あおいタンが泣いてた話 

May 30 [Wed], 2012, 4:33
 

あおいタンが泣いてたんだよ。
ミュージカルを途中降板させられて。
理由はよく分からない。
『日本女子バレー・オリンピック予選』っていうミュージカル。

俺もちょっと憤慨したわけだよ。
つか、かなり本気で。
そしたらさ、「なんとかならないんですか」っていうわけ。
せっちゃんが。
で、りのちゃんも泣いてるわけ。
「なんとかしてあげてください」
「うーん」
唸ったらさ、すがりついてくるんだよ、胸に。
夢の中だから。
りのちゃんだけじゃなく、せっちゃんまで。

こうなるとさ、当然流れ的に言ってみるじゃん、
「ここじゃなんだから、うちに来ない」って。

来るんだよ。
せっちゃん、俺のこと好きだから。
設定的に。
昔から。
夢の中では。
りのちゃんも。
どことなくエンジェルに似てるから。
いや、エンジェルが俺のこと好きかどうか分かんないけどね。
でもそこは設定だし、夢見る者の自由というか。
根拠のない自由だけど。
まあともかく、来るじゃん。
二人がうちに。
夢の話だから来るんだよ。
極々自然な流れで。
途中で寄ったコンビニでアルコールとか買い込んでさ。
そうしたら、アレだよね。
どうでもよくなっちゃうよね、あおいタンのことは。
頭の中は、どう捌くかしかないもん、俺に惚れてるこの二人を、って。

「せつなさんと私、どっちが好きですか」とか訊かれるんだよ。
酔っ払ったりのちゃんに。
夢の中だから。
「もちろん、りのちゃんだよ」って勢いで答えたいけどさ、いるわけじゃん、せっちゃんが。
目の前に。
悩むよね。
「三人で仲良く愛し合おうよ」ってほど厚かましくもないんだ。夢の中でも。俺は。

仕方ないから秋葉原に出かけてさ、ぴなふぉあに行ったよ。
最初は3号店に。
それから1号店に。

3号店にはさ、すぱにゃんがいてさ。
バカ、死ぬほど綺麗だっつーの。
「ありすちゃん、唇にピアス開けられるのに『耳は痛そうで無理』っとかいうんですよ」
「意味わかんないね」
「ですよね…って、そういえば」
「うん?」
「ベアたん、ヘソピ開けてるって、こないだ初めて知りました」
「そうなの?」
「twitterでキャッチ失くしたって言ってたから」
「俺、二年前から知ってたぜ」

二年前から知ってたぜ、っていいよね。
勝った感じ。
フフッ。

で、1号店行ってコーヒー飲んで帰り際。
レジで。
選べるチェキとか見て。
こんなの見つけて。



こりゃ、やっぱ、せっちゃんの勝ちだよねーとか思ったところで、とっくの昔に夢から覚めてることを思い出して。
あおいタン…君は幻だったんだね、みたいな。

まあ、幻でかまわないんだけどさ。
時間が止められるなら。
止められなかったのが悲しいね。

そんなわけで、三分の一くらいが夢で、三分の一くらいがリアルで、三分の一くらいがデタラメの話でした。
どのあたりがリアルかっていうと、りのちゃんが俺のことスキだっていうあたりだよね。
違ってたらごめん。
自分でもよく分かんないや。
でも、ほら、書いたから。
随分遅くなったけど。



祈りなよ 

May 30 [Wed], 2012, 3:05
 

裂けたらいいよ
裂けちゃえばいいよ
笑って裂けちゃえばいいんだよ
その口は
君の口は
君が笑って開いた大きな口は
下唇の分厚く垂れた
どこかいじましく濡れた赤い唇をだらしなく垂らした口は
裂けたらいいよ
裂けちゃえばいいよ
撲り殺されるまえに
どうせ撲り殺されるんだから
頭蓋骨は砕かれて
中身はぶちまけられて
路上に
アスファルトの路上に
ぶつ切りにされた胴体とともに
切り刻まれた首を
手足を
曝すんだから
諦めたらいいよ
早く諦めればいいんだよ
蠅にたかられる前に
嫌な臭いを立て始める前に
手足を小さく折り曲げて
祈りなよ
誰だか知らない
どこかの
誰かに


存在と不安 

May 29 [Tue], 2012, 11:37


液体のベアたん
気体のベアたん
固体のベアたん

ベアたんの光、律動と旋律

力としてのベアたん
熱としてのベアたん
磁場としてのベアたん

意志と確率、不安としてのベアたん

ベアたんの痕跡
ベアたんの不在


忍冬 

May 29 [Tue], 2012, 3:45
 

銀色の下着に星座を鏤めて
ハニー、夢を見させてくれよ
花びらを撒き散らして
むせかえるような忍冬の香りを唇にこもらせて
なにもかも諦めた
俺の濁った瞳に
真っ白な花畑を見させてくれよ
蜜蜂と
蝶の舞う
おまえの柔らかな胸に微睡む夢を


小熊座のベアたん 

May 28 [Mon], 2012, 21:19
 

北の空にベアたんが燃えていた。
澄み切った眸には鮮烈な砂漠の光が瞬き
頬には天上の花園に匂う純白の薔薇が輝いていた。

唇には真夏の海が揺れていた。

そのやがて訪れる季節の遠い水平線の彼方に
私はベアたんを求めて旅に出た。
道を失う怖れはなかった。
夜空を見上げればいつでもそこに
私を導くベアたんが燃えていた。


九段 神保町 後楽園 

May 27 [Sun], 2012, 18:53
 
一日のんびりと部屋で読書でもしてようかと思ってたら、そういえば貯水槽の清掃のため9時5時で断水だったことを思い出し、急遽予定を変更、本とノートをもって外出。
別に行くあてもないまま、ブラブラと日陰を探しながら九段から神保町あたりをさまよっていた午前中。
バーガーキングで朝食、非常に微妙なラーメン屋で昼食をとり、どうすっかなあと水道橋方面に向かっていたら、2時半、先輩たちの応援のために朝から晴海の体育館に行ってた娘から電話が。
「思ってたより早く終わっちゃって時間があるんだけど、どうする? 散歩でもしちゃう?」
というわけで、ラクーアで待ち合わせ。



本当に久しぶりのサーティワン。
「応援してるときに他の学校のひとにナンパされちゃったよw」
「マジで?」
「マジ。ナンパというか声を掛けられただけだけど」
「いやいや、立派なナンパでしょ。で、どうしたんだよ、アドレスとか交換しちゃったわけ?」
「うん」
………………。
ホントね、赤外線のおかげでアレだよね、楽になっちゃったよね、アドレスとか番号をゲットするのも。
で、俺が楽になったなと思ってるということは、娘に近づいてくるヤツも楽になってるわけで、なんでしょう…心配です。お父さんは。



後楽園の中をブラブラ。
BUBBA GUMP の裏のマイナーな撮影コーナーで記念撮影。



その後、こんにゃくえんま前から春日通りを傳通院前まで上って、大曲から江戸川橋の地蔵通りを抜け、天神町交差点のリンガーハットで食事。

リンガーハット、15年ぶりくらいに入ったけど、アレですね。なんていうか…アレでした。

で、娘を家まで送って解散。


無窮動 

May 27 [Sun], 2012, 12:16
 

トッカータ
ファンダンゴ
常動曲
レズギンカ

跳躍と旋回と十字に交差した細い脚
アッサンブレ
グリッサード
肩先に揺れる亜麻色の髪
手を打ち鳴らし
腰をひねって
左右にステップを踏みながら
歌うように笑って

仔犬のように
少年のように

ベアたんの無窮動が世界を回す
初夏の公園の芝生の上で
すべてを記録したレコードのように


石の花 

May 27 [Sun], 2012, 9:39
 

女たちは壁に向かって
両手をついている

石の花が咲いている

殻を剥かれた半熟の茹で卵がひとつ
皿の上に置かれている


恋の歌 

May 26 [Sat], 2012, 5:08
 

その目は開け放たれた魔法の窓
その髪は麦秋の野を渡る黄金の風

ベアたんが地上にあるかぎり
絶望の酒さえ唇に甘い
嘆きの涙さえ頬に優しい

ベアたんの写真がポケットにあるかぎり
俺は決して死ぬことはない
虚無にこの身が侵されることはない




釣堀 居酒屋 

May 25 [Fri], 2012, 20:39
 

川向こうには、橋を渡ってすぐのところに『釣堀 居酒屋』と看板を出した店が昔からある。釣堀兼居酒屋ということなのか、何なのか、ずっと以前から興味はあるのだが、行ってみたことはない。店の前の未舗装の駐車場にいつも水たまりが広がっていて、近づいてみようという気が殺がれるのだ。

その駐車場の入口に、いつの間にか見かけなくなったが、かつては雑誌の自動販売機が置かれていた。表面のガラスの裏にハーフミラーの膜が目隠しに貼られていて、夜になって外が暗くならないと雑誌の表紙を確認できない仕掛けになっていた。成人向けの雑誌や写真集の販売機なのだ。

高校生になったばかりの頃だ。
深夜、辺りの人通りがすっかりなくなるのを待って、私はこっそりとその販売機を覗きに行くことがあった。もちろん両親も妹も眠りについていることを確かめた上でだ。
昼間はただのアルミ色しか見えなかったガラスの中に、どぎついカラー印刷の表紙が透けて見える。『尼僧』『悶絶』『団地妻』『緊縛』等の扇情的な文字の下で濃い化粧をした女たちが正面を睨みつけ、淫らなポーズを取っている。
限られた時間の中で、一冊、一冊の表紙を真剣に検討した。モデルの容姿、下着の色形と透け具合、特集のテーマとシチュエーションの設定……買うとしたらどれにしたらいいのか……焦燥感に駆られながら一冊を選ぶ時間はそれだけで刺激的だった。
小銭も用意はしていた。
だが、実際に買うまでには至らなかった。少ない小遣いの中からそれなりの金額を投じて購入ずべき一冊を、優柔不断な私は選ぶことができなかったのだ。

その晩も家を抜け出して自動販売機の前に立っていた。
あまり長い時間家を空けていられないのはいつもと同じで、私はジリジリとしながら販売機に並ぶ十二冊の表紙と向き合っていた。
そのときだ。
突然居酒屋の方から大きな物音が聞こえると、扉が引き開けられ、中から人影が飛び出してきた。私は慌てて停めてあった車の陰に身をひそめ、あらためて様子を窺った。
飛び出してきたのは女だった。
年の頃は分からない。
ずぶ濡れの白い肌襦袢を着ていた。
短い散切りの黒髪からつま先まで全身がびしょ濡れで、その格好で懸命に走ろうとしているようだったが、足に怪我でもしているのか、パタパタとするばかりで、なかなか前に進まない。
それでも少しずつ近づいて来るにつれ、近眼の私にも女の顔がぼんやりと見えてきた。
女は大きく口を開けていた。
叫んでいるのだと思った。
助けを求めて叫んでいるのだと思ったが、実際には叫び声は聞こえなかった。聞こえてきたのは、キイキイ、という本当に微かな鳴声のような音だけだった。

女が水たまりを中をようやく駐車場の半ばまで達したところで、男が三人、悠々とした足取りで居酒屋から現れた。厳つい風体の男たちで、中の一人が、長い棒の先に針金の輪が取り付けられた野犬狩りに使うような道具を手にしていた。
男たちは無言だった。
無言のまま三人で水たまりを囲み、静かに女を追いつめた。
一人が棒を伸ばして女の首に輪を引っ掛けた。引けば輪が絞まるような仕掛けになっているのか、女は苦しげに体を引き攣らせながら居酒屋の中へと引きずられていった。男たちは静かに戸を閉めた。
ややあって、店の中から大きな水音が聞こえた。

その夜を境に、自動販売機を見にいくことはなくなった。
店の中に何があるのか興味はあったが、確かめにいく勇気はなかった。


P R

久宥茜☆私設応援団☆茜色騎士団
プロフィール
  • ニックネーム:裸愚庵 若林菜沖
  • 性別:男性
  • 誕生日:10月13日
  • 血液型:O型
  • 現住所:東京都
  • 職業:その他
  • 趣味:
    ・読書-ジョイス ロブ=グリエ ボルヘス クロソウスキー マラルメ P.K.ディック バロウズ 渡辺啓助 夢野久作 日夏耿之介 泉鏡花 笙野頼子 幸田露伴 大手拓次
    ・音楽-ジェズアルド F.クープラン J.S.バッハ シューベルト ヴァグナー ブルックナー ドビュッシー ウェーベルン クラム
    ・映画-ヴェルナー・ネケスケネス・アンガーアレハンドロ・ホドロフスキーD.ジャーマン J.シュヴアンクマイエル D.クローネンバーグ H.G.ルイス J.ウォーターズ『フォービデン・ゾーン』『ゴッドファーザー』
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