「非モテ」と「女子力」

April 28 [Sat], 2007, 1:34
たまにフェミニストを自称する人の中に、自分はモテない女だ、とか、わざわざいう人がいるけど、あれってどうなんだろう。


例えば、「非モテ」を自称するくせに、自分の書く文章の中に自分とパートナーとの話をしょっちゅう書くような自称「フェミ」への不快感、とか。。とりあえず先日友人とそんな話になった。

自称「非モテ」フェミの皆さんはおそらく、現在のジェンダーのあり方、男にもてるための「女らしさ」「女としての力」は自分にはなく、それによる恩恵を被っていませんよ、そしてそれらを得る努力(=媚を売る)なんてこともさらさらする気はありませんよ、という意味あいで、「非モテ」を自称しているんだと思う。私だって、どっちかを自称しろと言われたら、もちろん「非モテ」を自称すると思う。


あと、「負け犬」と名乗ることで、30代、非婚、子なしという、世間から肩身の狭い思いをする女性たちが「それで何が悪い」と開き直る楽さを手に入れたように、モテるための「女性としての価値」が低いことを揶揄される前に、自分から開き直って「モテない」と言ってしまったほうが楽なこともわかる。そういう戦略もアリだと思う。


ただ、デブと指摘される前に「私デブだから…」と先手を打っておく際、客観的に見てその人より太い人、あるいはその人より太いと自分で思ってる人が、「あの人で『デブ』だったら私はいったい…」と傷つくことだってしばしばあると思う。オンナ性を茶化したドラァグクインのパフォーマンスが、時として現実に女ジェンダーを生きる「女」たちに不快な思いをさせることだってある。


そんな思いが、「パートナーがいるくせにモテないとかうそぶくな!」「その程度でデブとか言うな!」とかで、せっかくの戦略を、女同士の不毛な対立に帰結させてしまうのなら、すごく残念なことだと思う。


考えてみたら、「モテる」、「モテない」、というのは(今へテロの話をしているとして)、「非モテ」を自称するフェミがもっとも憎んでよいはずのジェンダー的価値観によるレッテル貼りと格付けを意味してるはず。表面的には、コミュニケーション能力だとか、内面は外面の美しさに現れる、とか、人をいたわる心遣いが大切、とかいいながら、男性の「モテるため」には、それらは必要とされていない場合だってある。結局、わざわざ「非モテ」を自称する際に前提とされる「モテ」は、男に受け入れられるための「オンナらしさ」「女としての器量」があるかないかの話であると思う。そういう意味では、そういうのを「女子力」と言い切る安野モヨコとかのほうが潔い。


人と仲良くすること自体が不器用だから、という意味で「非モテ」というなら、それはそれでいいと思う。でもだからかえってややこしくって、「モテてる」、「モテてない」、とか「太ってる」、「太ってない」、というのは、それを取り巻く規範的な評価を含む一方、その他の解釈もできる(太っている場合なら健康を考えて自分の体型を気にするという文脈もある)、あくまで客観的な尺度であるからややこしい。確信犯的に「非モテ」「デブ」を自称したところで、自分へのレッテル貼りはある程度回避できても、積極的にレッテルを引き受けることで、一般的には男性に気に入られるためには女らしさが必要、男性(や世間の人)に好まれる細っそりとした体型が必要、という価値観をそのままにしてしまってるだけのような気がする。

ああ、上手く説明できない。なんていうかな。自分がモテるかモテないか、デブかデブじゃないか、そんなことどうだっていい、という言い方ならまだわかる。でも、女子力がない、という意味で、自分のことを「非モテ」「デブ」というんだったら、現実に、その人より、客観的にパートナーとめぐり合う機会が少ない人、太い人を、その客観的な基準を否定しないことによって、自分より下の存在、ということにしてしまうことになる。そして、ならば、そこまでする権利はあるの?という気になってしまう。

仮に、「非モテ」を自称した本人よりもモテない人が、「パートナーのいるアンタに非モテなんて称されたくない」、と文句を言ったとして、「非モテで別にいいじゃん」と当の本人は返すかもしれない。

でも、もしそうだとしたら、なおさらのこと、なんでわざわざ「非モテ」という必要があるのか、と思う。それこそ、「非モテ」「デブ」が蔑称として意味することの本質、すなわち「女子力が低い」、と言うことのみ言っていれば済む話なんじゃないかと思う。「女子力」は、言い換えれば(この文脈では)「女ジェンダー力」なわけだし、誰か他人が主観で押し付けた評価の尺度であって、客観的な基準じゃない。だから、自分で主観的に読み替えることもできる。なら、世間ではそれが大事とされているモノを私は必要としていませんよ、という文脈で「女子力がない」ということを誇りを持って言いつづければいいわけだし、モテない、デブ、とわざわざ称する必要もないと思う。


たとえパートナーがいても、女子力のない自分に寄ってきた変わり者、と冗談めかして言ってもいいし、女子力に惑わされずに人間的に自分を選んだ自慢のパートナーとでも言ったらいいと思う。もちろん、女子力がない、もしくは必要ない自分に女子力を求める相手との関係に悩んでいる、ということだって多々あるとは思うけど。デブかどうかだって、客観的に太ってるかどうかじゃなくって、その体型によって「世間」に自分が評価される時の低さだけ、戦略的に自称するなら、自称しといたらいいと思う。



なんかもしかしたら3行ぐらいで言えそうなことを回りくどく、くどくど書いてしまった気もするけど、とりあえず、何か戦略的な物言いをするときは、自分以外の誰かが、それによってどういう思いをするか、まで視野に入れないとな、というのは、自称フェミとして常々反省させられることが多いです。私自身…
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