もう力尽きて落ちてきます。(笑)

これも恐らく、カブトムシの生息場所というのが、幼虫にとっても成虫にとっても必要な餌や土がすぐそばにある環境なので、あまり長い距離を飛ぶ必要がないからだと思われます。

王者の余裕といったところでしょうか。でも、部屋で飛ばしてやるカブトムシ達は、いとも簡単に捕まえられます。だって本当にトロいんだもの。(笑)

ちなみに、カブトムシを小さなケースに入れて、飛ぶことも出来ず、自由を奪って飼育するのはかわいそう、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はそうでもありません。飼育ケースの中には常に歩いて届くところに餌があり、また天敵に襲われることもないため、飛ぶ必要性がほとんど無いんです。

自然に生きるカブトムシの方が逞しいように思われますが、実は長生きさせたければ、飼育してやるのが一番なのです。


さて、4年間の飼育経験で知り得た事実はまだまだたくさんあるのですが、あまり細かい点まで紹介すると、カブトムシの飼育を始める人向けの講義のようになってしまいますので、今回はこの辺で終わりにさせて頂きます。もし、また機会がありましたら、その時にはより詳しくお話いたしましょう。



2.自然の中でのカブトムシの役割

さて、ここからはカブトムシだけではなく、自然界全体に目を向け、その中でカブトムシがどのような位置にいるのか?、どんな役割を担っているのか?、について、個人的な考察を述べたいと思います。


皆さんは、秋になると様々な樹木の葉が何故紅葉するのかご存知ですか?、私の知識もTVからの受け売りですが、紅葉するのは冬になると葉が散ってしまう広葉樹だけなんですよ。

スギやマツのような針葉樹は紅葉しませんよね?、広葉樹は夏の間せっせと光合成で作り出した糖分を葉に集めて、それを散らせることで、冬の間木の葉がまったくなく、光合成できない樹木が、地中から根を通じて栄養を採り入れることが出来るようにしているのだそうです。

ですが、たとえ落ち葉に栄養を蓄えたとしても、そのままの状態では根から吸収することは出来ません。そこで枯葉を分解する「分解者」の存在が必要になってきます。


「分解者」はまず、カビやきのこなどの菌類やバクテリアなどが葉を腐らせ(発酵させ)ます。この発酵した枯れ葉の土、すなわち「腐葉土」をカブトムシの幼虫のような、草食の昆虫などに食べられることで、より細かく分解された土になります。

そして土がここまで細かく分解されると、樹木が根を通じて水と一緒に栄養を吸い上げることが出来るようになるのです。これって、スゴイことだと思いませんか?

どちらが先なのは分かりませんが、植物は栄養を蓄えた葉を下に落とすことで、それを分解してくれる他の生物がいて、自分の体に栄養が戻ってくることを知っている。

だから秋になると紅葉して葉を落としているんだと考えると、もしかして樹木などの植物も遺伝子レベルでは、どうすればより効果的に栄養を吸収できるか?、実は意思を持って考えていて、それを記憶し、今でもその循環は脈々と受け継がれている…

もし、「枯れ葉に養分を蓄えて散らすと、分解者がそれを栄養が捕りやすい形に変えてくれる」と、植物が考えて、長い年月をかけて今のような生態系を作り出したのだとすると、自然の不思議さに本当に圧倒されます。

という訳で、思いもよらず2ヶ月近い期間を費やしてしまいました「40歳からのカブトムシ」、これで終焉とさせて頂きます。

今年のカブトムシ、実は最初に書きました280匹のうち、無事に羽化できたのは230匹ほど。残りの50匹は何らかの理由で羽化できないまま死んでしまったようです。これだけの大量死は初めてですので、これからその原因解明をしたいと考えています。

それと、今年もうちのアパートにたくさんのカブトムシがやってきました。今日までにオス7匹、メス4匹を捕まえました。また今年もこれらの「訪問者」を大切に育て、新たな卵が生まれ、孵化して幼虫になることを楽しみに、これからもカブトムシ飼育を続けていきたいと思います。
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