グレイト?ギャツビー 

October 11 [Fri], 2013, 12:39
Yours truly

メイヤー?ウルフシェイム

それから、下部に慌てたように書き加えられた補遺があって、

葬儀などについてお知らせください、家族についてはなにも存じておりません。

午後、電話が鳴って、長距離電話交換局がシカゴからの電話がかかってきていると知らせてきたとき、ぼくは

ようやくデイジーから連絡がきたか、と思った。けれども、回線を伝って流れてきた声は男の、細くて遠い声

だった。

「もしもし、スラッグルだが……」

「はい?」聞き覚えのない名前だった。

「なんて声だよ、おい? おれの電報は届いたか?」

「電報などひとつもきておりませんが」

「パークの青二才がしくじりやがってよ」と、男は早口でしゃべりはじめた。「あの証券を窓口に出したとた

ん、あいつ、捕まっちまった。ニューヨークからやつらのところにナンバーがいったのが5分前ってんだぜ。ん

なもんわかりっこねえじゃねえか、そうだろ? まさかあんなどいなかでだな――」

「もしもし!」ぼくは息せき切って割りこんだ。「あのですね――ぼくはミスター?ギャツビーではありません

。ミスター?ギャツビーは亡くなりました」

電話の相手は長い沈黙の後、驚きの声を発した……それからがちゃんという音がして、電話は切れた。

**********
たしか、ミネソタのとある町からヘンリー C.ギャッツとサインされた電報がきたのは、3日めのことだったと

思う。送信者はすぐさま出発する、到着まで葬儀を延期されたし、という内容だった。

ギャツビーの父親だった。生真面目そうな老人で、ひどく力を落としてうろたえており、9月の生温い気候の中

、ぞろっとした安っぽいアルスター外套に身を包んでいた。その瞳はずっと興奮を押し隠せずにいて、ぼくが

かれのバッグと傘とを預かると、コートと一体化しているようにも思えた顎鬚をひっきりなしにひっぱりはじ

めた。いまにも倒れそうなようすだったから、ぼくはかれを音楽室に案内して椅子をすすめ、その一方で、使

用人に食事を用意するように言った。けれども食事には手がつけられず、コップの牛乳も震える手からこぼれ

おちていった。

「シカゴの新聞で見ました」とかれは言った。「シカゴの新聞に全部書いてありましたよ。私はすぐにこちら

に向かいました」

「連絡する方法がわかりませんでしたので」

かれの、なにも映していない瞳は、絶え間なく部屋中をさまよっていた。

「気違いの仕業だったそうですね。気が違っていたに違いない」

「コーヒーをお持ちしましょうか?」とぼくはすすめた。

「なにもいりません。すっかり大丈夫になりましたから、ミスター?――」

「キャラウェイです」

「そう、私はもうすっかり大丈夫です。ジミーはどちらに?」