遭難序章〜Can you help me? 〜 

2007年03月25日(日) 18時47分
アタシが望めば貴方は



―求めたものは救助。



アタシを殺して下さる?



―欲したものは破壊。



くだらない世界は



―手に入れたものは絶望。



見たくなんて無い



―掴んだものは孤独。



ねぇ、貴方は



―失くしたのは己。



アタシを如何して下さる?



―失くしたものは己。






アタシが望めば眸を、耳を、口を。
貴方は塞いで下さる?

逃れたい、消えたい、死にたいアタシを。
貴方は如何やって救って下さる?




答えは、失い。

サコミツ秋山 

2006年12月16日(土) 13時52分





ズルッ、ベシャッ



その音と共に、三歩前を歩いていた筈の華奢な身体が、気付けば視界に映らなくなっていた。
不思議に思い顎を下に向ければ、其処には地面と仲良くなっている主の姿が。
そういえば昨夜軽く雨が降っていた、その所為で地面がぬかるんでいたのだろう。
…ってそんな事を冷静に考えている場合ではない、と直ぐに気付く。


「殿、大丈夫ですか?」


そう言いつつ近くへ寄れば、なんでもないと彼の人は一人で立ち上がった。
それは不器用な彼の人の照れ隠しだ、その事を知っているからこそ左近は軽く微笑む。
可愛いなぁ、なんて思いつつもそれは心の内に。言えば彼の人は怒り出すだろう、それはそれでまた可愛いのだが。

顔に泥が付いてしまった、と彼の人は袖で汚れを拭おうとする。
このぬかるみに見事な程に転ければ、顔や服に泥がつくのは当たり前で。
まるで農作業でもした後の様に、或いは幼児が夕方まで遊んで帰ってきたかの様に泥だらけだ。



「殿、お召し物が汚れてしまいますぞ」



そういって三成の前に回りこみ、その腕を捉えて取り敢えず袖を汚すのを阻止する。
もう片方の手で己の懐から手拭いを取り出し、三成の顔を拭ってやる。
白い手拭いが土に汚れ、土に汚れていた顔が白を取り戻し。心成しかその顔は少し朱に染まっていた。
少し乾いてしまった泥は取れないので、何処かで水を見つけたらまた拭きますね。
そう言ったのを三成はああ、と軽く相槌を打っただけで然程気にしてはいないみたいだった。
寧ろこの年になって転けたという事実の方が、彼の人の中では重要なのかもしれない。なれば顔の汚れなんて気にもなる訳ない。



「ぬかるんでいたのですから仕方が無いですよ」



言いながらパンパン、と服についた泥を落とす。明るい色では無かったのが幸いして、然程汚れは目立たない。



「煩い」



彼の人はそっぽを向きながらぶっきらぼうにそう答えた、よくよく見ればやはり顔は赤い。
やっぱり照れ隠しなんだろうな、とその反応に思わずくつくつと笑みが零れる。
粗方泥も落ち、まるで朱に染まった顔を隠すかのように三成は先に前へと歩き出した。
手拭いを適当に畳み、懐に戻しながら少し早足で左近は彼の人の後を追いかけた。



何処か遠い所で、鳥の鳴き声が聞えたような気がした。










秋山









辺り一面を朱や黄に染まった木々が埋め尽くし、地面には葉っぱの絨毯が出来上がっていた。
サクッ、サクッとその絨毯を踏み進めてゆけば、更に秋の色は濃くなる。


今年もこの佐和山は例外無く訪れた季節を迎え、そしてそれを満面に散らしていた。
そう、季節は秋。
山の木々達はその葉を素晴らしい色合いに変化させ、沢山の実をつける。動物達は次の季節に備え、各々の準備を始める。

今日はまさに秋晴れと言うべき天気であり、散歩をするには絶好の日和となった。


「いーお天気ですねー」


そう言いながら伸びをすると、彼の人はそうだなと答えた。
さらりと少し冷たい風が舞って、秋の薫りが間に入り込んできた。



二人は今、そんな秋色真っ只中の佐和山の中に居た。







何故彼らが此処、佐和山の紅葉の真っ只中にいるのか。
発端は今から四日前に遡る、何てことも無いある日の日常で、彼が発した言葉から。


「とーのー、山に行きません?」


職務に追われ、今現在も机に向かっていた三成は、取り敢えず眉間に皺を寄せた。
いきなり人の部屋に入ってきて、しかも関口一番に吐いて出た発言が先の物。
唯でさえ激務で忙しい故に苛立ってるのに、少し間延びしたその台詞が癪に障り、更に苛立ち五割り増し。
先よりも眉間の皺が深くなった、漂う雰囲気もなにやらピリピリしているような気がする。


「左近、お前俺が忙しいという事が見て解らないのか?山に行く暇なんぞ存在するわけが無かろう」


まさに苛立ちは最高潮、心成しか雰囲気が痛い、気のせいなんかじゃなくて確実に痛い。
その所為か彼の人の口から出てくる言葉はかなり毒を含んでいる、だが左近はそんなこと全く気にしない。
不機嫌な主なんていつもの事、それが少し悪化したぐらいで筆頭家老は焦りなどしない。
と言うよりもこんな事は日常茶飯事なので慣れている、といった方が正しいのだろう。寧ろ機嫌のいい主なんて滅多に見たことない。


「いいじゃないですか、行きましょうよ山。今ならきっと紅葉が綺麗ですよー」
「だから言っただろう、俺は忙しいのだ!暇など無い!」


ダンッ、と机を両手で強く叩く。その振動が勿論机の上に乗っていた物にも伝わる訳で。
幸い筆は下に落ちなかったものの、彼の人が書いていた書状には無残にも墨が飛び散ってしまっている。
これでは使い物にならない、なればぐしゃっと握り潰し明らかに左近を狙って投げ飛ばす。
左近は別段それを避けようとはせず、でかい図体にぶつかった紙屑は床に無造作に転がっていった。
痛いですよー、と痛くもましてや痒くも無い筈なのにそう呟くと主はふんっと鼻をならした。


「とーのーそんなに怒らなくたっていいじゃないですか。ほら、今ならきっと色々な木の実とかいっぱいありますよー」


その言葉にピクッ、と僅かに三成が反応したのを左近が見逃す筈無く。もう何押しかと少しばかり勝利を確信する。


「そーですね、栗なんか今が時期ですし」


甘いものが好きな三成は当然栗だって好物なわけで、更に反応する主を見つつ少しく口の端が吊り上がるのを感じた。


「あとは…あぁ、そうだ。くわの実とかもありますねぇ」


他にもこんなのがある、と更に強請りをかけて主の興味をこちらに向けさせる。


(さて、そろそろかな)


いよいよ左近の企てが公に出る時、ぎゅっと三成を背中から強い力で抱き締めつつ耳元に直接甘く囁いた。

?徒然なるままにダテナリ 

2006年12月16日(土) 13時52分
即ち、こうなる事は“計算していない”。

「どうしたんだよォ、さっきまでの強気はどーこ行きやがったんだ?」

金属質な音は全く止まぬ、寧ろ響きは先よりも格段に上へとなりつつある。
やたらと耳朶に響くその音が、やけに煩わしかった。

全く隙を見せぬ攻撃に、今こちら側が攻め入るのは無理があると察したのか、元就は一旦政宗から間合いを取ろうと飛び跳ねざま後方へと下がる。
だが政宗はその行動を察していたかのように、元就との間合いを一気に詰めその太刀の一本で前方を凪いだ。

キィン!と耳障りな音が鳴った途端、然程遠くはない位置からガランという落下音が響いた。
それは、元就がつい先までかぶっていた兜であった。
政宗の太刀の一本が元就の兜に直撃し、その衝撃で兜は吹っ飛んだのだろう。
頭にじんじんと衝撃の余韻を感じつつ、やけに冷静な分析を元就はしていた。
どんよりと曇った鉛色の空から降り注ぐ雨が、兜を失った事によって曝け出された元就の髪や頬を濡らす。
湿気を十二分に吸った茶色の髪が、鬱陶しく肌にまとわりつき不快が露になる。
薄暗い中に映える元就の白い膚、端正に整った秀麗な顔立ち。
柳眉をきっと吊り上げ睨み付けてくる表情も加えて、全てに満足したのか、政宗はヒュゥと口笛を吹いた。
 
 
 
「アンタすんげーbeautifulじゃねぇか、ちょいとキツーいその眼差しも気に入った!」

三国立東呉学園高等学校メモンヌ 

2006年11月04日(土) 23時40分
三国立東呉学園高等学校特別進学科火計・軍略コース、略して『特火』。
将来軍師になるべくして集まった東呉一、否、三国一偏差値の高いクラス。
此処のクラスの生徒達はぶっちゃけ並の先生より頭が良すぎるものばかり、だから担任も超エリート学校出身(諸葛謹 子瑜先生)。
頭は良いが、結構変わった人間が多いのが玉に瑕だったりする。
普段はツンツンだが特定の人間にはデレデレな生徒、校則破りまくりだが頭脳はトップクラスで理事長お気に入りの生徒、火計大好き最近一つ年上の先輩に恋慕中の生徒、顔色がめっちゃ悪い生徒、My friend is鳥な生徒他エトセトラ。
因みに特火は全校に比べ非常に人数が少ない、要は狭き門ってこと。


三国立東呉学園高等学校(略して東呉高校)の全体の科のメモ。

+普通科+
全人数約1800人、一コース約300人
普通コース
まさに読んで字の如く、雰囲気も居る人物も一番普通なコース。
武芸コース
運動大好き体育会系な方にオススメ。要は馬鹿共の集ま(ry
偏差値は一番低い。
軍師コース
将来軍師になるべくして必要な知識等がまぁまぁ学べるコース。普通科内で偏差値が一番高い。
工作コース
物(此処では柵やら武器やらの事を指す)作りに長けている人にオススメ。何故か年配の方が多い。(職人ですから
守護コース
攻撃より守りを重点的にしたい人にオススメ。何故かいつも静かなコースで無口な人が多い。
ファンシーコース
可愛いもの大好き♪な人が集まるちょっと(所じゃない)変わったコース。女性が多いかと思いきや実はおっさんが人数の殆どを占めている。

+特進科+
全人数約200人
普通コース
基本的には普通科の方と同じだが、特進科故にレベルはかなり高くなる。

火計・軍略コース(25人)
当学園一の偏差値を誇る超エリートコース、取り敢えず天才ばかり。
毎年とも例外に漏れず変り者が多数出現する為、実は一番愉快なクラスだったりする。
何故か皆が皆文化祭に一番力を込めている。(勉強に込めろや)
平均偏差値:約75、まさに未知の領域。

切れてた。 

2006年09月07日(木) 0時49分
↓のが切れてたので続き。



貴方の隣に…何時までもあの人が居るように。



さようなら、さようなら。
私の事は一切忘れて下さって結構です、私の存在など無かったことにしても構いません。
でもこれだけは忘れないで下さい。

この世に、貴方を愛した者が居たという事を。
そしてこの想いは決して偽りではなく、真の想いであるという事を。


どうかそちらの世界でも孫策殿と共にお元気で。
貴方の御健康と御冥福を心から祈ります、周瑜殿。


追伸
全ての鳳仙花が散ってしまう前に、貴方のお墓へお供えしましょう。
どうか綺麗な朱色のまま、そちらの世界まで届きますように。






01.貴方の眼はいつも "誰か" を見ていた


「届かなかった10のお題」

なんとなく手紙形式で。
どうしても陸瑜は策瑜が前提になってしまう。

大戰R陸→弓R瑜(周瑜没後) 

2006年08月24日(木) 19時22分
拝啓
野原に伸びた緑の苗が紅の鳳仙花を咲かせ、辺り一面を真っ赤な朱に染め上げています。
貴方が愛したこの花は今年も綺麗に咲き誇り、まるで貴方の俤を写しているかのようです。
思い浮べるのは貴方の笑顔ばかりですがお元気ですか?
私は夕焼けを見上げるたびに哀旬を感じています。
夕焼けは、いえ、太陽はまるで貴方のようです。
その志は熱く燃え、その思いは全てを焼き払う。
貴方という太陽は私を魅了して止みませんでした、いえ、今も私は目を離せずにいます。
私は貴方が好きでした、今もその思いは止まる事を知りません。
貴方の美しい漆黒の髪が東南風に靡く様を見て私は心が妖しく騒ぎました。
貴方の行動の一つ一つに魅入り、貴方を欲しいと思いました。
でも、貴方は決して私のものにはなりませんでした。
貴方の眼は、私ではなくて何時もあの人を見ていました。
死んでも尚貴方を引き寄せるあの人を私は心から怨みました。
それは一言で表すならば『嫉妬』なのかもしれません、私はあの人に嫉妬していたのです。
あの人は貴方にとってかけがいない人なのは解っていました。
それでも、今となっては思いのみで貴方を苦しませるあの人を私は許せなかったのです。

私は一族をあの人に殺されました。
なのにこの国に遣えたのは貴方が居たからなのです。
一目見て貴方に恋慕しました、ですが貴方の隣には何時もあの人が居ました。
それでも貴方が嬉しそうだったから、貴方の表情が綺麗だったら私はあの人に遣えました。
ですが、あの人が消えたと同時に貴方の笑顔も消えました。
私は喜び、悔いました。
あの人が消えた今がまさに好機ではなくて、寧ろ逆でした。
あの人が居なくなった貴方はまるで蛻でした、そしてそんな貴方の溝を私が埋めるのは無理でした。
だって貴方は私ではなくて何時もあの人を見ていました。
そんな貴方の溝を埋められるのは、あの人しかいません。
悔しいけれど、私は貴方に何も出来ません。
そんな私など、貴方にとっては空気も同然だったのでしょう。
別に私はそれでも構いません。
貴方の心があの人のものならば、私は何も出来ません。
貴方はあの人に連れられていってしまったから、私は追い掛ける事も出来ません。
そう解ったから私はもう何も言いません、ただ貴方の幸せを祈るのみです。
貴方が何時までも笑顔で居られるように、貴方が何時までも幸せに満ちているように。
貴方の隣に…何時までもあの...

蝴蝶姫メモンヌ 

2006年08月15日(火) 23時41分
道理に塗れた世界なんて美しくもなんともない、殺風景と同等だ。

白黒が作る世界は、儚くも素敵だった。
否、白黒でしか世界は作られていなかった。

“色”なんて、私の視界には存在しない。
“色”なんて、私の世界には存在しない。
そんなもの、何処にも無い。
在るのは、当たり前で出来たこの世界。
そんな世界でのうのうと生きる者と、それから明らかに浮いている私だけ。

?紅の華〜終焉の鳳仙花〜 

2006年07月17日(月) 6時32分
『ふっ、俺はお前のその決して自分の本心を相手に見せぬ所を好いている。
だが俺を見ている時のお前の眼が、俺は一番好きだ。』

この言葉が幾年経った今でも忘れられぬ故に、周瑜は己が両の眼を憎みきれていないのか。
彼はもう此処にはいない、だが自分は彼の姿を追い求めている。
だから今の己が両の眼は、彼を見ている時の眼と同じなのではないだろうか。
彼が好きだと言ってくれた物を、むざむざ捨ててしまう程周瑜は情が無い人間ではない。
先からずっと閉じていた瞼裏には、今だに愛しき彼の姿が映し出されていた。

?紅の華〜終焉の鳳仙花〜 

2006年07月17日(月) 6時32分
だがその彼の影も、今こうして瞼を閉じてる間しか見られなくなってしまった。
そう思うと同時に、己が両の眼を憎々しく感じる。
何故この眼は、何時までも己が望む姿を留めてくれない。
何故この眼は、つまらなぬモノしか映してくれない。
それならばこんな物など必要ない、容易く捨ててしまえばいい。
だが生前彼はこう言った。

『俺は、お前の眼が何時も何を見ているのかが気になる。
それが天下なのか、この俺なのか、別の何かなのか…。考えだせばキリが無い』
『さぁ、何を見ているのでしょうかね。私にも解りませんよ』

?紅の華〜終焉の鳳仙花〜 

2006年07月17日(月) 6時32分
つと強い風が吹き始め、周瑜の後ろに垂らしたままの長い髪を揺らした。
漆黒の美しい髪が、風の吹くままに自由自在に靡く。
その風が非常に気持ち良く、周瑜は思わず眼を閉じた。
彼の寄り掛かる大木から、さわさわと葉と葉が擦れ合う音が聞こえる。
この風にも先と同じ懐かしさを覚え、閉じた瞼裏に愛しき彼の姿が束の間現れた。
馬に跨がり、自由自在に走り回る彼の雄々しい姿。
彼が死んでから幾年もたった今でも、その影は決して色褪せる事はない。
自分は彼の事を一時も逃さずに見ていたからだ、そう周瑜は信じてやまない。

P R
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:三江洛水
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:1991年
  • アイコン画像 血液型:B型
  • アイコン画像 現住所:群馬県
  • アイコン画像 職業:小中高生
  • アイコン画像 趣味:
    ・ゲーム-TALES OF THE ABYSS、無双系
    ・音楽-THE BACK HORN、椎名林檎嬢、東京事変
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