3月17日、日本ヒューレット・パッカード(HP)が個人向けNetbookの新モデル「HP Mini 210」を発表した。従来の「HP Mini 110」の後継に当たるモデルで、すでに米国では先行して発表されていたものだ。
【拡大画像や他の画像】 【表:従来モデルとの主なスペック比較】 新モデルのポイントは、内部システムを前モデルのAtom N280+Intel 945GSE Expressから、最新世代のAtom N450+Intel NM10 Expressに変更したことと、ボディデザインを改めてスリム化したことにある。さらにキーボードはHP ProBookシリーズと同様の浮き石型(チクレットまたはアイソレーションタイプ)になり、タッチパッドもクリックボタン一体成形のクリックパッドに変更されるなど、細部まで気が配られているのが印象的だ。
●カラバリは1色でZEN-design“facet”を採用
さて、新モデルを手にして驚くのは、前モデルからグッとスリムになったボディだ。Mini 110は263(幅)×174(奥行き)×28〜33(高さ)ミリと厚みがあったが、Mini 210では268(幅)×179(奥行き)×23.5〜30.5(高さ)ミリと、最薄部が約4.5ミリもスリムになった。底面積は一回り大きくなり、重量も約1.18キロと20グラムほど増加したが、フラットな形状なのでサイズ以上に薄型化した印象だ。
おなじみのZEN-designは“facet”(フェシット)と呼ばれるもので、格子状のパターンが天面と底面にあしらわれている。カラーはシルバー基調の“白銅”で、前述のように米国でラインアップされているカラーバリエーションは用意されない。
新採用のボディは液晶ディスプレイ天面だけでなく底面もフラットで、ネジ穴などが一切ない美しい仕上がりだ。天面/底面ともに手の脂や指紋が付きにくいのもうれしいところ。さらに底面カバーは工具を使わずに取り外せ、1基あるメモリスロットや2.5インチHDD(Serial ATA)にも気軽にアクセス可能だ。見た目のデザインと優れたメンテナンス性を兼ね備えたボディとして評価したい。
●クリックボタン一体成型のパッドと浮き石型キーボードを新搭載
ボディだけでなく、一新されたキーボードやタッチパッドにも注目だ。まずキーボードは、同社のHP Pavilion Notebook PCやHP ProBookシリーズと同じアイソレーションタイプ(日本HPでは浮き石タイプと呼ぶ)に変わり、キーピッチも17.6ミリに微増(前モデルは17.5ミリ)した。キー自体は14ミリ×14ミリの正方形で、キーを強く押すとボディ中央部分が若干しなるが、カチャカチャという不快な音も発生しなかった。パームレストも52ミリあるので、小型ボディながら入力環境は悪くない。
ただ、最下段のキーピッチが14.5ミリとやや狭く、カーソルキーの上下キーが極端に小さくなっていること、デフォルトではファンクションキーが音量調節やメディアコントロールキーに割り当てられている(BIOSセットアップで切り替え可能)のは気になった。
一方、タッチパッドはクリックパッドと名付けられ、左右のクリックボタンがパッド一体成型になった。形状はアップルのMacBook/MacBook Proシリーズに採用されているものと同じタイプで、1〜3本指でのマルチタッチジェスチャーもサポートする。4本指での操作には非対応だが、パッドのサイズは78(横)×44(縦)ミリとワイドなため、ジェスチャー操作も比較的容易に行える。パッド上にクリックボタンを示すラインが引かれているが、これは蛇足なような気もする。
ユニークなのは、パッドの左上にパッドのオン/オフ機能が埋め込まれており、ここを押すとLEDランプがオレンジ色に点灯してパッド機能が利用できなくなる(クリックボタンも機能しない)。キー入力時などに重宝する機能であり、同社のこれまでのノートPCで採用され続けてきたパッドのオン/オフ機能が継続しているのは心憎い限りだ。
インタフェースは、配置こそ変更されたが従来モデルを踏襲している。左側面にDC入力、アナログRGB出力、排気口、HDDアクセスランプ、USB 2.0、マイク/ヘッドフォン端子が並び、右側面にSDHC対応SDメモリーカード/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード/MMC対応メモリカードスロット、電源ボタン、2基のUSB 2.0、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LAN、ケンジントンロックホールが用意される。
●液晶ディスプレイは光沢タイプに変更
LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイは、従来モデルと同じ10.1型ワイドだが、液晶前面にクリアパネルをはめ込んだ「ハードコート・クリスタルビュー・ディスプレイ」に切り替わった。これにより、液晶フレームとディスプレイ画面に段差がなくなり、液晶表面に傷が付きにくくなったが、画面への映り込みは目立つようになった。また、前ページで指摘したように画面解像度が1024×600ドットと狭いのも物足りない。視野角は上下方向はやや狭いが、左右方向は広いほうだ。
ACアダプタはサイズが40(幅)×93(奥行き)×28(高さ)ミリ、重量が210グラムと小ぶりだが、電源ケーブルはACアダプタとの接続が3ピンタイプで、ケーブル自体が太く携帯性はいまひとつだ。L字型のアダプタが製品に付属するので、持ち運びにはこちらを利用したい。
バッテリーは標準で3セル(容量は10.8ボルト 2455mAh)、オプションで大容量の6セルバッテリーが用意される。公称の駆動時間は3セルが約4.25時間、6セルが約9時間と前モデルから延びている。ただ、6セルバッテリーを装着するとバッテリーが底面に張り出し、キーボード面の傾斜がきつくなる点は注意したい。
●プラットフォームは一新したがパフォーマンスはNetbook
それでは、新モデルのパフォーマンスをベンチマークテストで検証しよう。
評価機のスペックは、CPUがAtom N450(1.66GHz)、メモリは1Gバイト(DDR2)、HDDは250Gバイト(7200rpm)、グラフィックスはAtom N450に統合されたIntel GMA 3150で、OSはWindows 7 Starterだ。なお、テストはいずれもアナログRGB出力経由で外部ディスプレイに接続した状態(1024×768ドット)で行っている。
プラットフォームがPine Trail(開発コード名)に改められたとはいえ、すでに多くのレビューで見てきた通り、性能はNetbookらしく地味なスコアにとどまる。とはいえ、Mini 110に比べて確実にパフォーマンスはアップしており、Webブラウズやメールの送受信で困ることはないだろう。
バッテリーの駆動時間は、海人氏作のBBench V1.01を使って計測した。設定条件は液晶ディスプレイの輝度を最高に、電源設定をポータブル/ラップトップにし、Web巡回(60秒間隔)とキーストローク出力(10秒間隔)をオンにしたところ、3セルバッテリーで約173分動作した(残量は6%)。常時持ち出して使うのには心もとないが、ちょっとした外出ならば対応可能だろう。
システムに高い負荷をかけると、キーボード左側がやや熱を帯びるものの37度前後で済み(室温は26.5度)、手の触れる部分で気になる発熱はない。ただ、底面左側が42度近くまで上昇したので、ヒザの上で使う場合は注意したい。また、負荷をかけ続けると左側面にある排気口からファンの風切り音が発生するが、通常のオフィス騒音に紛れるレベルだ(図書館や深夜の静かな部屋では耳障りに感じるかもしれない)。
冒頭でも触れた通り、国内では解像度が低いスタンダードモデルが先行して投入されたMini 210だが、高解像度版(HD Edition)やデザイナーズモデル(Vivienne Tam Edition)も順次追加されると思われる。これら上位モデルの発売時期は気になるところだが、本機の価格は4万9980円(HP Directplus価格)と発売当初から5万円を切っているのが大きな魅力だ。ボディデザインや入力インタフェースを一新することで完成度を高めており、HPの次世代ノートPCのスタンダードとなる要素が満載なのは間違いない。【田中宏昌(撮影:矢野渉)】
【4月18日17時32分配信
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