再会2

October 18 [Sun], 2009, 0:06
駅の改札を向けて歩いてると、電車の中で足を踏んでしまった彼が数m先を歩いてるのを発見した。

彼の後姿を見てるうちに変な気分になった。
どこかで同じようなことを経験があるような・・・

彼は私の先を歩き、私は彼の後を追う形となってしまった。
きっと彼は次の角で曲がり、私とは違うところへ向かうのだろうと思うのだが彼は曲がらず、
この次の角を彼は直進して私だけ曲がるのだろう、というところで彼も曲がり
結局同じ建物の前に着いてしまった。

入り口で彼はセキュリティカードを通して先へ行ってしまった。
私は入り口の受付で名前を書きエレベーターのところへ。

彼はあらぬ方向を見つめたまま、エレベーターを待っていた。
思い切って「さっきは電車の中でごめんなさい」と言うと
ハッとしたように私のほうを振り向き、驚いた表情で私を見つめた。

私が言葉を発する前にエレベーターが到着し、彼と私は乗り込んだ。
彼は11階を押した。
ああ、やっぱり。

そう、彼は、あの人なのだ。
私が思っていたあの人なのだ。
間違いない。

セキュリティカードの彼の氏名をこっそりと盗み見る。

「若田恭平」

うん。

間違いない。

彼も私の視線を感じたらしく、

「親がつけてくれた名前と性格が一致しないんですよ」と言った。
「そうなの?」
「ええ。恭しく、ってありえないです、僕には。なのに、恭平って名前なんです」
「でもさっき電車の中では“恭しい”感じだったわ」
「そうですか?(笑)」

11階に着くまでに他の人はエレベーターを降りてしまい
最後に彼と私だけが残っていた。
彼の戸惑いが伝わってくる。

「11階って開発部のフロアなんです。今日は何か用事が?」

私はニッコリ微笑みこたえた、
「ええ、開発部に用事があってきたんです、恭平さん」

恭平の物思い

October 17 [Sat], 2009, 23:04
駅の改札を抜け会社へと歩いていく。
僕同様スーツを着た人達が同じ方向へ信号では別の方向へと別れて行く。
何気に電車で足を踏まれた女性のことを考えた。
綺麗なストレートヘアをほんのり少し茶色に染めていた。

「ごめんなさい」

そう言って僕を見上げた顔に、ハッとした。

綺麗だったからだけではなく、どこかで見たことがあるような気がしたのだ。
そんなわけないか・・・

考えながら歩き、会社へついた。

毎日決まり決まった仕事を片付けていく自分みたいな人間にも
こんなちょっとした「出来事」があってもいいんじゃないかと思った。
男ばかりの職場で、異性に出会うチャンスもなく
綺麗な女のヒールに踏まれて、謝られ心配され・・・
当然、小説のようにはいかない。
彼女は僕のあとを追ってきたりはしないし、
その後会うことすらないだろう。
わかってるが、物語的な話の展開に心が動揺してた。


だからだ、油断してたのは。


「さっきはごめんなさい」



死ぬほど驚いた。


彼女は僕の横を一緒に歩いてた。
僕がひとり、自分の思索にふけっていた間に。

喉が使えて、言葉が出なかった。

ともの事情

October 17 [Sat], 2009, 2:40
この世にはたくさんのシアワセがある。
小さなものから大きなものまで。
数えればきりがない。
私はその、大きなシアワセというものを手に入れたと思ってた、つい最近まで。

・・・でも、ちがった。

高校卒業後、都内の大学に通うことになり高校時代付き合ってた人と別れて上京、
就職はIT関連会社、恋人はその会社で知り合った上司、
海外出張後には結婚することになってた。

ところが。

婚約者のその上司は海外で、女連れて帰ってきたのだ。

あうー、信じられない。

金髪のキャサリンは、確かにすっごくいいボディ(笑)
でも頭の中は空っぽに違いないみたいな女だった。

はずなのに、実に家庭的で思慮深く、部長や専務に受けのいい女だった・・・

私って・・・
一体なんだったの??

ものすごい数の疑問符が湧いて出た。


移動の時期ということもあって、私は移動を申し出た。
ここにはいられない、東京にはいられない、私は遠くで出直すんだ!

ってこってす。


そして、なぜかたどりついたのが福岡県は北九州市。

家賃は安いし、人々はオットリ歩いてるし、いい所だと思った。
ここで私は再出発する。
まぁ、元はというと、出身地でもあるんだけど。

駅から程近いところに素敵な2DKのアパートを借りた。
実家は、1時間くらいのところにある。
やはり通勤には会社に近い方が楽というのと、
実家には母の第二の夫がいるということもあって
できるだけ近寄りたくない気持ちある。

もちろん、通勤に便利、というのが口上だ。

そして、4月1日。
私は新しい職場へと向かった。

電車の中でサラリーマンの足を踏んづけてしまい謝った。
「大丈夫ですよ」と一生懸命私が悪くないことを印象付けようとする彼に申し訳ないな、と思った。


彼が、まさか、例の彼だとは知らずに。

再会

October 17 [Sat], 2009, 2:14
いつもと変わらない一日が始まった。
僕は電車に揺られて会社へ向かう。
と言っても何も変わったことがないわけでもない、いつもより起きるのが遅くて
髪を整える暇もなく、適当にワックスで立たせたけど、それがいつもと違うのが変わったことと言えばそうかもしれない。

寝坊したのにはわけがある。
なんだか無性に、遠い昔の高校生の頃彼女と観た映画のDVDを昨夜観たくなったせいだ。
それは「ひまわり」という題名のDVDで、はかなくて切なくて胸が苦しくなるような内容だった。
当時、彼女はそのビデオ(当時はDVDではなくビデオだった)を観ながら泣いてた。
どうしてだろう、借りるつもりもなく、つい借りてしまい、観ないだろうと思ってたのに
最後までちゃんと観てしまった。

そして今朝は寝坊。

電車の揺れは心地よい。
僕は吊り革につかまって「ひまわり」のことを思い出していた。
と、その時、電車の揺れがガタンッと激しくなり、女性が僕の足を思いっきり踏んだ。
「あー、ごめんなさい」
ヒールのある靴で踏まれた僕は結構な痛さにドギマギしながらも
「いえいえ、っ大丈夫ですよ、気にしないで下さい。揺れますよね、ここ」と答えていた。
「この辺りっていつもこんなに揺れるんですか?」と彼女は聞いてきた。
「いつもじゃないんですけど、線路の関係みたいです、よくわかんないですけど」
「そうなんですね・・・本当にすみませんでした、大丈夫ですか、足、痛くないですか?」
「大丈夫ですよ。気にしないで下さいね」

僕は気丈に答えたが、実はとても痛かった。
彼女のヒールが僕の足の真上をしっかりと捉えてしまったからだ。
だけど、「めっちゃ痛いですよ、どーにかしてくださいよ」なんて言えないだろ?


そして電車は僕の降りる駅に着き、僕は会社へと向かった、痛む足をかかえて。


P R
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:rurus_rurus
  • アイコン画像 性別:女性
読者になる
2009年10月
« 前の月    |    次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新コメント
アイコン画像六兵衛
再会2 (2010年06月03日)