4月26日 

2005年04月26日(火) 21時48分
なぜこんなにも伝わらないのだろう。
こんなにもたくさんの苦しみの中で
彼に自分の精一杯の気持ちをぶつけてきたのに。

彼に教えていないところで
彼が知らないたくさんの顔をもってはいるけれど
それは彼にしてみても同じことで
ただただ、2人でいる、
そのときだけを一生懸命に大切にしてきた。

彼は昔こういったことがある。
「好きになったことが幸せだから、それ以上は望まない」と。

たしかにそうかもしれない。
恋は、愛は、押しつけるものではないし
求めるものでもないのかもしれない。
そんなことは分かってる。
頭では痛いほど分かってるんだ。

家庭がある自分。
好きなことを好きなようにしている郡司。

そんな二人だから、どんなゴールが、
どんな終わりがまっているか
自分たちにさえまったく分からない。
だからこそ、「好き」というそれだけを思っていれば
いいのかもしれないし、
ただこの気持ちを大切に思っていればいいのかもしれない。

そんなことは・・・分かっているんだ。
分かっているのに、どうしようもないんだ。
自分のフィールドの中で自由に振舞う彼を噂を耳にし
なぜ気にしないでいられるのだろう。
仕事だから、
友達だから、
分かっているけれど、それでも気になるのは
あなたが好きで、どうしようもなく好きで、
自分のものにしたいとか、もっと自分だけを見てほしいとか
そういうんじゃなくて、
ただただあなたが好きだから、ただそれだけだってことが。

恋のさなかにいて、
こんなにも自分が抑えきれなくなったのは初めてで
どうしていいのか、アイ子は分からない。

彼の知らないところの自分の顔があるけれど
彼と向き合っているときは、本当にただの女の自分。
零れ落ちる気持ちを掬い集めて、
泣きそうになるほど震える手でぶつけたのに
少しも響いていかないなんて、
なんて悲しいことだろう。

1月15日 

2005年04月20日(水) 1時10分
いつもここから自分の家に帰るとき。
慌しく、時間を気にしている自分が嫌い。

もっとたくさんうだうだしたいのに。
もっと寄り添っていたいのに。

ただそれだけでいいのに。

そんなとき、いつもアイ子は
自由になりたいと願ってしまう。
そうすればもっと、なんのためらいもなく
引け目も感じずにいられるのに。

自分の負っているものの大きさに負けそうになる。
本当は下ろしたくはないのに、
下ろす気もないのに。

それでも。
彼といるときだけは、
彼だけを感じているから、
彼と同じだけの現実が再び現れると、
アイ子は苦しく押しつぶされてしまいそうになる。
片隅に押し込んでいたものが飛びだすように
いきなり現実がひろがる。

終わりがない。
終わらせようと一言言えば、
それで終わってしまうのかもしれない。
そんな悲しい結末にはしたくないのに。

自由なひとを見ると苦しくなる自分。
ただ自分の気持ちひとつで生きていたころ。

心はいつでも自由なはずなのに、
やはりどこかでつながれているのかもしれない。

12月31日 

2005年04月20日(水) 1時03分
今日会えるなんて思っていなかった。

フツウの妻ならば、明日くる一年の始まりの準備に
追われるこの日。
アイ子は、フツウの主婦であるが、
恋人と会う約束を交わしていた。

年にまたとない開放的な休みの時期だからこそ
案外穴場なのかもしれない。
こんな関係の2人には。

車で郡司の家まで迎えに行くと、
彼は暖かそうなセーターを着込んで
とても嬉しそうな顔で乗り込んできた。
自然とアイ子の顔もほころぶ。

自分の感情に正直な彼。
そっけないメールより、
会って目を見て向き合うときの彼は
いつでもまっすぐで偽りがない。

昨日まで苦しんでいた気持ちが一気に解れていく。

郡司と出会い、人知れず
小さな愛を育んできたこの半年間を思い返し、
その年の最後の日に、
こうして彼と向き合えることに喜びを感じながら。

12月28日 

2005年04月20日(水) 0時56分
食事は喉を通らない。
何もやる気になれない。
電話もメールもない、ただそれだけで。

郡司はいつも、自分から連絡してこない。
アイ子から連絡しなければ、まずこない。
忙しい彼に連絡するのは気が引けるが
いつくるのか分からないまま待っていたくはない。

どんどん自分のほうが不利になっていくとしても
うれしい時、
寂しいとき、
声を聞きたいとき、
愛されていると実感したいとき。
やはり自分からメールしてしまう。

今日もメールはこない。
どうして忙しいか分かっているから、連絡できない。

少しでもいい。
自分を思う時間を持ってくれているだろうか。
自分が思うほどでなくても。

12月14日 

2005年04月19日(火) 0時40分
これまでに何度も通ってきた道なのに
答えが出せない。

恋をして、
相手も自分に恋をしているといってくれた関係。

愛し合って、何度も好きだと言い合った。

決して心まで全てが自分のものになるなんて
そんなことは思ったことはない。
郡司の心は自由だし、
自分も自由なのだから。

けれども。
確かに自分たちの間にあるものを
愛とか恋とか呼ぶならば、
自分は何を信じて、相手を信じればいいのだろう。

アイ子が彼を求めたその結果、
彼がアイ子を恋する相手と認めたから
自然に恋人になった、

そういってもいいのかもしれない。

でも。
相手を恋しいと思い、
自分でも抑えきれないほどに溢れる思い、
そういうものは絶対にあるのだ。

全てが手に入らないと分かっていても
もがき苦しむ思いもたくさんある。

そう思う気持ちも、恋だ。

こう思った自分を受け止めてくれることを
望んでいるのに、
なぜ彼は気づいてくれないのだろう。

手に入るはずもない。
手に入れたと思っても、けっして掴めていない。
けれど、
それを追い求めて、
確かめて、
ひとつづつ積み重ねて生きたい・・・。
二人が出会ったよかったと、そう思いたい。

そう思うからこそ起こすアクションを
「束縛」と呼ぶのなら、
アイ子は、
自分には郡司と続けていく希望がないと思う。

彼は、思い焦がれて苦しんだことはないの?
私ではその相手にはなれないの?

熱でぼんやりした頭で考える。
悲しくて涙が止まらない。
彼はこんな思いをしたことはないの?

12月28日 

2005年04月19日(火) 0時12分
それは突然の告白だった。

郡司が離婚したという。
もう前の家は引き払って、新しい家に住んでいるという。

それをアイ子に告げたときの彼の表情には
それほど悲壮感もなく、
一年ほど前からすでに離れて暮らしていたというから
それなりの別れだったのかもしれない。

でもアイ子は、
そう告げれたとき、何も答えられなかった。
そして、何も聞けなかった。

考えればきくべきことはたくさんあったはずだ。
何が原因で、慰謝料はどうとか、不自由はないのとか。
もちろん、これは自分のせいなのか、とも・・・。

だけれどもアイ子はやはり、聞けなかった。

郡司とはこれまで、たくさんとはいえないが
濃密で、かけがえのない瞬間を共有してきた。
けれどもお互いの生活のことは
自然に相手に触れさせない、不文律があった。
気にならないといえば嘘になるが、
やはり、それは関係があるように見えて
二人にはまったく関係のないことだった。

それは決して遠慮ではなく。

二人で会うための時間。
そのために、あらゆる手筈を整え、
そしてやっと会えたその時間は、
ただのお互いしか目に入らない男と女であった。

郡司との時間。
その安らぎを手に入れるため、
そうするために、決して悟られずに、
家族にはいつも以上に優しくもなる。

どれだけずるいと、卑怯だといわれても
それがアイ子の嘘偽りのない気持ちであり、
抑えることのできない、真実だった。

ただそれは、お互いが同じ条件でいたからで
均衡が崩れた今、
彼は自由になってしまった。

知らず知らずのうちにアイ子の中に負い目が生まれる。

守りたい生活のうえに成り立っていた郡司への思い。
お互いがそうであればなんの問題もないはずが
自分だけが、両方をとろうとしている。
どちらも目いっぱい欲しいと思っている。

それはなんとずるくて卑怯なのだろうと。

俗に言うスリルがなくなったとは違うのだ。
恋愛がフェアじゃないのだ。
これでは自分の罪があまりにも大きいのではないか。

12月1日 

2005年04月18日(月) 23時54分
「なんでそんなところに行くの?
絶対知ってる人に見つかるよ」
「大丈夫だよ。自信過剰だなぁ。
俺たちのことなんて誰もみてないって」

何度言ったらこの人はわかるんだろう。
人から見られる仕事をしているのに
この無防備な考え方。
新しいものやおいしいものがダイスキな郡司は
この許されざる状況にもかかわらず
白昼、実に堂々と外に出ようとする。

知らない人から見れば、ただの30歳ほどの男女で
お互いに指輪をしているのだから
夫婦と想像する人もいるのかもしれない。
本当は、こんなにも、あやふやで脆いのに。

付き合うようになって半年が過ぎ
それなりの大人の付き合いもあり、
始めたころよりもすっかり心を許しあっているのは
確認しなくても、十分心に響いている。

あの日。
初めて結ばれた日。
後悔を感じる暇もなく、
ただただ、一途に郡司への思いが募り、
自分の中に大きな場所が生まれた。

今までの家族を愛する場所の隣に
同じくらい、いやそれ以上の大きさの、
郡司のための場所が。
そうなってもまだ気持ちが掴めないアイ子が
思わず打ったメール。

「今日のこと。
うれしい?よかった?
それともただ気持ちよかっただけ・・・?」

くだらない。
信じていない心丸出しのこのメールに返ってきた返事。
「もっと距離が近づいて心許してる」

この時から、いつか終わるその日まで
アイ子はこの人に引かれ続けるだろうと確信したのだ。

結局できたばかりのショッピングモールに
買い物にでかけ、
好きな雑貨を買い込む。やはり楽しい時間。

ほかの人は誰も自分たちを見ていない。

自分たちがお互いしか見ていないように
きっとそうなんだろう。
でもそれはたまたまそうだっただけであって
本当に知り合いに会ったとき、
どんな言い訳をすればよいのか、
結局いつも考えている自分がいる。



11月22日 

2005年04月18日(月) 23時33分
「それって結局ダブル不倫ってことでしょう。
あんたはなんでこの期に及んで
そんなことをしているわけ?」

サエコの怒ったような、呆れたような口調に
思わずアイ子は吹き出す。

「笑いごとじゃないわよ!真剣に心配しているのに」
サエコの言葉に謝りながらも、
「まったくその通りなんだけどね?
どうにもならないからあなたに打ち明けたんだもの」

久しぶりに会う友人。
昔からの自分をよく知る彼女に、
このことを打ち明けるのことを、アイ子迷った。

しかし、恋はやはり
いくつになっても誰かに打ち明けたくなるもので
だからこそ、この恋を打ち明ける相手を
アイ子は、かなり迷った。

サエコは今流行のカフェを経営していて
ほとんど会う時間がないほど忙しい。
だからアイ子は相談相手に選んだのかもしれない。
自分の家庭のこと、
相手のこと、
そのどちらにも深く関心をもつ暇のない彼女。
だからこそ。


「旦那さんとうまくいってないわけじゃ
ないんでしょ?」
「もちろん。うまくいってるわ」
「じゃあなんでよ?
不満もないのに旦那以外の男に走る。
それは大概の女は納得しないと思うけど」

郡司との関係は、本当に自然に始まってしまったから
いまさら何を言われても
止められないし、止める気もない。

自分の家庭があり、
信頼をおけるパートナーがいて、
真新しい家で理想と見える生活をおくる自分。
何一つ不満はなく、仕事も程よくこなす毎日の中に
いつのまにか、
もう一人、恋焦がれる相手が現れたのだから。


10月23日 

2005年04月18日(月) 22時48分
青く澄んだ空は、夜の訪れとともに赤く染まりはじめていた。
人恋しくなるほどに凛とした空気が、
道行く人たちを包んでいる。
頬にあたる風は驚くほどに冷たい。
「秋は一番好きな季節なんだ」
そういって肩を抱いた郡司の仕草を、
アイ子は思い出していた。

街の景色が浮かんでは消えていく。
アイ子は自分が降りる駅を確認して、また目を閉じた。

人があふれる改札口。
周りの目を少しも気にせずに唇を重ねあった。
街の中で。電車の中で、したいときに口づけをし、
抱きしめる彼。
ごく自然に。なんのためらいもなく。
今日も二人は、まるで10代の恋人たちがするように
別れを惜しんだ。

思い立って携帯電話を取り出す。
少し考えてメールをうつ。
文句は決まっている。いつも。
楽しかった、ありがとう、また会いたい。
そして、好きだよ・・・。

今日の二人が確かにあったことを確かめるため、
アイ子は気持ちを送らずにはいられない。
でも。郡司からの返事はたいていがっかりするほど
素っ気無い。

眩暈がするほどの幸福感。
少なくとも、返事が返ってくるまでは
今日の全てを思い返し
自分は愛されているんだという実感を
噛みしめることができるから。

まだキスしかしたことがない私たちの関係。
お互いに家庭がありながら、それでもお互いを恋人と呼び、
会うほどに愛しさを募らせている私たち。
心が欲しいのか、全てが欲しいのか。
ただもがきながら、決して手に入らないと分かっていながら、
ただ恋焦がれている・・・。

この秘密の恋が始まってから、半年が過ぎようとしていた。


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