夕暮れ。
2012年02月11日(土) 17時08分
「ヒロ、お菓子買ってあげるから一緒に行こう」
あれはいくつくらいの事だろうか。
そう、あの日はギラギラに暑かった。
まるで太陽は生きていて、夏という季節の到来を喜んでいるような日だった。
幼稚園の年長さんだったろうか。
屋上にあるプールで、水泳というか水遊びというか、そーゆー時間だった。
一通りハシャギ倒した俺は、プールサイドに腰掛けて、入道雲をぼぉ〜っと眺めていた。
真っ白で大きく、強そうな入道雲だ。
当時、雲の上には何かいると信じていた。
「きっと人間とは違う、何らかの生物が住んでいるはずだ」っと思っていた。
そして大人になったら飛行機に乗って、絶対に行ってやる!
そう思っていた。
そうこう妄想を膨らませているうちに、その日の幼稚園が終わった。
異変が起きたのは家に着いてからだった。
いつものように暑い屋内を避け、ベランダに走った。
さあ寝っ転がるぜっとなった時、身体中に激しい痒みが襲った。
「痒い痒い!」
俺は経験した事のない未知の痒みに、全身を掻きまくった。
恐る恐る体を見てみると、イボのような出来物がプツプツと身体中に出来ていた。
「なんだこりゃ!」
虫に刺されたのとは違う、汗疹とも違う、子供には理解出来ないイボ。
恐怖が襲った。
俺はとりあえず母親にこの事態を話した。
「明日治ってなければ医者に行こう」
っとアバウトな答えを母親は出した。
まあしかし、寝て起きれば治っているだろうくらいに思っていた。
しかし次の日の朝。
事態は思わぬ方向へ転んだ。
昨日よりも出来物が増えているではないか!
増殖したイボを掻きながら、母親に皮膚科へと連れていかれた。
しばし診察した後、医者が口を開いた。
「水イボですね」
どうやら子供が感染しやすいウイルス性の皮膚病らしく、幼稚園のプールでうつされたようだ。
一通り母親に病状を説明した医者が、もう一つ口を開いた。
「いま飲み薬が切れてしまってますので、ピンセットでイボを直接取りましょう」
「っへ!?!?!?!?」
意味がわからない。
このイボを?直接?麻酔も無しに?そのいかついピンセットで?
引きちぎるだと?!
馬鹿かてめえは!
その前にメスでお前の鼻の穴を1つにまとめて、そのくせえ口にアカチン突っ込んで除菌してやんぜコラッジジイ!
っと思ったが子供の力では反撃も出来ず、恐怖で逃げ出した俺だったが、助手の女性に取り押さえられた。
恐ろしい。
テレビ映画で以前見た、拷問のシーンを思い出した。
そうこうしてるうちに、医者はピンセットでイボをむしりだした。
「っつ!!!!!」
今までに体験したことのない痛みが走った。
今でもあの痛みは覚えている。
それほどまでに強烈な痛みだった。
イボを取り終え、泣きながら家に着いたのは夕暮れ時だった。
次の日から、俺の徹底抗戦が始まった。
一度取ったからといって、水イボは無くなるわけではない。
次から次へと水イボはまた出てくるのだ。
医者にイボの取り方を教わった母親は、イボを取ろうとしてくる。
俺は必死で程度した。
「もうあの痛みは嫌だ!」
ある日から、抵抗の甲斐あってか、母親はイボを取るのを諦めたかのようだった。
俺は勝利と幸福時間をカルピスで乾杯した。
そんなある日の夕暮れ時。
五歳年上の兄が声をかけてきた。
「ヒロ、お菓子買ってあげるから一緒に行こう」
珍しいことである。
とゆーよりも、初めての出来事であったかもしれない。
当時は町に駄菓子屋さんがいくつもあった。
俺は喜び、兄の自転車の後ろに飛び乗った。
しかし着いた先は、希望に満ちた駄菓子屋ではなく。
絶望に溢れた、あの皮膚科の病院であった。
母に頼まれた兄は、駄菓子買ってあげるという罠にはめ、俺を地獄の皮膚科へと連れてきたのだ。
そう、甘い言葉に騙されてしまったのだ。
お菓子だけに。
その後の事は、あまり覚えていない。
あれ以来、俺は病院に行かなくなった。
どんなに大ケガをしようが、頑なに病院には行かない。
病院=恐ろしい場所。
それは子供の脳裏に刻まれた。
そしてあれ以来、甘い言葉にも気を付けている。
世の中そんなに甘くない。
子供の脳裏に刻まれた。
「ヒロ、お菓子買ってあげるから一緒に行こう」
ちーん。
あれはいくつくらいの事だろうか。
そう、あの日はギラギラに暑かった。
まるで太陽は生きていて、夏という季節の到来を喜んでいるような日だった。
幼稚園の年長さんだったろうか。
屋上にあるプールで、水泳というか水遊びというか、そーゆー時間だった。
一通りハシャギ倒した俺は、プールサイドに腰掛けて、入道雲をぼぉ〜っと眺めていた。
真っ白で大きく、強そうな入道雲だ。
当時、雲の上には何かいると信じていた。
「きっと人間とは違う、何らかの生物が住んでいるはずだ」っと思っていた。
そして大人になったら飛行機に乗って、絶対に行ってやる!
そう思っていた。
そうこう妄想を膨らませているうちに、その日の幼稚園が終わった。
異変が起きたのは家に着いてからだった。
いつものように暑い屋内を避け、ベランダに走った。
さあ寝っ転がるぜっとなった時、身体中に激しい痒みが襲った。
「痒い痒い!」
俺は経験した事のない未知の痒みに、全身を掻きまくった。
恐る恐る体を見てみると、イボのような出来物がプツプツと身体中に出来ていた。
「なんだこりゃ!」
虫に刺されたのとは違う、汗疹とも違う、子供には理解出来ないイボ。
恐怖が襲った。
俺はとりあえず母親にこの事態を話した。
「明日治ってなければ医者に行こう」
っとアバウトな答えを母親は出した。
まあしかし、寝て起きれば治っているだろうくらいに思っていた。
しかし次の日の朝。
事態は思わぬ方向へ転んだ。
昨日よりも出来物が増えているではないか!
増殖したイボを掻きながら、母親に皮膚科へと連れていかれた。
しばし診察した後、医者が口を開いた。
「水イボですね」
どうやら子供が感染しやすいウイルス性の皮膚病らしく、幼稚園のプールでうつされたようだ。
一通り母親に病状を説明した医者が、もう一つ口を開いた。
「いま飲み薬が切れてしまってますので、ピンセットでイボを直接取りましょう」
「っへ!?!?!?!?」
意味がわからない。
このイボを?直接?麻酔も無しに?そのいかついピンセットで?
引きちぎるだと?!
馬鹿かてめえは!
その前にメスでお前の鼻の穴を1つにまとめて、そのくせえ口にアカチン突っ込んで除菌してやんぜコラッジジイ!
っと思ったが子供の力では反撃も出来ず、恐怖で逃げ出した俺だったが、助手の女性に取り押さえられた。
恐ろしい。
テレビ映画で以前見た、拷問のシーンを思い出した。
そうこうしてるうちに、医者はピンセットでイボをむしりだした。
「っつ!!!!!」
今までに体験したことのない痛みが走った。
今でもあの痛みは覚えている。
それほどまでに強烈な痛みだった。
イボを取り終え、泣きながら家に着いたのは夕暮れ時だった。
次の日から、俺の徹底抗戦が始まった。
一度取ったからといって、水イボは無くなるわけではない。
次から次へと水イボはまた出てくるのだ。
医者にイボの取り方を教わった母親は、イボを取ろうとしてくる。
俺は必死で程度した。
「もうあの痛みは嫌だ!」
ある日から、抵抗の甲斐あってか、母親はイボを取るのを諦めたかのようだった。
俺は勝利と幸福時間をカルピスで乾杯した。
そんなある日の夕暮れ時。
五歳年上の兄が声をかけてきた。
「ヒロ、お菓子買ってあげるから一緒に行こう」
珍しいことである。
とゆーよりも、初めての出来事であったかもしれない。
当時は町に駄菓子屋さんがいくつもあった。
俺は喜び、兄の自転車の後ろに飛び乗った。
しかし着いた先は、希望に満ちた駄菓子屋ではなく。
絶望に溢れた、あの皮膚科の病院であった。
母に頼まれた兄は、駄菓子買ってあげるという罠にはめ、俺を地獄の皮膚科へと連れてきたのだ。
そう、甘い言葉に騙されてしまったのだ。
お菓子だけに。
その後の事は、あまり覚えていない。
あれ以来、俺は病院に行かなくなった。
どんなに大ケガをしようが、頑なに病院には行かない。
病院=恐ろしい場所。
それは子供の脳裏に刻まれた。
そしてあれ以来、甘い言葉にも気を付けている。
世の中そんなに甘くない。
子供の脳裏に刻まれた。
「ヒロ、お菓子買ってあげるから一緒に行こう」
ちーん。
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