六月に読んだ本 D

July 03 [Tue], 2012, 13:53
6ジェルミニイラセルトゥウゴンクール兄弟大西克和訳岩波文庫ゴンクール兄弟は、日本で言えば直木三十五みたいなものか。
どちらもその名を冠した有名な文学賞が現在でもあるが、さて肝心の作家のことも作品も、母国フランスではどうか分からぬが、こちらではほとんど知られていない。
ゴンクール兄弟と言えばその膨大かつ詳細な日記抄訳が上下二冊の分厚い文庫本で出ているがばかりが有名で、その小説にどんなものがあるのか、こちらは全く知らない。
第一兄弟合作で小説を書くというのがどうもピンとこないのである。
エラリークイーンやわが国の岡嶋二人、なんていう合作作家もいたし、ちょっと前に文藝賞を取った兄弟もいた名前失念。
映画の世界にもタビアーニ兄弟とかルデンヌ兄弟といったような共同監督もいるけれど、彼らがどのように作業をして一つの作品を完成させていくのかちょっと不思議に思っている。
この本の訳者解説によると彼らは同一のページを各自が別々に書き、それを比較し取捨選択し、形容詞などを選びながらそれを完成させるという方法を取ったようで、兄弟の性格、気質は著しく異なっているが、長年共同労作に従事した結果、見方、感じ方、考え方に於いて全く同一なものになったとのこと。
さて、それはともかくこの小説の存在を知ったのもある人のブログで。
古本で探したのだが、手元に届いたものは1993年に刷られた第4刷。
初版が出されたのが1950年だから、ままり売れ行きの良い本であるとはいえないだろう。
だって、あまりにも夢も希望もない暗くて救いのない内容の小説なのだから、仕方がないようなものだ。
いわゆるフランスの自然主義小説というのでしょうか、題名は主人公である下女の名前である。
彼女はあるオールドミスに長く仕えていたのだが、その住まいの階下にある店の息子と関わりを持ち、この男が彼女から搾り取るだけ搾り取ろうというろくでなし。
彼との間に娘をもうけるが、預けた里親のところで病死、あげく男に捨てられる。
そのwaiwa.jpあとはお定まりの転落。
町の男を追うようになり、心身消耗。
とまあ絵に描いたような転落話で、救いというものが全くない。
訳文も直訳調で、しかも句読唐ェ妙なところについていたりで、読みにくいこと夥しいものがある任意の一場面を例にとってみる。
あの衝動が、いつか彼に出会うということを怖れていたはずであったあの場面が、彼にまた会いたいというという物狂おしさを、彼女の心の中に再燃させた。
彼女の全情熱は再び彼女を誘ったが、この会話の極端に少ない、小説というよりも、むしろ記録と言ってよいような文章には、かえって良いのかもしれないと途中から思い始めたが、それでも読み難いことは読み難い。
若き日のエミールゾラがこの作品に刺激を受け、いわゆる自然主義の小説を発表するようになったということである。
そういう資料的な価値はともかくとして、もう少しこなれた訳文で読めれば、もっと感銘深かったかもしれない。
残念。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:pwyspwhg6e
読者になる
2012年07月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/pwyspwhg6e/index1_0.rdf