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August 21 [Tue], 2012, 18:55
から、白い蕾をえらんでやったのである。紳士は盗むように、こっそり受け取った。
 あきないはそれだけであった。三日目は、即ちきょうである。つめたい霧のなかに永いこと立ちつづけていたが、誰もふりむいて呉れなかった。
 橋のむこう側にいる男の乞食が、松葉杖つきながら、電車みちをこえてこっちへ来た。女の子に縄張りのことで言いがかりをつけたのだった。女の子は三度もお辞儀をした。松葉杖の乞食は、まっくろい口鬚
くちひげ
を噛みしめながら思案したのである。
「きょう切りだぞ」
 とひくく言って、また霧のなかへ吸いこまれていった。
 女の子は、間もなく帰り仕度をはじめた。花束をゆすぶって見た。花屋から屑花
くずはな
を払いさげてもらって、こうして売りに出てから、もう三日も経っているのであるから花はいい加減にしおれていた。重そうにうなだれた花が、ゆすぶられる度毎に、みんなあたまを顫
ふる
わせた。
 それをそっと小わきにかかえ、ちかくの支那蕎麦
しなそば
の屋台へ、寒そうに外国人出会肩をすぼめながらはいって行った。
 三晩つづけてここで雲呑
ワンタン
を食べるのである。そこのあるじは、支那のひとであって、女の子を一人並の客として取扱った。彼女にはそれが嬉しかったのである。
 あるじは、雲呑
ワンタン
の皮を巻きながら尋ねた。
「売レマシタカ」
 眼をまるくして答えた。
「イイエ。……カエリマス」
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