〈証言そのとき〉消費増税の道:2 官僚は落第ですか

October 24 [Fri], 2014, 16:46

■元財務相 藤井裕久さん


 大蔵省(現財務省)に入ったのは1955年4月ですが、その2日前に父を病気で亡くしました。父は医者で、東大で研究生活の後、東京都文京区の本郷で開業していました。


 半年も前から死を覚悟していた父に、私は「法学部から医学部にかわって医者になろうか」とたずねましたが、父の返事は「社会の病根をなおすような人間になれ」でした。


 私は東大野球部のキャッチャーをしていて、午後の授業がなかなか受けられず、弁護士は無理だと思っていました。それで、「世の中のためになるのは役人じゃないか」と。


 自治庁(現総務省)か大蔵省に、と希望しましたが、大蔵省の口頭試問で後に事務次官になった谷村裕さん(当時銀行局総務課長)が、「君、酒飲むか?」と聞くので「少々」と答えたら、「おお、2升か」と笑う。こういう痛快な役所はいいな、と思いました。


■欧州の付加価値税


 はじめは大臣官房の文書課に配属され、主税局や国会を担当しました。藤沢税務署長や主計局主査を経て、71年7月に佐藤栄作内閣の竹下登官房長官の秘書官になりました。このときに水田三喜男大蔵大臣と話す機会があり、1ドル=360円をやめたスミソニアン合意(71年12月)のころ、水田さんが「欧州に行ったが、やはり今後は付加価値税を導入するしかない」と言うのを聞きました。


 ――70年、水田氏を団長とする自民党欧州税制調査団が付加価値税の状況を視察。帰国後の報告書では、消費税として負担の公平や経済効果からみて最も進んだ制度が付加価値税であるとした。


 「消費税は公平だ。誰からもいただく」「景気に左右されず、安定的な税収になる」。「公平と安定」ということを水田さんは言い、私は本当にそうだと思いました。戦後改革のシャウプ勧告を受けて、日本はいったん地方税制には付加価値税を導入したんです。50年から54年まで法律には付加価値税が書いてあった。でも執行停止したままで実施されなかった。それをやるべきだ、と私は考えました。

  • URL:http://yaplog.jp/redsoccer02blo/archive/130
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