本当は翼すらもない、堕天使でした。 

August 16 [Wed], 2006, 20:47
トミカって小さい頃から人見知りが激しかった。
大人には異常な程の警戒心を払っていた。

「大人はなんでも知ってるんだよ」

と、ある男に言われた。
トミカはそのときまだ5つにもなってなかった。
大人なんて一生信用してやるものか、と決意したことを今でも覚えてる。



小学5年生のとき、クラスで詩の発表会をした。

「大人はなぜ嘘を言うのだろう。
 大人はなぜお世辞を言うのだろう。
 大人はなぜ汚いことを平気でするのだろう。」

そんな詩を、クラスメイト全員の前で発表した。
担任は言った。

「世の大人がお世辞を言うのは確かだ。
 でも僕は君たちにお世辞を言ったことは1度もない」

このとんでもなく、自分を美化した教師が好きじゃない。今でも。
だけど演技が大好きだったトミカは、先生の前でいいこぶりっこを演じ続けた。
案の定、トミカは先生のお気に入りの生徒になった。
全校生徒の前で作文を読ませてもらえたり、学級委員にもさせてもらえた。

なんだ、結局この男、自分の言ったようにうごいてくれる生徒が好きなんだ。
面白いな。
こんなバカバカしい小学生の演技に騙されちゃって。


トミカは表向きは優等生だった。
テストはいつも満点。掃除もサボらない。学級委員長。
先生からの評判もいい。学芸会では主要な役を演じる。友達もたくさんいた。

だけど、異常なまでに妄想・空想が激しかった。

被 害 妄 想 。

どうしてもとまらない。ありもしないことを妄想しては、人を妬み、嫌う、最悪の12歳。
好きな男の子がいた。でもその人はトミカの友達と仲がよかった。
その友達のキョーコちゃんは、誰からも好かれてた。
運動も、テストも、友達も、愛嬌も、全てにおいてトミカより優れてた。

悔しかった。負けたくなかった。
キョーコが困ってる顔を見てやりたいと思った。

気がつくと、トミカは彼女の運動帽子を隠していた。靴を隠していた。
いつも、やってから、目が覚める。

ナ ニ シ テ ン ノ 、 ア タ シ 。

涙の味。 

August 17 [Thu], 2006, 5:22
部活ではなんとなく物足りなさを感じ。
学校では校則の窮屈さ、クラスメイトの幼稚さに嫌気がさしていた。
クラスでもほとんど友達と呼べる友達をつくらなかった。

仲のいい子は、キョーコだった。

そのときはもう、嫉妬や憎悪なんてものはなく、普通にキョーコと付き合っていた。
だけど、どう考えてもキョーコとトミカは違う人間。
明るく社交的でなんでもできて、成績もいつもトミカより1ランク上の場所にいるキョーコ。
嫉妬とは違った。ただ羨ましくて。

なんで自分にはないのだろうと、涙が出た。

キョーコは吹奏楽部で、いつも昼休みになると練習に参加しに行ったり、
保健委員の仕事で保健室に行っていた。

自動的に、昼休みはいつも、トミカは1人で過ごしていた。

教室の片隅でメモ帳を取り出す。可愛い可愛いイチゴちゃんの。
手紙を書く。宛名はキョーコ。
女の子の間で流行っていた、手紙の交換。
そう、手紙さえ書いていれば「友達がいない」とは周りに思われないだろう。


手紙はいつも、絶望の中で書かれた。

幼稚で、集団じゃないと何もできない子どもと友達になんかなりたくない。

偉そうなトミカは、そのとき、1番のこどもだった。


ふと、あるときから。
朝、学校に行く前に、激しい腹痛と吐き気に襲われるようになる。
12歳だった。
P R
2006年08月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:rosyandrosy
読者になる
Yapme!一覧
読者になる