
たまらん切ない恋愛劇を見た。
ぐるんぐるんして頭から離れません。
綴ってからじゃないと、何もできそうにない…。
『ガス人間第1号』
題名からは想像できないかもしれませんが。
愛する人の為にだけ生きた人と、愛してくれる人の為にだけ歌いぬいた人との切ない物語。
50年ほど前の特撮映画のリメイク。
主人公ガス人間が、純粋すぎる愛ゆえに犯す過ち。
演じる高橋一生さんの刹那的な表情や清らかな瞳は、狂気すら美しく見せた。
ヒロイン千代の、深く悲しい傷と確固たる思い。
演じる中村中さんの発する言葉は、どうしてあんなにも悲しくて、切なくて、優くて、強いのだろうか。
声。
役者にとって声は表情であり、心を直接的に震わせる大事な要素だと思っている。
だから心を揺さぶってくる声を持つ役者や歌い手には強く惹かれる。
『ガス人間第1号』の主人公とヒロインの声は、私の心に静かに突き刺さった。
終演後のなんとも言い難い心持ちは、彼らの想いが予想以上に心の深いところにたどり着いていたせいだろう。
中村中さん。
歌い手である中さんの歌声はもちろんだけれど、『千代』を演じたあの声が、舞台版『ガス人間第1号』を傑作たらしめる要素を担っていると感じた。
50年前の特撮の金字塔を舞台で甦らせた傑作作家後藤ひろひとさんにご挨拶に行くエレベーターの中、
「地下3階化粧品売場でございます」と案内してくださった中さんの声も、忘れられません。