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銀行への課税案、米欧で勢い増す / 2010年03月31日(水)
 【ワシントン】 米欧の政府は、経営破綻(はたん)に陥った銀行を救済するためのコストを、銀行自らに負担させる方向でコンセンサスを形成しようとしている。これまでは金融危機のたび、納税者にコスト負担を求めていた。

 課税案は多岐にわたっている。ドイツとスウェーデンは、集めた税金を「整理回収機関」に拠出する方針だ。この機関は税金を用い、破綻すれば経済全体に影響が広がる恐れのある経営難に陥った銀行を閉鎖させる。フランスの場合は、危機が過ぎ去った後に費用を査定する方法を取るようだ。

 米国では意見が二分している。議会は将来の危機に備えた基金を設立するために課税する方向で検討している。一方、オバマ政権は、事前に基金を設立すれば、銀行は経営難に陥っても資本注入によって閉鎖を免れると考えリスクをいとわなくなるとし、危機後に対策を取ることを望んでいる。同政権の提案は、銀行に一時的な政府貸し付けを実施して危機に対処させ、後に資金を回収するというものだ。今回の金融危機で注入した公的資金を回収するため、財務省は500億ドル(約4.6兆円)以上の資産を持つ銀行の短期負債に「金融危機責任税」を課すことを提案している。議会での金融機関規制法案の成立過程で、両案の調整が図られることになるだろう。

 一方、金融機関は、課税は差別的であり、融資能力を妨げる可能性があるとして反対を表明している。米大手金融機関の業界団体である金融サービスフォーラムの代表ロブ・ニコルズ氏は、「世界の政策立案者は、システムから資本を排除する政策を推進する際には、それがどのような形をとるにせよ、慎重な態度で臨む必要がある」と主張する。

 銀行課税制度案は、今後、各国が成立を目指す金融規制関連法案の一部だ。米国では医療保険改革案が可決された今、議会と政権の目は金融規制に向けられようとしている。具体的には消費者金融保護庁を創設し、銀行の業務範囲と資本のレベルを制限する規則の制定を目指す。欧州でも同様の試みが続いており、国際通貨基金(IMF)は欧州連合(EU)版整理回収機構の設立を提案している。

 米国、欧州、IMFの高官によると、銀行課税制度のコンセプトは急速に勢いを増しており、6月にカナダで開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で議題に取り上げられる公算が大きい。先週、ガイトナー米財務長官は「大手金融機関は損失のコストを自ら負担するとの原則が、改革を通じて実行に移されるだろう」と発言した。

 ブラウン英首相は、世界規模での銀行課税を支持している。この案を推し進めるには国際的な合意が必要になるだろう。野党保守党も、課税規模は各国の裁量に任せるとしながら、この案を推し進める意向を明らかにしている。

 市場と企業に対して類似するアプローチを取る米英両国は、銀行規制でも足並みを揃えることが多い。さらに欧州の多くの国も銀行への課税を支持している。スウェーデンは昨年、国内総生産(GDP)の2.5%の規模に拡大が見込まれる基金に対する資金拠出を銀行に求める「スタビリティフィー(安定料)」制度を導入した。メルケル独首相も同様の課徴金を支持しており、31日に内閣にこの案を提示して承認を求める考えだ。ドイツ政府の報道官によると、首相は課徴金制度をG20での協議を望む新金融規制案の一部と考えているという。

 事情筋によると、4月にワシントンで開催される会合で銀行課税制度を提案する予定の国際通貨基金(IMF)は、整理回収機構に事前に資金を提供する方針に傾いているという。IMFの提言は他の国にも影響を与えるはずだ。

 もっともG20の関係各国すべてが銀行税に賛成しているわけではない。今年の主催国としてG20の方針決定に大きな役割を果たしているカナダは、銀行課税制度に反対を表明している。

 「われわれは即刻その案を拒否する」とカナダのフレアティ財務相は発言している。

 金融危機をうまく乗り切ったカナダは、その代わりに、問題を回避するためにレバレッジ規制強化を進めており、G20でも議題になることが決まっている。インドと中国は立場を明確にしていない。

 スウェーデン、英国、米国、アジアで過去に発生した金融危機では、納税者が経営難に陥った金融機関の救済コストを負担してきた。問題の拡大を食い止めるために政府は早急に手を打つ必要があり、銀行は債務を返済できないほど痛手を負っていたためだ。

 だが金融機関の危機がきっかけとなって、世界大恐慌以来の深刻な景気後退を経験した米欧では、この2年で政治・経済に変化があった。救済コストに対する国民の怒りは高まりつつある。大手銀行の回復は早急に進み、課税対象となる黒字を確保するまでになった。

記者: Bob Davis

【3月30日12時4分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100330-00000306-wsj-bus_all

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