プロローグ 2
July 21 [Thu], 2005, 14:24
この春、ミツボシデパートの川向こうに見える「多摩銀行」 へ入社したばかりの、川上沙代子は杏子のそんな事情を知って、入社半年でスッパリ辞めてしまい、杏子のところへ転がり込んで来たのだ。
まぁ、これも一種の腐れ縁と杏子は半ば諦めている。
そんなことを考えているうちに、大通りの交差点を左折し、1階がコンビニエンス・ストアの入るビルの3階へと上がっていった。
ここが父親の残した事務所で、扉には「小野寺探偵社」の名前が書かれた白いプレートが架かっている。
鍵を開け、ふたりが部屋に入り杏子が奥の机に座ろうとすると、沙代子が新聞の1面を杏子の前に出して、
「先輩、昨日の朝刊に出ていたこの記事のことなんですけど・・・。」
「昨日の?」
「はい、この記事で
(3月21日の早朝、鎌倉明月院の境内裏の大木下に、喉からナイフが貫通し息絶えてる男性を発見通報したが、鑑識の報告に因るとすでに死後15時間が経過、男性の身内関係者から事情を聴いている。)
夕べ、美由紀から電話が入ってこの記事のことを聞かされて、この男性というのが高校の時の天文部顧問の、早川亮介先生なんです。」
「美由紀? 大学のとき沙代子が無理やり演劇部に連れ込んできた、佐倉美由紀のこと?」
「そんな、無理やりなんて・・・。 まぁ、その佐倉美由紀の鎌倉女子高時代の先生で、先生の一人息子の英明さんから連絡が入り、警察で確認にいってきたそうなんです。」
「ちょっと待ってよ。 何で美由紀が先生の確認に呼ばれてるのよ。」
杏子は不思議にかんじた。 沙代子は、ふっとため息をつきながら・・・
「美由紀がまだ2歳の時に両親が離婚していて、美由紀は母親とずっと二人暮らしだったんですけど、その美由紀のお父さんっていうのが、早川亮介。 つまり、高校で再会していたんですね。」
「ふぅーん。 じゃぁ英明さんって。」
「美由紀の義兄さんです。」
「義兄さん?。」
「ええ、美由紀のお母さんとは、お父さんの連れ子再婚だったらしいですよ。」
「・・・・・」


。










