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(写真・図は権利関係に疑問が残るため、省略して載せています)
第1回テーマ:
拡大生産者責任(EPR)を考える
■ 拡大生産者責任(EPR)とは?
OECDのまとめた『拡大生産者責任、対各国政府ガイダンス・マニュアル』ではEPRを「製品に対する、物理的および、または財政的な生産者責任を製品のライフサイクルの使用済み段階まで拡大すること」と定義している。また、「拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility)とは、使用済み製品の処理または処分に関して、生産者が、財政的および、または物理的に相当程度の責任を負うという政策アプローチである。このような責任を課すことで、発生源で廃棄物を抑制し、環境負荷の少ない製品設計を推奨し、一般のリサイクル・資源管理目標の達成を促進する。」さらに、EPRの注目すべき点として、処理および処分にかかる社会的費用を製品価格に内部化することで、生産者に環境に配慮した設計をするインセンティブが生まれることがあげられる。
では、EPRは実際にどのように運用されているのだろうか。日本のリサイクル法の例とその問題点、そして、企業の取り組みについて調べた。
■ 容器包装リサイクル法
従来は市町村が全面的に責任を担っていた容器包装廃棄物の処理を、消費者、自治体、事業者の3者が役割分担することを義務付けたものである。事業者にもリサイクルという物理的責任を課したが、事業者負担が少ないことが問題とされる。事業者の負担が少ないとリサイクルしやすい容器包装を使用するインセンティブを引き出すことができない。2006年には改正容器包装リサイクル法が制定され、自治体のコスト削減努力に応じて資金を拠出するといった改正がなされたが、依然として多くの課題を残している。
■ 自動車リサイクル法
使用済み自動車からでる部品などを回収してリサイクル、または適正に処分することを自動車メーカーや輸入業者に義務付けたもの。リサイクル費用は消費者が新車購入時に負担する。コストを内部化するというEPRの観点から評価することができる。
■ 家電リサイクル法
処理コストの後払い制が問題とされる。家電リサイクル法は、家庭用エアコン、ブラウン管テレビ、電気冷蔵庫・電気冷凍庫、電気洗濯機の家電4品目について、小売業者による引取りおよび製造業者等によるリサイクルを義務付けた法律であり、消費者は、家電4品目を廃棄する際に収集運搬料金とリサイクル料金を支払うことになっている。生産者は、廃棄家電のリサイクルという物理的責任を負ってはいるものの、リサイクル費用を消費者が廃棄時に支払うということはコストの内部化が成立せず、生産者は費用の面においては完全には責任を負っていない。この点がEPRの観点からみると不十分であり、また処理費用が後払いになっていることにより、不法投棄の問題も発生している。環境省によれば、家電リサイクル法において前払い方式の導入を見送ったことについて既販製品への対応が難しいこと、将来のリサイクルコストの算定が難しいこと、メーカーが倒産した場合のコスト負担の問題などを理由に挙げている。しかし、自動車リサイクル法においては前払い方式が採用され、実際に運用されていることを考えると家電リサイクル法においても同様に前払い方式を採ることは可能ではないだろうか。そもそも処理コストが価格に内部化されないと、生産者が製造段階から環境配慮設計を行うことを促進するというEPRの仕組みがうまくはたらかないことになり、家電リサイクル法はEPRの概念を完全に反映できていない、不完全な法律であるといえる。
「拡大生産者責任のケーススタディ 〜パナソニックと家電リサイクル法〜」
家電リサイクル法を遵守している企業の具体例として、パナソニックを挙げてみよう。同法に該当する四品目の再商品化率は、定められた比率を大きく上回っている(詳しくは表1)。パナソニックはなぜこのような高水準のリサイクルを達成できるのだろうか? 最初に全体的なシステムについて触れたあと、中核となるリサイクルセンター・METEC(メテック)について詳述する。
■ 既存インフラを活用した効率的な家電リサイクルシステム
パナソニックは、2001年に家電リサイクル法の施行にともない、既存インフラを活用した地域分散処理システムを構築した(図2)。このシステム下では、パナソニックが主体となって設立した株式会社エコロジーネットが、同じグループに所属するメーカーなどの委託を受けて関連業務を一括代行し、190ヶ所の指定引取所と再商品化拠点35ヶ所を管理運営している。この際、再商品化拠点のひとつである松下エコテクノロジーセンター(METEC)が中心となって処理技術を開発し、他の再商品化拠点と共有している。同時にパナソニック本社は、METECで得られた情報を、リサイクルしやすい製品設計の研究に活かしている。
■ METECとは?
パナソニックのリサイクルシステムにおいて中心的な役割を果たしているMETEC。METECをより深く知るために、基本方針4つを列挙する。
1.トレジャーハンティング
役目を終えた家電の中から宝探しをするような感覚で、できるだけ質の良いリサイクル素材や原料を取り出すことが役割。
2.商品から商品へ
メテックが目指しているのは、「つくる→使う→捨てる」の一方通行ではない。「つくる→使う→生かす」という流れで貴重な資源を循環させて、「ごみゼロ」を実現するためのリサイクル。
3.リサイクルしやすい商品づくり
リサイクルしやすい商品とは、商品の解体や素材の取り出しにコストや手間がかからない商品のこと。言い換えれば、新商品を設計する段階から「捨てた後」のことがよく考えられている商品のこと。
4.百聞は一見にしかず
開発に携わる技術者たちが、リサイクルラインでの解体作業の大変さや難しさを知るためには、とにかく「百聞は一見にしかず」。メテックの話を伝え聞くだけではなく、身をもって実感することを大切にしている。
■ 参考
経済産業省 「OECD『拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル』について」 www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g21029c04j.pdf
(最終閲覧日2008年7月6日)
環境省 各種リサイクル法関連 http://www.env.go.jp/recycle/recycling/ (最終閲覧日2008年7月2日)
環境省「中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 廃棄物・リサイクル制度専門委員会(第4回)議事要旨・資料」http://www.env.go.jp/council/03haiki/y034-04.html(最終閲覧日2008年7月2日)
環境省「家電リサイクル制度の施行状況の評価・検討について」 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=10868&hou_id=9361
(最終閲覧日2008年7月2日)
EICネット環境用語集 http://www.eic.or.jp/ecoterm/?gmenu=1(最終閲覧日 2008年6月24日)
松下電器産業株式会社 http://panasonic.co.jp/ (最終閲覧日2008年6月25日)
*コラム* キャンパスの環境を守る
■ 現代に残る「武蔵野の雑木林」とその保全
一橋大学の魅力のひとつはキャンパス内の緑の多さである。キャンパスを歩くと赤松や銀杏、桜をはじめとする様々な種類の木々を目にすることができる。また、その豊かな植物群落には数多くの野鳥やいきものが生息しており、学生のみならず市民の憩いの場ともなっている。しかし、この豊かな緑が、多くの努力によって支えられているのをご存知だろうか。一橋大学は、「一橋大学国立キャンパス緑地基本計画」を作成、それに基づいて様々な保全活動を行っている。キャンパスは、開放を前提とした庭園ゾーンや武蔵野の面影を維持するゾーンなど段階的に6種類のゾーニングが行われ、それぞれのゾーンや植生タイプに即した管理方針が事細かに決められている。ときには、日当たりや他の植生とのバランスを考慮して木を切り倒したりもする。では、切り倒された木はどこへゆくのか。実は、新たな姿に生まれ変わってキャンパスに生きているのである。それらは兼松講堂横のベンチに加工されたり、細かいチップに加工され地面に敷かれたりしている。様々な工夫を取り入れながら、緑地計画が進められている。
環境問題というと、地球温暖化や熱帯林の森林伐採などが頭に浮かびがちなところがある。しかし、大学のキャンパスの環境を考えるのもりっぱなエコではないだろうか。学校に任せきりではなく、大学を利用する私たち学生がもっと考えていくべき問題である。
■ 参考
『一橋大学国立キャンパス緑地基本計画』国立大学法人 一橋大学