幼なじみ17 急接近

January 10 [Sun], 2010, 21:14
午後の授業の内容は頭に入らなかった。
もしも今朝、茜のそばにいたら痴漢に気がついたかもしれない。
茜を守ってやれたかもしれない。
今頃茜はどうしているだろう・・・そんなことばかり考えていた。
授業が終わると、急いで帰路についた。
その時、俺の頭の中は茜のことでいっぱいで、渚先輩のことはこれっぽっちも浮かばなかった。

自宅には寄らず、直接茜の家へ行った。

「あら、圭太君来てくれたの?」

「茜・・・どうですか?」

「熱はないみたいなんだけど、気分が悪いって寝てるの・・・。風邪かしらねぇ・・・?本人は、病院には行かないって言うし・・・。」

茜は母親に痴漢の話をしていないのだ。

「茜の部屋に行ってもいいですか?・・・ちょっと話がしたいんで。」

「いいけど、風邪がうつらないかしら?」

「大丈夫です。」

茜の部屋はカーテンがひかれ、薄暗かった。

「・・・茜?大丈夫か?」

「・・・。」

返事がない。

「茜?寝てるのか?」

ベッドで寝ている茜はぴくりとも動かず、掛け布団から出ているのは髪の毛だけだ。

俺はベッドの端にそっと腰掛け、茜の髪に手を伸ばした。

「茜・・・ごめんな。気がついてやれなくて。ほんとに・・・ごめん。」
そう言いながら、艶やかな髪を撫でた。

「・・・じゃ・・・ない。」
茜が何か言ったが、布団に遮られて良く聞こえない。

「え?」
もっと良く聞こえるように、唯一見えている茜の髪の毛に耳を寄せる。

「圭太のせいじゃない。」

突然茜が布団から顔を出した。
茜の声が聞こえるように耳を寄せていた俺は、涙に濡れた茜の顔を、吐息がかかるほど近くで見つめることになった。

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幼なじみ16 集団痴漢

December 18 [Fri], 2009, 21:36
茜の様子が気になって、今朝は渚先輩の胸が押し付けられても昨日のようには感じなかった。

「どうかしたの?」

「いや・・・別に・・・。」

茜のことは言いたくなかった。
あんな風に、頼りなげに泣いていた茜のことは・・・。

田中は一時間目が終わっても二時間目が終わっても、学校に来なかった。
メールもしてみたが、返信がない。
俺はだんだんイライラしてきた。
茜に何があったのかさっぱりわからない。

四時間目が終わり、昼休みに入るとすぐに、田中がやって来た。

「遅かったじゃないか。何やってたんだよ。茜は?」

「家まで送って来た。しっかし、茜ちゃんの家って遠いのな。」

「で?茜、どうして泣いてたんだ?」

「そのことだけど・・・。弁当持って、ちょっと来いよ。」


「ここなら誰にも聞かれる心配がないからな。」
そう言って田中が連れて来たのは、屋上だった。
二人で腰を下ろし、塀にもたれかかる。

「早く言えよ。」
足元に弁当を置いたまま、田中を促す。

「圭太、お前何やってんだよ!」
田中が怒ったように言う。

「えっ?何だよ?茜が泣いたのは俺のせいだって言うのかよ?今朝はしゃべってもいないぞ。」

「茜ちゃんと同じ電車に乗っていて、気がつかなかったのかよ?」

「だから、何のことだよ?」

「今朝、茜ちゃんは痴漢にあってたんだよ。」

「!」

「しかも、今朝が初めてじゃないらしい。最初は一人だったみたいだけど、最近は複数の人間に触られてたらしい。」

「複数・・・。」
沢山の男の手が、茜の身体を触りまくる光景が脳裏に浮かんだ。

「それだけじゃない。茜ちゃんはなかなか打ち明けてくれなかったけど・・・泣いたのは、今日はとうとう下着の中にまで手が入ってきたからだって・・・。お前、茜ちゃんと同じ電車に乗ってたんだろ?茜ちゃんの様子に気がつかなかったのかよ?・・・まったく!」

田中が怒っているのは俺にではなく痴漢に対してだとわかっていたが、俺は俺自身に腹がたっていた。

「乗り換え駅からなら俺が茜ちゃんを守ってあげられるけど、その前はお前に守ってもらわないと。・・・頼めるよな?」

「ああ・・・。」
もう弁当を食べる気分ではなくなっていた。

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幼なじみ15 涙

December 17 [Thu], 2009, 20:20
翌日も、俺は渚先輩との待ち合わせの為に同じ時間の電車に乗った。
当然、茜も同じ電車だ。
朝の挨拶をしただけで、前日同様少し離れたところに乗り込んだ。
乗り換えの駅で、人込みと共に電車から吐き出される。
今日もホームで、田中が茜を待っていた。

「茜ちゃん?どうしたの?」

田中の言葉に、俺は茜の方を振り向いた。
驚いたことに、茜が泣いている。

「茜、どうしたんだよ?」

「・・・。」

「茜ちゃん、大丈夫?具合が悪いの?」
田中が茜をホームのベンチに座るように促す。

「茜、どうした?」

「・・・うっ・・・うっ・・・。」

茜は声を抑えて泣くばかりで、どうしたのかさっぱりわからない。

乗り換えの電車がやってきた。

「電車が来たぞ。」

「茜ちゃん、学校に行ける?」

「うっ・・・うっ・・・ううっ・・・。」
茜は答えない。

「乗らないのかよ。」

「圭太、俺、茜ちゃんに付き添うわ。お前、渚先輩も待ってるだろうし、行っていいよ。」

「でも・・・。」

「学校に行くにしろ、帰るにしろ、茜ちゃんには俺がついてるから。」

茜のことは気になったが、田中にそう言われると、渚先輩も待っているし、そうするしかなかった。

「じゃあ・・・先生には茜が具合が悪くなって、田中が付き添ってるって言っておくよ。」

「頼む。」

茜と田中をホームに残し、俺は電車に乗り込んだ。
ドアが閉まり、電車が動きだす。
ベンチに座って両手で顔を覆い泣いていた茜が、一瞬顔を上げて俺を見た。
涙で潤んだその瞳は、俺に助けを求めているようだった。
ドアが閉まっていなかったら、飛び降りただろう。
後ろ髪を引かれる思いだったが、電車は俺を渚先輩の元へと運んだ。

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幼なじみ14 登校

December 04 [Fri], 2009, 18:58
腕を組んだまま、渚先輩が話しかけてくる。
それに答えながら、俺の意識は、腕に押しつけられている渚先輩の胸に集中していた。
さっきまでは田中と茜のことが気になって仕方がなかったのに、今はもうそんなことはどうでもいいように感じた。
俺の脳みそは、ベルトの下まで落ち込んでしまったようだ。

2年生と3年生は正面玄関を使うが、1年生だけは東玄関を使う。
胸に押しつけられていた渚先輩の柔らかな胸との別れを惜しみながら、東玄関へと向かう。
一人になったところで、数人のクラスメートに囲まれた。

「お前、渚先輩と付き合ってるのか?!」

「いつから付き合ってるんだよ?」

「腕組んでたろ、腕!」

「やっぱイケメンは得だな〜。ああ、羨ましい。」

などと、勝手なことを言う。
肩をすくめて黙っていると、一人が別の話をしだした。

「なぁ・・・ちょっと気になったんだけど・・・。」
そう言って、前方を見る。

「あ、俺も。・・・まさかとは思うけど・・・。」

そいつらの視線の先には、田中と茜がいた。

「まさか・・・アイツら付き合ってるとか?」
田中と茜のカップルなんてあり得ないと言わんばかりの口調だ。

「・・・付き合ってたら悪いのかよ。」
付き合いは短くとも、田中は俺の親友だ。
思わずきつい口調で答えてしまった。

「まさか!」

「サッカー部の鈴木を振って、田中かよ?」

「茜ちゃんから・・・のわけないよなぁ?田中のヤツ、いつ告ったんだよ?」

「なんで田中なんかにOKしちゃったんだよぉ・・・茜ちゃん・・・。」

田中は告ってない。
しかし、田中の名誉の為にもそんなことは言えない。
それに茜がOKした理由も。
まさか俺とキスしたからだなどと、言えるわけがない。

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幼なじみ13 ライバル

November 24 [Tue], 2009, 21:52
憧れの渚先輩と一緒に登校しているというのに、俺は少し前を歩いている茜と田中が気になって仕方がなかった。

「・・・ねぇ、さっきからあの二人ばかり見てるけど?」

「えっ?!ああ・・・。」

「・・・私と一緒に登校したくないの?」

「そ、そんなことっ!」
慌てて渚先輩の顔を覗き込むと、怒っているというより面白がっているような顔をしていた。

「あの二人・・・付き合ってるの?」

「まぁ・・・。」

「ふ〜ん。あの娘、圭太君の幼なじみよね?」

「・・・そうです・・・。」

「可愛い娘よね。私達の学年でも人気があるのよ。」

「え・・・。」
茜が3年生の間でも人気があるなんて、思ってもいなかった。

「1年生に可愛い娘がいるって。私、最初は圭太君と彼女が付き合ってるのかと思ってたの。だから、圭太君の誘いにもすぐOKできなくて。でも、付き合ってる彼がいるんなら、もう心配しなくていいわね。」
渚先輩はそう言うと、嬉しそうな顔で俺の腕にすがりついてきた。
制服越しでも、豊かな胸が押し付けられるのが感じられる。
俺が驚いたのはそのことよりも、渚先輩が茜をライバル視していたことだった。

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