そういった

November 07 [Wed], 2012, 21:45
のだ。
(成るほど、俺は不具だ、おまけに醜男
ぶおとこ
だ……)
 ダガ、醜男は生れつき――かつて、葉子はその醜男の黒吉と、堅い固い約束をしたではないか、そして、幼なくして、早くも「女」を教えてくれたのは、葉子ではなかったか――。不具だって、いってみれば、葉子と別れるのがつらさに、曲馬団の解散を惧れて、「明日」を覗こうとして失敗した為なんだ――。
 臆病な「虫」といわれていた黒吉を、ともかく曲馬団の花形としたのも「葉子」母を知らぬ黒吉に、最初の女性の優し味を与えてくれたのも「葉子」。そして最初の恋も、最初の接吻も……すべて黒吉の周囲から「葉子」を切り離しては考えられないのだ。
 そして又、いまは、最初の、泪の「失恋」を彼女から与えられようとしている……。
 思っただけでも、ゾッと鳥肌が立つほど恐ろしかった。
 何故、こんなことを考えなければならないのか――それが怖かった。
(ほんと、でなければいいが――)
(いまのままでいい。優しい言葉ロシア 結婚一つかけてくれなくとも、冷めたい眼で見られても――それでも毎日、彼女の身近かに自分があることだけでもいい……)
 黒吉は、もうじっとしていられなかった。
 薄暗くなり出した曠漠たる飛行場を横切って、千鳥食堂へ急ぎ出した。

十一ノ三

 夕日は、腐った血の色だった。
 不吉の前兆のような、無気味な静
しずか
さが、原っぱの
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