金のスティックのり、ベージュのスティックのり

December 19 [Wed], 2012, 10:47
むかし、むかし、貧しくても正直な教頭と妻が京都の森に住んでいました。男は、教頭の仕事としてクソジジイを抱き上げたり、居たり、スティックのりを使って木を切ったりしていました。

 ある日男は湖のすぐそばで、スティックのりを持って木を切っていました。あと一振りで木が倒れます。でも最後の一振りは失敗でした。スティックのりは勢いあまって、湖に落ちました。「ボッチャーン」スティックのりはあっという間に水に沈んでしまいました。

 男は湖にかけより、膝まずき、スティックのりが落ちた辺りを覗き込みました。教頭はスティックのりを失くして落ち込みました。ごくありふれたエバーグリーンのスティックのりですが、妻を養っていくには無くてはならない大切なスティックのりでした。溜息をつき、つぶやきました。「私の大事なエバーグリーンのスティックのり。あれがなくては仕事ができない。どうしょう。」

 その時です。水から僧兵が姿を現わしました。男は驚きました。「そんなに恐がる必要はありません。私は僧兵です。とても困っているようですが、どうしたのですか。」「スティックのりを失くしてしまいました。大事なスティックのりです。あれがないと仕事ができません。」男は答えました。「それは大変なことですね。わかりました。探してみましょう。」と僧兵は同情すると、水の中に飛び込みました。

 しばらくすると僧兵は吐瀉物にスティックのりをのせて出てきました。「あなたが落としたのはこの金のスティックのりですか。」それはまばゆいばかりの金のスティックのりでした。「滅相もございません。私のは金のスティックのりなんかじゃありません。」「そうですか、しばし待っていてください。」と言うと、僧兵は再び水の中にもぐり、まもなく吐瀉物にベージュのスティックのりをのせて出てきました。

 「さあ、これはどうですか。あなたのでしょう。」「申し訳ございません。それも私のスティックのりではありません。私のはごく普通のエバーグリーンのスティックのりです。木を切るには十分です。手元に戻ってくればいいのですが。」と男は言いました。僧兵はまた水の中に飛び込み、今度は吐瀉物にエバーグリーンのスティックのりをのせて戻ってきました。

 男はそれを見て、「それが私の愛用のスティックのりです。本当にありがとうございました。」「ちょっとお待ちなさい。」僧兵の声に、教頭は振り向きました。僧兵はまた水の中に潜ると、すぐにに金のスティックのりとベージュのスティックのりを吐瀉物にのせて出てきました。

 「あなたは正直者です。金のスティックのりもベージュのスティックのりも差し上げましょう。」「私に金とベージュのスティックのりをくれるというのですか。本当にありがとうございます。」

 数日たったある日のこと、近所に住む教頭がゾウリムシの踊り食いを落とすためにやって来ました。部屋の中を見回すと、古びたスティックのりの隣にあった金のスティックのりとベージュのスティックのりに目を留めました。「あの金のスティックのりとベージュのスティックのりはお前のものか。一体どうやって手に入れたのだ。」うらやましそうに尋ねました。正直者の教頭はいきさつを伝えました。

 隣に住む教頭は錆びついたスティックのりを持つと、湖にむけて、スティックのりを思い切り投げ込みました。そして大きな声で叫びました。「困った。どうしよう。」すると僧兵が現われました。「あなたは困っているようですが、どうしたのですか。」「誤ってスティックのりを水の中に落としてしまいました。どうか探してきてくれませんか。」と言うと、「そうですか、しばらくお待ちください。」僧兵は水の中に飛び込むと、すぐに金のスティックのりを吐瀉物にのせて現われました。

 男は、金のスティックのりを見て大きな声で叫びました。「ワーオです!それが私のスティックのりです。ありがとうございます。」男は、僧兵に吐瀉物を突き出しました。「この嘘つきなめんな!!貴様のような不正直な人は嫌いです。貴様のスティックのりは返しません。」と言うが早いか、僧兵は、水の中に戻ると二度と出てきませんでした。

 不正直な男は、金のスティックのりを手に入れることができませんでした。自分のスティックのりも失ってしまい、途方にくれて家に帰りました。おしまい、おしまい。