どこか嘘っぽいんだ

August 10 [Sat], 2013, 22:32


その後ろ姿を

見送るしか出来なかった







どこか嘘っぽいんだ






「好きなの」




いつもの帰り道だった。
パートナーである仁王くんと
私の幼馴染である彼女との
いつもの帰り道だった。
仁王くんが少し前の曲がり角で別れて
隣り合う家まで
彼女と帰る、いつもの帰り道だった。






彼女のその言葉を聞くまでは。






俯いているから
はっきりとは分からないが
頬を赤らめて
目には薄っすらと涙が浮かんでいる。


彼女をずっと見てきたんだ。
幼いころからずっと。
顔を見なくても分かる。











「なんの冗談ですか」










私の言葉に
彼女は顔をあげて微笑んだ。








「面白くないよね!
仁王くんとの賭けだったんだ!」











比呂士が騙されるかどうか
と彼女は続ける。
もう辺りは暗くなっていて
それこそ顔を上げた彼女の表情が
読み取れたわけではない。
でも、きっと彼女は泣いていた。
いや、間違いなく泣いていた。







「明日も朝練でしょ?
仁王くんのこと、怒らないであげてね!」






言い逃げでもするように
彼女はそそくさと、先を歩き始めた。









隣り合う玄関先で
また明日、と言ったのも
彼女のほうだった。







その日の帰り道
彼女が口に出した言葉のほとんどが
嘘だなんてことはわかっていた。
だって、私も嘘をついていたんだから。













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