暫くたった頃

August 22 [Sat], 2015, 13:17

嫌な予感がした。
私は新しいランドセルを背に、仕方なく学校へ向かった。気もそぞろに机に向うも全く勉強が手に就かない。長い一日が終り猛ダッシュで家路につく。

母は居なかった。

それぞれの学習机に置手紙が挿んであった。「必ず迎えに行くから。」と書いてある。
複雑だ。上手く動かない身体に苛立つ、優しい暴れん坊と化した父を置いて、母と暮らすのか?また、とにかく沢山泣いた。

暫くたった頃、叔母が家族会議に来ていた。祖父母たちと小声で話していたが、私は耳を立てて聞いていた。兄の二人が心配だったからだ。6歳と言えどおしゃまな女の子、三人でねんど遊びをしていても、二人の顔が浮かないのだ。のんきが取り柄の三兄弟にこんな一大事、私がしっかりと知っていれば、何かあった時に役に立つ。そう思った。
それは胸の痛む話だった。「なんでお父さんとお母さんが苦労しなきゃいけないの?しょうがないわよ。」と突き放した物言いに、当時は話の意図がさっぱり見えない。母方の祖父母に聞いた叔父の乱暴の件を聞いて、叔母もガッカリしていたのだろう。そして、私たちは出ていくことになった。

父から最後に買ってもらったアザラシの大きなぬいぐるみが、別れの涙を吸っていた。
本当に悲しかった。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:qianfengjin
読者になる
2015年08月
« 前の月  |  次の月 »
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
http://yaplog.jp/qianfengjin/index1_0.rdf