水道管の話その1 

August 05 [Fri], 2005, 8:51
夏の暑い日のことだった。
何処の家へいってもあるものであるが、その家の手洗い場のU字水道管は洗面台の下で剥き出しになっているのだった。さして珍しいことではないが、私はその銀色の管に並々ならぬ興味を持って凝視していた。
それというのも、先ほどからその管の中からか細い声が聞こえるからであった。洗面台の中央の口に耳を近づけてみれば、その声は確かに「助けてえ、助けてえ」と懇願していた。
私は穴に口を近づけ聞いた。
「どなたかいらっしゃるのですか」
一瞬の間をおいて、水道管の中の声は言った。
「おります、おります。どうか助け出してください」
確かに返事をした。どうやら空耳ではなかったようだ。
それと同時に、私はささやかな愉悦を感じた。
もしこの蛇口を捻れば、この声の主は流されてしまうのだろう。
ただ助けるだけでは退屈だ。助ける前に少しだけ遊んでやろう。
私は好奇心を押し隠して、声の主に話しかけた。
「そちらはどんな様子ですか」
「暗いし、壁は滑るし、下半身は水に使ってずぶ濡れです」
「どうしてそんなところにいるのですか」
「足を滑らせてしまったのです。その際に手をくじいてしまい、登ることも出来ないのです」
「それは災難ですね」
「しかし貴方が来てくれました。もう誰にも気づかれず、ここで一生を過ごすことになるのかもしれないと思っていましたが、もう大丈夫ですね」
これは面白い。
声の主は私が自分を助けると確信している。
「本当にそうでしょうか」
穴の奥から動揺が伝わってくる。
「私はあいにくあなたの所までたらせるヒモの類も、その水道管を解体するような工具も持ち合わせていません。」
ああ、そんなと穴の置くから悲痛な声が響く。
「どうか、どうか考えてください」
「しかし私はあなたとは今知り合ったばかりだ。はたして自分の時間を割いてまで助ける価値はあるものか」
「殺生な。あなたはなんて非道なんだ。今にも死にそうな私に希望の手を差し伸べておいて、見捨てるなどと、とても出来ることではない」
怒りの色が混じった声に、私は言い返した。
「確かにそうでしょう。しかし、非道とは聞き捨てならない。助けて欲しいなら謝りなさい」
わずかな間の後、水道管の声は押し殺した声で、「結構」と言った。
そしてそれ以降、なんど呼びかけても水道管の奥から声が聞こえることは無かった。

キャベツの話 

August 03 [Wed], 2005, 22:25
キャベツの葉がついているみたいなミュールを見つけた。
奇抜さに愛着がわき私は手に取ろうとした。
紅い頭の芋虫が一匹、ぴょんと私の指に飛び乗った。
どうやらキャベツについていたようだ。
芋虫は指先で、今までとは違う辺りの様子に右往左往している。
私は芋虫をキャベツの葉の上にのせてやった。
芋虫は何事も無かったかのように、マイペースにキャベツの葉を食み始めた。
どうやらかなりの大食漢のようである。
一足に数匹の芋虫が生息しているようだったが、キャベツは後から後から生えてくるようで、一向に減らなかった。
私は先ほど芋虫の乗った指先を見た。
血が流れている。
どうやらキャベツと間違えて私の肉を食おうとしたようだ。
早めにキャベツに乗せ変えておいてよかった。あの様子では私の指の皮を食い破るのは時間の問題だったろう。
私は靴に興味をそそられながらもその靴店を後にした。

数日後、店員に尋ねたが靴はすでに売れてしまっていた。

おどる話 

August 02 [Tue], 2005, 21:12
ヒゲで中年太りのおじさんと一緒に踊るゲーム(※)を購入した。
これを風通しの悪い部屋で日中プレイしたら100%痩せるだろう。
例えば私の部屋とか。

リズムゲームというのはなかなか難しい。
ムキになってどたばたやっているとだんだん楽しくなってきた。
判定AA!俺なかなか巧いかも。


右足がつった。
バンテリンを塗って寝よう。


DDR。知り合いのかっこいいお兄やんがとにかく巧い。ゲーセンで左右パネル使っての一人二人プレイは圧巻だった。
しかし体力が無いらしくすぐ「無理、もう無理」と倒れていた。

まえむきな話 

August 01 [Mon], 2005, 23:22
足が後ろ向きについていたら。
前に進めず、前向きという言葉はなくなり後ろ向きな生き方が大流行。
「でもポジティブ(※)という言葉は無くならないぜ」

英語圏の人間を始末しなければ後ろ向きには生きられないようだ。



要するに今日はちょっとネガディブ入っているというだけの話。
まぁこんな日もある。


一部の友人に何故かポジティブな人種であると認定されている。しかし本人いたって真面目に根暗である。

とうふの話 

July 31 [Sun], 2005, 19:28
豆腐の角に頭をぶつけるという表現がある。
しかし実際にはぶつけたところで砕けた豆腐が髪にこびりつくだけである。ぶつけられた豆腐もさぞや不満を持つことだろう。
そこで私は考えた。

もし、私の体が、豆腐よりもやわらかかったら

まず豆腐よりもやわらかい食事は取れないため一定の栄養が不足し、薬に頼ることになる。
寝るときはステンレス製の台の上で素っ裸である。昼でも、体が布に擦れてボロボロと表面が剥げるため、裸である。
お坊ちゃまお嬢さまであろうとなかろうと、箸より重いものは持てない
腕にカバンなど掛けようものなら腕がもげる。

ある朝、久しぶりに学校に登校した。
朝の陽光が目に眩しい。
「よう、久しぶりだな!」
後ろから勢い良く左肩が叩かれた。
幼馴染で親しい友人だった。
硬い手のひらに叩かれた俺の肩組織は粉々になりながら、すがすがしい朝の空気の中に飛び散った。
左手がボチャリと地面に落ち、砕けた。
俺は笑って、振り返った。
「おいおいこれで何回目だ。気をつけろよ。」


今日の夕飯に冷奴が出なかったことに文句を言った私と、冷奴が嫌いな弟(※)が発展させた話。

彼は決してグロテスクなものに特異な興味を抱いたり、ゴシックな思想を持っているわけではなく、普通のやさしい少年である。ちなみに子供が大好きだ。

頭のよくならないはなし 

July 30 [Sat], 2005, 17:26
なんとなくバスに乗り、地下鉄を乗り継ぎ歩いていくと大学があった。
金のかかった小奇麗な校舎である。

受付のおねいさんに笑顔で挨拶をされたので勢い余って受付を済ませる。その際、個人情報を採取される。
無料で頭が良くなる本(※)が配布されているというので行ってみると大盛況で間一髪、頭が良くなるチャンスを逃す。一生、良くならない運命なのだと悟った。

さらに進んでいくとまたおねいさんに優しく声をかけられる。
実に活発で華やかな女性だった。
彼女の話はとても面白かったが、特に話すことも無く私はただずっと頷いているだけだった。
この先、全自動頷きロボットが発明されたら俺は廃棄処分されるのだろうと予測した。

大学を出ると水の宇宙船に乗り込んだ。
あまりの心地よさにうたた寝する人続出。
ついには座席と頭の位置が平行になるまであと30度という人を発見。
椅子の下は硬く冷えたコンクリートの床が衝撃を待っている。
30秒ほど観察してから、私は彼女の頭が落ちるだろう場所にもうひとつ椅子を置くと、満足げに立ち去った。
きっとその人は大富豪でいつか私に感謝状と礼金を送ってくるなどということもなくお節介な奴もいたもんだと爆睡した後に家に帰るのだろう。


別名、赤本。たいていの受験生はお世話になる。買うと高いので無料配布以外で手に入れる必要は無いと思っている。頭が良くなるなるかどうかは使用者に依存する。

なぜタイトルは必須項目なのだろう 

July 29 [Fri], 2005, 0:00
たったいま、はじめて投稿するはずの記事が一瞬にして消え去った。
間違ってブラウザの戻るボタンを押したのだ。
すべて右手人差し指のせいである
しかし俺の睡眠時間の削減と慢性的な肩こりの元になったからといって右手人差し指を責めたりしてはいけない。
なぜならこれからの人生において右手人差し指はきわめて重要であり、そんな些細ないさかいのために辞表(※)でも出されたら困るからである。
今まで何年付き合ってきたと思ってるんですか。
それぐらいで俺を見捨てないでください!

そんな訳で3日かかって考えた私の自己紹介とこれからの意気込みをふんだんに込めた挨拶文は消え去った。
お前のせいじゃない。だからこれからも右クリックは存分にして欲しい。
そもそもただの日記です。
たいそうな挨拶なんかはじめからありません。

以前、出されそうになったことがある。4時間ほどクリックカチカチやっていたら突如痙攣しだし、指がもげて落ちるのではないかと本気で心配した。
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