成歩道龍一サマ編★ 第一章 

September 19 [Wed], 2007, 0:31

「異議ありッッッ

この声の持ち主に出会って、私はたくさんの事を学びました
弁護士を目指す者としての心構え
依頼人を信じる事
最後まで諦めない事


そして私は……この声の持ち主に恋をしています



「お疲れ様でした先生
今日の法廷が終了して、先生を乗せて車を発進させました
「いやぁ〜、今日もまた危なかったよ
「でもよかったですね依頼人の方の無実が証明されて
私の声に先生が微笑み返してくれた
「うん。本当によかったよ。彼は本当に何もやっていなかったんだからね。」
先生のその笑顔を見られる事が何より幸せ


そうなんです。
私が恋してる相手。
それは今私が運転している車の助手席に座っている方
成歩道龍一先生です
成歩道先生は若くしてご自分の法律事務所を経営されていて、私はそこで見習いとして働かせてもらっているのです
この春大学を出たばかりでまだ司法試験にも受かっていない私を、「アシスタント」として雇って下さった、いわば恩師であります
私は先生の下で働かせてもらいながら、色々勉強させてもらっているのです

半年程先生と一緒に過ごしてきて、いつの間にか先生の事を好きになっている自分に気付きました
でも……もちろん先生は私の事など何とも思っていません
それに反して私は、先生の事が日に日に好きになっていってしまっています
先生の気取らないところが好き
先生の熱血なところが好き
先生のちょっとおひとよしなところが好き
先生の真剣な眼差しが好き
そして先生の笑顔が好き





「あッ、そうだ。明日ちょっと事務所にお客さん来るんだけど大丈夫かな
「はいッ先生の大学の時のお友達…でしたよね
数日前に先生から言われていたのを思い出した。
「でも珍しいですね。先生の大学時代のお友達が尋ねて来られるなんて。何か特別なご用でもあるんですか
「うん。ちょっと話があってね。そんなにかからないと思うから、特に気を遣わなくていいからね。」

(先生の大学時代のお友達………。どんな人なんだろう……。)

先生の過去をかいま見られるような気がして、私は少し楽しみな気持ちでいた。

これが私と先生の関係を変えてしまう事になるとは知らずに……。





つづく

武者小路紫苑サマ編★ エピローグ 

April 04 [Wed], 2007, 1:11
あれから…

それまでと変わらない生活が続いています。

部活が終わって全ての仕事を終えた後、私はキッドさんと一緒に帰ります
ここまではこれまでと一緒


ちょっと変わったのはここから

たまに部活が早く終わった時、また休みの時は、私たちも普通のカップルのようにデートをします


そこで気付いたのが、キッドさんの新たな一面……
二人っきりになると、キッドさんはそれまで私が知っていたキッドさんじゃなくなる
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
ここはキッドさんのお部屋
一人暮らしをしているキッドさんのお部屋は、お世辞にも広いとはいえない……
でも私はこうして二人でいられるのが幸せ……
それからもっと幸せなのが……

「ねぇ、Belleちゃん

きたきた

「あれ、食べたいなぁ

これこれ

「あれって何ですかぁ

とぼけて私が言うと、すねた顔をするキッドさんがまた愛おしい

あれって言うのは、キッドさんの大好物のシュークリーム
下手なりに手作りです

「ありますよはいッッめしあがれ

そう言うと子供みたいな笑顔を浮かべて喜ぶキッドさん
胸キュンッッッ
この顔が見たくてついついたくさんシュークリーム作っちゃう

「ホントにシュークリーム好きなんですね

私の問いかけに、にっこりといつもの笑顔を浮かべるキッドさん

あぁ……幸せだ……

二人っきりになると、普段他の人には見せない表情を見せてくれるキッドさん
二人っきりになると、クールな仮面を外して甘えんぼうになるキッドさん
二人っきりになると、ますます私を虜にするキッドさん
全部全部だぁ〜いすき


「違うよ」

シュークリームをほおばりながらキッドさんが上目遣いで言った。

「俺が好きなのはシュークリームじゃなくってッ……Belleちゃん

あぁ……生まれてきてよかった……

この幸せがこのままずぅ〜っと続きますように



おわり

武者小路紫苑サマ編★ 最終章 

March 12 [Mon], 2007, 16:04
今までとは全く違う重く長い沈黙……。
キッドさんはいつもと変わらないゆっくりしたペースで私の横を歩いている。

どうしよう…。どうしたらいい
このままキッドさんに嫌われちゃうのかな……

いつもだったらあっとゆうまに過ぎてしまう時間が、今日はやけに長く続いている。
嬉しいはずなのに私はなぜか顔をあげることができなかった。

ただただ静かな時間だけが過ぎていく。

いつも沈黙を破ってくれたのはキッドさんだった。
でも今日は……。
やっぱり私嫌われたんだッッッ
 ・
 ・
 ・
「……ん……ちゃん……Belleちゃん
優しい声で我に返った。
「はッッッ、すッ、すみませんッッッな、なんですか
自分最低だ……こんな時まで……

「あのー…ほら……おうちに着いたんだけど……。」

いつの間にか私の家に着いていた。
「あ……す、すみませんッッッありがとうございますッッ

今日は一言も話してない……。

本当はもっとお話ししたかった。
もっともっとキッドさんの傍にいたかった。

でもこれももう今日で最後だ。

今キッドさんの顔を見たらきっと泣いてしまう……。
顔があげられない……。
これ以上迷惑かけて嫌われたくない。

「本当にありがとうございました。あ……あ…の……毎日…ホントに楽しくて……その……。」

言葉が詰まってうまく出てこない。
いやだ。嫌われたくない。

キッドさんが、いつも以上に優しい声で言った。
「いやぁ…なんか…ごめんねぇ。俺が余計な事したから……。」
「い、いいぇッッッ違うんですッッッそうじゃなくって…その……。」

思わず顔をあげた。
「キッドさんは何も悪くないんですッッッ私が…私が悪いんですッッッキッドさんは…キッドさんは…」

キッドさんは優しく手を私の口元にかざして、私の声を止めた。
30cmの身長差を感じさせないくらい身をかがめて、私の顔を覗き込みながら……。

「どうしていつも自分を責めちゃうの??嫌なら嫌って言ってくれていいんだよ。」

その拍子に我慢していた涙が流れてしまった。
「違うんですッッッ。私が、私が悪いんですッッ。私……毎日…毎日ずっと憧れだったキッドさんと一緒に帰れて……本当に幸せで……このままこんな風にいられたらって……自分勝手な事ばっか考えちゃって……でもキッドさんに嫌われたくなくってッッッ……それで…それでッッッ……。」
涙と一緒に今までため込んでいた気持ちも一緒にあふれ出てきた。


「わ、私、あなたの事が好きですッッッ


大きな声とは言えないけれど、意志の強いはっきりとした声で言った。

一年前と同じ時間が流れた。

キッドさんに初めて会ったあの時と同じ時間が……。

一つだけ違ったのはキッドさんの表情だった。


「俺ねぇ…ずぅっと気になってる子がいるのよ。」


キッドさんの声で現実に戻った。
一瞬何を言われたのかわからなかった。

キッドさんの言葉を理解したときにはショックでまた頭の中が真っ白になった。
体が硬直して動かない。

わかってた。
キッドさんが私の事なんか相手にしてない事。
憧れて見てるだけで満足してればよかったんだ。
身の程を考えず浮かれていた自分が恥ずかしくなって、私はまたうつむいた。



「今から…一年前くらいかなぁ…。その子はさぁ、俺の事その時まで知らなかったのにわざわざ会いに来てくれたんだよねぇ…。」




「それから毎回試合見に来てくれててねぇ……。嬉しかったなぁ。」




「あの時から彼女の顔が頭から離れなかったのよ。」




「俺も彼女の事何にも知らなかったんだよ。……名前だけは知ってたけど…。」




「あれからずぅっと考えてた……覚えてたよ。……Belleちゃん。」





キッドさんが何を言ってるのかよくわからなかった。
え……??何……??キッドさん……??


キッドさんはまたかがんで、今度はさっきよりももっと顔を近づけて、私の耳元で囁いた。


「好きだよ……。」


そう言うとキッドさんはにっこりと笑い、帽子を押さえながら歩き出した。


真っ暗な闇の中で、キッドさんの背中だけがよく見えた。

突然の出来事に頭がついていかない。
キッドさんの言葉を理解するのに時間がかかった。

(キッドさんが行っちゃうッッッ)

そう思った瞬間に声が出た。
一年前のあの時と同じように……。

「キッドさんッッッ

「あ……あのッッッ……、また…また明日……。」

キッドさんは優しく振り向いて答えてくれた。

「あぁ……また明日ねぇ。」

優しく手を振り、キッドさんはまた歩き出した。

あの時とは違う、優しい時間が流れた。

明日はいつもよりもっと早起きして、はちみつ漬けレモンをたくさん作ろう。
キッドさんのは特別に……



おわり

武者小路紫苑サマ編★ 第六章 

March 06 [Tue], 2007, 22:21
あれから一ヶ月…。
毎日キッドさんが帰り道を送ってくれてます
も〜幸せッッッ死んでもいいッッッ

でもキッドさんは私の事を恋愛対象としては見てない……
毎日一緒に帰ってるのにぃ
私の事少しでも女の子として見てくれたら……

ホント人間って欲深いね
一緒に帰ってもらえてるなんてちょっと前までは考えられないよッッッ
なのに……もうそれだけじゃ満足できなくなっちゃったの

でも最近はだんだんと緊張も解けてきて、お話もまともにできるようになってきたの
キッドさんは自分のことあまり話してくれないけど、私が話す事には返事してくれたり笑ってくれたりするそれだけで幸せ

「Belleちゃん、そろそろ準備いいかねぇ
キッドさんがいつものように迎えに来てくれた
「はいッッッちょうど終わったところです
あ〜幸せ
このままずぅっとこんな風に過ごせたらいいのに……


次の日、キッドさんはいつもの時間に来なかった。
二時間待ってみたけど来なかった。

(キッドさんだって忙しいもんね。私の面倒ばっか見てるわけにいかないんだよッッッ。今日はもう帰ろう……。)

そう思ってもなんだか力が入らない。
何故か涙が出て来た。
悲しい涙じゃなかった。
キッドさんの事が好き過ぎて泣けてきた。

いつの間にこんなに好きになってたんだろう……。
最初はただの憧れだったのに……。

私はキッドさんに本気で恋をしてしまっていた。

(キッドさんに会いたい……)

しばらく一人で泣いていると、突然ドアが開いた。
「あぁれぇッッッBelleちゃんッッッまだ残ってたの電気付いてたからまさかと思って……。」
私は慌てて顔をふせた。
「あ、あのッッッちょっと今日中にやっておかないといけない事があって……それで……
苦しい言い訳。
ホントはキッドさんが来てくれるの待ってたのに……。
キッドさんはしばらく私を見つめ、悟ったような優しい声で言った。
「そっかぁ……ごめんねぇ。連絡もしないで遅くなって。どうしても抜けられなくて……。」
ちょっと困ったような表情を浮かべていた。

(いやッッッ……キッドさんにそんな顔してほしくないッッッ)

私はあふれ出そうな涙をこらえながら、できるだけ明るい声で言った。
「い、いいぇッッッ違うんですッッッ私は用事があって残ってただけですからッッッそんなキッドさん、謝らないでくださいッッッ

しばらく沈黙の時が流れる……。
今までにないような重い空気

(このまま気まずくなってしまうのはいやッッッどうしよう……)

「とりあえず……遅いし帰ろうか。送って行くよ。」
またキッドさんが沈黙を破ってくれた。
これだからダメなんだ。
私は自分から何もできない。
キッドさんに嫌われても仕方ない。

私はこの時間が今日で最後になるかもしれない事をかんじながら、黙ってキッドさんに続いた。


つづく

武者小路紫苑サマ編★ 第五章 

March 06 [Tue], 2007, 17:21
これは夢だろうか……
ちょっとつねってみる……なんか痛くないなやっぱ夢か
もう夢か夢じゃないかなんてどうでもいいよッッッ
それくらい幸せ……

「…ん…ちゃん……Belleちゃん
キッドさんの優しい声で現実に戻った。
「は、はいッッッすみませんッッッぼ〜っとしてて……
慌てて返事をした
「そんなたいしたことじゃないんだけどねぇ……家の方角こっちでいいのかねぇ
「は、はいッッッ大丈夫です
(どうしよう……せっかく二人きりになれたのに……これじゃ緊張しすぎて変な事しかできないよッッッ印象悪くなっちゃうよ〜)

しばらく沈黙が続く……。
(それにしても……キッドさん、背高いなぁ177cmだっけ脚も長いし……やっぱ……カッコイイッッッあ〜どうしようッッッ余計緊張してきたッッッ)

キッドさんは無言で歩き続けた。
(脚長いしホントはもっと早く歩けるだろうに……こんなにゆっくり歩いてるのは私に合わせてくれてるのかな)
そんなキッドさんの優しさが嬉しかった。
ゆっくり歩くことで、この幸せな時間が少しでも長くなることもまた嬉しかった。

「毎日こんな暗い道を一人で歩いてたの
キッドさんが沈黙を破った。
「は、はいッ。この時間まで残ってる人いなくってちょっと怖いんですけど……
緊張で言葉がうまく続かない
「そっかぁ。でも危ないよねぇ。この道結構暗いし。毎日この時間
「いつもはもうちょっと早いんですけど今日は中々区切りがつかなくって……

(さっきからキッドさんが話題出してくれてばっかじゃんよ、よ〜し……)

「あ、あのッッッ、キッドさんもこんな時間まで残ってるんですか
自分から質問してみたやるじゃん私ッッッ
「いつもはねぇ、俺ももうちょっと早いのよ。でも今日はたまたま……。」
「そうだったんですかぁ。…ラッキーだったんだ
「えッッ
「いえッッッな、何でもないですッッッ
つい本音が出てしまって焦ってしまった。
自分の気持ちが悟られてしまったような気がして顔が真っ赤になった。
うつむいて歩く私を、キッドさんが見ているような気がして余計に恥ずかしくなった。

キッドさんはしばらく黙っていたけど、少しすると穏やかな口調で話した。
「Belleちゃんって……ホント変わらないよねぇ……。」
「えッッッそ、そうですかッッッキッドさんといると緊張しちゃってッッッ
私はまた更に赤くなった。
自分の気持ちをごまかそうとすればするほど、墓穴をほっているようになってしまった。
(変わってないってどうゆう意味だろ……。ってゆうかキッドさん私の名前知っててくれたんだッッッ嬉しいッッッ)

その後も沈黙が続いた。
キッドさんは相変わらずゆっくりと穏やかな顔をして歩いていた。

「あッッ、ここです。私の家。」
幸せな時間はあっとゆうまに過ぎ、私の家に着いてしまった
「ここなんだ。俺の家と結構近いねぇ。」
「本当にありがとうございましたわざわざ送っていただいちゃって……
顔が赤いのを悟られるのがいやで、キッドさんの顔をまともに見ることができなかった。
キッドさんはしばらく私を見つめていた。
「Belleちゃんさぁ、よかったらなんだけど……これからも夜残るんだったら帰り送っていくよ危ないし。」
一瞬自分の耳を疑った。
顔を上げキッドさんの目を見ると、そのままそらせなくなった。
…そんな……夢みたいな現実があっていいのかしら
また思うように言葉がでない

少し沈黙が続いたが、私は思いきって言ってみた。
「ぜ、是非お願いしますキッドさんの迷惑じゃなかったら……。」

キッドさんはにっこり笑った。
「じゃあ、また明日ねぇ。」

キッドさんは帽子を手で押さえながら立ち去って行った。
私は見えなくなるまでキッドさんの後ろ姿を目で追いながら、キッドさんが私にとってただの憧れの存在だけでなくなっているのをかんじた。



つづく

武者小路紫苑サマ編★ 第四章 

March 06 [Tue], 2007, 11:12
キッドさんとの再会からまた数週間。
ワイルドガンマンズは秋期大会に向けて猛特訓中です
あれから何度かキッドさんに会えたけど、その時もやっぱり挨拶を交わす程度……

人間って欲深いのね。
最初は遠くから見つめてるだけで満足だったのに、近づくとどんどん近寄りたくなっちゃう
でもキッドさん忙しいし……
だいたい何話しかけていいのかわかんないし……
これは絶望的だわ

私はマネの中でも帰るのが一番遅いの
だって先輩マネさんたちはアメフトの事もワイルドガンマンズの事もマネの役割の事も、私よりずぅ〜っとよく知ってるんだもん当たり前だけど……。
でも知らないからって出来ないとは言いたくなくって、日々居残りで勉強しているの
帰る頃にはもう誰もいなくって、ちょっと怖い……

(よしッッッ今日はこの辺にして帰ろうかな)

帰り支度をまとめていると、なにやら人影が……
がさごそやってるしッッッ
実は恐がりな私は、体が硬直してしまった
その時、突然ドアが開いたッッッ

「きゃぁッッッ

何も見てないのに思わず大きな声を出してしまった
目を開けてみると、そこにはボーゼンと立っているキッドさんがいた。
「あッッッキ、キッドさん
「あ〜ビックリしたッッッ。誰かと思ったら新マネさんじゃない。どうしたのこんな時間に。」
キッドさんは私がいたことよりも私の声にビックリしたかんじで言った。
「あ……あの……ちょっと居残りで勉強を……。」
しどろもどろ答えた。
「勉強こんな時間まで一人でやってるの
私がうなずくと、
「へぇ〜偉いねぇ。こんな時間まで……。でもこんな時間に女の子が一人じゃ危ないんじゃない
うまく言葉が出なくてまたうなずく。
「帰りは歩き
うなずく。
「……俺のこと、嫌い(笑)」
慌てて首を振る。
「いいぇッッッそんなわけないですッッッ
キッドさんはまた笑ってくれた。
「ホントおもしろいねぇ。これから帰るんでしょよかったら送って行くよ

(えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッ)

って心の中で叫んじゃった。
めっちゃ嬉しいッッッ
なのにまたうまく言葉が出ないッッッ

キッドさんの視線に耐えられなくなって、
「いいぇッッッそ、そんな悪いですッッッ大丈夫ですッッッ
……自分何言ってんだッッッせっかくなのにぃ〜バカバカ〜
「あ、そう無理にとは言わないけど……。じゃあ気を付けて帰るんだよ。」

(あッッッまた行っちゃうッッッ)
(……ま、待って)

「ま、待ってくださいッッッ

大きな声で言ったのに、今度はキッドさんは優しく振り向いた。
「あ、あのッッッ……やっぱり……お願いしてもいいですかッッッ

キッドさんは帽子を押さえながら笑った。
「よし。じゃあ一緒に行こう。」

キッドさんの後ろ姿に引き寄せられるように、私は彼の後に続いた。



つづく


武者小路紫苑サマ編★ 第三章 

March 06 [Tue], 2007, 10:28
彼に会ってから、私の生活は全く変わってしまった。
今までテレビはバラエティー番組しか見なかったのに、今では毎日のようにアメフトの試合を見てる
買う雑誌もマンガやファッション誌からアメフト関連の雑誌へと変わった
そして彼・キッドさんの事がもっと知りたくて、キッドさんのチーム・西部ワイルドガンマンズの試合を欠かさず見に行った。
もちろん彼に直接会いに行くようなことはできず、ただひたすら遠くから見つめることしかできなかった……。

あれから半年。
私は見事キッドさんと同じ高校・西部高校に合格した
もちろん速攻アメフト部のマネに
(これでやっとキッドさんに会える)

そう思ったのもつかの間……。
ワイルドガンマンズは強豪なため、マネもたくさんいるの
部員も多くてキッドさんは相変わらず遠い存在……
監督サンとの個人練習も多いし……
(せっかく入ったのに、もしかしてこのままキッドさんとお話できないまま終わっちゃうのかな)
(だいたいキッドさんに会いたいからって理由で入部したなんて言ったら追い出されちゃうかな)

入部して数週間。
未だキッドさんには会えず……
でもマネの仕事は楽しい
もちろん大変なんだけど、不純な動機とはいえ、今では大好きになったアメフトに関われるんだもん
それにしても私の仕事多くない
まぁ仕方ないか。
今年はマネとして5人入部したのに、残ったのは私1人……
先輩マネさんたちも手一杯で、みんな走り回ってるし
これもキッドさんを初めとするワイルドガンマンズのためッッッ
がんばらなくっちゃッッッ

選手の差し入れにハチミツ漬けのレモンを持って行こうとした時のことだった。
「おいしそうだね。一個ちょうだい。」
びっくりして振り向くと、そこにはキッドさんがいた。
あまりにも突然でまたしても声が出ない
「あ……あの……その……」
キッドさんが不思議そうに私を見る。
「これおいいしいね。君が作ったの
あまりの緊張でパニックになってしまった
そしてやっとの事で絞り出したのが、
「はッッッはいッッッ(特大)」
キッドさんも驚いて一瞬止まったけど、また帽子を押さえながら笑って言った。
「新入生のマネージャーさんか。よろしくね。」
そういうとすぐに行ってしまった。

あまりにも突然な出来事にしばらくはボーゼンとしていたけど、はっと我に返った。
(キッドさん……やっぱ私のこと覚えてないんだ……まぁ当然だけど……。覚えててもらえるなんて思ってなかったし。でもちょっとショック)

キッドさんの後ろ姿を見ながら、私はなんだかまた更にキッドさんが遠くなってしまったような寂しい気持ちになっていた。


つづく

武者小路紫苑サマ編★ 第二章 

March 06 [Tue], 2007, 8:52
会場の外に出て、選手が出てくるであろう入口に来た。
なんだかテレビカメラやら記者の人やらでめっちゃ混んでる。女の子の姿もたくさん見えた。
(やっぱあの人人気あるんだろうな……。私みたいなガキが行っても相手にしてもらえないかな……)

きゃぁ〜ッッッ

いきなり雷のような声が聞こえて一瞬めまいがした。
その途端一斉に報道陣も女の子たちも動き出した。
(彼が来たのッッッ)
私も押し出されないように必死に中に入ろうとした。
でもたくさんの人の圧力で中に入れない。彼が見られない。
それでも抵抗して入ろうとしたら、
「邪魔よッッッ
って突き飛ばされて押し出されてしまった……。

地面に座り込んだままボーゼンとしてしまった。
(彼に会いたい……。彼に会いたい……。)
ただそれだけを思って……。
自然と涙が出た。

「……ぶ……大丈夫
その優しい声で我に返った。
その人は半泣きの私に優しく手を差し伸べて、立ち上がらせてくれた。
「この騒ぎに華奢な女の子が一人で入るのは危険だよ。」
優しい声の持ち主は、なんと彼だった。
びっくりしたのと嬉しいのとで思うように声が出ない。
「あ……あの……わ…私……」
「桜庭クンは人気あるから見に行くの大変よどうしても見たいなら協力するけど……。」
声が出なくて私はおどおどしてしまった。
「余計なお世話かなそれじゃあ気を付けてね。」
(あッッッ、行っちゃう)
そう思った瞬間声が出た。

「わ、私、あなたのファンです

声が出せなかった反動なのか、びっくりするほどの大きい声が出た。
周りの人が一斉に私の方を見た。
彼もびっくり顔で振り向いた。
急に恥ずかしくなってきて、私は真っ赤になってうつむいてしまった。

「嬉しいねぇ。こんな可愛い子にそんなこと言ってもらえるなんて。」
彼が近くに来てくれて、優しい声でそう言ってくれた。
「君、中学生だよねアメフト好きなの
「い、いいぇッッッあッッッいぇッッッそうじゃなくってあのッッッご、ごめんなさいッッッ
彼は微笑を浮かべながら続けた。
「いやいや。いいのよ。それでもわざわざここまで見に来てくれたなら嬉しいよ。」
彼の優しい声にやっと落ち着いてきて、ちゃんと話せるようになってきた。
「き、今日は友達のお兄さんが試合に出るというので付き添いできたんです。最初は興味なかったんですけど……でもあなたを見て……大ファンになりました。」
彼はかぶっている帽子を押さえながら優しい声で答えてくれた。
「嬉しいねぇ。どうもありがとう。もう負けちゃったから公式戦はないけど、練習試合だったらたくさんやってるから、よかったらまた見においでよ。」
優しい声に続き、彼の優しい言葉に私も顔がほころんだ。
「は、はい絶対応援に行きます
彼は笑って歩き出した。
「あッッッあのッッッッあなたのお名前を教えてくださいッッッ
また大きな声で……。
「名前もわからないのに応援してくれたの(笑)ありがとう。
 キッド。キッドでいいよ。君の名前は
「わ、私はBelleですこれかもがんばってください
彼は笑いながら立ち去って行った。

これが彼との出会いでした。
私の人生を大きく変える……。



つづく

武者小路紫苑サマ編★ 第一章 

March 06 [Tue], 2007, 7:10

「マネさぁ〜んこれもお願いッッッ
私の一日は学校の授業が終わってから始まると言っても過言ではない。
授業が終わって真っ先に部室に向かうと、まずは選手の水分補給のためのドリンク作り
次に練習が始まったら急いで部室の掃除
それが終わったら、今度は他校のプレイを分析するやら練習の手伝いやらマネ同士の勉強会やら……やる事が次々と発生してくる
大変だけど、一度も辞めようと思ったことはない。
だってここは……憧れのあの人がいる場所だから……
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
一年前…
「早く早くッッッ早くしないと試合始まっちゃうよッッッ
友達のお兄さんがアメフトの試合に出るっていうので、半ば強制的に連れて行かれることに……
(せっかくのお休みなのに……。ゆっくり寝てたい……。
アメフトなんて興味ないし。ルールわからないし。正直どうでもいい。)
「ほらぁ〜もう試合始まっちゃってるよ
(そんな事言ったって……こんな空いてるんだから別にいいじゃん。
あ〜ぁ……いつもだったら今頃はまだベッドの中にいるのに……
今日はお昼から見たいテレビがあるんだったあ〜間に合うかなぁ
早く終わらないかなぁはぁ〜)

「……っと、ちょっと聞いてるのッッッ
「へッッッあ、あぁうんッッッご、ごめんごめんそれで何
友達の声に驚いて、慌てて切り返した。
「お兄ちゃんのチーム負けちゃったよ〜せっかく来たのにこの後どうするどっかでお茶する
「(あッ、もう終わってたんだラッキー)うんッ行く行くどうする〜

その時だった。会場の雰囲気が変わったのは。
急激に観客数が増えて、さっきまでガラガラだった私たちの周りはいつの間にか人でいっぱいに
通路にまで人が押し寄せちゃって身動きが取れない状況
「ちょ、ちょっと何なのこの人達出られないじゃんッッッ
「えぇ〜ちょっと待ってよ〜このままここにいるしかないの〜
「人混みが落ち着くまでここにいるしかないねそれにしてもこの人達は次の試合が目的なわけえ〜っと次の試合は……王城ホワイトナイツ……王城って桜庭クンのチームじゃんうっそめっちゃ見たいッッッ見ていこうよ〜
(桜庭誰それ。なんか乗り気になっちゃってるしこの試合終わるまで見るつもりじゃないよね)
「あッッッ選手出て来たよッッッ桜庭ク〜ン

その時私の目はある一点に釘付けにされた。
背番号7番。
一目惚れだった。
試合中友達の事をすっかり忘れて彼の事ばかりを目で追った。
名前も知らない彼のことを……。

「桜庭クンやっぱカッコイイなぁ今日見に来てラッキーだったね……ねぇ、どうしたの
「…あ…の人に会いに行ってくる……」
「えッあの人ってちょ、ちょっと待ってよ〜

友達の声を振り切って私は夢中で走り出した。
背番号7番の彼に会うために……。



つづく

はじめまして★ 

March 05 [Mon], 2007, 22:59
はじめまして妄想族のBelleです
いくつかブログやってるのですが……
ここでは私の妄想小説を書いていきたいと思います
そうゆうの苦手な方は読まないでくださいね
それではBelleの妄想小説劇場のはじまりはじまり〜
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:princess-belle
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 趣味:
    ・マンガ-かなりのマニアっ娘★
    ・ファッション-Pinky Girls大好き★
    ・ペット-ハムちゃん命★わんこも命★
読者になる
妄想大好きなBelleのブログでぇす(´∀`*)
このブログでは、Belleの妄想っぷりを発揮していきますので、興味ある方はどうぞ(・´з`・)
かなりオタクな内容なので心の準備が必要です(´Д`;)
2007年09月
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