before 

December 04 [Tue], 2007, 1:04
千絵は居間で老人とお茶をしていた。
「おいしい・・・」出された紅茶を一口飲むと、ふとそう呟いてしまった。
淹れてくれた紅茶はイギリスのベノアティというものらしい。
午後の紅茶しか飲んだことがない千絵でも高級なんだろうということが解かった。
「そういって貰えるとうれしいです」やっぱり老人は満面の笑みで言った。
そして皿に盛り付けられたクッキーをつまみながら
「さて、聞きたい事とはなんでしょうか?」と聞いてきた。
そうだ。紅茶に感動してる暇はない。もう一口飲んでから本題を切り出すことにした。
「まず、先にことわっておかないといけないことがあります。」真っ直ぐに老人を見据え、そう切り出した。
「はい。どのような事ですか?」老人は笑顔だが真剣な顔つきになり、首をかしげた。
「今から聞く事は、あなたの気分を害してしまうかもしれません。急にこんな申し出失礼だとは思いますが、ことわっておきたいのです。嫌になったら話を打ち切ってもらって構いません。お孫さんの知恵さんの事です。警察も何度も訊いておられることだと思いますが」
「はい。警察に全て話しました。何しろ、お巡りさんたちがしつこく同じ事を訊いてきましたからね」
「多分、それと同じ内容についてです」
「それなら訊く必要ないじゃないですか」
「いえ、今日は新しい話題をお持ちしました」
そういって鞄から資料を取り出した。


─舛添家作戦前々日─
「見つかったよ」千絵、メグ、翔太の三人は悠太からの報告を行き着けのカフェで聞いていた。
「A LIVE or DIE」についての会議をゲーム開始直後から始め、ゲーム開始から3日目の今日、手筈どおりの資料を見つけた悠太から報告を受けるため、3回目の作戦会議が行われていた。
この作戦は悠太が考え、悠太中心で進められている。
第一回目の会議の時、「死者の魂は誰も捕らえることができない。何故なら物理的証拠がなにもない。捕まえようがないだろう。そこで俺は、死後発見されるメッセージ=死者の想いに繋がるのではないかと考えた。死後発見されるメッセージ。即ち遺書だ」
と悠太が言ったのをきっかけに、ここ近辺の自殺者について調べることになった。
条件は自分たちと同年代で、最近起こった自殺。
何故ならその周りの人に聴きこみを行う可能性があることから、なるべく自分達と共通点があるほうが怪しまれないですむからだ、といっていた。
それを調べてどうするのかは解からない。しかし「書いてはじめて解ける式もある」という数学者の卵の翔太さんの言葉に勇気付けられ、全員で調べることになった。
そして今日、悠太さんがいい資料を見つけたというので、その報告を受けに集まっているのだ。
「で、どんなのなんだよー」翔太が急かすと、悠太が口を開いた。
「慌てるな。丁度いい資料が見つかったんだ」全員が無言で悠太を見つめた。
「では話す。ターゲットは舛添知恵。赤城大学4年生で心理学科を専攻していた。そして2007年11月27日未明自宅二階の自室で首を吊っているところを同居していた祖父が発見。遺書が見つかっていることから自殺と断定」
おぉー。全員が感嘆の声をあげた。こんなに丁度いい事件があったなんて。
いや、喜ぶのは不謹慎か。
「警察の方では自殺として受理されている。しかし、おかしい点があるんだよ。不自然なほどにね」
悠太さんの目に力がこもった気がした。

many lie 1 

December 03 [Mon], 2007, 23:48
千絵は立ち尽くしていた。
静かな閑静な住宅街には大きく、かつ品のある住宅が並んでいた。
中には一般庶民がどう働いても到底辿り着くことの無い成功を収めた者もいるらしい。
厳つい程に装飾された大きな建造物は家というより何かの神殿みたいだ。
と、そのような家を見る度思った。
午後を過ぎたばかりで人通りは少なく、晴天の冬の寒空の下、ぽつりと寂しくたっていた。
目の前にはこの中で比較すると中流、しかし普通の家と比較すると上流であろう家。
千絵はその門の前に立ち尽くしていた。
この家には最近、同居していた孫娘を亡くし、独り暮らしをしている老人が居るらしい。
やらないと、だめだ。早く終わらせてしまおう。
千絵は自分を急かすが、震える指が動く事はなかった。
何度もこれからする事を頭の中で思い描くが、その度に不安感と罪悪感に襲われた。
元々こんな事へいきでできる性質じゃない。
そんなのは重々承知済みで“あの人達”はこんな事をやらせているのか。
ええい。やってしまおう。もし失敗すれば馬鹿にされる。悔しいではないか。
なんとか指の震えを抑え付け、一時の感情で意気揚々と門に付けられているチャイムを押した。
ピンポーンという気の抜ける音が静かな住宅街に響いた。
よし、やってやろう。そして見返そう。
インターホンから声が聞こえた。しわがれた、抑揚のない声だった。
「はい。舛添です。どちら様で御座いますか?」
「え・・・ええと、赤城学院の山田千絵という者です。あの、お線香を焚かせていただけないでしょうか?」
用意されたセリフをなんとか違和感のないように言う。
よし、いえた。
「おぉおぉ。知恵の友人ですか。今ドアを開けに参りますので暫しお待ちを」
しわがれた声が一気に元気になり、抑揚がついた。
暫く待つとガチャリとドアが開き、笑顔の老人がでてきた。目の下にクマがあった。
「わざわざ御越しいただいてありがとうございます。きっと知恵も友人に恵まれて喜んでいますよ。ささ、お上がり下さい。」
老人は笑顔でドアを大きく開くと、千絵を中へ通した。
玄関へ入るともうそこは立派な屋敷だった。外見よりも豪華で華麗で、大きな絵なんかも飾っていた。
キョロキョロしながら靴を脱ぐと、
「仏壇がある和室はこちらです」と早速老人は歩きだした。
今日はありがとうございます、だとか 知恵も喜びます、と先ほどと同じ事を言いながら長い廊下を渡り、和室に着いた。
「どうぞ」老人が促すと一礼してから仏前に座り、さっきスーパーで買ってきた線香にマッチで火をつけた。
ゆっくりと線香を挿し、合唱して心の中でごめんなさい、と呟いた。
「ありがとうございました」そう老人に言うと、満面の笑みで「こちらこそ」と返してきた。その笑顔を見ると罪悪感で押しつぶされそうな気がして、お辞儀をして眼を反らした。
ここからが仕事だ。千絵はそう呟き、「少し、知恵さんについてお話を聞かせていただけませんか?」と老人に言った。

kemonotuki and death of god 

November 11 [Sun], 2007, 22:36
閑静な住宅街にチャイムの音が鳴り響いた。
高級住宅街よろしく、贅沢で静かな住宅街だ。
それ故音が大きく響いた気がした。
ボタンを押した指をゆっくり下ろす。
細くて折れそうなそれは情け無く小刻みに震えていた。
「はいどちら様でしょうか」
しわがれ声がインターホンから聞こえる。
情報通りこの家は老人のひとり暮らしのようだ。
ふと庭を見ると、複数で住むには不自然に少ない洗濯物が風に揺れていた。
この老人には身寄りがいない。つい最近最後の一人を失って・・・
よしっ。ここからが勝負だ。
智恵は一度深呼吸をして口を開いた。
「あっ、あの・・・私、赤木大学のものです。お線香上げさせてもらえないでしょうか・・・?」
良かった。言えた。少し声が震えてしまったが、インターホン越しだし気にならないだろう。大丈夫だ。
「おお。わざわざありがとう。今ドアを開けるから少し待っておくれ」
ガチャッ、とインターホンが切れた。
駆け足の足音が家の中から聞こえてくる。
もう後には退けないな・・・
ドアが開いた。開くや否や、先のしわがれ声が聞こえた。
「こんにちは。わざわざお焼香しに来てくれるお友達がいるなんて千絵も幸せだね。中に入っておくれ」
老人は眩しいほどの笑顔で言った。
品のある老人の頭は真っ白で、その笑顔も憂いが張り付いているような・・・
笑顔を返した智恵の胸は罪悪感でいっぱいになった。


「ケモノツキねぇ・・・」
悠哉は神妙な顔をして顎をさすった。
「なっいいだろいいだろ!?」
淳之介は立ち上がって木製の机を叩いた。
「声でかい」一斉にいわれた。
待ち合わせの近所の公園での会議で昨日聞いたケモノツキの話のしたのだ。
「ケモノツキついて調べるたって伝説なんでしょ?何をどう調べるのよ」
彩がいうと、隣に座っていた由菜まで疑い出したようだ。

「だぁから!ケモノツキ=なんかお化け=死者、だろ!?だからケモノツキについてレポートでも書けばゲームクリアじゃね!?結構楽だと思うんだ。こんなに資料見つかったんだし!」
淳之介は持参した資料を叩いた。
昨日インターネットで見つけた出したものだ。
それには話の中の神社の詳細な位置(らしい)や、その伝説が書かれていた。
「この地図によると・・・例の神社があるのは資料からして御月見山の頂上かぁ」
悠哉が資料の地図を見ながらいった。
御月見山はこの町の真ん中にある山だ。御月見山というのは正式名称ではないが、それで通っている。正式名称は知らない。
「お話では中心の小高い山に神社があるって言ってたねぇ」
ほんわかと由菜が言った。由菜はほんわかした性格で、口調までほんわかしている。
「そうなんだよ!それに御月見山に神社がある。」
「浄妖神社ね」悠哉が補足した。
「そうそう!なんか臭うだろ!?」淳之介が相変わらずの大きな声で言った。
「別に・・・」と彩
「沢尻かっ!」淳之介と悠哉の声が被った。変なところで仲いい2人だ。
「んでさぁ、宛が無いわけですし!ここで俺プロデュースのケモノツキツアー始めません?」
「んでどうするのよ」
「俺に良い手があるんだ」と、淳之介はニヤリと笑った。

ケモノツキ 

November 07 [Wed], 2007, 19:32
中村淳之助は昨日染めたばかりの金髪を掻き毟った。
ワックスの固い感触と、痛んだ髪の感触が感じられた。
テーブルに置かれたコーヒーを一口啜った。苦い。やっぱりミルクは入れるべきだったか。
「うあぁ〜!どうすっかなぁ」
理事長からのゲームスタートを聞いた後、適当に仲のいい人達と組んで、とりあえず休みを満喫しようという事ですぐ解散になったのだった。
しかし、明日の待ち合わせの時間までに何か良い案を考えなければならない。
淳之介はとりあえず家に帰ってきたのはいいが、夕方のバイトまで何もする事もなく、かといって遊びに行くにはたいした時間もなく暇を持て余していた。
「うあぁ〜!どうすっかなぁ。何っも想い浮かばねぇ〜」また掻き毟ったら髪が指に絡まった。
「もう五月蝿いなぁ」リビングのソファで雑誌を読んでいた妹の秋菜が雑誌から眼を離していった。
「何がどうするのよ。どうせ彼女も居ないんだから色恋沙汰でもないでしょ」
「うっせぇなあ。こっちは大学の事で忙しいんだよ!お前みたいに楽〜な中学生活とは違うんだよ!」何だかむしゃくしゃする。考えることは向いてないみたいだ。
「中学生だって忙しいんだよ〜。大学生なんて授業サボれるし単位さえ取れれば寝ててもいいんでしょ」
「あぁ!お前単位の重みをしらねぇなぁ!?この先苦労するぞ!」
「そんなん知るか!」そう言って秋菜は雑誌に目を戻した。
あ〜。死者の想いってなんだよそれを運ぶってどういう事だよ。
この科学文明の発達した現代で幽霊でも探せっていうのか?
幽霊・・・
「あぁ〜〜!!」淳之介は咄嗟に立ち上がった。いい事を思いついた。
「だから五月蝿いって!」次は雑誌を見たまま言った。
「お前この前幽霊の話してただろ!あ〜、あの学校で流行ってるとかいうやつ!」
「ん?幽霊?ケモノツキのこと?」秋菜は再び兄に目をむけた。
「そうそう!もっかいあのこと教えてくんないか?」いいネタを思いついたぞ。
「虫がいい。この前は馬鹿にしてたのに」と言って不機嫌そうに頬を膨らませた。
「まぁまぁ。教えてくれよ〜。100円やるから」
「200円」秋菜は鋭く言った。こいつ・・・こういうときだけ・・・
「わかった。やるよ」そういって淳之介はサイフから100円硬貨を2枚取り出し机に突きつけた。
「おぉ〜ありがと。じゃあ話すね。」
昔々、この辺りの村は俗称、“ケモノツキ”と呼ばれておりました。
漢字で書くと「毛者憑」という決して気持ちの良い名前ではありませんでした。
この辺りは鬼や妖怪の巣窟で、それらが人に乗り移っては悪さをして村人は困っておりました。
この村の周辺の村にもその噂は広がり、「あの村に行くと鬼や妖怪に殺される」と恐れ、近づく人はおりませんでした。
それだけではなく、その村で生まれた者、特に代々そこに住んでいた者には鬼が生まれながらに取り付いていると言われ恐れられ、外に出ることもできませんでした。
ある日、そこにある恐れ知らずの旅人がやってきました。
その旅人は「この村を救いに来た」といい、村の中心の小高い山の頂上に神社を建てました。
村人が総出で手伝ったため、三日三晩で神社は完成しました。
そしてその旅人は「魑魅魍魎に憑かれた者はここに連れて来なさい。」
そういって旅人は神社の神主となりました。
それから憑かれたものはその神社に連れていかれました。
憑かれたものは中々帰ってきませんでしたが、除霊に時間がかかるらしく、やむを得ないことだと村人は理解していました。
その旅人のおかげか、外部に「憑かれたもの」の噂は流出しなくなりました。

「そしてその村は外と交易をして儲けましたっと。」こんな感じかな。
秋菜はどこから取り出したのか手帳を広げていた。
「んでなんで急に聞きたくなったの?」
「ケモノツキかぁ・・・面白い話だねぇ。ありがと!」
淳之介は立ち上がった。
よし、ちょっとケモノツキについて調べてみっか!
2階に上がり、パソコンを起動した。

Good stratgy(It's heavier 

November 07 [Wed], 2007, 19:01
「本名のコレクションってなんなんですか?」命衣が我慢できずに狭い廊下を歩きながら訊いた。
「自殺者のファイルだ」
りおさんが言った。
え…?
「趣味で集めてるんだよ。僕は大学で犯罪心理学を学んでてね。ちょっと死ぬ側にも興味があってさ。」そんな悪趣味な…
ていうかそれにしても…
「どうして自殺した人のファイルが必要なんですか?」次は愛美が訊いた。
「その説明を今からする。まあ座って」
「いやここ僕の家…」
「気にするな」
「うぃ〜」
そんな会話をよそに、全員が座るとりおさんが話始めた。
「まず、このゲームのルールだ。死者の想いを運ぶ。その方法は不問。しかし、法外な事はダメ。それでいいよな?」
「うん」命衣と愛美の声が被った。
「へぇ。面白そうなゲームしてんねぇ」
田中さんが間の抜けた声で言った。
結城さんは無言で頭をかいている。顔は苦虫を潰したような顔。そういえばずっとこんな調子だ。そんなにこの場所が嫌なのかな。うん。よーく分かるよその気持ち。
「話を続ける。先言ったもの、それ以外何も説明はない。そんなアバウトな状態で唯一のヒント。それは死者の想いを運ぶ事。それだけだ。」命衣は慌てて「それだけじゃ何も分かってないのとおな…」
「ふぅん成る程ねぇ」
田中さんに遮られた。
「ひっ…」
「そんないちいち驚かないでよー」田中さんは膨れっつらになった。
「続ける。死者の想い。そんなもの幽霊に合って直接話を聞くのが一番だが、そんなの無理だし、第一証拠がないから提出できない」「うんうん」田中さんだけが相槌を打った。
「だから死者が死ぬ直前に残し、物的証拠があるもの。それはなんだ?」
「遺書だね。」田中さんが即答した。
りおさんは田中さんに答えられたのが気に入らなかったのか一瞬眉をひそめたが、答えには満足したようだった。
ちょっと待って…
「そんな…遺書だなんて…そんなものゲームの為に使っていいんですか?」
「それ以外に策があるのか?」
そんな事聞かれても答えられない。今までついてきただけで何も考えてなかった。でも…
「でもそんな!遺書って…死ぬ事を覚悟した人…それが自殺でも病気でも、そんな大切なものを使うなんて…ねぇ」命衣は愛美に同意を求めた。
「それは正論だけど、それしかゲームを攻略する方法ないじゃない…」
「愛美までそういう事言うの!?」命衣は立ち上がって取り乱した。
何年か前。大切な人が亡くなった。
その人は動かない手で立派に文字を書き、手紙を書いた。
その内容は、命衣の事を心配する内容が書かれていた。
それを見た夜、久しぶりに泣いた。泣く事のなくなった命衣が久しぶりに泣いた夜になった。そんな大切な大切な手紙がこんなゲームに軽々と使われたら… そう思うと胸が苦しくなった。
「そんなの…間違ってるよぉ…」命衣はぺたんと座り込んだ。涙は出ない。あの人が持っていったんだ。
座り込んだ命衣の頭に何かが乗った。結城さんの手だった「オレもこんな方法乗り気じゃない。でもこのゲームに負けたらあの理事長何するか分からない。意外と怖いんだ、あいつ。」
「そうだ。遺書なら年寄りが書いたものでも病人が書いたものでも良かった。しかし、見付けるのが大変だった。だからこいつのコレクションに頼ることにしたんだ…」りおさんも言った。
そんなの言い訳にしかすぎないでしょ…
それなら・・・
「それなら私にいい手があります」
私の大切なものが。

ふぅ 

October 30 [Tue], 2007, 22:44
久々の更新で5話まで・・・ 
頑張ったなオレ♪

まぁ、誰も見てないんだろうけど、その見たいって言ってた人さえ見てくれればめでたいさぁ。
ってなに弱気に・・・!?笑

第五話「Colection (dondake~)」 

October 30 [Tue], 2007, 22:42
「・・・解かったよ」
「じゃあ行こう」そういうと大和さんはめがねを押し上げる秀才ポーズを取ったあと、一人勝手に歩き出した。
あの結城さんがあんなに嫌がってる・・・?
あの結城さんっていっても何も知らないんだけど、そんなに物怖じするタイプではないと思ってたのに・・・
緊張すると固まってしまう。命衣は何も言わずに愛美をチラリと見た。
「行こう」愛美がそういい、2人は一緒に歩きだした。
結城さんは嫌そうな顔をして渋々後ろをついてくる。
そんなに嫌な何か・・・
入り口から入るともうそこは廊下で、今はやりのインターホンもなかった。
白塗りだったであろうコーティングされた壁は汚れていて、黒やら黄色に染まっていた。
赤もあるけど・・・血じゃないよね?
電球が切れてるらしく、薄暗かった。
エレベーターはないらしく、向かって左側にここよりも更に暗い階段。
右側には廊下があり、大和さんはその中に消えていった。
その廊下はやっぱり薄暗く、汚かった。両サイドには微妙な間隔で並んだいくつかのドアがあった。
数えてみると、右に4つ、左に4つ。1フロアに8部屋あるらしい。
多分、この上も同じような間取りなんだろうなぁ。
大和さんは右側の三番目のドア─103と書かれたドアの前で止まり、3人の到着を暫し待った。
表札はなかった。
命衣と愛美が同時に到着し、それから少し遅れて結城さんが着いた。狭い廊下に4人も集まれば狭く感じる。いや、明らかに狭い。薄暗く、汚く、寂れた建物の廊下の人口密度は103号室の前だけ高くなっていた。
「なぁ利於・・・」完全に嫌そうな顔をした結城さんが話しかけるのをよそに、大和さんは103号室のドアを叩いた。コンコン。コンコン。ドンドンドンドン!
いや、そんなにしつこくしなくてもいいんじゃない?
結城さんは顔をしかめ、首を竦めた。
「ういぃ〜」なんとも気が抜ける返事がドアの向こうから聞こえた。
声からして若い男の人かな。
結城さんは更に顔をしかめ、首を竦めた。
ガチャ、ジャラジャラ、ガチャガチャ、チャラチャラ、ガコン、チャリッ、ホーホケキョ。
ホーホケキョ?
最後のウグイスの鳴き声以外、全部金属と金属が触れ合う音だった。
こんなに沢山、なんの音?
ギィィィ・・・
ゆっくりと少しだけドアが開いた。
と思うとその隙間から青白い手が!
で・・・出たぁぁ!?
「ヒィィィ・・・!」命衣はビックリして愛美にしがみついた。
「うぃ。どうも。リ〜オクンだねぇ。はい握手」青白い手が歌うように言った。
「どうも」大和さんは無表情のまま青白い手に触れようとするとぐっ、と急に青白い手が大和さんの手を掴み、数回上下に振った後やっとドアがしっかりと開いた。
すると、自分が出れる最低限の隙間から男が出てきた。
命衣は沈黙し、その男を眺めた。
ぼさっとした髪は金髪に染めてから随分時間がたったのかプリンみたいになっていて、しわくちゃでよれよれで体格に合わず大きいTシャツからはさっきの青白く細い腕がにょきっと生えていた。
とにかく、不健康そう。ちょっとみすぼらしい。
あんまりいい男ではなかった。
細い顔の細い目のしたには大きなクマができていて、日頃の生活を物語っているかのようだ。
「どうもひっさしっぶり〜。元気だったぁ?あらあらユウくんも御一緒ですかぁ。それに麗しき女の方まで。やるねぇやるねぇ、お二方。」男はテンションの高い口調の割りに抑揚のない喋り方で一息に言った。
大和さんはテンションが高いのか低いのかよくわからない男を静かに見ながら口を開いた「この2人は大学の友達だ。というか鍵コレクション増えたな。相手も確認しないであけるなんてその鍵も無駄なんじゃないか。 あ、こいつはオレの高校の時の同級生で田中」
「はぁ・・・」命衣は気のない返事をしてしまった。
付いていけないんだよ!
「どうもよろしく。 てかあの容赦ない叩き方はリオくんだけだからねぇ」
「よくお解かりで」
「んで、何の用かな?」急に田中さんの眼が鋭くなった気がした。
なんなんだこの人は。何の用事なのかは私も知りたい。
「君の本命のコレクションを見せてもらいたい」大和さんがめがねを押し上げる優等生ポーズで言った。
「ふ〜ん。珍しい。前まであんなに嫌がってたのに〜?」
訝しげに大和さんを覗き込む。
大和さんは無言で頷いた。
「まぁいいや。入って」
田中さんは大きく扉を開けた。
ジャラジャラジャラ。また金属音がした。
右下・・・?
右下を見ると、扉一面に沢山の金属・・・よく見ると色々な形の鍵が扉一面にびっしりとついていた。
「ひっ・・・」命衣は思わず悲鳴をあげた。
「ほんと増えたな・・・」と、りおさん。
「まーあね」田中さんは平然と家の奥に進んでいった。
ほんとなんなんだ・・・この家は

第四話 「We have one chance,and we have one problem」 

October 30 [Tue], 2007, 22:33
これから1週間この4人でゲームをするのかぁ。
無事にクリアできるといいな。
「ゲーム開始って言っても、何をしたらいいのか分かってるのか?」
結城さんが言った。さっきの顔と口調はキープしながら腕を組んで言った。
「えと・・・死者の想いを運ぶ、だっけ?」愛美が記憶が曖昧だったのか、命衣の方を見ながら言った。聞かれたんだし答えるか。
「うん。そうだったと思うよ」
「そうだ。具体的にはどうしたらいいか。それが最初の問題だ」
確かに。理事長はどんな方法でもいいって言ってたけどそれじゃ曖昧すぎて分からない。
方法を思いついて始めてはじまるゲームなのだ。うーん・・・思いつかない。
「それなら僕がもう策は打ってあるよ」眼鏡君、じゃなくて大和さんが眼鏡を中指で押し上げながら言った。
本当に!?それなら話は早い。
「マジですか!?」愛美がオーバーリアクションで応える。
「流石利於だな」結城さんは満足そうに頷いた。
「で、どういう策だ?」やっぱり結城さんと大和さんは友達なだけあってすいすい会話が進む。ついていけない・・・
「それはある場所に着いてから説明するよ。まずは着いて来てくれ」そういうと一人歩き出した。
急に歩き出したのに結城さんはちゃんと隣で一緒に歩いている。流石友達なだけあるのかな。
命衣と愛美は置いていかれないように2少し急いで2人を追いかけた。
策ってなんだろう。なんかこの2人とならスムーズにゲームを進めることができるかもしれない。そんな気がした。
適当にホールの出口でそれぞれ名前とクラスを紙に書き、指示通り投票箱のような箱に入れた。いよいよ始まりなんだな。色々気になるけど、まずは大和さんに着いて行こう。
ホールを出るとすぐ外で周りには雑木林があり、その中の小道を抜けると本校舎、その向こうには中庭があり、中庭を抜けると正門がある、という造りになっている。
という事を改めて確認しながら通った。
普段意識はしなかったけど、結構広いんだなぁ。
そんな事を考えていると、早速正門が見えた。
大和さんと結城さんは一足先に門を抜け、そのまま右に曲がる。
それに倣って命衣と愛美も右に曲がると、愛美が小走りで2人のもとに行き、何か話始めた。最初は2人になにかを質問していたようだが、結城さんがあまり答えなかったせいか暫くすると大和さんと談笑していた。
命衣は軽い感傷に浸りながら前の2人と街の景色を眺めていた。
命衣達の通っている大学は地方の国立大学で、その周りは大きな通りになっていて、そこから分かれている道の奥は住宅地になっていた。
住宅地といっても平屋の一戸建てが規則的に並んでいるのでもなく、大きな家が立ち並ぶ高級住宅街でもない。埋め立てされてできた土地に沢山マンションが立ち並んでいる、そんな場所だった。
大きな平野の中の街なので山は無く、川も近くにあまりないので自然が豊富ではないが、新しくできた町並みは清潔で気持ち良い。そんな場所だった。
あぁ〜。今日は晴れて気持ちいいなぁ。命衣はなんとなく伸びをしてみた。
風も爽やか!気持ちいぃ〜。
昨日の夜少し雨が降ったらしく、葉っぱに水滴がついているのもいい。
これぞ、いとをかし。枕草子も顔負けだと思う。
後はいっしょに居れる友達か彼氏がいれば・・・って欲張りすぎか。
と思っていると隣を大きなトラックが通った。危なっ。
まぁ、一人も落ち着いてていいもんね!
誰にいうわけでもなく、心の中で意地を張ってみた。
「随分賑やかなお友達を持ったな」後ろから声がした。
うおぅ。急に話しかけられて少しびくっ、となってしまった。
振り向くと結城さんが含み笑いをしていた。
「いや、すまない。脅かすつもりは無かったんだが」結城さんはやっぱり含み笑いをして言った。うわぁ。恥ずかしい。
「いえ、気になさらないで下さい」命衣はちょっと焦って言った。気にされるとさらに恥ずかしい。
「それにしても元気な娘だな」結城さんは含み笑いの顔はキープしたまま、一方的に大和さんに話しかけている愛美と、少し困惑している大和さんを眺めながら言った。
「はい。私もたまについていけませんし」
「だろうな」
「でもいい友達を持ったと思ってますよ」
「なら、幸せだな」
「はいっ!」命衣も笑顔になった。
「いい友達かぁ・・・」大和さんはしみじみと言った。
「大和さんはいないんですか?あっ、大和さんがいるか」命衣は率直に思った事を言った
「居たよ。利於はただの学友だ」急に表情が消えた気がした。あれ・・・?地雷踏んだ・・・?
もしかしたら大和さんにも何かあるのかもしれない。そう思った。
別に心理分析をしたわけでも、超能力で透視をしたわけでも、便利な虫さんが虫の知らせをしてくれたわけでもない。
自分と同じようなものを感じたんだ。
感じてしまったんだ。
こんな時自分はどうしたらいいんだろう。自分ならどうして欲しいんだろう。
求めるものは・・・
・・・あれ?どうかした?
えっ?
気がつくと綺麗に並べられたタイルの地面と自分のスニーカー(この前近くのデパートで半額になっていたやつ。学校で数人同じ靴を履いてる人を見かけた)が見えた。
少し顔をあげると、不思議そうに命衣を眺めている顔があった。
しばらくして大和さんのものだと気付いた。
またか・・・
「いえ、気になさらないでください♪」元気に言ってみせた。
ほんとに何してるんだろう。私。
「あっ、着いたみたいだ」結城さんが唐突に言った。
「なんだ。ここか」
そこは普通の住宅地、というよりマンション・・・らしいが少し大きいアパートのように見えた。
そのマンション?の入り口に笑顔の愛美と仏頂面の大和さんが立っていた。
そんなに高くはなく、3階建てだとすぐに数えられた。
この周りにあるようなきれいなマンションではなく、白塗りの壁は燻り、よくわからない汚い色に変色し、所々ひび割れていた。
あ、ヒビのところから草が生えてる。
・・・って重要な手がかりになるんじゃないの?ものすごく大切なものじゃないの?なのにこんな場所??
なんとなくすごい所(具体的には何も考えてなかったけどとにかくすごい所)を想像していた命衣はそのギャップに戸惑った。ってか普通の家じゃん!
「えと・・・ここであってるんですか?」なんか心配だ。
「あぁ。合ってるよ。流石利於。でもここはちょっと・・・」
「何か、あるんですか?」
「いや、後でわかるよ」
えぇ。なんか気になる。気になって、すこし怖い。
なんでこんなところなんだろう。命衣は結城さんと一緒に入り口に駆け寄って、というより駆け出した結城さんをなんとか追いかけて愛美と大和さんに追いついた。
「なぁ、利於・・・お前の考えてることはわかったが、ここはちょっと・・・」
「その筋ではあいつが一番だろ?」
「それはそうだけど・・・」
「なら文句はないだろう」
結城さんは苦悶の表情を浮かべている。よく見ると俯いて唇を噛んでいる。
何なの?本当に何なの?気になって怖いよ・・・

第三話「He said "game start" and we said hello」 

October 30 [Tue], 2007, 22:27
「これって本当に教育なのか?」
若い男が言った。真っ白なホールに集められたその男と同年代に見える男女が理解できないというようにざわめいている。険しい顔、驚いたような顔、よく意味が分かっていないようできょとんとした顔、色々な顔があったが、明るい雰囲気はなかった。
みんな話に頭がついていないようだった。
急に宣告された1週間のゲーム。
「はい。そうです。皆様、理解ができていないようなので簡単な補足を致します。」白髪混じりのオールバックと丸メガネが特徴の理事長が、ゆっくりと言った。落ち着いた澄まし顔だった。
フレームの丸い小さい眼鏡のせいか、威圧感は感じられない。ぽたぽた焼きの表紙のおばあさんみたいな、そんな雰囲気で威圧感があるわけがない。
ぽたぽた焼き懐かしいな。おばあちゃんの智恵袋面白かったな。
全員が静かに壇上を見ている。その眼は穏やかなものではなく、どこか鋭いものだった。
まるで血走るように、食い入るように睨んでいた。
理事長はその様子一度見渡し、確認してから話を続けた。
「まず目的は、自分で見つけ出してください。」
またざわめいた。みんな何かを話しているようだけど何なのかは聞き取れない。
予想はつくけど。
確実にわかることは、さっきまでとは違う。皆不安そうな顔をしていた。
ちゃんと気付いてるんだ。簡単にできるゲームじゃないって。
死んだ人の想いをもってくるなんて。幽霊でもつれて来いっていうのかな?
隣をみると愛美は少し不安気に俯いていた。何か考えてるのかな。真剣な顔つきだった。
「このプログラムでの趣旨は敢えていいません。それはこれからの地獄・・・一部の人からしたら天国かな?その中で見つけてください。」
またざわざわとざわめいた。
「皆様、不安気なお様子ですね。勿論、無償でさせるようなことは致しません。このゲームをクリアできた方には確実に卒業できる程の単位をお送りします」
また会場が沸き立った。うおぉぉぉ!理事長大好きだぁぁ! またさっきの人たちだった。
さっきまで静かにしてたのに虫がいい。
「先言った通り、方法は自由です。その代わり、自分たちで探し出してください。」
なんか釈然としない。さっきまでの空気が一気に変わって明るいものになった。
どっちがいいんだろう。さっきの神妙な空気と、今の沸き立った空気。
そのギャップについていけていなかった。
「あ、一つ言い忘れていました。このゲームは男女2人ずつ、計4人で進行していただきます。」
女子からは嫌がる声。男子からは歓喜の声が上がった。
命衣は・・・ 無反応だった。
「出口の所に紙が、置いてあります。そこにグループのメンバー全員のクラス、名前を記入し、その先にある箱の中に入れてください。それでは、御健闘を祈ります。解散!」
わあぁぁぁ!! と一気に話し声がホールに響き渡った。
この勢いは夏の蝉もお手上げだ。
「ねぇ!命衣〜 一緒組もっ」愛美が笑顔で言ってきた。さっきの何か考え込んでた顔と印象が全然違う。何を考えていたんだろう・・・
「・・・命衣?」愛美がいぶかしげな感じの顔で顔を覗き込んできた。
あっ、また命衣‘s ワールドはいりかけたぁ・・・
「あっ、うん。当たり前でしょ」命衣‘s ワールドの存在を軽く流せた・・・かな?
「あははっ。当たり前だね」幸せそうな微笑みで命衣が言った。
「でも後の2人、どうするの?」命衣は首をかしげながら言った。
「んー。誰か男友達とかいない?」と、愛美。
「男友達は・・・いない・・・」そういえば男友達なんてあんまり居ないな。たまに話すくらいの人しか居なかった。ほんとに人間関係乏しいなぁ・・・
おっと。感傷に浸っている暇はない。探さないとゲーム開始する前からアウトになってしまう。
みんなは早々とメンバーを見つけてしまったのか、大分人並みがまばらになってきていた。
早く見つけないと。
「誰か探して声かけてみるしかないねぇ」愛美は周りを見渡しながら言った。
うん。と返事をしようとすると、
「ねぇ、あの人達に声かけてみない?」愛美は命衣が向いていた方向とは正反対の方向を指差している。
誰だれ?命衣は無言で振り返った。
疎らなホールのど真ん中にその2人は居た。
右側には細い眼鏡をかけ、細身で知的な感じがする男がいた。ワイシャツにジーンズという結構ラフな服装だが生真面目そうな印象がある。髪はワックスがしっかり効いていて、少しツンツンしているが髪は染めていない。ただのガリ勉君という訳ではなく、少しはファッションに気を使っているようだ。でも知的な雰囲気は全く損なわれていない。頭がよくなった橋本弁護士みたいな感じかな。
左側には体格は平均的。黒ベースに赤で英語で文字を書き殴ったような柄のTシャツに真っ黒なズボン。髪はワックスで少し立たせていて(こういうのを無造作ヘアっていうのかな?)所々赤メッシュが入っているが、チャラチャラした印象は全く無い。
なんだろう。ちょっと怖そうな二人。
左側の黒ずくめの服の人が何か言い、2人が笑いあっていた。
ん。なんだろう。そこまで怖そうではないかな?笑顔を見たからか、少し怖さは和らいだ。
「ねぇ愛美、ほんとにあの人・・・ってあれ?」愛美が居ない。考え事してる間にどこいったんだ・・・ってえぇ!?
愛美は早速その2人の前で何か話していた。それも笑顔で。
うわぁ・・・マックのバイトの時と同じ笑顔だし。
勿論2人は少し困惑しているみたいだ。そりゃ営業スマイルで急に話し掛けられたら戸惑うだろうな。
しばらくその様子を眺めていると、話がひと段落ついたのか命衣の方を向き、手招きしていた。
組めることになったのかな。まぁ、行ってみよう。
そう思い歩きだすと、「早く早く!」とでも言うように手招きするテンポを速めた。
はいはい。分かったから分かったから。
命衣は別段歩くを変えないで2人と愛美の所に向かった。
到着して愛美に話しかけようとすると、肩をガッ、と捕まれた。
何?どうしたの?急に。
「この子があたしとペアの命衣ちゃんです!どうぞよろしくお願いしま〜っす」愛美はさっきの営業スマイルのままで明るくいうと、命衣の頭を無理やり押してお辞儀させた。
「痛いいたい、いたい!」必死に抵抗すると笑いが起きた。
まったく何ですか!テンション上がっちゃって。
そんなにこの2人がかっこいいか!
乱れた髪を手櫛で直しながら2人を見た。
あっ・・・近くでみるとちょっとかっこいいかも。
自然と赤メッシュ君(仮)と眼鏡君(仮)を代わる代わる見比べてしまった。
そういえばどっちも無表情、というか表情が変わっていない。
赤メッシュ君はずっと眠そうな顔。眼鏡君は少し気難しそうな顔をキープしていた。
結構いけるじゃん。って、おっと。この2人は愛美の獲物でした。
まぁ、どうせ私は恋なんてどこ吹く風。全く関係無いですよぉ。
命衣がぼーっとまた考え事をしていると、赤メッシュ君(仮)が口を開いた。
「僕はA組の結城悠」結城悠と名乗った赤メッシュ君は相変わらず眠そうな顔でだるそうで抑揚の無い声で言った。
「そんでこいつがD組の大和利於。よろしく」また赤メッシュ君・・・って名前でちゃんと呼ばないと。結城さんが口を開き、大和利於と呼ばれる眼鏡君の紹介までした。
表情と口調はさっきと全く変わりはなかった。
「私はB組の命衣です。よろしくお願いします」命衣も自己紹介をし、お辞儀もした。
「よし。これで全員顔と名前は分かったね!それじゃあゲームを始めますか!」
愛美がちゃんとした笑顔で言った。

第二話「Explanation about "GOD of DEATH"」 

October 30 [Tue], 2007, 22:24
なんとなく、小分けで。

─数分前─
命衣と愛美は普段このホールはたまにある連絡等に用いられる朝礼や、催し物の時に使われる。キャンパスの端っこに位置し、用事がないときは普段誰も来ないのでその静かさを利用して色々な事が行われる。そういや知り合いの知り合いの知り合い?がここで告白したんだっけ。「知り合いの知り合い」って関係ありそうでなさそうな関係じゃわからないな。いつもは並べれているパイプ椅子もなく、壁も天井も真っ白なホールは殺風景で、どこか落ち着かない感じがした。
白は何にも染まってない色。周りの雰囲気を反映させるのかな、と思った。
命衣と愛美がホールに着いたときは人もまだまばらで空虚感があったが、10分もすると人が沢山入ってきてぎゅうぎゅうになっていた。腰の辺りくらいの高さのステージの上だけがまだ殺風景だった。
なんとなく弾んだ空気で、みんなこれからなにが始まるのか、半ば楽しみにして待っていた。

そして白衣を着たいつも以上に怪しい教頭が出てきた。

今まで落ち着かなかったホールは一気に静まったが、逆にみんなの期待や不安は高まったような気がした。
ブツッ、とマイクのスイッチがONになる音がし、耳を劈くようなキィンという音がした。
そして教頭は話し始めた。
「皆様、よく集まってくれました。流石大学生ともなると、集まりが早くて助かりますね。さて、今日は晴れですね。気持ちのよい程の快晴。雲一つ掛からず、ただ真っ青な朝に皆さんも心地よい朝に心弾んだでしょう。」
こんな挨拶はいいから早く本題言え!全員がいいたい事を誰かが(男のようだ)が言って笑いが起きた。
「笑っていられるうちはまだいいと想いますよ。」そういって教頭はニヤリと笑った。
怪しい。何かあるのか?会場全体がココロの中だけざわめいた。
何がはじまるのか。
命衣は少し不安な気持ちで隣の愛美をチラリと見た。
目が合った。
こういうときだけ気が合うんだから。
2人は微笑み合ってから壇上の教頭を見た。少し落ち着けた気がした。
愛美もちょっと不安だったのかな?
そして気持ち悪い副理事が気持ち悪く話を続けた。「これから、あるゲームの話をします。第一ゲーム“A LIVE or DIE”です。」
安直な名前だなー。
誰かが言って笑いが起きた。
確かにいつも真面目なってか無愛想な副理事が言うなんて。ちょっと面白いかも。
それに続いて学校のゲームなんて面白くねぇよ。そうだそうだー!色々な言葉が飛び交って笑いが起きた。ちょっと五月蝿いなぁ。ドンチャン騒ぎや馬鹿騒ぎが苦手な命衣には雑音にしか聞こえず、ちょっと居づらくなった。
「静粛に。天国と地獄のゲームと銘打っては居ますが、実際天国にいける人が多くいるかどうか。ほとんどの人が地獄に落ちるとおもいますよ。」
そういうといっひっひと笑った。
本当気味悪いお爺さんだ。だから妖怪ぬらりひょんなんてあだ名がつくんだな。
うん。納得。
「命衣、ニヤニヤして気持ち悪い。」愛美が少し笑いながら言ってきた。
あら、顔に出ちゃったかしら。
「ごめんごめん。あのね、副りじ・・・あ」副理事が急に話を再開した。
副理事用解説の話はまた後か。残念。
「まぁ、ここから先、ゲームの内容は理事長に話してもらいましょう」
副理事前置きだけかよ!
多分会場の皆全員が同じ事を思ったに違いない。
一瞬だけ一体感があった気がする。それを感じたのか少し全体が明るい声でざわついた。
あれだけ気になる事をいっときながら焦らすなよぉ。
みんなの心のツッコミをよそに副理事は下がり、擦れ違うように理事長がでてきた。
白髪交じりのオールバックに丸メガネが特徴的な理事長は入学式の日に顔を覚えられた。
ブツッ、とマイクのスイッチがONになる音がし、耳を劈くようなキィンという音がした。
副理事のときも雑音はいったな。ここのマイクはあんまり精度が良くないのかな?
理事長は澄まし顔でマイクの位置を調節し、会場全体を一度眺め、咳払いをして話し始めた。
「えー。まず皆様にとって良いお知らせです。これから1週間、休学と致します。」
うおぉぉぉぉ!いえぇぇぇぇぇい!きゃー!ぐぉぉぉぉ!理事長大好きだぁぁーー!
様々な叫び声がホール中に響き渡り、にぎやかなものにした。
ってか叫びたいだけの人いるでしょ。最後のとか。
「でも、その1週間の間にはしなければならない、課題があります。」
うおぉぉぉ・・・ えぇー・・・ 理事長!それでも大好きです!
また叫び声。
だから五月蝿いって。
「それが、これから始まるゲーム、A LIVE or DIE です。」
“いよっ!”“待ってましたぁ〜!”
もう気にしないことにしよう。
「静粛に。早速ですがゲームの説明をします。静かに聞きましょう。手はお膝。」
やっと本題に入る。さっきまで騒いでいた人も少し落ち着いていた。
ってか幼稚園児あやすのと変わんないでしょ!?
次はすこしざわめくくらいで済んだから。皆少しは真剣になったのかも。しかし誰も手はお膝に置いていなかった。
ここからが一番気になるところだ。どんなゲームなんだろう。
A LIVE or DIE・・・ ライブか死? 
「まず、皆さんには死神になってもらいます。」
やっぱりざわめいた。“なんだ?”“どういうことだろう?”色々な声がして、消えてった。
理事長が息を吸って話の準備をするのに気付き、ざわめきも消え、静かになった。
静寂。そして理事長の声。
「死神とは、死を運ぶもの。皆さんには死神になってもらって、届けてもらいます。死者の想いを」
えっ?何?死者の想い?
一瞬冗談か聴き間違いだと思った。でも冗談でこんな事いう筈がない。わざわざ全学年を集めて。
さっきまで以上にざわめきの雑音は大きくなって、ざわめく声と不安が全体に広がった。
何なんだろう。急に、何を言い出すんだ。この人は。
「ねぇ命衣!どういうことなのかな!?」周りの雑音に負けないように愛美が大声で言った。眉間に皺を寄せて。
「わかんない!」命衣も負けないように言ったけど、多分小さな声じゃ伝わらなかったかも。
「静かに!」副理事がもう我慢出来なかったのか、大声で怒鳴った。マイクも何も使わなかったのにホールの後ろまで届いてざわめきを打ち消した。
そしてやっと静かになった。
「皆様、どういうことかよくわかっていらっしゃいませんね。先の言葉通りですよ。死者の想いを届けて貰います。死者の想いを持って来て、提出するのですよ。どんな方法でもかまいません。しかし、法外な事をしたら勿論罰せられますよ。」
皆静かだった。早く続きを説明して欲しい。もっと詳しく。
P R
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  • アイコン画像 誕生日:1993年5月27日
  • アイコン画像 血液型:A型
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  • アイコン画像 職業:小中高生
  • アイコン画像 趣味:
    ・アウトドア-子供と遊ぶの好き
    ・読書
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日常を書こうかしら。
どうぞよろしくお願いいたします。
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