NGOの戦略的課題 

February 08 [Fri], 2008, 6:15
夏にインターンをしたNGOとの関わりをその後も続けています。

ケニアでは、現地インタビューに加えて現地スタッフとの打ち合わせをもとに現地スタッフのコンサルティング業務やトレーニング資料などの作成といったプロジェクトを実施しました。スタンフォードに戻ってからは、それらのフォローアップをしています。

先学期は、GSBの教授と二人で当該NGOの課題の一つについて研究するプロジェクトを実施し、今学期もNGOの戦略ミーティングとかに出席させてもらっています。(GSBでは、自分の好きな研究課題を選んで教授とディスカッションしてアウトプットを出すというプロジェクトを実施することができ、これは卒業の単位にも数えられます)

NGOでは利益の他に、社会的意義やいかにして活動のインパクトを最大化するか、といった通常営利目的の会社と少し違った戦略的課題もあり僕にはとても新鮮です。また米国オペレーションでは、ファンド・レイジングが重要な要素を占めており、マーケティングという観点からもいろいろと勉強になります。

このNGOは、ミッションも素晴らしいですが、なにより働いている人たちの志やキャラクターがとてもよいので、今後日本に戻ることになってもなんらかの形で関わっていければと思います。

伝統vs 現代 〜最近のワイン業界事情 

January 16 [Wed], 2008, 5:09
今期はDynamics of Wine Industryというセミナー授業を取っています。はじめの数回は教授が講義をしますが、後は学生がワインビジネスに関連したトピックを発表しながら皆で議論するというセミナー形式です。ワイン業界経験者も何人かいる上に少人数なので議論も活発ですし、なかなか気に入っています。

さて、前回の授業で話題になったのはmodern vs. traditionalというワイン業界の最近の図式です。最近はワインの製造技術の技術進歩が著しく、伝統的なワインの味を分析した上でテクノロジーを駆使してそれを再現することができるようになっています。そうすると極端に言えば、どこの地域でワイン(ブドウ)を作ろうと、ボルドーの高級ワインと同じようなレベルの味が実は低コストで作れてしまうことになってしまい、ボルドーワインの高い価格が正当化できなくなってしまうのです。

最新技術の採用が早いアメリカではもちろんですが、実はフランスでもテクノロジーを採用するワイナリーも増えています。伝統的なワイナリーは家族経営のところが多く、親からワイン事業を引き継いだもののいまいち売上が伸び悩んでいるため、ワインコンサルタントを採用していかにして売れるワインを造るかの技術指導を受けるところも増えてしまっているそうです。

一例としてoak chipsの活用などあげられます。よいワインは通常樽の中で2、3年寝かすことで、ワインのタンニンを強化したり、ややスモーキーな香(ヴァニラ風味と表現されたりします)をワインに加えたりします。一方で、安いワインは木製の樽の代わりに巨大なステンレスのタンクで貯蔵することでコストを抑えているのが通常です。しかし、最近ではoak chipなるものが発明され、ステンレスのタンクで貯蔵してもこれらのチップを加えることで樽の風味を出せるようになってきているそうです。もちろん、ワイン好きの人が飲めば一目瞭然なのでしょうが、一般の人には区別がつきにくく、安いワインでも高級ワインのような風味を味わえるということで多くの低価格ワインに採用されているそうです。

伝統派側は、テロワール(ワイン作りに最適なブドウをつくりだすその土地固有の土壌や環境)こそが重要だとし、技術の導入を拒否し自然の力を利用した伝統的な製造方法にこだわるワイナリーもまだ多く見られ、逆にそれが「本物志向」のワイン通たちの共感を呼び、ワインの価格が急騰する例もあるようです。

もちろん、フランスの伝統的シャトーであっても、よいおいしいワインを造るために新技術の採用も含めて試行錯誤してきたわけで、どこまで現代技術でどこまでが伝統技術かというのは曖昧なのですが、伝統側からすればこれまで何百年も守ってきたものが突き崩され、さらに価格の正当化ができなくなれば自分の生活にも影響するため、伝統を守ろうと必死です。

授業ではまさに伝統vs現代ワインの話をドキュメンタリータッチで描いた映画「モンダビーノ」も観ました。グローバル化が進む中でワインに人生を掛けた伝統職人たちの人間ドラマが描きだされ、映画としてもなかなか面白かったです。

オーロラ@ホワイトホース 

January 04 [Fri], 2008, 17:17
学校が始まる前の数日を利用して、カナダのホワイトホースにオーロラを見に行ってきました。オーロラは天候にも左右され、まったく見えない日が続くこともあるそうですが、とっても運良く、かなり変化に富んだ大規模なオーロラを見ることができました。

下は、これまでいまいち機能を使いこなせていなかったD70とこのたび日本で購入した三脚を駆使してとった作品です。


うっすらと地平線に広がる淡いオーロラ


空一面に踊るように激しく動くオーロラ。

禅ツアー 

December 11 [Tue], 2007, 17:11
京都では、英語の話せる住職さんが主催している禅ツアーに参加。

その様子が取材され、新聞の1面(関西版ですが)にも掲載されました。

座禅のほかにも精進料理を食べたり、書道を体験したりと、外国人だけでなく日本人でも楽しめる内容でした。

帰国+日本ツアー 

December 10 [Mon], 2007, 16:57
12月はしばらく日本に戻っていました。

スタンフォードの同級生ら25名を引き連れ、ビジネススクール恒例の「日本巡りツアー」のリーダー(というかツアコン)をやっていたので、京都にはじまりトヨタで工場見学をしたり、東京でいろんな日本の会社とミーティングをしたりしていました。

特にGSBの学生は「質問してなんぼ」「議論はまず質問からスタート」という根性があるので、会議中はもちろんのこと、街を歩いているときでも歴史や文化、政治、経済、衣食住、言語など、とにかく日本について気がつけば何でも質問をしてきます。

そんなこんなまるで、千本ノックを受けているかのような旅でしたが、おかげではじめて日本に来た外国の人がどのように感じるか垣間見ることができましたし、いつもとは違った日本を見ることができました。何よりいつもは主に学校でしか会わない友人たちと、普段とは違った場所で長時間一緒に過ごすと話も盛り上がるし、仲も深まるので、とっても楽しかったです。

でも毎回日本に戻って思うことは、@やはり和食はおいしい、Aチップもないのにどこでもサービスがよい、の2点ですね。

Energy Trek報告C ドバイ都市開発最前線 

November 23 [Fri], 2007, 2:40
ドバイでは、ドバイ証券市場にも上場している最大の王族系デベロッパーEMAARという会社が開発を手がけている特別地区にも訪れました。

ここでは、世界一高いブルジュ・ドバイ(Burj Dubai:ドバイの塔の意)を目玉に広大な地域がスクラッチから開発されています。ブルジュ・ドバイは現在150階ぐらいまでが完成していますが、まだまだ高くなるそうで最上階が最終的に何階になるかはまだ発表されていません。その周りは超大型のショッピングモールや六本木ヒルズ級のオフィスタワーやレジデンスが50個ぐらい立つらしく現在でも着々と工事が進んでいます。砂漠の真ん中にあるため、あまりにも人工的すぎてまるでラスベガスのようです。

ちなみにEMAARはアルマーニと提携しており、ホテルの設計やデザインはアルマーニ社が手がけ、不動産、建設、マネジメントはEMAARが責任を持つそうです。

この超巨大都市プロジェクトは、EMAARが主導していますが、もともとは首長のイニシアチブからスタートしています。EMAAR自体、政府が株を一部保有しているほか、プロジェクトの土地は政府からほぼ無償で譲渡されています。(そのため、EMAARの利益率は相当高いと思われます。)

これはひとつの例ですが、ドバイでは国家(というか首長)のイニシアチブがビジネスの至るところで発見できます。ビジネスも個人も実質的に税金がかからないというのもその一つで、それが各国企業がドバイにオフィスを開く要因のひとつにもなっているようです。

Energy Trek報告B ドバイのPE事情 

November 22 [Thu], 2007, 18:58
ドバイでは、エネルギー関連会社のみならず、多くの金融機関にも会ってきました。

中でも興味深かったのがAbraaj CapitalなどのPrivate Equityです。中東では多くの発展途上国と同じく家族形態の企業が大半を占め、承継問題や将来の成長戦略の観点からもPEの成長の余地は大きいようです。(もちろんPEなどのファンドへの持分売却に対する抵抗感は日本と同じですが。)

かつては、IPOのときに創業者は持ち株の過半数を売却する必要があるという規制があったのですが最近になってその売却持分比率が30%に修正され、それがIPOの増加に大きく貢献することになりました。証券市場の整備が進むにつれて欧米からの投資銀行の参入も増加し、Exitが容易になったこともドバイにおけるPEの台頭を促す要因となっているようです。

さて、ドバイのPE市場と日本や欧米のPE市場では決定的に違うポイントがあります。それは経済の成長率の違いです。経済自体が20%以上の成長率で伸びているため、通常の企業で想定されるベースケース成長率が圧倒的に高いのです。その必然的な結果として欧米で見られるようなハイレバレッジの伝統的なLBOの数は少なくむしろグロースキャピタルプレイが多くなっているようです。従って、ドバイ最大のPEファンドであるAbraaj Capitalが今レイジングをしている20億ドル規模のファンドもグロースキャピタル投資(及びインフラ投資)を主目的としたものです。

ところで、ドバイといえどもイスラム国家なので、現地の銀行からローンを調達する場合はシャリア法に沿った契約になります。イスラム法では利子を取ることが違法とされているので、特別なスキームが組まれている点も面白かったです。利子に見えないようにセールス&リースバックのような形にすることで実質的な欧米のローンと同じようなエコノミックスを実現するスキームを弁護士が頑張って作っているようです。

Energy Trek報告A メガポリス・ドバイ 

November 19 [Mon], 2007, 0:15
中東のメガポリス、ドバイに行ってきました。


今回の旅行に行く前は、ドバイは異国情緒漂う観光都市のイメージしかなかったのですが、そのイメージとはまったく違いました。観光できる場所はかえって少なく、むしろ香港やシンガポールなどと似た超近代的なメガポリスといった感じです。

ドバイはアラブ首長国連邦の首長国のひとつですが、ラーシド首長というカリスマ的な指導者の下で原油依存経済からの脱却の取り組みと産業の多角化を進めており、ここ20年ぐらいの間にものすごい勢いで発展しています。結果として経済の石油依存率は大幅に下がり、GDPの伸びは年率30%に達するなど、まさに中東経済のハブとしての経済都市へと成長しました。

都市概観の変化も激しく、ドーハーを軽く上回る規模で超高層ビルが乱立し、現在もあちこちで高層ビルの建設が進んでいます。果たしてここまでたくさん作ってしまって大丈夫かとこちらが心配してしまうぐらいです。ホテルの数も半端ではなく世界的に有名な7つ星ホテルであるバージュ・アル・アラブ(下の写真)や、通常の5つ星ホテルも20個ぐらいありました。


ミーティングを実施したビルはどこも新しく、近未来的なデザインのビルが多いせいか、または黒いマントのような伝統的なイスラムの服を着た人が多いせいか、スターウォーズかマトリックスなどのSF映画の1シーンに参加しているかのような気分になりました。

伝統的に中東の諸国は移民が多いのが特徴のようですが、ドバイの人口の自国民比率は、10%以下といわれており、街行く人々もほとんどが外国人であることも、違和感を感じさせられる要因のひとつなのかもしれません。文化施設もほとんどなく経済成長に力を入れすぎてアイデンティティーを喪失しているのではないか、とライバルのドーハが言うのもやや納得できる点があります。

さて、日本やアメリカにいる間は全く意識していなかったのですが、ドバイは地理的にインドからとても近い場所に位置しています。ムンバイまで飛行機で4時間しかかからないこともあって、インド企業との取引はもちろんのこと、インドからの移民も多く、インドの経済成長の恩恵を直接享受できることもドバイの経済成長の牽引力のひとつになっているということも今回の旅の新たな発見でした。

Energy Trek報告@ ドーハのQatar Foundation 

November 18 [Sun], 2007, 23:52
まずはカタールのドーハからTripははじまりました。

来る前はドーハはサッカーでの日本代表の敗戦ぐらいしかイメージがありませんでしたが、カタールは実は世界トップレベルの天然ガスの埋蔵量を誇るエネルギー業界での重要プレーヤーであるほか、近時は近代化に大きく力を入れており急成長を実現しているとても興味深い国です。


その急速な成長ぶりはTripの後半に訪れたドバイと匹敵するものがあり、ドーハのFinancial Districtでは、建設中の超高層ビルが乱立し、近未来都市を彷彿させられます。(写真は建設中のビル郡)

カタールがドバイと違う点は、教育や文化への力の入れようです。特に教育への入れ込みようは半端ではなく天然資源で得た巨額のお金を惜しげもなく教育につぎ込んでいました。今回、Company MeetingのひとつでQatar Foundationという基金の設立したEducation Cityという教育施設に訪れましたが、その設備の豪華さと洗練ぶりに圧倒されました。(下の写真は校舎の一部)


Education Cityは最新鋭の教育施設の集合体からなっており、アメリカの5つの有名大学と提携し、教授陣を招いてアメリカとまったく同じ教育プログラムが最新鋭の設備で受講できる仕組みになっています。学生たちは、ビジネススクール、メディカルスクール、アート、国際政治、コンピューターエンジニアリングなどを学ぶことができます。また、交換留学生も受け入れており、とてもinternationalな雰囲気です。米国の学校と同じ基準で選抜された自国民は無料で受講できるほか、カタール国籍でなくても金利ゼロで学費をローンができ、さらに卒業後にカタールに貢献する企業で働けばローン返済も一部免除される仕組みになっていました。

Qatar Foundationは、さらに自国民の教育だけではなく、Return to Asiaというアジア諸国への慈善活動も実施しており、その幅広い活動ははっきり言って日本の大学の数歩先を行っている印象でした。

いずれは枯渇してしまう天然資源に依存した経済からの脱却はカタールのみならず中東諸国の重要課題であり、教育への巨額投資も、高いレベルの教育を受けたカタール国民が増えれば長い目で見て国家の競争力につながるだろう、という長期的な戦略の結果なのだと思います。

その採算性や戦略の良し悪しはともかく、教育への姿勢という意味では日本も学ぶところは多いのではないかと思いました。

Energy Trekレポート 

November 16 [Fri], 2007, 23:13
今回のThanks Giving のお休みは、GSBのEnergy Clubが主催するEnergy Trekで中東に行ってきました。訪れたのはカタールのドーハとUAE(アラブ首長国連邦)のドバイとアブダビの3都市です。

Energy TrekはStudy Tripと同じようなコンセプトで、エネルギー関連の会社とのミーティングを通じて業界への知見を深めたりネットワークを作ったりすることが目的のTripです。エネルギーに直接関連する会社はもちろんですが、それ以外にも中東をベースにした投資会社や投資銀行などにも会うことができ、元金融屋の観点からしても勉強になりました。

いくつか面白かったことや勉強になったことをいくつかに分けて書いてみたいと思います。
P R
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プロフィール
  • ニックネーム:ryotaro_capi
  • 性別:男性
  • 血液型:O型
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投資銀行、PEファンドに勤めた後、現在長期休暇(充電)中。
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