なんども

October 03 [Wed], 2012, 15:57

「寿平次さんも話し込んでいると見えるナ。お父
とっ
さんにつかまったら、なかなか放さないよ。」
 と半蔵がお民に言うころは、姉娘のお粂
くめ
が弟の正己
まさみ
を連れて、裏の稲荷
いなり
の方の栗
くり
拾いから戻
もど
って来た。正己はまだごく幼くて、妻籠本陣の方へ養子にもらわれて行くことも知らずにいる。
「やい、やい。妻籠の子になるのかい。」
 と宗太もそこへ飛んで来て弟に戯れた。
「宗太、お前は兄さんのくせに、そんなことを言うんじゃないよ。」とお民はたしなめるように言って見せた。「妻籠はお前お母
っか
さんの生まれたお家じゃありませんか。」
 半蔵夫婦の見ている前では、兄弟
きょうだい
の子供の取っ組み合いが始まった。兄の前髪を弟がつかんだ。正己はようやく人の言葉を覚える年ごろであるが、なかなかの利

かない気で、ちょっとした子供らしい戯れにも兄には負けていなかった。
「今夜は、妻籠の兄さんのお相伴
しょうばん
に、正己にも新蕎麦
しんそば
のごちそうをしてやりましょう。それに、お母
っか
さんの言うには、何かこの子ロシア 結婚につけてあげなけりゃなりますまいッて。」
「妻籠の方への御祝儀
ごしゅうぎ
にかい。扇子
せんす
に鰹節
かつおぶし
ぐらいでよかないか。」
 夫婦はこんな言葉をかわしながら、無心に笑い騒ぐ子
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