宮廷遊戯7(璃緒) 

2008年08月31日(日) 23時27分


あたしとヤマトが遥かの世界に来てから数日が経った。
ヤマトは天然だか狙ってるのか(多分狙ってると思うけど)、たまーにあかねちゃんを口説くもんだから、益々みんなは女という認識から遠ざかっているようだった。
あと本当に次の日から泰明さんに陰陽術を教えてもらっているし、頼久さんに頼んで武士団の稽古にも参加している。
あたしはというと、主に友雅さんに色々なことを教えてもらっていた。
手習いや文法・・・というか歌を覚えるために本も読んでるし、楽も教えてもらっている。
でもやっぱり忙しい人だから、無理なときは鷹道さんだったり永泉さんだったり女房さんに教えてもらっていた。





「ぁ〜あ、暇だなぁ」


色んなことを教えてもらって毎日充実している。
だけど外に出ることは許してもらえなくて、正直気持ち的にしんどかった。
家(?)でじっとしてるなんて性に合わない。
そもそも箱入り娘的生活が合わない。
ということで脱走を試みることにした。
狩衣に着替え、邸内を散歩してるときに見つけた脱走できそうなとこを通りぬけた。
普段から狩衣を着て邸内探索はよくしてたし、多分すぐにはバレないだろう。



「ここが京かぁ・・・」


そこは色んな店で溢れかえっていて、すごく賑やかだった。
現代から来たからか、それがすごく新鮮でただ単純にいいなぁと思った。


「んー、でもお金持ってないから今はスルーかなぁ」


あたしはゲームでの知識を必死に掻き集め、別の場所に少し離れた場所に移動することにした。
が、離れすぎたのか道に迷ったのか、訳のわからない森に来てしまった(ずーん)


「森ってことはわかるんだけど、ここはどこだろう・・・。多分船岡山か北山とかなんだろうとは思うけど・・・」
「正解。ここは北山じゃ」
「誰?!」
「わしは天狗と呼ばれている」


上の方から声がした。
見てみるとマンガで見たまんまの天狗がいた。


「・・・天狗ってそんな簡単に人前に姿を現すもんなんですか?」
「おや、反応が薄いのぅ」
「一度世界を飛び越えているもんで」


というよりも、悪い人(?)じゃないというのを知ってるしという感じだった。


「私に何か?」
「異世界から来た人物というのに興味があったのでな。ちょっと来てもらったのだよ」
「ん? もしかして途中何か術を使ってここに来るよう仕向けたんですか?」
「鋭いのぅ。その通りじゃ」
「・・・・・・危害を加えず、ちゃんと帰してくれんならいいですけどね」


そしてあたしは木の幹に座り、天狗と雑談をした。
あたしの世界の話やこの世界の話をした。


「おもしろい娘御だ」
「そりゃどうも。そろそろ時間も遅くなってきたんで帰してもらってもいいですか?」
「わしが何かする必要はない」
「は? 約束が違うじゃないですか!!」

「何をしている」


天狗に怒鳴った。
ちょうど言い終わったときに背後から声が聞こえた。
ビックリしてすごい勢いで振り返ってみると、相変わらず無表情の泰明さんが立っていた。


「や・・・泰明さんこそ・・・・・・」
「お前がいないと騒ぎになっている。ここから気を感じたので迎えに来た」
「お・お手数かけました・・・・・・」
「戻るぞ」


泰明さんは腕を掴んで歩き始めた。


「ちょっと待って!! 帰るから力緩めて!! あと歩くのが速い!!!」


そう言うと急に泰明さんは立ち止まった。
その反動で前に向かって倒れそうになったけど、ナイスタイミングで泰明さんが振り返ったので胸にダイビング☆な結果になった。


「ぉわっ」
「・・・何をしている」
「さっきからそればっかりだね」
「お前が訳のわからぬことばかりをしているからだろう」


泰明さんは一応体のバランスを崩したあたしを支えてくれている。
そのせいか抱き合っているような形になっているんだけどね・・・(意識なんかこれっぽちもされてないんだろうけど)


「あたしからしたら泰明さんが訳わかんないけどね」
「わかってもらおうとは思っていない」
「ふーん? まぁいいけどね」
「・・・・・・お前は神子とは違うんだな」


何故かそのままの体勢でぽつりと彼は呟いた。


「差し支えなければ、あかねちゃんになんて言われたか教えてもらってもいい?」
「神子に同じことを言ったら「そんな寂しいこと言わないで」と言われた・・・」
「まぁ、あかねちゃんならそう言いそうだよね。あたしは自分がいいと思ってるならそのままでいいじゃないって感じだし」
「いいのか?」
「だって別にいいと思ってるのに、相手に強制されて変えるの嫌じゃない? それで自分の考えが変わって意見を変えるならそれはそれでいいと思うけど」
「そうか・・・」
「あたしも別に『みんなに自分をわかってもらいたい』なんて思ってないし、そんなの無理だと思うもん」
「お前は冷めてるんだな」
「泰明さんに言われたくないよ・・・」


なんかちょっとむっとしている気がするけど、あたしは気にせず言葉を続けた。


「全員じゃなくても、少しでもわかってくれる人がいればいい。好き嫌いは絶対あるんだから強制なんかできないし、強制なんかしたらそれこそ問題が起きると思うよ」
「強制したことがあるのか?」
「ないけど、今までの経験上そういう雰囲気になるとほぼ上手くはいかなかったかな」

「とりあえず、泰明さんがあたしやあかねちゃんの話しを聞いて自分の意思を変えるか変えないかは自由だし、あるいは変えなくてもいいとあたしは思うよ」
「そういうものか?」
「だと思うよ。じゃあ聞くけど、あかねちゃんの話を聞いて泰明さんは『自分が寂しい』って思った?」
「・・・思わない」
「思わないんだったら自分の考えを変える必要はないってことだよ。あかねちゃんは仲間意識が強くて、自分を守ってくれる八葉のことをわかりたいんだと思う。
けど、完璧にわかるなんて無理だし、人それぞれ違うわけで、なんでもおっぴらにできる人もいれば、泰明さんみたいに別に知られなくてもって人もいる。
意見を言うって意味では自分の考えを言う必要なときもあると思うけど、自分自身のことに関してはなんて言われようといいたくなければ言わなくてもいいとあたしは思う」
「・・・・・・お前は不思議な奴だな」


だから泰明さんに言われたくないんだけど。
そう思ったが、多分言っても変わらないから言わないでおいた。
泰明さんの表情は心なしか柔らかかった。
未だ抱き締められてるせいか、顔の距離が近く余計ドキドキした。
それを隠すために話を切り出してみた。


「でもあたしの勝手な考えだから気にしなくてもいいよ。てか、1人で勝手にずばずば言いまくってごめんね?」
「いや、興味深い話だった」
「ならいいんだけど・・・」


泰明さんに興味深い話なんてあったんだ!!
てかそんな内容だったのか?!
と思いつつ、さっきより手の力と速度を緩めてもらってあたしたちは邸に戻った。





「絢さん!!!」
「何やってたんだよ」


邸に着いて最初にあったのは仁王立ちで立っているヤマトと、すんごい心配そうな顔をしたあかねちゃんだった。


「ちょっとお散歩?」
「もう日も傾きかけてるのに何がちょっとですか?!」
「いや、適当に歩いていたら途中で北山の天狗のせいで北山に行っちゃって雑談をしていたという・・・」
「天狗か・・・」
「いやいや、泰明さん。何怒っているの?!」
「問題ない」
「その殺気は問題大アリでしょー!!!」


何故か目が据わっている泰明さん。
あたしは必死に宥める。


「いつから絢は泰明と仲良くなったんだ?」


あたしたちを見てヤマトが言う。
あかねちゃんも好奇心に満ちた目でうんうんと食いついてきた。


「別に仲が良いとかそういうわけではなく・・・」
「お前は嫌なのか?」
「は? なんでそうなる?!」
「絢も水臭いな。そうならそうと教えてくれたっていいのに」
「だから違ーう!!!」
「やっぱり私が・・・「それも違うから!!!」


なんかここにいたら話がややこしくなりそうだったので、自室まで引っ張り込み途中会った女房さんに入室禁止ということを伝え、泰明さんに意味を話した。
すんごく時間がかかったけど、なんとか納得してもらった。

が、問題はこれに留まらなかった。




「おい!! あんたいつから泰明とそういう仲になったんだ?!」
「はぃ?」
「泰明を部屋に連れ込んで長時間2人っきりになったって聞いたぜ?」


泰明さんの説得には成功したが、その他を忘れていたのだった。
おかげで邸中に広まり、情報をくれた天真を皮切りに誤解を解くのにさらに労力を消費したのでした。





<あとがき>
泰明さんと仲良くなってみようなお話でした。
ヤマト達がいるとこで話したら痴話喧嘩に勘違いされると思い、部屋でみっちり説得という道を選んだんです。
けど、それが余計怪しい関係だと勘違いされる結果になったという(笑)
泰明さん相手だから、話がなかなか通じず時間がかかったんです。
とりあえず泰明さんとはこんな感じでいくかと思います(笑)
プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:璃緒
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:1987年11月6日
  • アイコン画像 血液型:O型
  • アイコン画像 現住所:神奈川県
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ここは璃緒の妄想を爆発させる、簡単に言っちゃえば夢小説置き場です(爆)
理解のない方は見ないで下さいな。
載せるジャンルは
遙かなる時空の中で
復活(ちまちまと)
ファイブ(多分)
緋色の欠片
Dグレ(少しずつ)
また増えるかもですー☆
そのうち書きたいのは
黒執事・笛・スラムダンク・ふしぎ遊戯(朱雀編)・犬夜叉・らんまとかかなぁ。
結構なんでも読むので、いきなり『これくる?!』というようなのをupするかも・・・(笑)
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