もう一週間たってしまいましたが、先週末のご報告です。
毎年恒例、トロントの夏の名物となっているプライド・パレード
が6月25日 に行なわれた。レインボーの色に象徴されるよう
に、「ゲイ、レズビアン、トランスジェンダー、バイセクシュ
アル、インターセックス」のためのお祭りなのだが、それは
つまり、生後に政府によって登録された男・女という性カテゴ
リーと、登録が前提としてきたところの「男女間の結婚」という
お仕着せに、何らかの形で抵抗している人たちのための意志表示
の機会でもある。
とはいえ性的マイノリティとされる人々は、「抵抗」という
よりは 商業的なメディアに取り込みやすい形に変容され
「自由」「解放」というイメージで表象されてきている。

そして現実に運動を支え、
法制度を変える際には鍵と
なったような「人権」と
いう概念も、 プライド・
パレードの スローガンのな
かでは「多様性 diversity」
に置き換えられている。
公的に冠されるスローガン
が、 性的マイノリティの
カムアウトがもつ潜在的な
政治性を弱めようとする一
方で、パレードの参加者のなかには、性のポリティクスに
限定されない、さまざまな政治的主張を伝えようとする
人たちもいた。
トロントのストリートイベントはどれもこれも商業主義化して、
いるだけで気分が悪くなるのでわたしはしばらく敬遠してきた。
プライドパレードも例外ではなく、企業スポンサーがついてい
る。パレードの通る商店街はこぞって虹色の飾りを店の前に出
してお祭り気分を盛り上げる。友達が誘ってくれなかったら
きっと見なかったであろうプライドパレード、なにせ5、6年
ぶりだったが、一番印象に残ったのは、いちばん最初の方で
「企業、商業主義、資本主義がプライドを殺す」と掲げたカリ
ビアン風の黒人青年だ。直後に「企業プライド、ファック!
」というバナーを掲げた人たちが続いた。 彼らがパレードの
中でともに歩きながら、抵抗する可能性を 最初に示してくれ
たのはとても嬉しかった(2に続く)。