夢から覚めたら。 

2007年12月01日(土) 3時12分
「舞!!いつまで寝ているの!早く起きて学校にいきなさい!!」

母親の甲高い声が家中に響いている。
この声で目が覚めるときは、最悪だ。
無視をして、寝ていると部屋のドアを勢いよく
叩く音がした。

ドンドン ドンドン

「いい加減にしなさい!学校にいけないなら、夜遊びなんかするんじゃないの!」

「うるさいな!!今日は二時限からなの!」

バッターンと思いっきり大きな音とともに、部屋の扉が開いた。

「誰に向かっていっているんだ!!!」

顔をあげると仁王立ちした、父親の姿が目に入った。
帰ってきてたんだ…
私は恐怖心に身を震え上がらせた。
殴られる…

父親は私の髪の毛を掴み、布団から引きずりだした。
髪の毛をぐっと、引っ張り上げた。
父親と目が合う。

「お前は誰に向かって、文句を言っているんだ?」
「…」
「何とか言え、誰に向かっていっている!!!!」

そう怒鳴って、足で私を蹴り飛ばした。

「あなた…辞めてもういいわ」

母親が消え入りそうな小さな声で言った。
中途半端にとめるな。
とめるなら最初から止めてよ。
そう思った。

父親は、睨み付けている私の顔を見て、小ばかにしたように見下している。
お前なんか父親でもなんでもない。
そう何度も心の中で叫んだ。

「舞…ちゃんと支度して降りてきなさい…」

それだけ言って、母親は父親と一緒に部屋からでていった。

「パパ…助けて。」
私はボロボロと泣きながら、そういった。
今の父親は、本当の父親ではない。
私の本当の父親は、三年前に癌で死んだ。
優しい、大好きなパパだった。
家庭も絵に描いたような温かい家庭だった。

人の命なんてあっけないもんだ。
人間なんてすぐに死んでしまう。
私だって…

父が死んで二年後、あの男と母は再婚した。
寂しかったのかもしれない。
でも私は母親がまだ女として生きる道を選んだことをうらんだ。

パパは、ママにとって一人だけの夫じゃなかったんだね。
悲しかった。
その分、ママと、新しい父親を恨んだ。

そんな私の気持ちを察してか、父親は しつけ と言う名の
暴力を振るうようになった。
母は父に捨てられるのが怖いのか、止めようとはしなかった。
私は、ことあるごとに殴られた。

いいこでなんかいても無駄なんだ。

そうわかった。
今大切なもの、そんなものは見えない。
父親の言いなりになっている、母親も大嫌いだ。
半年くらい前から、父はあまり家に帰ってこなくなった。
浮気をしているようだ。

お母さん、あんたの選んだ男はそんなもんだよ?
どうして、私を守ってくれないの?

最初はずっとそんな思いが、頭の中を回っていた。
でも、母親は私に答えなんてくれない。
今私を正常にさせてくれるのは、夜の夢のような世界と
友達だけだ。

たまにふらっと帰ってくる父は、まるで私を殴ってストレスを
発散するためだけに、戻ってきているように思う。

私は、蹴られた横腹を押さえ、ゆっくりと立ち上がった。
痛い。

「今日は朝からついてない。」

そういって、鏡にうつる自分を覗き込んだ。
私は手早く着替えを済まし、洗面所にいって顔を洗った。
そのままリビングへと向かう。

父と、母が朝食を先にとっていた。
私は無言のまま、食卓についた。
用意してあった、私の分の朝食に手をつける。

「今日は話があってな。」

父親が切り出した。
離婚でもしてくれるのかな?と期待してみる。

「実はちょっと金が必要なんだ。」
「お金?どうしたの?」

母が青ざめた顔で言った。

「実は、ちょっとあってな。30万ほどひつようなんだ」
「そんなお金ありませんよ。何につかったんですか?」

私は席を立とうとした。
父親に腕を掴まれる。

「お前も、もうバイトくらいできるだろう?」
「…」
「ちょっとな、父さん金がいるんだ。お前も協力してくれ」
「体でも売れっての?」
思わず、口に出た。

「なんてこというの!!!そんなこと!!」
母親が甲高い声でさけんだ。

父親は にやり と笑い。
「お前がやりたいなら、勝手にやればいい」
といった。
私は殺してやりたい衝動にかられた。
腕を振り払い、自分の部屋へと戻り、部屋の鍵をしめる。

殺す。

本当に殺してしまったら、どうなるだろう?
楽しいことなんて何もないんだ。
別に人生ここで終わってもいいんじゃない?

リビングからは、父親と母親の口論の声が聞こえる。
夫婦ってなに?
大切なものってなんだろう?

そう思うと、自分の存在がわからなくなる。
家族。
暖かい家族。
今はもう戻れない、幸せだった空間。

「パパどうして死んじゃったの?」

私は泣きながら、布団に顔をうずめた。

悪魔の心。 

2007年11月22日(木) 10時43分
早朝の空気が好き。
においも大好き。
朝はみんな綺麗な心になれるんだ。
昨日のことも、すべて忘れて、朝は心が綺麗になる。
私はそう思って、いつも早朝には昨日の自分を捨てて
新しい自分に生まれ変わるんだ。
夜は女を悪魔にする…

「こんな時間から、どこにいくの!!!」
母親の甲高い声が家中に響き渡った。
私は無言で靴を履き、荒々しく玄関のドアを開けた。
玄関まで急いで来る母親の気配を感じながら、家を飛び出した。
家の中から慌てて出てくる母。
近所の目を気にして、大きな声を出せないらしい。

本当に心配なら、人目を気にせず叫べばいいのに。
所詮、私の心配より世間体を気にしているんだ。

そう思うと、母親のことなんて可哀想とも思えなかった。
私は颯爽と駅に向かった。
家路に着くサラリーマン達と、逆に進む。
何かに大きく逆らっているような気分になる。
家に居てもつまらない。
うるさい母親の小言を聞きたくない。
たまにしかいない父親に殴られるのなんてまっぴらだ。
何が親だ。
一体私に何をしてくた?
今私にどうして欲しいの?

18歳。
少女でもなく、大人でもない微妙な歳。
親は子ども扱いするが、世間ではそうではない。
でもお酒も飲めなければ、タバコも吸えない。
なんて中途半端な歳なんだろう。
いっそうのこと20歳になれば、両親ももっと大人扱いしてくれるのだろうか?
窮屈でしょうがない、面白くない毎日。
何か好きなことをしていなければ、頭がおかしくなりそうだ。

北里 舞。
女子大生。学校もきちんと行っている。
大人のようで大人じゃない。
中途半端な歳。

私は電車に飛び乗り、いつもの駅に向かう。
心斎橋。
私がクラブに行き始めたのは、最近のことだ。
夜の世界が、これほど大胆で興味深いものかと
知ったときには、もうどっぷりと夜の世界に浸かっていた。
22時。いつものメンバーがクラブの入り口に集まる。

私はいそいそと電車を降り、クラブの入り口へと向かう。
途中で何度も、違うクラブの勧誘にあいながらも
目的地へと突き進む。

気の知れたメンバーの顔を見つけほっとする。
「おつかれー!!」
大きな声で叫びながらかけよる。
「舞!まいどまいど〜」
みんなが集まってくる。
この瞬間が私は一番好きだ。
わいわいと話しながら、みんながそろうのを待つ。

私はふと空を見上げた。
都会の空は、黒くて汚い。
でもこの汚く見える空が私の心と反映していて、とても好きだった。
本当は綺麗な空なのかもしれない、私の心が汚れているから
汚く見えるのではないだろうか…

10人ほどのメンバーが集まり、みんなで一緒にクラブへと
入っていく。

「舞、今日は親大丈夫だったの?」
親友の百合が私の肩に手を当てて聞いてきた。
「今日もぎゃーぎゃー叫んでたよ。うざい、うざい。」
百合は、長身の美人だ。
誰からも目を引く。
「うちも、うざいよね。何様のつもりだかね?」
私は自分と同じような感情をもっている百合に、
さらに深い友情を感じる。

クラブの中はいつものとおり、安らげる空間だった。
真っ暗な部屋に鳴り響くミュージック。
好きなように体を動かし、時には声をあげる。
私にはこの空間がどうしても、自然の空間に思えてしまう。
人間はどうして、型にはまっていきていかなければいけないのか?
どうして、周りと同じでなければ恥ずかしいのか?
一般常識とはなにか?
その常識は誰が決めたのか?
果たしてそれが正しいのか?
夜遊びに出ることがそれほどいけないことなのか?

説明しろと叫んでも、大人は誰も説明できない。
説明しようとしない。
普通と違うことをしたら、恥ずかしいという。
じゃあ普通って何?

普通じゃない私は人間じゃいられないの?

納得のできないこの世界が。
説明をしない大人が。
いい子になれない自分が。

大嫌い。

「舞〜飲もうぜ〜」
仲のいい男友達がお酒を持って、隣に座った。
「いいねえ〜。」
私は笑顔で、晃からグラスを受け取った。

晃。スラリとした男前だ。
歳は23歳。

私からすれば、こいつも馬鹿に見える。
23歳にもなって、仕事もせず何をしているんだろう?

私も同じような大人になるのかな…

私はちゃんと短大を卒業して、社会人になって、結婚して、子供産んで…

それもつまらない。
一体私は何になりたいのだろう?
何がしたいんだろう?
わからない。
苦しい。

「どうした?踊りに行くか?」
「そうね!行こう!!」

思い切り明るい声を出して、ダンスフロアへと向かった。
何も考えたくない。
将来なんかどうでもいい。
自分なんて自分じゃない。
何もかもがわからない。

誰か助けて…。

私は一心に踊り狂った。
朝が来るまで。
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