クラウンR lesson5 

May 07 [Wed], 2008, 21:27
Interview with Ichiro ─イチローのインタビュー─

ロバート・ホワイティングによれば、日本の野球の試合は、アメリカでプレーされるのと同じ物に見えますが、実際は違います。彼は「サムライ式の野球」は日本人の人生観の表れで、これは集団性、協力、勤勉を非常に重視すると言います。ロバート・ホワイティングは、日本式の野球対アメリカ式の野球を話し合うために2002年に鈴木一郎を取材しました。

P58

ホワイティング:あなたは日本では最高の選手でしたが、あなたの試合は全国放送されることはほとんどなく、スポーツ紙の一面を飾ることもめったにありませんでした。ですがシアトルに行って事態が一変しました。テレビであなたを毎日見て、日本国民はあなたにとても興味を持つようになりました。あなたは母国で受けていいはずの注目を得るためにはるばる外国まで行かなければなりませんでしたが、これは皮肉なことだと思いませんか?

イチロー:まあ、一時的なものです。僕はメジャーリーグでプレーする最初の日本人野手でしたから。ただまだ二年しかやっていません。今の注目が五年も六年も続くのであれば、そう言えると思います。

ホワイティング:日本とアメリカの新聞には有名選手が大勢アメリカに行っているので日本の球界は大きなダメージを受けているという話が多く載っています。あなたの意見はどうしょう?

イチロー:大勢の選手がアメリカに行っているので日本のプロ野球が魅力を失いつつあるということは言えるでしょう。しかし短期的にはそうなのかもしれませんが、長期的に見れば必ずしもそうだとは限りません。日本人選手が大きなリーグに行ってプレーし成功すればするほど、それだけ日本の小さい子供たちは野球選手になるぞという気持ちになります。日本の野球の問題は選手を育てるより大きな土台が必要だということです。マイナーリーグはかなり限られていますから。で、そうなれば土台は広がるでしょうし、有望な選手が育ちます。ですからこの二、三年は日本にとって事態は悪く見えるかもしれませんが、長期的にはプラスになるでしょう。

P59

ホワイティング:あなたは日本で何シーズンかプレーし、今アメリカで二シーズンプレーしました。あなたは二つのシステムを見てきました。日本の春季トレーニングは新兵訓練のようです。二月一日に始まって一ヶ月間続き、選手達は九時から五時までグラウンドにいて、さらに晩には基礎体力作りやミーティングがあります。アメリカではキャンプはそれより一ヶ月遅く始まり、選手がグラウンドにいるのは午前十時から午後一時までで、そのあとプールやゴルフ場に行きます。この二つを比べてどのようにお考えですか?

イチロー:日本のキャンプはかなり長いですが、四日ごとに一日の休みがあります。アメリカでは一旦キャンプが始まると毎日休み無しでやります。日本で四日ごとに一日の休みがあるのは大きな救いです。アメリカでもキャンプは三時間だけですが、マリナーズが練習するアリゾナの太陽は凄く暑いです。だから僕は日本から来ましたがぜんぜん楽だとは思いませんでした。きつかったです。

P60

ホワイティング:日本のキャンプでは細かいことにとても時間をかけますよね。例えばプッシュバントなんかはシーズン中にはたった一、二回しか使わないかもしれません。それといわゆるサインプレーや中継練習があります。シアトルマリナーズではどうですか?

イチロー:全然ないです。僕がここに来てから二年間全然。僕はああいう練習はとても大事だと思います。春季トレーニングはチームプレーに取り組める唯一の時間ですし、貴重なものだと思います。マリナーズはそういったことをしないので選手達が時々ミスをするのを目にするかもしれません。僕が「春期トレーニングでああいうプレーに取り組んでおくべきだった」と思うのはそのような時でした。ですから細かいことに注意するのは日本の試合の良いところの一つだと思います。

ホワイティング:バッティングについて聞かせてください。あなたは日本では三番を打ち、外野へ抜けるライナー性の安打を量産しました。アメリカでは先頭打者としてたたきつけるバッティングで内野安打を量産しました。バッティングスタイルは意図的に変えたのですか?

イチロー:意図的に変えたわけではないのですが、フライを打ち上げるとマネージャーがひどくイライラするのですよ。彼は打球がゴロなのを望んでいて僕は打席に着くとそれを思い出すのです。

P61

ホワイティング:アメリカでスランプに陥ったときは誰のところにアドバイスを求めに行くのですか?

イチロー:誰の所へも行きません。スランプになったら自分自身にアドバイスを求めます。

ホワイティング:松井がアメリカに来ることになっています。多くの人々が彼が素晴らしいホームランバッターになることを期待しています。彼がここで成功するために何か特別なアドバイスはありますか?

イチロー:彼はとても難しい環境に置かれることになるでしょう。ファンやメディアの間で頻繁に話題にされたり大いに期待されたりするでしょうが、彼は自分なりの目標を定め、周囲の人の言うことによって変えるべきではありません。個人的に「成功」という言葉は好きじゃないです。これは大抵、誰か他人が定義したことであって、自分で定義したことではないのです。松井は自分の中に自分なりの目標を設定して、何が成功したシーズンであるのか決めないといけません。それが重要なことです。それに彼は新しい違った世界に身を投じるわけだから快適でおだやかな気持ちでいられる環境をつくらなければいけません。

ホワイティング:アメリカのメジャーリーグの野球を見たとき、何かアメリカ人の特徴と呼んでもよさそうなものは目に付きますか?

イチロー:そうですね、選手達はとても個性的です。みんなそれぞれに違っていて自分なりのキャラクターを持っています。

P62

ホワイティング:日本の野球を見て何が分かります?何か日本人の特徴と呼んでもよさそうなものは目に付きますか?

イチロー:日本人はよく自分の感情を隠しますね。それは日本人の特徴です。

ホワイティング:あなたのお父さんは、あなたが小学校のときからトレーニングを開始しました。そして毎日学校が終わった後、名古屋の公園で何時間もしごき、晩にはよくバッティングセンターで一夜につき250回バットを振って過ごしたものでした。野球の練習がイヤになったことはありますか?

イチロー:受け入れがたいこともありました。

ホワイティング:あなたのお父さんの「息子イチロー」という本を読ませていただきました。彼はあなたの歩んだ道のりは、父親が息子に幼い頃から厳しいトレーニングを課す「巨人の星」の登場人物の歩んだ道のりとはかなり違うと書いています。しかしあなたの言ったことからすると、巨人の星にちょっと似ていますよね。あなたのお父さんは、あなたにスパルタトレーニングをさせたのではなくただ楽しんだだけだと書いています。父親と息子が共に楽しい時間を過ごした、と。
イチロー:父親は甘いこと明るいことしか書いていません。でもそんなに楽しいものではなかったのです。かなり巨人の星に似ていました。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:risa_risa
読者になる
2008年05月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新コメント
Yapme!一覧
読者になる