オリバー・ツイスト

2006年02月02日(木) 0時40分
 「戦場のピアニスト」で高く評価されたロマン・ポランスキー監督が撮ったこんどの新作は少なくとも「オリバー!」のリメイクみたいなものだ。そうじゃないかもしれないが、似たようなもんだ、と勝手ながら推測してしまうのだが、実際いろいろ調べてみるとあるわあるわ。映画は勿論、ドラマ、舞台。テレビ映画にもなっていたし、そこにはイライジャ・ウッドもでていたりするらしいのだ。

 スケールはこれまた壮大なもので、19世紀末のロンドン、街並のオープンセットの凄さには舌を巻いた。かなり多くのエキストラを使っており、麻屑を作る工場では子供達が机もない長椅子に座って作業をしているシーンや、相当美術面での苦労が窺われる。
 張りぼてとは判ってはいても、映画の枠からはみ出ず、当時の想定的雰囲気がちゃんと伝わるのも映画の醍醐味である。
 有名どころとしてサー・ベン・キングズレーの妙演はなかなかであった。最後の最後でああもなるのも理解できる範疇のストーリーラインであり、何より普段多い風格高い紳士役の印象の強い彼に対して、あんな、しかも語り口を常に一定に保つのも神業ではないかと思ったほどだ。
 ワン公の活躍も見もの。

 ところが全編を通すと、意外にも自分には何も返ってこなかった。ドラマ性と美術性とを秤にかけたらガタンとかたっぽが落ちそうなほど偏りすぎた。
 あくまでこれはオリバー・ツイストの道中劇であるから、彼の周りで色んなことが起こり、彼はそれに巻き込まれていく。だからこれは意外に忙しい映画である。
 予告編を観ていると、パンを盗む少年のドジャーを何回も見かけたので、本編でも少なくともその時点でオリバーも解っていると思っていたのだが、どうやら人の物まで盗むものとは思っていなかったらしいことは鑑賞後、資料で初めて判ったのだが、何だか画で観ただけでは私も、逃げ遅れたオリバーを観てすぐにそうとは解らなかったのが微妙。
 悪党ビル・サイクス役のジェイミー・フォアマンもなかなかの演技振りだったが、どうしてもオリバー・プラットに似てしまい、これまた題字のダブル・ミーニングの妙。なんだか変だよなあ。

 なるべくなら割引制度をふんだんにご利用になられた方が宜しい。

 ところでR・ポランスキー監督作品のうち、70年代以前のでオススメなのは「ローズマリーの赤ちゃん」と「チャイナタウン」。
  • URL:http://yaplog.jp/review-folder/archive/106
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