やわらかな夜 

2005年04月26日(火) 23時58分
しばらく温和な日々は続き、毎日が過ぎていった。


そしてあたしの誕生日−
永とご飯に行き、ホテルに行く。
伊織と克也に子供を頼んでふたりでデェトをした。


永とつきあいだしてからというもの、感情が動いている感覚が
とても心地よくて、つい、あたしは剥き出しの自分を見せる。
弱さも甘えも、何もかも、永に預けていた。
共に生活をしながら自分を見失う感覚に溺れるとでもいうんだろうか
今までにない自分がそこにいた。

それが錯覚かもしれないということにも気づいていたというのに
酔うことに快感すら覚える。


じゃれあってあたしは永のお腹にキスをして、そして、そこに顔をうずめる。
きちんとついた筋肉だけではない、唯一の柔らかい場所に、あたしはほっと息をついた。
そして、自分の身体に相手を沈める。


セックスは最高のスキンシップだとあたしは思った。
そして、身体が柔らかい分、あたしは相手の下でどんな形にもなる。

ここで心が柔らかかったら、相手のどんな刺も言葉も吸収しちゃうんだろうな−

そんなことを感じながら。


永のそれはあたしにちょうどよく膨らんであたしの中で収まる。
相性がいいとかわるいとか以前に、ぴったりだと思った。
単純にすばらしいこと−
最初に抱かれた時から今と違うことは


−いそいで現実を呼び戻さなくてもいい−


それはあたしにとって、とても大切なことだった。


シャワーの前に立つと、永が後から片手であたしのお腹を包み、片手で栓をひねる。
きゅっという音に少しだけ我に返る。
湯煙が立ち昇り、しばらくうしろから抱きしめられたまま湿り気を帯びた空気の中で
永の感触を背中で受け入れた。


バスタブにつかり、静かになる。



きっと外はまあるい月が出ているだろう。

もうすぐ満月だ−

湯の中で滑らかに動きながら、
天井を仰いで目を閉じている永の上にすべり込んだ。

正気と狂気のあいだ 

2005年04月27日(水) 0時02分
誕生日から3日が過ぎ、些細なことから口論になった。

あたしは、トラウマからか相手が感情的になると全てを遮断してしまう癖がある。
そして永は相手が閉鎖すると感情にブレーキをかけなくなる。

その日は口論からあたしは遮断してしまった。


誕生日にあんなにしあわせな気分だったというのに
いったい、なんなんだろうと矛盾を感じながら−


『もういいよ』

そばでまくしたてる永から心を遮断し、
そして、布団に入ってあたしは永に背を向けた。
罵声が次から次へと投げられる。容赦なく。
そして、僅かな沈黙の後、自分が何か引き戻され
部屋の天井を仰いだ瞬間、右と左のあごに何かがぶつかる。
大きく目を開けたまま、あたしは状況を把握するのに必死だった。
あたしに覆い被さって、手を握りしめ、ななめにあたしを見下ろす永がそこにいた。



くらくらする頭を支えながらあたしはゆっくり起き上がる。

そして我に返り、急いでドアを開けようとした。
永が髪と腕を引っ張り、あたしの身動きを必死に防いだ。

気づいたら何かしら悲鳴みたいなものをあげていたんだろう。
向こうの部屋から伊織と克也が飛び出してくる。
這いながらリビングまで行き、あたしは伊織に引き寄せられキッチンに横たわる。
そこからは意識が薄れ、あたしは意識を失ってしまった。

克也が永のところに大きな声をあげて行くのがぼんやりとした中で聞こえる。

罵声と罵声がぶつかりあっていた。永と克也の声だった。


そして隔離されるかのように意識をうしなう。




誰かがあたしの頬をなでていた。
時折冷たいタオルをあてながら−

そして、ぽたぽたとしずくが顔に落ちる。
ぼうっとした意識の中で目を開けることもなく、それが永なんだとすぐに分かった。


−泣いてる


何かを言おうにも、うめき声しか出なかった。
きっと顔は、口が開かない程に腫れているんだろう。
唇の上に永の唇がおりてきた。

『仕事、行ってくる』

聞こえないような小さな声でそう言った後、玄関のドアが静かに閉まる音がした。
そして、あたしはもうろうとしながら、ゆっくり眠りについた。



昨日の夜は満月だったんだろう−
月が何かを狂わせたんだ。

きっとそうなんだ。

そう思いたかった。

トラウマ 

2005年04月27日(水) 22時47分
朝、目が覚めると伊織が仕事に行く準備でバタバタしていた。

永と眠る部屋ではなく、伊織と克也の部屋の隣で、ひとりで寝ていた分
レースのみのカーテンから朝の眩しすぎる陽射しがあたしを照らす。


『いたた…』

夢じゃない。
確かにあたしの顔は腫れあがっている。


もそもそと動くあたしに克也が声をかけてきた。

『病院いく?連れてくよ』
ややあって
『うん、口が開かないから、うまくしゃべれないんだ』
克也は、ひどい腫れだなと歪めた表情であたしを見た。
哀れみは含んでいない、単純に痛々しい眼で−。


大きな病院に車で乗りつけたものの
お見舞いだけで、診察はしていなかったが
以前、行ったことのある外科に行って見てもらった。
克也がお茶を買ってきてくれたが、うまく飲めない−


『俺がやったと思われてんかな』

克也がおろおろしていたので

『いや、そんなことないでしょ』

と、内心−そうかもしれないな−と思いつつ言葉を返した。



レントゲンと先生の診察と長い時間そこにいた。
酔っ払いに店で殴られたと理由をむりやり持ってきて
診察は終わり、なぜか診断書を出された。

親にも同じ説明をして、とりあえず事は波が立たぬようもみ消した。



そしてメールが入る−

レスはしなかった。


殴られるということは初めてじゃない。
むしろ慣れているというのもおかしいが
あたしの心はもう麻痺してしまっていて、閉ざすというよりも眠ってしまった。
拒絶の裏返しなんだろう。
夕暮れ時まで『それなり』に過ごした。


煙草と携帯とひとりの時間−
他人から見れば刺激のない生活でも
あたしにはそれが最もしあわせなことだと自負していた。


−自分の不安を他人に押しつけている−


そう言われたことがあったのを、ふと思い出し

あたしはいつもの喫茶店に向かった。

二時という時間 

2005年04月27日(水) 22時54分
店に入ると珈琲のいい薫りがした。

ちょうどマスターは客もいない時間でピアノを弾いている。
ショパンのピアノソロだ。

『間違いまくってるよ』
ぼそっと、あたしが云うと
『難しいんですよ、これ』
苦笑いを浮かべながら眼鏡に手をやる。


『…その顔、どうしたの?』
ややあって
『ん。こんなんじゃ嫁にも行けないや』
笑いながらあたしが云うと、マスターは
『何度いくんですか』
と、さらに苦笑いを浮かべた。
『ん、惚れた数だけ』
淡々とあたしは言い返した。


そして、カウンターにふてくされた顔で座る。



この2時という時間はとてもいい。
店に客もいない、外を眺めながら何かを考えるわけでもなく、ぼうっとする。

アイビーにていねいに水をやるマスター。
水滴がぽとぽとと落ちて葉が、ぴんとはねる。
喫茶店で時間を買う、けれどもこの2時という時間を買うのが
いちばんの贅沢なんだとあたしは思うのだった。


そして、ゆっくりとした時間を、たっぷりと買い
あたしは家にかえることにした。



家に帰ると伊織がいた。


『仕事いくの?』
ややあって
『行くってもなあ…この顔じゃあなあ』
煙草を消しながら、うつむき煙をはいたあと伊織は
『ううん。どうする?』
とたずねてきた。
『行こうかな、今日は誰が来るってわけでもないし』
煙草を取り出し、あたしは火をつけた。
『うん、じゃ、子供は伊織がお風呂に入れるよ』
立ち上がってバスタオルを取り出す。
『了解』
あたしは夕飯の支度をすることにした。



しかし痛い−



ここまでされるほどのことだったのかどうなのか
あたしは永を思い出した。
夕飯は食欲はあるもののほとんど食べることができないまま
あたしは仕事に行く準備をした。

化粧をしているとこんなことも意味がないんじゃないかと半ばおかしくなる。
鏡を見て、そのいびつな顔の形にブラシを乗せたりチップを乗せたりしていくうちに
『すこしは』見れた顔になった。



赤いファーのジャケットに腕を滑らせ、ショール片手に家を出る。

髪の毛はアップせずにまっすぐおろしていた。

脆い強さと切ない意地 

2005年04月27日(水) 22時59分
自分の感情が麻痺してしまっていること。
そして、心の中で線をひけないことに矛盾を感じていた。

どうしても永を責める気持ちにはなれなかった。



脆い強さと切ない意地−



昔からそうだ。
意地を張ることで自分を支えてきたんだろう。

永も同じなんだと思った。
永は相手を追いつめることで自分を支えようとする。


似て否なりとは、きっとこのことなんだと。



仕事はあっさりしたものだった。
店に永が来たが、一言も会話のないまま、時間だけが過ぎた。
そして、家に帰る。


部屋に入ると、いつもの匂いがした。
あたしと永の匂いが混じった、柔らかい生活の匂い−
それがなぜか神経にさわる。
風呂に入ることをやめ、シャワーを浴び、寝る前に薬を飲んで
あたしは、掛けふとんの上にあおむけになって寝転んだ。



音がない−



伊織も克也も、そして子供達も寝てしまったんだろう。
耳が静けさに慣れるうちに、秒針が時間を細かく刻む音が聞こえてくる。



病みつづけるあたしに陽は出ない。
影が闇になる。

闇を纏ったあたしの眼に月は見えなかった。

いびつな夜 

2005年04月27日(水) 23時01分
永からのメェル。



永は携帯依存症だとあたしは思う。
淋しさは人を何かに依存させるんだろう。
こういう時は、向き合って話すべきなのに、メェルで片づけようとする。
それがあたしには不満だった。


そして、感化されて自分もそうなっていることに
少し情けない気分になった。



永はそれに気づいているんだろうか−



ふとそんなことを思って、あたしは起き上がり少し遠くに目をやって
部屋を出て、キッチンに行った。

思いついたように部屋に戻り、着替えて携帯を玄関に置いて靴を履く。



夜中の2時−



散歩に行くのがあたしの習慣だったが
永とつきあいだしてからは、ほとんど行っていない。
こんな胸が静かな日は行ってみるのもいいかもしれないと、あたしは外に出た。
静まりかえった公園は、木々が風を受け流しているざわめきだけで
全てが眠ってしまっていて、とても空虚で儚い場所だった。
ブランコに腰かけ、煙草を吸いながら、じっと前を見ていると

自分がその夜の深みに同調しているのが実感できる。



誰かが昔、あたしに言った。



−君は夜を胸の中で飼っている−と。



小雨がぱらついてきた。
あたしは夜空を仰いで目を閉じる。



−誰だって夜は胸の中にあるんじゃないかな−



雨をまぶたで受けながらあたしはそう思う。

立ち上がり、自販機までゆっくり歩いた。

雨の日は好きじゃない。



0時に来なかったあの人も−
泣きながら帰ったあの日も−
ベンチに座り込んだあの公園も−



想いが止まる日は必ずと言っていいほど雨が降る。
静かにゆっくりと何もかもを浸していく闇の中で。



明日は『マリナ』に行こう。
マスターに会いたい気分だった。



いびつな月に半分くらい雲がかかっている。
きっと明日も雨なんだろう。

依存症 

2005年04月27日(水) 23時03分
家に帰ってしばらく眠れないでいると、永が来た。

あたしがふとんの中、永は廊下にぺたんと座り込む。


『俺、やっぱり病んでるよな…』

廊下に座り込んで、うつむきながら永が口を開けた。


『うん、そうね。そしてあたしも』

自分もどこかが病んでるのは間違いなかった。

形や、深さは違っても、みんなどこかが病んでいるんだろう。



やや重たい口を開けて

『けど、全部ひっくるめて自分なんだよ、そう思う。』

永は少し遠くを見つめながら
『そう…かもな』と呟いた。



痛みは、受けた側よりも与えた側の方が残るとあたしは思っていた。
身体にせよ精神にせよ
後々、与えた方が自分で自分の首を締めるということも知っていた。
それだけに永は今、複雑な想いなんだろうと思った。
そして痛みを知らないことが、さらに誰かに痛みを与えてしまうということも−



『いいよ、もう。顔に損傷がないというか、腫れは治るから』

永は黙っていた。その言葉の意味を理解できていなかったんだろうか。

『寝るぞ、そんなとこに座ってないで、風呂入っておいで』
永はうつむいたまま『ごめん』と言葉にした。


メールで段階を踏んで、最後の詰めだけ向き合って謝る−
あたしは、それがとても卑怯なことだと思ったが
それよりも『許す』とは少し違う『流す』自分に嫌気がさす。



ここのところちゃんとした睡眠をとっていない。
身体が眠りを欲しがっているのか、少し熱を帯びていた。
意識が薄れていく中で、永があたしの顔に頬を寄せて軽くキスをした。

『おやすみ』
痛みに対して不感症になっていく自分。
それでも、自分が癒される相手は『永』なんだという矛盾に
絶望的な孤独を覚えた。




胸の中でうごめく夜−
満ちては欠ける月。


ここのところ下弦の月は見ていない。

くちびる 

2005年04月27日(水) 23時05分
顔の腫れは少しずつひいていた。

ご飯を食べるとき
一緒にお風呂に入る時
そして眠りにつきながら見つめあう時−
永はとても哀しい眼をした。


傷を受けたのは自分なのに、永の胸の痛みが解る分
あたしにはそれがとても辛いことだった。


大きな手で、あたしの頬を撫でる。

傷を受けた相手に癒されることがいちばんなのだと思わず涙が出た。



眠りにおちるあいだ、永があたしを見ているのが分かる。


胸の中に住みついた夜に朝が来る−
そう信じたかった。
つないだ手に何かがつたって体の中に流れ落ちる。



手をつなぐというのはとてもいいことだと思う。
歩くとき
しあわせなとき
かなしいとき
眠る時
それだけで何かを確認できる。
唇が触れ合うように、手も相手を確認する大切なことだということ。



永とはメェルで知り合った。
とても、刹那で空虚で、あたしが永に抱いた印象は、はじめそうだった。
永も同じものをあたしの中に見ていたのかもしれない。
けれども、刹那に生きながらも、求めているものが同じものだと感じた。

まるで不安定を求めるかのような衝動。


そして、『会ってみたい』と思った。
雨の日−
10月17日−
水曜日−
客が誰もいなかった日。
永は店に来た。



大事に使い込まれたブラスのジッポとセブンスター。
初対面なのに、あたしが頼んだハイライト片手に永は店に来た。
あたしが築いた砂の上の城は、その日にはじめて意味を持つ。

何度か店に来て、ある日、永とあたし以外誰もいない店で
あたしは、その時の彼との憂鬱な毎日で眠れなかったことから
永の隣で眠ってしまった。
うつらうつらの中で永があたしがキスをした。


唇はあたしの身体の中で一番大切な場所だ。
唇は、言葉を生み、物を食べ、呼吸をする。
そして、触れることで想いを流し、愛撫し、息をもらす。
突然の永のキスは、あたしに想いを流し込んだ。
想いをさらわれるのに時間は関係ない−
『好きだ』
永はそう言った。
朝まで永と過ごし、家に帰るまでの間あたしはまっしろだった。
からっぽではなくなっていた。

必要とされているのに満ちることのない心−
愛されなかったことへの痛み−
荒み続ける自分−
何かがあたしのなかではじけて目を覚ます。



あたしは恋におちた。



朝焼けの中、光を放たず薄れゆく月。
切ないほどの錯覚。

しあわせへの疑問 

2005年04月27日(水) 23時07分
永は毎日のように店に来た。
そして、あたしの想いはていねいに永を縁取っていく。
三日月のように、滑らかな弧を描いて。


永はあたしの身体を気遣ってくれた。
関係を持たぬまま、唇と手と、抱擁だけで想いを確認する。
度重なる子宮の出血と、通院で滅入るあたしの気持ちを癒してくれる唯一の相手だった。


そして、かたくなに閉ざしたあたしの心はゆっくりと静かに音を立てて、開く。


『好きとは違う気がする。愛してるんだと思う。』


何度か抱かれた時、そう言うと、永は驚いた顔をした。



その後永の幼なじみ『克也』とあたしの幼なじみ『伊織』がつきあうことになり
4人で出かけたり、子供を連れて8人で出かけたり、あたしの生活は全くかたちを変えていった。



永といる時間も
永がいない時間も
関係なく、あたしは永だけのものになる。
それがとても心地よかった。


そう−しあわせそのものだった。



しあわせに僅かな疑問を抱えながら、気づかない−ふり−をして

電車に揺られてマリナに行くことにした。

厚みのある扉を開けて、あたしは店に入る。
『マリナ・ベイジル』に行くとマスターはいつものように変わりなくマスターはそこにいた。
カウンターの奥の席に座り、本を読んで眼鏡を少しずらして
あたしを見た後、立ち上がってカウンターの中に入った。

きれいな透明のいびつなかたちをした灰皿をあたしの前に置き

読みかけの本に栞を挟んで、棚の上に置いた。

月を抱く女 

2005年04月27日(水) 23時10分
『しなやかにやってるか?』

ぶっきらぼうにマスターが言う。
その言葉に温かみを含んでいることがあたしには分かった。


『うん、しなやかに…いや、どうだろう。』
あたしがそう言うと−そうか−と低くうなずいて、紅茶を煎れはじめる。


『好きなひとができたよ』
煙草に火をつけながら言うとマスターは少し驚いたような顔をして
そして、大声で笑った。


『そうか、お前も変わったな。かわいい女やってるんじゃねぇか』
吸い込んだ煙でむせたあたしは−まあね−とつけたした。


『もう胸の中で夜を飼うな』
マスターは、ほら、とあたしにマッチを投げた。
女の人が月を抱いてる絵が描かれたマッチ−
『やるよ、好きだろ、そういうの』
うん、とあたしは『それ』を鞄の中に入れ、出された紅茶をひとくち飲んだ。



『店、やろうかな。こんな感じの店も好きだけど、自分が行きたい店』
マスターはゆっくりグラスを磨きながら
『いや、お前さんは猫だからな、まず野良猫やめて家猫になるんだな』



あたしは目を横にして、何かを思うふりをして

『ん〜…だな。納得。』

とうなずいて、マスターを見た。


ハイライトの匂いがたちこめる、店−
ハイライトは同じものなのに、マスターのハイライトはとても渋く映える。
少し、それがうらやましかった。

家からこの店は遠かったが
電車に揺られて来るだけの価値はあると常にあたしは思っていた。
そして帰るときも、まるで家が近くのように億劫にもならず。
『やるよ、店やる』
立ち上がって、ジャケットに腕を通しながらあたしはひとりごとのように言った。
『そうやって、お前さんはなんでも簡単に言うんだな』
ややあって
『まあ、お前さんはその分、人一倍考えるからな。行動もするし』
立ち止まるあたしはマスターに笑いかけて店を出た。



夕陽に染まる空。
緋色した空気と、それと同調するあたしの想い。



想いはやがて形になる。
根拠なく、いつもあたしは思うのだった−
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