移動的なお知らせ。 

2009年04月22日(水) 9時55分

「ルート77ストレンジャー」はブログへ移動しました。
55個目からはブログにアップしております。

ルート77ストレンジャー。 54. 

2009年04月17日(金) 0時00分

手元にあった全国地図(2006年版)で伊藤をブッ叩く。伊藤はハッと目覚めた。

「なんだよ、いいところだったのに・・・・俺は夢の中でハードボイルドなオカルト探偵として活躍中だったのに。こんな現実じゃなかったのに」
「どんな妄想だよ。見ろ、あれが現実だ」

現実は厳しかったー。伊藤はビクッと身を起こした。
ムカデの後尾、尻尾側に付いている顔が二人を見返す。歯軋りが聞こえてきそう。
相変わらずものすごい形相なので、せっかく発見しても嬉しくない。

「思ったより早く追いついたな・・・・」
「あっちも休憩中みたいだな。ここもサービスエリアか?」

顔と対面するのは避けたいので、横っ腹に車を近付けて停まる。二台共アイドリング中。
無数の足は前と同じく、「休め!」の格好でいたり、二本一組で足を組んだりと、各々好きな形で休んでいた。車のタイヤよりも頑丈だ。
まず、新井と伊藤はムカデの周囲を探した。謎の男が近くにいるかもしれない。

「あの謎の男、今回は出てこないのか」
「焦るな伊藤。こっちからおびき寄せるんだ。業務連絡ー、業務連絡。上田さん、三番レジお願いします」
「キョドるな新井。ここは三番レジか。言ってみろ」
「では、ないと?」
「そうであったらどうする気だ!!」

車から出してきたメガホンであらぬ方向に呼びかける新井、を全国地図でビシバシ叩く伊藤。

ルート77ストレンジャー。 53. 

2008年05月20日(火) 12時00分

車は住宅街を分断する道を走り出した。廃墟に見下ろされる舗装道路はなんとも場違いな気がする。
朽ちた家屋の群れはあっという間に消えた。そんなに大きな町ではないようだ。今し方道路に落ちた一軒を最後に、車は住宅街を抜ける。
風景は元の殺風景な荒野に戻る。伊藤は新井に尋ねた。

「どれくらい走った?」
「百キロちょいかな。ガソリンスタンドもあればいいんだけどな」
「サービスエリアがあるんだから、その内あるんじゃないか?」
「楽観的なこと言うなよ。ガス欠になったらどうするんだよ」
「お前に正論を言われるとイラッとするな。だったら歩いて行くしかないだろ・・・・」
「いや・・・・こんなこともあろうかと自転車を積んであった!!」
「準備いいのか悪いのか分からんな!!」
「後ろをご覧下さい!!一台しかないけどな」

言われた通り振り向いてみると、後部トランクには自転車があった。

「しかも折り畳み自転車!!」
「しかもこんな状況だから二人乗りだぜ。今度はお前に運転させてやるからな、楽しみだろ!?」
「こんなにも心躍らぬ提案は初めてだ」

伊藤は真顔で答えた。

「まだガソリンは大丈夫だけどな、どこまで行けるか分かんなーい。だってあんまり燃費が良くないんだもの」
「分かった。じゃあ俺は自転車に備えて、自分の燃費を抑えるために寝る。ムカデを見付けたらよろしく。俺によろしく」
「なんという不遇の歴史!!俺が不憫!!」

シートを倒して寝る伊藤。ますますテンションが上がる新井。どっちも絶好調だ。

「ん?おい伊藤、発見。ムカデを発見した」

早速発見に至る。新井は前を見たまま伊藤を揺すった。前方にムカデを発見。どうやら停車中のようだ

「うむ、ムニャムニャ。とうとう追い詰めたぞ犯人め・・・・」
「ウェイクアップ!!どんな夢物語だ」

ルート77ストレンジャー。 52. 

2008年05月12日(月) 9時00分

改めて道路を見る。
住宅街の真ん中を一直線に走るアスファルト。これは確かに新しい。だが裏腹に町並みは古い。
よく見ると、子供を模した看板はカラー塗装が剥げて、「 びだ  ゅうい !」 発音不可能のメッセージを残すばかり。謎だ。
子供の無邪気な表情もただれて心なしか薄気味悪い。改めてゾッとした。
ムカデの作った舗装道路に分断される家々。伊
藤はこめかみを叩いて考える。

「あのムカデが食い荒らしたにしては、ここはキレイすぎる・・・・むしろこれは・・・・」

元から存在する道路に沿って、家が建てられた。

「道ができてから、家を建てた?あ?違うな、家の方が先で、そこをムカデが食った・・・・ん?時系列がおかしいぞ」

整理しかけた事柄が怪しく絡まる。遅ればせながら新井も加わる。

「ニワトリが先か卵が先かってヤツだな。そう、ニワトリをムカデにたとえると・・・・」
「人の考えに割り込むな!!なんでいちいち喩える必要が!?」
「いや、その方が分かりやすいかなって」
「むしろ分かりづらいな!!あーあー、しかしまさにその通りだ。一体どっちが先なんだ?」

ムカデが先か、家が先か。

「家と道路がある普通」 が謎を呼ぶ状況も珍しい。
単純明快であるはずの状況証拠が新たな疑惑を生む。卵から生まれたニワトリが卵を産むループを見せられているようだ。

「まあまあ、仕切り直そう。ここにいても事件は解決しないってことは分かるぞ。ていうかゴーストタウンに関して俺はまったく分からん」
「まあ、そうだな・・・・。ここはとっくに無人だが、他の場所に誰かがいるってことはあるな。ムカデを追っ掛ける方が先だな」

ルート77ストレンジャー。 51. 

2008年05月11日(日) 9時00分

「伊藤よ、これはもしかして・・・・町ごとムカデに食われたっていうのか?だとしたら、どっかに逃げた人達がいるかもしれないぞ」
「どうだろう・・・・でも、考えてみろ!!おかしいだろ?」
「何が?逃げたと思われた住民はもしや、そう見せかけておいて実は優雅に失踪ホリデイ?」
「お前の頭がめっちゃホリデイ。違う。だから見てみろ、この住宅街」

新井の憶測をばっさり切り捨てながら、伊藤は町を指差す。その先でゴガンと屋根が崩れた。

「ムカデが自分の進路に立ち塞がる障害物、つまりこの町を食い荒らしたって言うなら、分かる」
「だからそうだろ?何がおかしいんだよ。うーん、いや、辻褄が合わないな。こんな場所に町があるってこと自体がおかしい。サービスエリアでもあるまいし」

どう見ても人が生活する荒野ではない。ここはドライバーが稀に迷い込む、単なる白紙の土地だ。
のんきに言う新井とは反対に、伊藤は勢い込んで言い募る。

「だとしたら!!この町は別の意味でおかしい!!・・・・もう何年も前にやられたみたいに・・・・」

小声にしぼむ呟きにさえ触発され、遠くで家一軒が崩壊する音が聞こえた。
轟音とは程遠く、長年の風雨に晒されスカスカの骨組みになった建物が乾いた音を立てる。終末を迎えたガイコツがバラけるようであった。
ポカーンとした。その言葉の意味を理解するため、新井はしばし黙り込んだ。
伊藤は沈黙に聞き返す。

「意味分かったか・・・・?」
「あっ、ちょい待ち!!今、箇条書きにするから」
「そんな難しいことか?

◆この町は、ムカデに食われてゴーストタウン化。
◆この町は、今現在(少なく見積もっても三十分前)やられた割には古過ぎる。
◆この町は、本当にムカデにやられたのか?

・・・・と、いうことだ。分かったか?どこかズレてるんだよ、状況が」
「箇条書きありがとう。なんとなく分かった気がする」

新井は頷いた。曖昧に理解した。伊藤は補足した。

「俺が思うには、もしかしたらこの古い町は元からあったんじゃないか?そこをムカデが食って進んだのかもしれない」
「元からあった?この町が?じゃあ、誰かが昔に住んでいた場所ってことか。その跡地をムカデが食っちまったのか」
「はっきり分からんが、想像で」

ルート77ストレンジャー。 50. 

2008年05月10日(土) 0時00分

新井は言いかけて言葉を切った。
オペラグラスが役に立つ前に肉眼がものを言う、驚異の視力2.0で前方注視!!

「なんだ?もしやムカデ発見か!」

つられて伊藤は窓から身を乗り出した。新井は前方二百メートルを凝視する。

「ムカデって言うか、人がいる。人間がいるぞ」
「じゃあ謎の男か」
「いや、普通の人っぽいな」
「もしや上半身だけじゃないだろうな」
「いや、たぶん・・・・上半身も下半身もバッチリだ」
「ヒューマン発見!!この荒れ果てた世界に見付けたヒューマニズム万歳!!」
「お前そろそろ人恋しくなってきたのか?」

SAの店員田口とトモちゃんも人間であることは確かだが、謎の男以外で上下セットの人に出会うのも久しい。伊藤が突如ヒューマニズムを叫び出してもおかしくない。
前方二百メートルの人影が徐々に迫ってくる。
しかし・・・・様子がおかしい。
妙な雰囲気に気圧され、車は速度を緩めた。言わずもがな新井と伊藤もすでに気が付いていた。

「・・・・なんだこれ」
「うむ・・・・」

車は人影だったものに横付けする。二人は言葉少なに感想を述べる。

「人じゃねーやい、カカシだ」

運転席からカカシをつつく新井。助手席から降りた伊藤はその側に回り込み、怪訝な顔で首を傾げる。

「カカシとゆーか、これはあの、「飛び出し注意」の看板だな」
「なーんでこんなもんが?」

二人が人だと勘違いしたものは、通学路や家の門前でよく見かける人型の看板だった。子供が横向きで走っている静止画が切り取られたもの。一枚板で厚みはほとんどない。
無言で辺りを見回すと、真新しい道路の両側に何故か広がる町並み。居並ぶ家屋は決して少なくない。
住宅街・・・・である。で、あった。過去形。
人の気配はない。静寂そのもの、むしろ人が出てきたらびっくりするほど不気味だ。
住民がいないことは明らかだった。何故なら建物はすでに古び、人家とは思えない。崩壊が始まって一体どれほど経つのか。
湯気が立ち黒光りするアスファルトとは正反対、町の様子はあまりにも退廃しきっている。
今この間にも滅びゆく有様だ。風に巻かれて埃っぽい臭いが漂ってくる。
その場で一回転して見た後、我に返った新井がなんじゃこりゃーと呟いた。

「なんじゃこりゃあー」
「ゴーストタウンか。廃屋マニアが喜びそうなところだな・・・・」
「肝試しにもならんぜよ。こんな寂れたとこ幽霊だって住んでなさそうだ。ユーレイも逃げ出すぜ」

幽霊にも見捨てられた住宅街。二人はボヤッとした感想でまとめた。

ルート77ストレンジャー。 49. 

2008年05月09日(金) 0時00分

「なんでも食うらしいな、あのムカデは」
「山も森も食らい尽すムカデか・・・・ヤツはきっと大海をも飲み干すであろう、伝説の、ほら」
「聞き覚えのない伝説を取り出すな。どこに言い伝える気だ」

きっと太平洋をも飲み干すであろうが、食べた物をアスファルトに還元して吐き出すムカデは伝説にしたくない。都市伝説の方向で口伝される。
ムカデあるところに謎の男。ムカデに追いつくか、それとも謎の男を探し出すか、どちらでもいい。セットである必要はないが、できれば話の通じる人間を選びたい。
伊藤は提案した。

「次にあの男を見付けたら、無理矢理にでも話をつけるぞ」
「無理矢理か。大声を出されたらまずいな、人を呼ばれるぞ。俺達がまるっきり犯罪者じゃないか」
「お前がよく言うなあ。じゃあこうしよう。俺がまずあいつを後ろからはがいじめにする」
「よし、じゃあ俺があいつの口にこれを突っ込む。静かな話し合いができそうだ」

自分の顔面に叩き付けられたタオルを取り出す新井。これで穏やかな話し合いができそう・・・・できねーよ。
間違った和平交渉で意見をまとめながらも車は走る。
進む先から道路ができているので苦労はない。ムカデは追跡者には容赦ないが、単なる利用者には優しい。
サービスエリアで休んでいる間、どんどん引き離されてしまった。
よっぽど速度違反するか、よっぽどムカデが怠慢でないと追いつけない。

「あのムカデはどこまで行ったんだろうか。おい伊藤、そこにオペラグラスがあるから探してみろよ」
「お前は車に常時オペラグラスを積んでおくのか。もうこのままオペラに行け」
「兄貴のだけど。そう、うちの隆行(31)はバードウォッチングが趣味で、常時オペラグラスを携帯しているんだ」
「お前の兄貴はオペラグラスで野鳥を観察するのか。奇異だな」
「虫眼鏡もあるぜ!!うちの隆行(独身)はアリの行列を観察することを生業として、」
「仕事としてか!!もうお前の兄貴は好きに生きろ!!」

助手席のダッシュボードからオペラグラスと虫眼鏡を見付ける伊藤。
虫眼鏡はそっと元に戻した。大々的にピックアップしたが、特に使わない。

「どうだ、ムカデは見付かったか?」
「見付かったらすごいと思えよ。虫眼鏡の方が役に立つよ」
「太陽光を集めてアリを焼くため、など?」
「そういう用途か!!お前の兄貴の生き方は間違っている!!」
「俺もよく言って聞かせてるんだけどな。隆行は聞く耳持たねーよ。それよりムカデは・・・・」

ルート77ストレンジャー。 48. 

2008年05月08日(木) 0時00分

「おかしいのはムカデだ。誰かに迷惑をかけて工事してるわけじゃないが、あんな生き物を使って工事をやらせている男が曲者だな」
「確かに、謎の男が謎だな」
「重複してるぞ」
「本当に国の役人か?それも怪しいぜ。なんか、こう、謎の組織が?謎の暗躍を?」
「なんでも謎で括れば済む話じゃねー!!」
「真実はいつも一つ!!一つの真実から百の謎が生まれるワケさ・・・・」
「なんとなくかっこいい話でまとめるな!!」

一つの真実の背景に絡む謎の男、二人の手筈によって呆気なく倒されたが、話が通じそうな人間は彼一人しかいない。

「置き去りにしてきたけど大丈夫か?」

伊藤は後ろを顧みるが、当然見えない。先に行ってしまったムカデを追い掛けることに一生懸命で、途中サービスエリアで油を売りつつ、謎の男は置いてけぼりだ。

「今から戻るのは無理だし面倒だぞ?」
「そうだよな。連れてくればよかったかもな」
「そんな過ぎたことをクヨクヨ言うなよ。大丈夫、あいつならきっといつの日かひょっこり現れるさ・・・・彼を信じて!!」
「漠然とした解釈でまとめるな。しかし確かにひょっこり出てきそうな気がする。俺達をこのまま帰すわけもないだろうし、追い掛けてくるな」
「そして返り討ちだな」
「争う方向で?」

争う前に聞いておくことは山ほどある。(奥羽山脈 全長500キロメートル)
まず何度目かの事実整理として、伊藤はムカデの生態に注目した。

「山や林を消費し、アスファルトを作るムカデか。なんとゆうダイレクトな生産だ」
「となると、俺達が消費者というわけだな?消費者第一号として、記念品など、くれ!!」
「ほらよ!!」 バシャ!!
「それは窓拭きのタオル!!」

しかも湿っている。運転中の新井は雑巾の臭いにまみれた。記念品らしからぬ。

ルート77閑話。 

2007年11月05日(月) 11時39分
「ルート77ストレンジャー」 は、櫻木偲さんとの共同お題 「現実にはない国道77号線」 を元にしています。
ぞろ目の国道って日本にないんだってさ!ご存じでしたか?

ここでの読み仮名は 「ルートななななストレンジャー」 噛みそう。


新井と伊藤は、山川との共同お題 「月イチ交換お題」 (2004と2007) に出ている人物と同じです。
雪合戦したり豆まきしたり、宝くじの争い、とか、ろくなことしてない人達。
一生懸命なことはよいことです!!自分に言い聞かせるよ。

半分まで進んだので、100話の手前には終わると思います。
一話にまとめたらメモ帳で200kbくらい。なんのこともなく短いー。ブツ切りしすぎなのー。

ワンクッション的な記事。6 

2007年10月25日(木) 10時44分

「ルート 77 ストレンジャー」 42話〜
今回の更新の最初はここからどうぞ。47話までアップしました。

一つの記事の内容が長目になりました。分けてアップするのが面倒になったとも言うのです…