three olives
2015.02.06 [Fri] 19:36

私がこんなこと言うのもおかしい話だけれど
本当の彼女はそれほどハッピーな人間というわけでもなかった

私たちはその夜ワインを片手に再会を祝って
明け方まで笑い話をしたあとひとつのベッドで眠った
否が応にも共有されるそれぞれの悲しさはすべて音楽で覆い隠して

目の下にしずくをつけた文字どおりピエロみたいな彼女
明け方のベランダはまだ肌寒く
名前を知らない鳥の鳴き声が遠くに響いていた
 

t'en va pas
2015.02.02 [Mon] 18:01

押しつぶされそうだ

ここまで来るのに費やした月日の長さに絶望して
それでもまだどこかで期待してる自分もいて
なお完全に終わることはないというのに

夜が来る前の灰色と青が溶ける空に月が大きく輝いて
私は小さな黒い鳥となって
ただグルグルと月の周りを無軌道に飛び続けた

地上から遠く離れた夜の空は静かすぎて
冷たい空気を飲み込みながら
むせるように必死に叫んでみたけれど
この鳴き声はどこにも届かない
 

answer
2015.01.31 [Sat] 12:15

あの日君が別れ際の駅前で、突然私にしたハグと
行かないでという声にならない消えそうな声

冷んやりとした細い腕がいつまでも背中になじまなくて
ずっと感触が残った

あんな恋愛はもうできないことを知ってるから
そう、だから私は君に会うんだよ
 

好きなように生きたらいい
2013.09.12 [Thu] 15:00

この絶望した世界で生きていくのなら

焼けて乾いた赤茶の石階段を上りながら
握っているあなたの手と石畳の上に落ちる汗だけが現実と繋がる境界線

未来は見えないまま、
徐々に埋め尽くしていく白昼の太陽の眩しさと

絶望してていいんだよ
蝋燭の火を消す前の一瞬に微笑んだ顔
 

秘密
2013.01.04 [Fri] 22:12

絶対にまた会える
前に吹いていたあの風もあのときの風も全てそこにたどり着く

大好き、と言った
会った瞬間から、私もあなたもわかってたのに
それは笑ってしまうくらい、
私たちだけにしかわからないことだった
 

漁り火
2012.08.06 [Mon] 23:54

夜の海で炎を捕まえようとしているうちに
人生が遠くなってゆくように眠ってしまった
そこにはあのときの埠頭が繋がっている
それも本当は知っていたけれど

日々が続いている

今はただ
暗く静かな閉じられた空間の中で
自分と向かい合っていたい
今だけでいいから、
一人でいさせて
 

生の証と生きる道
2012.04.23 [Mon] 19:40

 

twilight
2012.01.21 [Sat] 15:04

落ちてゆく
そのほんの瞬間の輝きだけ
 

ひどい歌
2012.01.13 [Fri] 23:56

大切だから、前に進むのを怖がる
いつだって大切だ
夢を見て、暮らしてる

もう必要がなくなったものたちを
身に纏って冬の夜の道を走る
全てを投げ捨て
どんどん身軽になって
果てはどこかの国へと旅立ってしまう前に
愛すべき邪魔なものたち

今ここに在る、あなたをどんどん好きになっていく気持ちも
何度も繰り返し、何度も忘れていく
そしてまた、こんな感じの気持ちだけ、たまに思い出すんだろうか
ここに住んでいた記憶や、遠くのビルの光とともに

テレビから昔流行った歌が流れた
 

一年後
2011.10.04 [Tue] 11:01

当然のようにたくさんの嘘を抱えて
すべてを夜の街に押し流していく透明な奔流

魅力的な彼女が佇みながら手に触れたアートとも違う
もうちょっと誰にも教えたくないような小さな秘密と
優しい夜の空気に包みこまれる背徳感

その花の名を私はいまだ知らない