プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:rqoneuapqcwgdh
読者になる
2010年07月
« 前の月    |    次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Yapme!一覧
読者になる
【日本版コラム】パナソニックの大型蓄電池開発に続くのは?―環境ビジネスは「スマートハウス」にも / 2010年07月13日(火)
尾崎弘之・東京工科大学教授

 7月8日付日本経済新聞の一面に、「住宅、エネルギー自給型に:次世代送電網、弾み」と題した記事が掲載された。

 同記事によると、パナソニックは、2011年に、リチウムイオン電池、電力変換器、制御ソフトなどで構成された住宅用大型蓄電池システムを市場に投入する。これによって、家庭の太陽光発電器で作った電力を貯めて、夜間や雨天時に消費できる。また、同じ記事で、大和ハウスやシャープが出資する蓄電池メーカーのエリーパワー(東京都品川区)も、来年から家庭用蓄電池市場への参入予定と報じている。

家庭用太陽光発電の急成長

 前回、前々回のコラムで述べたとおり、昨年から日本でも固定価格買取制度(フィード・イン・タリフ:FIT)が導入されたため、住宅用太陽光発電が注目されている。FITだけではない。これに先立ち、2009年1月から住宅用の太陽光発電設置に対して1キロワットあたり7万円の補助金支給が国から開始され、現在も国や自治体で同様の制度が継続している。FITと補助金で、住宅用にダブルのインセンティブを貰えるのである。

 この影響で、国内での太陽電池の売れ行きが昨年から急速に伸びている。太陽光発電協会の資料によると、2009年の太陽電池出荷量は1.67ギガワットで、前年比48.9%も伸びている。また、国内出荷に限ると、2009年の出荷は623メガワットであり、前年比何と2.64倍に増えている。2008年までは輸出中心であったのが、昨年の輸出の伸びは18.3%に過ぎず、急速に国内市場シフトが進んでいることが分かる。

太陽光発電の欠点とそれを解決する蓄電池システム

 太陽光発電の普及のためのネックとして古くから指摘されていることは、曇りの日と夜間には発電できず、水力発電や火力発電のように機動的に出力を調整できないことである。したがって、発電した電力を家庭で貯めなければならない。

 現在はFITがあるので、家庭で発電して余った電力は電力会社が、1キロワット時あたり基本的に48円という高い値段で買い取ってくれるが、これは未来永劫続くわけではない。FITはクリーンエネルギー普及を後押しする制度なので、年数が経てば、買い取り単価が下がる仕組みになっている。そうであれば、将来FITの買い取り単価が下がれば、自宅で発電してそのまま使った方が経済的にもお得になる。

 これが、家庭用蓄電池が注目され、「エネルギー自給住宅」をメーカーが開発する背景である。

 しかしながら、エネルギー自給住宅は、太陽光パネルと蓄電池があれば良いというものではない。

 まず、太陽電池で作られた電気は直流(DC)だが、家電の大半は交流(AC)なので、DCをACに変換する機器が必要である。また、電力会社から供給される一般電力はACだが、パソコン、液晶テレビ、LED照明などはDCで動く。つまり、DCとACの間の変換ロスを最小限にするためのソフトも必要となる。

 今後、電力料金は時間ごとの需給関係によって機動的に変動するようになると予想されるが、その場合は、変換器とソフトの重要性が高まるだろう。

 このように、パナソニックの蓄電池システムはただの電池ではない。

家庭用蓄電池がコモディティ化したら次に何が起きるか?

 現在、家庭用蓄電池システム自体が目新しい。それは、これまで電池の技術開発は、主にパソコンと携帯電話向けであり、小型・軽量を目指して行われてきたからである。基本的に大型蓄電池の需要は大きくなかったのだが、現在、家庭、工場、オフィス向けの大型電池の市場成長が始まっているのである。

 ただ、近い将来大型蓄電池が汎用化されて値段が下がるとどうなるか。次に重要なことは、テレビ、空調、冷蔵庫、洗濯機、パソコン、オーディオ、燃料電池、給湯機などの家電機器をトータルで管理して、省エネ、二酸化炭素(CO2)排出削減を行うことである。

 電池による電気料節約で物足りなくなった消費者は、「家」全体の利便性を求めてくるだろう。

 そうなると、住宅メーカーの出番である。

トヨタ、積水ハウス、大和ハウスの「スマートハウス」進出

 6月9日付日本経済新聞は、「トヨタホームはトヨタグループ企業の技術を集約させ、『環境住宅』を共同開発」と報じている。

 デンソーの蓄電池システム、アイシン精機の燃料電池、豊田自動織機の電気自動車充電器、豊田合成のLED照明、トヨタ紡績の内装素材技術など、確かにトヨタグループには、環境住宅を作るために必要な技術や製品が多彩に揃っている。トヨタ自動車がグループの中心に座っているだけあって、電気自動車の充電システムを最初から想定していることが、トヨタグループらしい。

 トヨタホーム以外に、積水ハウス、大和ハススといった大手住宅メーカーが、こぞって環境住宅の開発に力を入れている。

スマートハウスとは

 環境住宅は最近「スマートハウス」と呼ばれることもあるが、これは「ホーム・エネルギー・マネジメントシステム」(HEMS)が基となっており、実は以前からあった考え方である。

 HEMSは通信技術の発展とともに進化してきたが、インターネットを介して、省エネ以外に、ショッピング、エンターテインメント、情報サービスが提供されるようになった。これからのスマートハウスは、管理用サーバーを通して、電力会社、ガス会社、家電メーカー、警備会社、住宅設備機器メーカーから様々なサービスが提供されるようになるだろう。

 また、スマートハウスは、パソコンや携帯電話のように「サービスを利用するインフラ」として位置付けられている。日本のスマートグリッドの実証試験は、現状では電力会社が、電力消費を即時にモニターできる「スマートメーター」を家庭に配布する程度だが、その先には、現在では想像できないような多様な住宅サービスが待っているということである。

 家庭用太陽光発電の普及が大型蓄電池の開発を促し、さらに停滞していたHEMSをスマートハウスとして活性化させるというこの事例は、私が拙書「次世代環境ビジネス」で指摘している「環境ビジネスによる上流(エネルギー)、中流(蓄電池)、下流(住宅)の融合」の一例である。

日本はスマートハウス市場で成長できるか?

 環境住宅やスマートハウスの分野で、日本の住宅、家電メーカーは世界トップレベルにいることは間違いない。日本企業は国内だけでなく、世界市場で成長できるのだろうか?

 ある大手住宅メーカーの役員に、この質問をしたところ、次のような返答を得た。

 「確かに、我々はスマートハウスで世界一になりたいです。そのためには、家電の規格や技術プラットフォームを統一しなければなりません。しかし、家電メーカーの皆さんと集まって、この問題を議論すると、各社バラバラに自説を主張されてまとまらないんですよ。海外進出どころか、国内も危ないな・・・」

 どうやら、ここでも「ガラパゴス現象」が起き始めているようだ。サムソン、LG、または中国メーカーにこの市場を席巻されなければ良いのだが。

【7月12日13時53分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100712-00000013-wsj-bus_all
 
   
Posted at 06:15/ この記事のURL
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
 
 
Powered by yaplog!