第01話 ハジマリ 

July 11 [Fri], 2008, 2:22
 
 とても悲しい夢をみた。

 一人の少年が、暗闇の中をずっと彷徨っている夢だ。

 父と母を捜しているのだろうか?しきりに助けを求めてがむしゃらに走るその姿を、僕はただ天井の方から見つめていた。

 どこが悲しいのか?僕にもはっきりとは分からないが、悲しい感情が目覚めた今も残っている。

 窓の外を見てみると、まだ薄暗かった。ベッドの横のテーブルに置いてある時計をみてみる。

 A.M.05:03

 いつもの起床時間より1時間ほど早い。

 だけど僕は二度寝する気にもなれず、仰向けの体をうつぶせにし、枕に頭突きをしてから勢いよく起き上がった。

 部屋に備え付けられてある小さなキッチンへ行き、水道の蛇口をひねって冷たい水を、流しにある綺麗なコップに注ぎ一気に飲み干した。

 多少スッキリした気分になり、そのままキッチンで歯磨きと洗顔を済ませて剣を取った。

 1部屋毎にキッチンとトイレは備え付けられているのに、なぜか風呂と洗面所は共同だった。

 どうせなら全て、1部屋ずつつけておいてくれればよかったのに。

 共同の風呂は朝の6時からしかあかない。多分今は掃除の時間だろう。

 なので僕は外に出て、時間がくるまで剣でも振ろうと思っていた。

 相棒を片手に持ち、ずんずんと目的の場所まで歩く。

 大またで歩く足音が静かな廊下に響いた。反響する音が耳に心地いい。

 暫く歩くと目的地、中庭がみえてきた。

 吹き抜けの天井からゆるやかな風が流れて、僕の頬を優しく撫でる。

 自然と頬がゆるみ、笑顔がもれた。そのまま息を大きく吸って、気合を入れる。

 相棒を鞘から抜き、両手でしっかりと握りしめてから頭上高くへとあげた。

 一気に振り下ろす。空気を斬る音がした。

 何度も何度もそれを繰り返した。意味のないことのようだが、実はとても大事なことだ。

 そう、戦はイノチとイノチの奪い合い。

 この一振りでイノチを守れば、奪いもする。

 僕は心をなるべく無心にして、一人で剣を振り続けた。

 ...
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