背水 

2007年03月28日(水) 20時11分
「もしも明日世界が終わったら」
そんな状況にならなければ
ホントの気持ちに気付けない

「友達でいればいつでも会える」
そう思っていたはずなのに
いいえ 今でもそれは分かる

でもね
もし私がお見合いしたら、その人と結婚してしまったら
あなたにはもう好きだといえない

だめ だめ
例え二度と会えなくなっても
今の私は伝えたい
好きなんだ、好きだった
最後かもしれないから、今言わせて

「そんな風に考えたことなかったから(ホントかよ)」
「ちょっと考える」
「今週中に返事する」

なんで私はこんなに焦っているのかしら?
体の中の時計が、私に急げとせかしてる
「駄目なら、次を探さなくちゃいけないんだから!!!」

さあ、あなたは私になんと答えるの?
でもね、不思議
断られる予想をしても、なぜか可笑しい
そのくらい私達友達だったと思ってる
まじめな私が滑稽なくらい、私達友達だったと思ってる

さんさ慕情F 

2006年06月26日(月) 23時25分
 しかし、順調に冬が過ぎ、裕介さんからたくさんのりんごが届いた。いつもなら、りんごと一緒に裕介さんが現れるはずなのに。いつもの年より、りんごの甘みも薄い気がした。
 年が明けて進学先もエスカレーター式で女子大に入学が決まっていた私は、特にすることもなく、友達と飲みに行ったり、買い物をしたりするのにも飽き飽きして、家でぶらぶらしていた。いつもなら取らない電話を、気まぐれで取ったのはただ暇だったからだ。自分宛の電話は携帯にかかってくる。
 最近、家の電話は主にFAXのためだけに存在する。
「もしもしー」
 父親が聞いたら絶対怒り出すような、砕けた口調で電話に出た。
「やあ、アキちゃん。僕、島村です。社長いますか?」
 裕介さんだ!
 私は呼吸が止まってしまった。一度電話を切って、もう一度裕介さんに電話をかけ直してもらいたい。そうしたら、完璧な電話の応対をやってみせるのに。ああ。『後の祭り』とは、まさにこのことだ。
 なんて考えながらも、もうひとりの冷静な私がいつの間にか、裕介さんの電話を父親の書斎に引き継いでいる。この、もうひとりの私、というのはホントにかわいくない奴で(といっても別に分裂症なわけではない)時々私の耳元で
「裕介さんなんてさっさと忘れて、その辺にいる男の子と楽しい恋愛でもしたら」とか
「しょせん憧れなんて儚いヨ。あと数年で裕介さんだって老けてくるんだから」などとささやく、にっくき奴なのだ。そんなこと、分かっていてそれでも裕介さんが好きなのに、どうして自分の分身がそれを理解できないのだろう???
 まあ、ともかく、その日以来私の指定席が、家の電話の前になったのはいうまでもない。
「アキちゃんも元気?」
 父親に電話を取り次ぐまでの間に、祐介さんと短い会話をすることもある。
「は、はい」
 私にはそう言うだけで精一杯。話したいことはたくさんあるけれど、喉の奥から上手く言葉が出てこなくなるのだ。
 女友達とは、五月蝿いくらい良く話す私だけれど、祐介さんはきっと「無口で無愛想な女」だと思っていることだろう。
 

さんさ慕情E 

2006年06月26日(月) 22時42分
 裕介さんが、奥さんと娘さんの写真を見せてくれたことがある。
 いつだったかはっきりと覚えていないけれど、裕介さんが東京にいたときだから、冬だった。
 裕介さんはけして『出来ちゃった婚』ではなかったけれど、結婚してすぐ娘さんが生まれた。娘さんが生まれた年は、裕介さんは東京に来なかったのだから忘れない。
 そして次の年、裕介さんは奥さんと娘さんの写真を見せてくれた。
「奥さんとどこで知り合ったの?」
 声が震えないようにさりげなく尋ねた。この年、私は高校3年生。裕介さんひと筋の17歳だった。
「うーん、同じ町に住んでた幼馴染なんだよ」
 少し照れくさそうに裕介さんが答えた。だいの大人が照れるなっ!と心の中で歯噛みする。裕介さんは、恋心も、傷心も、嫉妬も、いっぺんに私に教えてくれる。
 でも、裕介さんの奥さんは、優しそうで、お化粧もあんまりしていないけれど色が白くて、どちらかというと綺麗なほうだった。やっぱり裕介さんは趣味もいい。東京に溢れている化粧が濃くって派手な女どもが何人も、裕介さんを狙っていたことも知っている。だって、裕介さん目当てで、私の家にまで遊びに来る父親の会社の女達を、私は子供の頃から見ていたのだ。
 裕介さんに、素敵な奥さんと愛らしい娘さんがいることは、裕介さんにとっていいことだ。だから仕方がないことだ。それはもう、そういうものなのだ。
 裕介さんに娘が生まれたのも、確かちょうどりんごの花の咲く頃だったと思う。
 その年の冬、裕介さんは東京には来ないまま、父親とはメールで仕事のやり取りをしていた。私は、裕介さんが奥さんと、娘さんと、りんごのそばでも仕事はできる!なんて言い出すのではないかとハラハラして、何度、どうしても現場に出向かなければいけないような、大きなトラブルが起こることを祈ったか知れない。

ふたまた紀行 

2006年06月23日(金) 7時19分
あの人が両手を広げ 私を呼んだら
きっと私は
飛び込んでしまう 涙をこらえたまま
激しい恋の アドレナリンで
身を焦がし 悶える

そんな恋ばかりして 気付く
それじゃ女友達のように 平凡な幸せは手に入らない
「どうして私は 普通に幸せに結婚できないの?」
そんなの当たり前
ただ 恋を したくて

やすらかな幸せの 共有できる相手は
親友みたいな 男の子
旅をして 食事して 
私達 結婚しようか なんて

両手を広げて欲しい人も 優しい
けれど あの人は 恋の相手
多分 幸せを 守るべき人ではなく
燃えるような 想いを
ときめいて どきどきして

にがいリンゴB 

2006年06月13日(火) 23時19分
 ぬる燗は冷めないうちに飲まなきゃ。
 清登香は美味しい日本酒を口に含み、花のように広がる香りに気を取り直す。清登香は、美味しくて、思わず笑みがこぼれるような日本酒が好きだ。
 晴美の猪口にも、日本酒を注ぎ足す。
 おいし。これ、なんてお酒だっけ。
 晴美が和紙に書かれたメニューを見直しながら、清登香に尋ねる。
 えーっとね、ぬる燗おススメのとこの…ああ、『賛磨』だ。静岡ね。 
 清登香は自分の猪口に、まだ温かくゆらゆらと香りを放つ日本酒を注いだ。
 あーあ、どんどん周りから独身が減ってくなあ・・・
 晴美が呑気にため息をつきながら言う。いい加減話題を変えて欲しい、と思いながらも、清登香にとってもその言葉は最近の実感なので、思わず賛同するようにため息をついた。
 妙齢(?)の女二人が、日本酒片手にため息なんて、パッとしないな、と清登香は内心思う。が、口に出すのは止めておいた。これがあと日本酒を3・4本飲んだあとなら、迷わず口にしているに違いない。
 ぬる燗は冷めないうちに…そう思いながら清登香はいつもより早いペースで、日本酒を口にする。
 楠本の記憶を、日本酒の香りと味と喉を流れ落ちる存在感で、消してしまわなければいけない。
 大丈夫。大丈夫なはず。げんにさっきまでは大丈夫だった。白い小さな花びらが、記憶の底で風に舞う。
 忘れて、諦めたはず。
 自分に言い聞かせながら、日本酒を追加。晴美が横の席で、全く妄想の自分に結婚式について語っているのを聞き流しながら、ぬる燗は冷めないうちに…と心の中で繰り返した。

さんさ慕情D 

2006年06月11日(日) 23時06分
 まったく、乙女の気持ちをまるで分かっていない。世の中が思い通りにならないことを生まれて初めて知り、自分に八つ当たりしていただけなのに。ただ、それが少し激しかっただけ。ただ、諦めるしかないことを認めたくなかっただけ。
 りんごの花は本当は何色でどんな香りがするのだろうか、りんごの木はどのくらい大きいのだろうか、私はそんなことばかり考えて、時間が過ぎていくのをただひたすら待った。
 時間は、万人に平等に過ぎていく。
 両親は式に呼ばれて一晩留守にした。
 私は、誰もいない家の中でベッドに転がって、ただ天井を見ていた。
 ショックのあまり食事をすることも忘れてしまっていた。
 翌日、水すら飲まず、部屋の片隅で泣きながら結婚行進曲を口ずさむ私を、両親が発見した。私の気が狂ったのではないかと、母親は本気で心配したらしい。
 でも、世の中には諦めるしかないことがあることを知るとともに、そんな悲しみも時が解決してくれることを知った。
 健康な私の体は、いつまでもふてくされていることに飽きてしまったのだ。
 そうして、私の短い引きこもり時代は終わる。
 高校生活が予想以上に楽しかったのも幸いしたのだろう。
 私の気持ちがようやく落ち着いた頃、祐介さんから結婚式の写真が送られてきた。
 皮肉にも、それを受け取ったのも私だった。その写真を、私は意外なほど冷静な気持ちで見つめる。
 たくさんの人が並んだ後ろで、白い花びらが舞っていた。桜の花びらに似ているけれど、どこか違う。黒っぽい服の男性たち、綺麗な色留袖のおば様たち、黒留袖の優しげな女性は、祐介さんのお母様だろうか。
 そして、いつもと変わらない笑顔で羽織袴姿の祐介さん。
 私の隣に座ってくれると信じていたのに。
 白い綿帽子を被った祐介さんの妻になった人。白塗りで、一見綺麗そうに見えるけれど、本当に美人かどうかは分からない。
 一瞬、その写真を破ってやろうかという凶暴な気持ちになったが、かろうじて思いとどまった。祐介さんの写っている写真を、破ることはないだろう。
 美人だろうと、そうではなかろうと、白塗りのこの女性が祐介さんの妻なのだ。
 受け入れるほかないのだ。
 16才にして初めて、私はひとつの考えに至る。
 『人生って辛い』
 子供っぽい感傷だ。

さんさ慕情C 

2006年06月11日(日) 22時51分
 その間、悲しいこともあった。ひとつは祐介さんが結婚してしまったことだ。
 中学生の頃から抱き続けた『裕介さんと結婚』という私の淡い夢は、わりとすぐにやぶれた。高校1年の春、祐介さんは生まれ故郷のりんごの町で結婚式を挙げた。
 郵便配達の人から招待状を受け取ったのは、皮肉にも私だった。初めて見る本物の結婚式の招待状には、春になって田舎に帰ったばかりの、大好きな名前が書かれていた。でも、16才の私にどうすることが出来ただろう。
 5月の半ば、りんごの花が満開の頃、結婚式は予定されていた。両親は、きっと以前から知っていた筈だ。けれど私は知らなかった。招待状を見て、初めて知ったのだ。
 結婚式には、両親とともに私も招待されていた。私は断った。学校の行事、そんな月並みな言い訳しか思いつかなかった自分が情けない。どうせなら『三億円事件の犯人探しで忙しいので行けません』くらいのことを言えばよかった。
 でも、祐介さんが結婚するということに、なかなか実感は沸かなかった。もちろん、裕介さんの結婚をどうすれば取り止めにすることが出来るのかも分からなかったし、裕介さんが誰かと結婚するという事実は、高校生の私には大きすぎた。まだ、男と手をつないだこともなかったのだから。
 それでも日が経つにつれて実感が湧き出し、いろいろ想像や妄想も膨らんでいき、とうとう5月のゴールデンウィークの頃にはほとんど引きこもりに近い状態になってしまった。毎日、祐介さんが羽織袴で三々九度をしているところを想像して泣いた。もちろん入学したばかりの高校は休んだ。 
 まるで祐介さんの結婚式の日が、この世の終わりであるような気がした。けれど、その日をどうすることも出来ない、無力な自分が哀れだった。
 そんな私の様子に、両親は心配し祐介さんの結婚式に行くのを止めようか、と相談した。しかし、狂ったように怒り出す私に、結婚式の参加を決めた。
 思春期にありがちな精神不安。
 両親に連れられて会いに行ったカウンセラーが言う。

tomato 

2006年05月29日(月) 23時53分
あの人の理想の女になれば
愛してもらえるんじゃないかしら
私だってそう思うような
恋をすることだってある

本当の自分なんて まるで出せず
男うけしそうな女の子になる
自分でも自覚しないうちに
自然にそんなしてるから 我ながらホントたち悪い

そして何故か(当たり前?) そんな私は愛されず
うまくいきそうになっても
気付けば『あきらめなさい』って 自分に言い聞かせてる 

ワカッテル どんな女の子を演じても
私は変われない

私を愛してくれるのは 欲しいといってくれるのは
ありのままの私を見せることが出来る かわいい男の子達と
野心と夢と人生経験に溢れた 奥さんのいるオジサン達

だけど

泣きたいくらい 欲しくて欲しくてたまらないのは
自分を変えても 手に入れたいのは
いつも私を愛さない 男の人
私を 価値の ない 女だと 思い知らせながら 

いつもなら簡単に読めるはずの 
男の気持ちが読めなくて
私はただの 馬鹿な女

普通の女が好きな男は
私を愛することはない
そして私は 変われない

トメイト 真っ赤な太陽の果実
トメイト アナタは主役
トメイト アナタが焦がれたのは
トメイト 風呂吹き大根が好物の男

にがいリンゴA 

2006年05月23日(火) 23時50分
 なんにしてもめでたいね。最近暗い話題ばっかだし。
 能天気に晴美が言う。
 晴美は何にも悪くない。
 ゆっくりと煙草の煙を吸いながら、清登香は自分に強く言い聞かす。そうしないと、晴美の頬に平手をお見舞いしてでも、その口を閉じさせてしまいそうだった。記憶の奥に閉じ込めて、二度とよみがえることはないと思っていた楠本。
 晴美の言葉になんと答えるのが普通なのか、清登香には分からない。けれど、店のBGMに耳を傾けているふりをするにも限界がある。
 そういう晴美は最近どうなの?
 清登香はゆっくり晴美に尋ねた。我ながら素晴らしく自然に話題を変えられた!なんて内心努めて明るく思う。
 最近の清登香お気に入りのこの店は、こぎれいな蕎麦屋で日本酒が旨い。初夏にぬる燗もおつでしょ、などと久しぶりに晴美を誘ったことを、清登香は少し後悔した。毎日頑張ってる自分へのご褒美に、親友の女友達を誘ってきた店で、よりによって一番聞きたくないことを聞かされるほど、日頃の行いが悪いのか?!と誰にともなくつっこむ。
 しかもまだ、とびきり旨い日本酒ぬる燗は、2本目なのに。

ルール 

2006年05月22日(月) 23時48分
優しいメール
誘ってくれると 言った
アナタのひとことひとことが
私を期待させる

でも

聞いてみたいことがあるの
優しさの裏側をみたい
遊びでしょ? ほかにも女いるでしょ?
ルール違反の質問

だったらなあに?

もうひとりの私が冷笑
そのほうが都合いいくせに
面倒くさいのはいやなくせに
ただの独占欲

でもメールを待っている
アナタの部屋が好き
アナタの声が好き
アナタのキスで震えた

アナタのほかの女に
もう私は嫉妬して
黒い毒が胸を染めた
いらない もういらない 欲しくない

欲しい未来が手に入らない
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