Darjeeling 

February 19 [Wed], 2014, 3:05
虚ろな月明かりに 掌を翳せど

透けることもない それはただ青白く


ひたひたと忍び寄る 暗がりは静かで

麝香に似た紅茶の香りが 夜風に揺らめいていた


冷えた白磁を眺めて その皇かな肌を撫でる

まろく曲線を描く耳を指先でなぞり そっと口づけを


溶かし込んだ蜜は 只管に甘く

噎せる香りは熱を帯びた名残り

浸した指先に絡んで滴る雫を舐めて

甘かったはずのそれを吐き出した


もう この夜への興味は薄れてしまっていた


虚ろな月明かりに 冷めた紅茶を翳して

光を透かすそれは ただただ紅く澄んで


遠い夜明けに焦がれる 暗闇に沈んで

僅かな香りさえ もう風に溶けてしまった


冷え切った白磁を微塵に砕いて

最後に残ったその柔らかな耳に そっと口づけを
 


お気に召しましたら。


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Nameless 

April 19 [Fri], 2013, 23:35
こんなに こんなに 思っても届かないのなら

あなたに恋なんてしなければよかった って

何度も 何度も 頭の中で繰り返して

だけど あなたを思う心は止められなかった


大好き 大好き 愛してる

伝えられない言葉が募るほど

どうしようもなくあなたが恋しくなる


どれだけ隔てられても

どれだけ姿が見えなくても

どれだけ声が聞こえなくても

褪せない思いは ケロイドのように残って

引き攣れるように 痛くなる


これを人が恋と呼ぶのなら

そんなもの 知らなくたってよかった

これが人が恋と呼んでいるものなら

こんなもの もう欲しくない


この気持ちに名前なんて付けなくていい

これが最初で最後 たった一つの感情だから

他の誰にも 渡す当てがないのだから

他の何かと分ける必要もない


この傷痕と後悔と開かない唇が 私の初恋

たった一つきりの 痛くて 苦いだけの 私の永遠
 


お気に召しましたら。


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Wreath 

March 29 [Fri], 2013, 22:08
どこか遠くに行きたくて 空を見上げたの

春霞の淡く蒼い空 君にも見えているでしょうか

悲しみは桜が咲くたびに揺らいで

移り変わる季節の中で癒えていく

本当は傷を埋めたくなんてなくて

満たされない心の隙間を 何度も何度も抉った

君に伝えたい言葉ばかり 行く宛てもなく降りそそぐ

嘘は 柔らかいから 好き


どこにも行きたくなんてなくて 耳をふさいだの

シロツメクサの冠は歪で 君にはあげられもしない

愛しさは桜が散るたび募って

閉じ込めた写真の中で増していく

本当はみんな忘れてしまいたくて

心の奥底でカギをかけて 何度も何度も願った

君がくれた言葉ばかり 掬う手のひらから零れていく

嘘は 暖かいから 嫌い


君のことを好きになりたかった

君のことを嫌いになりたかった

だけど どちらにもなれなくて

曖昧な平行線を描く二つの距離は 愛しくて 悲しい


君の傍にいたくて 君から離れたくて

そのどちらも叶わないから 「好き」も「嫌い」も言えない


君と二人 手をつないだまま 輪になって

君が見えないほど遠い場所に行けたなら

舞い散る桜が二人の姿を掻き消して

つなぐ手の温もりに 心から 愛してると言えたのに
 


お気に召しましたら。


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Slumber 

March 19 [Tue], 2013, 1:25
さよならを伝えたくて

君にただ 手を伸ばしていた

悲しみは 癒すこともできないまま

こうして私の隣にいる


傍にいて ただ会いたくて

君の名前を呼びたくて

伝えきれなかった愛が溢れて

散らばる破片が酷く痛い


言いたかった言葉たちは

煙のように漂うまま

眠る君と共に土の下には

どうにも行けやしなかったみたいで


会いたくて 抱きしめたくて

それだけをただ伝えたくて

君に届かないまま朽ちていく時間が

どうしようもなく無駄に思えてしまうけれど


ありもしない夢の中で

君と絡めた指の温もりだけが

私には真実なようで

生きていくことさえ苦しい


微睡みの中で君を叫んで

振り返る横顔がこんなに愛しい

永遠の幻と戯れて

泡沫と潰えてしまおうか


ねえ 愛しい人

あなたなしに

この果てない暗闇の中

どうやって朝を待てというの
 


お気に召しましたら。


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Aria 

March 12 [Tue], 2013, 23:59
ただ あなたを愛していただけ

このはち切れそうな思いを抱えたまま

私はたぶん 永遠の孤独に沈んでゆくのでしょう


あなたのいない夜ばかり 飽きるほどに繰り返して

あなたを失くした夜ばかり 朝が来るまでなぞり続けて

誰も叶えてくれやしないのに 夢ばかり人は尋ねるの

ねえ ただ 傍にいたいだけなのに


星を越えたら あなたに会える?

この夜を切り取ったら あなたと手をつなげる?

この鼓動が届くくらいの距離に いつもいてくれるって言ってたでしょう?


どれだけ 寂しいと叫べば どれだけ 苦しいと呼んだら

あなたは私の声に気づいて もう一度抱きしめてくれますか


夜になれば たとえ夢の中でも あなたの腕の中で目を覚ます

朽ちていく腕を掻き抱いて また最後の夜を繰り返すの

朝が来れば 白い光の世界で目を覚まして鼓動が聞こえる

あなたの音はもう聞こえないのに 一人を刻み続ける心拍


この時間をどうか止めて あなたと遠く離れてしまう

置き去りにした優しい時間は こんなにも深く胸を抉る

永遠を切り刻んだ暗すぎる夜が 果てしなく続く闇へと変わった


星を越えてこの願いが いつかあなたに届いたのなら

ねえ どうか どれだけ時間がかかってもいい

私を迎えに来て

悲しいと叫んで 切ないと呼んで 

隔たれた二人の時間をその愛で埋めてよ


私の心臓が疲れたって この歌の終わりを綴ったなら

頭を撫でて 抱きしめて 長すぎる孤独を終わらせてください

あなたを愛し続けて壊れかかったこの想いを

今度はどうか永遠に あなたの傍においていて
 


お気に召しましたら。


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Anemone 

July 29 [Sun], 2012, 0:10
どうしたら君に届くかなんて

そんなこともう考えたりはしないんだ

だってそれはひどく無駄なこと

僕の時間と心を食い荒らすだけの


悲しみを悲しいと形容してみたところで

今更その形が変わるわけでもなければ

その存在が僕の中から薄れるわけでもない

ただ引き攣れていくケロイドのように

醜い醜い傷痕をまた抉ってしまうだけさ


君への後悔も 愛しさも 欠片ほどもないけれど

ただ僕の純情が泣き腫らした目をしていて

それをどうやら苦しいと思うだけの心が

僕の中にはまだ残っていたみたい


愛してるなんてそんな言葉だけのつながりで

僕の心まで飼い馴らしていた振りをしないで

僕のそれは僕自身にさえ従順じゃなくて

いまだに手懐けられずに噛みつかれるんだ


ただしばらくそばにいたってだけで

僕のことを何もかも知ったような顔をしないで

君は最初から最後まで知ろうとはしなかった

僕が何を慈しんで何を大切にしてたかなんて


さよならを告げる気なら

もう少しマシな言葉を探してみたら

僕にはそれで十分だけど

他の子には嫌われるでしょう?


君を恋しいと思うことも

憎いと思うことも

これで最後にしようと思う

泣き腫らした目をしてるあの子を抱きしめて


 


お気に召しましたら。


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Phone 

May 22 [Tue], 2012, 0:35
閉じた部屋の中 一人 君を思うの

届かない腕の行き場なんてなくて

叶わない夢ならどうか このまま夜の中

君の残した傷痕だけ抱いて眠りたい


重ね合わせたはずの指先が離れて

君の苛立ちに気づいていても まだ

許されるような気がして おどけてみせた


君の唇 頬 触れる 手のひら

柔らかな吐息揺らいで 眠りを誘う

傷つかない振りをして 時を重ねた


甘やかな微睡みの中 指を繋いで

誰にも届かない夢を見ている

二度と戻らない世界 閉じた窓の中

君に触れる言い訳を探して

帰らない日々の傷痕を なぞるの


暖かな光の戻らない場所で

君に愛されていた 記憶を繰り返すの

閉じたこの世界の外側の時を

二度と知ることはできない

知る必要もない


閉じた この狭い世界に 一人

君を思って 鳴らない歌を探すの

誰の腕も二度と届かない

誰にこの声が届くこともない


許されるなら この閉じた部屋の外

君の生きる時間を知りたい

指先に触れた暖かな感情の意味を

どうか どうか ねえ 教えて
 


お気に召しましたら。


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Sakura 

April 04 [Wed], 2012, 1:40
罪の色は 儚く舞う 恋のそれと 同じだから

言わないで 悲しすぎる あなたはもういない

遠い空に 愛しさだけ ひらひら散る 花びらのように

風に揺られ どうか届け あなたの元へ


一片 髪にふわ、り 白い春を告げて

摘み 乗せた 手のひらから 青の中にさらわれ

君の声が聞こえる 遠く 近く 今も隣に

ゆら、り あの日の影が まだ 此処に ある気がして


春の色は 闇に溶けた 恋のそれと 同じだから

今もまだ 聞こえてるの あなたの呼ぶ声が

霞ゆく 遠い空に 美しい 思い出だけ

閉じ込めて 鍵をかけて 一人眠るの


移ろう影に 伸ばす 指は ひやり冷えて

握り込んだ 指の上に ふわり触れる花びら

君の声が響いた ゆらり ゆらぐ 風の向こうに

あの日 肩に寄せた頬 まだ 温かい気がして


罪の色は 散りばめられた 夢のそれと 同じだから

悲しみは 夜に溶ける ひだまりの温度で

風になびく 髪を押さえ 花びら舞う 空を仰ぐ

壊さないで まだ届くの 遠いあなたに


恋の色は 指に触れた 桜のそれと 同じだから

悲しいねと 君は言うの 片恋ばかりは

遠い空に 悲しみだけ ひらひら舞う 花びらに乗せ

ゆらり揺れて 鍵をかけて あの春の日へ 

 


お気に召しましたら。


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夢のあとで 

March 31 [Sat], 2012, 2:40
君の夜を解いて 僕の真昼はぼやけていく

夕暮れの割けるようなオレンジも

夜明け前の沈み込んだインディゴも

境界線を無くして

誰も彼もが ひとりぼっち


気怠げな午後に名前を付けて

物憂げな雨には水色を重ねて

乾いた唇を濡らす赤色は

退屈と気紛れを混ぜ合わせてしまったような


真夜中の静寂を 君の眠りに溶かして

羽ペンに吸い込まれるインクは

黒く 深く 青く 遠く

ぼやけていく僕の白昼夢に

誰も知らない文字を並べていく


こめかみに突き刺した指の先に滴る

赤く濁った記憶の雫は

緩やかに真っ直ぐ軌跡を描いて

崩壊する僕らの境界線をなぞる


境界線を失った朝と夜を

朱と蒼で掻き回し

君の夢と 僕の幻を 

混ぜ合わせて

叶わない永遠の微睡みを

ひとりぼっちはゆらゆらと揺蕩う
 


お気に召しましたら。


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Waltz 1′40″ 

March 24 [Sat], 2012, 0:47
爪先立ちで踊るワルツ 一人きりの広いホール

貴方の肩には指先さえ もう届くはずもなくて

回り続けて縺れた足は 鈍く鋭く痛みが刺さる


オーケストラは眠りに就いて 弦が弾けてリズムを刻む

終わる当てのない 永遠に続くロンド

私のためだけに月に照らされた 朽ち果てたホール

二度と唄さえ紡がないしゃれこうべを抱いて

私は 此処で一人 届かない貴方を夢見て踊るの


爪先立ちで紡ぐワルツ 足先に刺さるガラス片

頭上に掲げたこの両腕 月光に輝く陶磁の白片

結い上げた髪は解けて ただ柔らかく首に絡む


暗闇はまだ深く 黒鍵にのせた指先は耳障りな和音を叩いて

手渡す宛てもない 髪に差した一輪の花を白鍵に手向けた

星影の覗く 開け放たれた窓を見上げて

豪奢な衣装に隠された 愚かな私を思い知ったの

醜くて 浅はかで 罪深い 夜明けを知れない私


酷く歪んで廻るワルツ 爪先から夜に朽ち果て

崩れた指は短剣に届き 白い貴方を抱きしめた

砕けた赤錆が時を進め 最後の一音が聞こえた 
 


お気に召しましたら。


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プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:刹那
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 職業:大学生・大学院生
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誰かの心の隅っこに響くものを書けたらいいな、と思っています。

自作発言・無断転載等は固くお断り申し上げます。

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