願い

June 03 [Sun], 2012, 18:19
 

俺の横にベアたんはいない
俺の内側にベアたんはいる
できれば横にいて欲しい
魂の永遠は信じない


天使機能

June 02 [Sat], 2012, 16:19
 

ご覧、あそこを。
あの中心の部分を。
ほら、動いている、動いている。
──生きているんだ
あれがベアたんの生天使機能だよ。

サンパギータ

June 02 [Sat], 2012, 11:37
 

弾薬は尽きて、日は落ちた。
空に懸かる月もなく、夜は咲き乱れる白い花の残像だけに照らされている。
茂みの蔭にベアたんが蹲っている。
闇を満たす茉莉花の芳香に猛々しい牝豹の体臭が微かに滲んでいる。


コーヒーとマフィンと老水夫と肉屋

June 01 [Fri], 2012, 9:35
 

無料のコーヒーを配っていたので、それを受け取り、せっかくだから店に入ってマフィンを二個頼んだ。

特に用事もない、のんびりした朝だった。
マフィンを齧りながら、鞄から取り出した雑誌をめくった。
最初に目に入ったのは年老いた水夫の写真だった。年季の入ったパイプを口にくわえ、顔中を皺だらけにしてどこか得意気な笑みを浮かべていた。
次に目に入ったのは肉屋の写真だった。馬を象った看板の下で、肉切り庖丁を振り上げて何かを叫んでいた。

このこと全体にどんな意味があるのだろうかと、ふと考えた。コーヒーにもマフィンにも水夫と肉屋の組み合わせにも何か全体としての意味があるような気がしたのだが、ひょっとしたら何もないのかもしれない。よく分からない。
ポケットからベアたんの写真を取り出して眺めてみた。
大丈夫だよ──といっているように見えた。あまり考えすぎなくていいんだよ──と、そういって笑いかけてくれているように見えて、そうしたらスッと気持ちが楽になった。


妖精

May 31 [Thu], 2012, 17:55
 

鏃ヶ窪の首洗い池で骸鮫の大物を釣り上げた。
腹が丸々と膨れていた。
骸鮫の胎子は高値で売れると聞いていたから、早速鼻歌交じりに裂いてみると、中には薄い肉膜に包まれたベアたんが膝を抱えた格好で収まっていた。
急に周囲が明るくなったのに驚いたのか、パチパチと頻りに瞬きをしている。
儲けの機会は逃したけれど、これはそれどころではない、大変な拾い物をしたと一気に興奮が高まった。
膜にナイフを入れ、ベアたんを取り出した。
ベアたんは胡坐を掻いた姿勢で真っ直ぐに背筋を伸ばし、じっとこちらを見つめていた。
生れたばかりの真っさらな肢体が眩しくて、私はその姿を直視することができなかった。
それが油断になった。
ベアたんは大きく両手を広げて伸びをすると、そのままふいと立ち上がり、あっと思う間もない内に林の奥へと駆け去ってしまった。
すぐに後を追ったが、林の中には鳥の声しかなかった。
翌日も、翌々日も、丸々一週間仕事を放り出してベアたんを探し歩いたけれど、二度とめぐり会うことはできなかった。


儀式

May 30 [Wed], 2012, 19:00
 

象牙の皿に鮮血を滴らせ
雛菊と蒲公英と蒲の穂を供えた祭壇に蝋燭を燈す。

小刀と覆面と針と糸。
海星と法螺貝と鎧鼠。

ベアたんが横たわっている。
唇のような形の盲目の生き物が一匹
青褪めた太腿の内側を呪文のように這っている。


存在と不安

May 29 [Tue], 2012, 11:37


液体のベアたん
気体のベアたん
固体のベアたん

ベアたんの光、律動と旋律

力としてのベアたん
熱としてのベアたん
磁場としてのベアたん

意志と確率、不安としてのベアたん

ベアたんの痕跡
ベアたんの不在


小熊座のベアたん

May 28 [Mon], 2012, 21:19
 

北の空にベアたんが燃えていた。
澄み切った眸には鮮烈な砂漠の光が瞬き
頬には天上の花園に匂う純白の薔薇が輝いていた。

唇には真夏の海が揺れていた。

そのやがて訪れる季節の遠い水平線の彼方に
私はベアたんを求めて旅に出た。
道を失う怖れはなかった。
夜空を見上げればいつでもそこに
私を導くベアたんが燃えていた。


無窮動

May 27 [Sun], 2012, 12:16
 

トッカータ
ファンダンゴ
常動曲
レズギンカ

跳躍と旋回と十字に交差した細い脚
アッサンブレ
グリッサード
肩先に揺れる亜麻色の髪
手を打ち鳴らし
腰をひねって
左右にステップを踏みながら
歌うように笑って

仔犬のように
少年のように

ベアたんの無窮動が世界を回す
初夏の公園の芝生の上で
すべてを記録したレコードのように


恋の歌

May 26 [Sat], 2012, 5:08
 

その目は開け放たれた魔法の窓
その髪は麦秋の野を渡る黄金の風

ベアたんが地上にあるかぎり
絶望の酒さえ唇に甘い
嘆きの涙さえ頬に優しい

ベアたんの写真がポケットにあるかぎり
俺は決して死ぬことはない
虚無にこの身が侵されることはない




P R

久宥茜☆私設応援団☆茜色騎士団
プロフィール
  • ニックネーム:裸愚庵 若林菜沖
  • 性別:男性
  • 誕生日:10月13日
  • 血液型:O型
  • 現住所:東京都
  • 職業:その他
  • 趣味:
    ・読書-ジョイス ロブ=グリエ ボルヘス クロソウスキー マラルメ P.K.ディック バロウズ 渡辺啓助 夢野久作 日夏耿之介 泉鏡花 笙野頼子 幸田露伴 大手拓次
    ・音楽-ジェズアルド F.クープラン J.S.バッハ シューベルト ヴァグナー ブルックナー ドビュッシー ウェーベルン クラム
    ・映画-ヴェルナー・ネケスケネス・アンガーアレハンドロ・ホドロフスキーD.ジャーマン J.シュヴアンクマイエル D.クローネンバーグ H.G.ルイス J.ウォーターズ『フォービデン・ゾーン』『ゴッドファーザー』
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