1. 消滅する空

June 13 [Sun], 2010, 14:38



きっと,いつかは忘れるだろう。

いや,忘れたふりが上手になるのだろう。

そう思って,心を静めた。


---
----------


いつもの堤防に足を進める。

水質汚染の進んだ川

誰もいない。

誰も,

ゆっくりと腰をおろし,空を見上げた

今にも,落ちてきそうな暗く重たい空だった。

背中を草むらに預け,眼を閉じた。

今日も,生きるものたちの囁きが聞こえてくる。

それはまるで,生きようとしない私を責めるかのように。







「ねぇ,この声,君にも聞こえるの?」




ふいに,男の声がした。

ゆっくりと,目をあけると,そこには真っ白なシャツをきた青年が立っていた。

栗色の髪に,白い肌,大きな薄い茶色の瞳。

誰もが彼を見て,美しいと思うだろう。

私は,思わず話しかけられたことを忘れて,彼の顔を凝視した。

「ねぇ,君にも聞こえるの?」

彼は,私の視線など気にすることもなく,同じ質問をもう一度した。

同じ声で,同じ表情で。




「何をしている。」



すると,突然彼の後ろから大きな男が現れた。

真っ黒なシャツを着た男。

カラスのような黒い髪は長く,パーマをかけているのかくるくるとしている。

青年と同じように白い肌,でもその瞳は黒く,そしてすっきりとしていた。

「あぁ,一条か。今,この女の子に話しかけてたとこなんだ。」

そう言って,私に笑いかける青年。

今まで,誰にも遭遇したことのないこの場所で,1日に2人にも会うなんて思ってもいなかった。

私は,動揺のあまり立ち上がって,その場から去ろうとした。


「待って。」

後ろから、強く腕をひかれた。

「少し,話があるんだ。聞いてくれるかい?」

腕を振り払って逃げることも出来たかもしれない。

けれども,その時の私は,青年のあまりに真剣な目と,

その後ろで様子をうかがっている男の鋭い眼光に

素直にうなづくことしかできなかった。


続く。

プロローグ

June 12 [Sat], 2010, 23:32
マンションの扉の先に見える大きな木が大好きだ

2本ある

寄り添うように、すごく堂々と生きている

この木を見てここに決めた

今宵は雲に包まれた月を眺めた

手が冷えきっている

月はなんでこう、優しいかな

優しいのかな

月側の生き物でありたい

なんて

逃げだと笑うのだろうか

静かすぎて

中の喧噪も音も

別世界だった

そこにある煙と孤独君が

唯一中との繋がりのように感じた

そんなに怖いのなら

そんなに悲しいのなら

そんなに愛おしいのなら

同化してしまえばいいのに

そうだよね

そう

だね






今日から一つの話を始める

人間には生きる意味が必要なときが有るらしい

どうしても自分のことだけを考えたいときが有るらしい

人間とか大きくてとても小さなものを考えたいときが有るらしい

そうやって過ごした日々の話



ーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーー


今日も嫌な一日が始まる
今日も死ねなかった
毎晩、布団に入る前に、朝が来ないことを祈るのに。
当然のように朝が来てしまう

階下から聞こえる声が痛い
もう少し、時間がたてば部屋の中に誰かが入ってくる
だから、嫌々身体を起こして部屋を出る
朝ご飯をろくに食べずに外に出た
意味のない形だけの制服を着て

この一本を乗り過ごしてしまえばもう遅刻になる
そんな頼りにならない路線バスが目の前に止まる
扉に一歩踏み出そうか迷っている私のことなど
全く気にしていないかのように
扉は閉まろうとする

急いでバスに乗った

バスの中は、自分と同じような制服を着た少女たちであふれかえっていた
他愛もない話で盛り上がる少女たちを見て、溜息を一つ

私の気持ちとは裏腹に目的地にさっさと着いてしまった
学生がぞろぞろと目の前を通り過ぎ、おりて行く
一番最後に降りた

多くの男女が同じ道を歩いて行く
寒いのにとても短いスカートをはいて寒いと叫びながら笑い合っている
学校に行くというのに、健康サンダルを履き、気だるそうに歩く男子が通り過ぎる

私はバス停の前にたったままだった

いつからだろう

こうして学校に行かなくなったのは

今日もまた、一日を過ごす術を考えねばならない

毎日通っていた図書館は、最近では不審な目を向けられるようになった
大人のいる場所に、明らかに学生の私は、問題のある少女にしか見えないのだろう
溜息をまた一つ。
今日もまた、誰も近づかない、堤防へと足を運ぶ。

何も変化がなく、解決もしないと思っていた日々に

さよなら

を告げるきっかけになったのは

この、何でもない、1日だった。




続く。



プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:Sacco
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 血液型:A型
  • アイコン画像 職業:その他
  • アイコン画像 趣味:
    ・音楽-MEW、downy、MARSVOLTA、bjork、TOOL、sigurros、epic45
    ・写真-色々撮ります
    ・ハンドメイド-色々創作します
読者になる
将来の目標は魔法が使えるおばあちゃんになること。

魔法といっても、怪しくない奴。

言葉の魔法。心の魔法。

夢という言葉は現実にならないから、使わない。

生かされるのであれば、その分だけ、考え、行動し、笑いたい。


2010年06月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
Yapme!一覧
読者になる
http://yaplog.jp/quish/index1_0.rdf
P R